ふとサイト内でナイトローグと検索すると、当たったのは六件。一方、ビルドの場合は279件(20180620現在)
……
ネビュラスチームガンで研究所敷地内に霧ワープを果たしたエンジンブロスは、始めに外で暴れているスマッシュと遭遇した。スマッシュは見境なく、近くにあるものをひたすら壊していく。その背後には、研究所の壁に大穴を空けた跡があった。
今回の研究所侵入の目的は、フルボトル及びボトル浄化装置の強奪であった。同じく指令を受けたリモコンブロスとは現在、別行動を取っている。侵入の前段階として、こちら側に内通している研究員が先に動く手筈だ。
無論、内通者のデータ提供によって、ボトル浄化装置やその他の設計図は手に入れている。だが、素材が百均グッズで電子レンジ擬きの機械を作る前提の時点で、深刻な技術不足により代替の材料集めに奔走しなければならなくなった。
そのため、再現に時間を要するならと、とっととパワーで奪った方が早いと結論付けた。幸い、ネビュラスチームガンの空間転移能力により、座標さえわかっていれば短時間での作戦完遂を可能としている。
エンジンブロスの姿をスマッシュが目にすると、たちまち彼に向かって突撃していく。実際のところ、スマッシュ化する前の人間は内通者――要は彼の味方なのだが、完全に意識がなくなっていた。あまりにも本末転倒な結果に、エンジンブロスは呆れると同時にスマッシュを軽くいなす。
「……ちっ、ナンセンスだな」
エンジンブロスの周りに人影は見当たらない。人的被害が一応出ていない事に安堵しつつ、怒涛の勢いでスマッシュを攻め立てる。常日頃から訓練でスマッシュを相手取っている彼からしてみれば、まさしく朝飯前だった。
やがてトドメを決めて、おもむろに取り出したエンプティボトルでスマッシュの成分を回収。素体となった人間は、気絶している点を除けば五体満足である。
その直後、サイコローグに変身したレオナルドと出会ってしまった。見知らぬ戦士の姿に思わず困惑したエンジンブロスは、さらに喋れる事も知って目を白黒とさせる。どこからどう見ても、サイコローグの全長が小さすぎてぬいぐるみにしか思えなかった。
コオロギとサイコロのデザインが含まれているつぶらな瞳。人並みの長さの指がこれっぽっちもない、むしろ獣のものだと彷彿させる手先。されども腰にはビルドドライバーとフルボトル。これは耳にしている。戸惑いながらも、本当にぬいぐるみではないのだとエンジンブロスは無理やり納得する。
すると、サイコローグは手をポンと叩いて声を出す。
「あっ、思い出した。お前、エンジンブロスだな? よくもトランスチームガンをパクりやがって」
「そんな事俺に言われても……」
少なくとも冤罪であった。エンジンブロス本人も詳細は把握していないが、ナイトローグの存在が世間に知られた最初の頃にはネビュラスチームガンは完成の目処が立っていた。彼が紫の駆麟煙銃を手にした日は、ナイトローグがIS学園にぶちこまれた当日である。パクるにせよ、トランスチームシステムの上位互換足らしめるにはいくらなんでも時間が足りなすぎる。
それに彼の視点でものを言うのなら、トランスチームガンこそネビュラスチームガンのパクりだった。明らかに性能面では上回っていて、ハザードレベルも戦闘中に上げられる。総合力でもカイザーシステムの圧勝、トランスチームシステムが敵う余地はない。強いて劣っている点を述べれば、フルボトルの存在だろう。
しかし、エンジンブロスがその事を言及するつもりはなかった。敢えてサイコローグの注意を引き付ける事を念頭にし、無言を貫く。
もしISがここへと駆け付けてくるものなら、スクランブル発進込みでも恐らく十分とも掛からないはず。たとしても、霧ワープの優位性はこれっぽっちも揺るがない。ネビュラスチームガンの引き金を引くだけで良いのだから、後は別行動中のリモコンブロスが上手くやってくれる事を祈るのみ。焦る必要はなかった。
「こっちはな、パクられたパクられたって騒がれて大変だったんだぞ! おかげでスパイ探しする羽目になって……ちくしょう! マザーシップのレーザー攻撃絶対許さねぇ!!」
「あれ? 最後の、俺らと関係なくね?」
「死ねぇー!」
「無視かよ!?」
加えて、サイコローグが問答無用で飛び掛かってきたのは嬉しい誤算だった。陽動や囮だとバレないように演技する必要もなくなる。
サイコローグの的の小ささは色々な意味で驚異だ。相手も間合いの問題で同じ事が言えるが、まず攻撃が当てにくい。
しかし、宙にいる時を狙えば、PICがない限りは無防備だ。ろくな回避行動も取れず、見切れば対処するのは簡単。サイコローグが振り抜いた右ストレートを両手で受け止めて、そのまま背負うようにして地面に叩き付ける。
「うおぉぉぉぉ!!」
次いで、寝技を掛けてサイコローグの動きを完全に抑える。その際に相手のハザードレベルが自動的に測定されたが、視界に投影される画面端が映した数値は3.1であった。
「ハザードレベル3.1! ひっく!?」
「アダダ!? 余計なお世話だ! アダダっ! うぐぐ……ハザードレベル4.0!? 化け物じゃねぇかぁ!?」
「化け物上等ぉ!」
それからは、終始エンジンブロスが優勢であった。挙げ句の果てには、頭を抱えて地面に臥すサイコローグをひたすら蹴りまくる事になる。
「この! この! この! この!」
「痛い! 痛い! 痛い! 痛い!」
まさしく一方的。サイコローグは反撃はおろか、自分の身を守る事で精一杯だ。耐久限界が来て強制的に変身解除されないのが不思議なくらいである。
しばらくすると、エンジンブロスはふと蹴るのをやめて、足元にいるサイコローグではなく正面の方を向く。そこには、大きく開かれた漆黒の翼が迫ってきていた――
※
「オーケー! レオナルド博士のとこに行ってくる! 二人は早く逃げてろ!」
京水たちに起こされる形で電脳ダイブから帰ってきたナイトローグは、身体に掛けていた毛布をどけるや否や部屋を飛び出していった。彼女たちが現在の状況を端的に伝えたがための出来事だ。
二人はあっという間に置いてきぼりを受けてしまった訳だが、ナイトローグが電脳ダイブしていた部屋にいつまでも留まっている場合ではない。誰の許可も得ず、勝手にここへ訪れてしまったのだから。ちなみに、間取りを把握していない彼女たちが迷子にならず真っ直ぐそこまで辿り着けたのは、京水の乙女の勘のおかげだったりする。
避難するのはそれほど苦ではない。来た道を引き返すだけで済む。ナイトローグを心配するよりも信じる事にした二人は、脇目を振らずに大急ぎで廊下を駆け抜ける。
その時、ふわふわと空中に浮いている電子レンジと遭遇した。束の間、電子レンジの動きはピタリと止まる。京水たちも立ち止まった。
「電子レンジ……」
「……あっ、もしかして」
ナギがおもむろに電子レンジの名を呟けば、京水がハッとする。電子レンジと聞いて思い出したのは、レオナルドの話であった。
――浄化装置――
無論、実物の姿や、どのように稼働してフルボトルを作るのかも二人は知らない。それでも電子レンジが単体で浮遊しているという不思議現象に出会えば、すぐさま浄化装置と結びつけるのは簡単だった。
直後、百八十度方向転換した電子レンジは尻尾を巻くようにして逃げていった。
「「あっ!?」」
ふとした拍子で二人から驚きの声が上がる。しかし、それと同時に京水はすかさず鞭を取り出していた。慣れた手つきで鞭を振るい、電子レンジへと届かせる。
そして、鞭は途中で遮られるようにして目に見えない何かに巻きついた。目線としては上辺り。もしも透明人間が電子レンジを持ち逃げしているのであれば、確実に首を引っ張っているであろう高さ。京水はグイグイと鞭を引くが、程なくして足を引き摺られそうになった。
「ナギ!」
「はい!」
叫ぶ京水に応えて、ナギはどこからともなくテニスボールとラケットを手にする。そして――
「光る球【デストラクション】!!」
必殺打球を放った。金色の光を纏ったテニスボールはナギの尋常ではないパワーで振られたラケットにより、拳銃の弾丸顔負けの速度で飛んでいく。
パァン!!
光る球は目に見えない何かに直撃する事はなかった。あくまで掠り当たりに留まり、凄まじい威力を以てして向こう側の壁に埋め込まれる。瞬間、電子レンジを持った者の姿が顕になった。
「……なんで? テニヌなんで?」
「「リモコンブロス!?」」
そこにいたのは、光る球に戦慄した様子を見せるリモコンブロスであった。ただし気持ちの切り替えは早く、左半身より飛ばした歯車状の小さなエネルギー刃を巧みに操り、自分の首を絞めている鞭を切断させる。拘束から解放され、役目の終えたエネルギー刃は消失する。
それから再び逃げ出そうとする彼だったが、突如として銃声が響く。背中に弱くない衝撃を受けて、そのまま電子レンジを抱え込むようにして前に転ぶ。
「うおっ!?」
「あ、当たっちゃった……」
撃ったのはナギだった。その手にはトランスチームガンを持っており、転んだリモコンブロスの姿を目の当たりにして震える。思い切りが良かったのも最初だけで、ISに乗っている時とは違う感覚に引き金が引けなくなる。明らかに動揺していた。
リモコンブロスは彼女を一瞥し、電子レンジを腕の中に隠しながら立ち上がる。相変わらず背中を向けたまま、一言告げる。
「邪魔すんな。テニヌはともかく銃を撃ってビビるなら止めとけ。俺も余計に人を傷付けたくない」
何を今さら。発砲の恐怖を無理やり押し殺して反論しようとするナギだったが、それを京水が制した。クネクネとしたステップを刻みながら、一歩前に出る。
「殊勝な言葉ね。キライじゃないわ! だけど、それとこれとは話が別」
「ちょっ、クネクネすんな。なんか寒気が――」
「あなたがどうして電子レンジを持ってるのか、それは簡単に想像つくわ。十中八九、浄化装置でしょ? それ」
「いや、だからクネクネしながら近づいてくんな!? 背筋がぞっとしてくる!」
端から見れば、京水の動きは己のスタイルを十全に活かした魅惑な所作そのもの。しかし、どういう訳かリモコンブロスはじわりじわりと後ずさっていく。その赤い隻眼は、まるで気持ち悪いものを見ているような目をしていた。
これにナギは頭が追い付かず、呆然としながら成り行きを見守る。リモコンブロスが拒絶反応を一心に示している一方で、京水は新たにトランスチームガンとルナフルボトルを取り出した。
そんな彼女の出方にリモコンブロスは驚愕。咄嗟に逃げようとするが、あの謎の嫌悪感と悪寒が未だに抜けておらず、足元がもたつく。そうこうしている内に京水は、ルナフルボトルを片手で振ってフタを開ける。
「さぁ、乙女の力を見せてやるのよ、ワタシ! 来なさぁぁぁぁぁい!!」
《Luna》
「変身! ――あっ、間違えちゃった」
《Mist match》
蒸血ではなく変身と言い間違えた頃には、既に引き金が引かれていた。トランスチームガンの銃口より深い霧が京水の姿を覆い隠し、その中で専用のパワードスーツを纏わせていく。
《Lu,Luna. Luna. Fire!》
程なくして花火が上がり、霧が晴れる。中より現れたのは、頭部のゴーグルと胸部のクリアパーツが下弦の月を模している黄色の戦士だった。ナイトローグと比べれば丸みを帯びており、女性らしさに溢れたラインを保っている。しかし、頭部の角は共通していた。
その名もホールドルナ。決して痩せたルナ・ドーパントとかではない。まさしく自分自身のイメージカラーに合った姿に、彼女はノリノリでポーズを決める。
「太陽に代わって、お仕置きよ!」
瞬間、辺りに静寂が訪れる。ナギはどんな反応を示して良いかわからず、口をあんぐりと開けるばかりだ。リモコンブロスも動きが一瞬固まり、恐る恐るといった風体で言葉を投げる。
「……なんだろう、オッサンの影が見える」
「そう、オッサ――オッサン!? レディに対してなんて最大の侮辱を!! ムッキィィィィィィィィ!!」
聞き捨てならない単語にホールドルナは憤慨し、ハンカチを噛み引っ張る代わりに地団駄を踏む。
すかさずリモコンブロスは電子レンジを片手で持ち直し、利き手でネビュラスチームガンを構えてホールドルナに発砲する。しかし発射された光弾は、突如として鞭のように変形・伸長したホールドルナの腕で払われた。
「ちっ!」
仮面の下で舌打ちし、射撃を止めてそそくさと逃げ出すリモコンブロス。ホールドルナは彼の後を追い掛ける寸前、未だに動かないナギに一言言い残した。
「危ないからナギは先に逃げて! いいわね!」
「う、うん……」
「よ~し、イッテきまぁぁぁぁぁぁぁす!!」
そうして、どこか緊張感が抜けた追走劇が始まるのであった。
Q.ホールドルナの姿は?
A.丸みの点ではややブラッドスターク寄り。手足はちゃんとしている。腕の変形はまんまWやルナ・ドーパント。Rナスカやタブー・ドーパント的なエロさがある。顔のイメージはジムやドムの(凸)
Q.ルナフルボトルって特性は月? 狂気?
A.月です。月にまつわる話を含めたらカオスになるけど。最近だとクロノスとゲンムが宇宙空間に行きました。数年前は不死鳥さんが月をスルーして太陽にぶちこまれました。さらに数年前は、シャドームーンが貴重な変身シーンを見せてくれました。さらにさらに数年前は、キバが月面キックしました。さらにさらに前は、シャドームーンが甦りました。