デーデーデーデー♪
ナイトローグショックから早十年(大嘘)。ボトルを浄化する強大なエネルギーを秘めた電子レンジを巡り、新たな戦いが幕を開けた。
コノーママー♪
ぬいぐるみサイズのビルドを足蹴にしているエンジンブロスに向かって俺は突撃する。翼を展開し、擦れ違い様にカッター代わりとして斬りつけようとするが、間一髪で避けられてしまった。
急いで無反動旋回し、ビルドの隣に着地する。そっとスチームブレードとトランスチームガンを構えれば、相手も同じ事をする。ビルドが話し掛けてきたのはそのタイミングだった。
「弦人くんか! 星船はクリアしたのか!?」
「えっ、レオナルド博士? あの地獄なら乗り越えました」
「グッジョブ!」
ビルドの正体はレオナルド博士だった。サムズアップしてきたのを皮切りにし、エンジンブロスが駆け出す。ネビュラスチームガンの発砲にこちらも応射し、光弾を相殺。ビルドは今すぐにでも殴りたいところだが、それよりもエンジンブロスだ。ぐっと抑えて、肉薄してきた彼と剣戟を繰り広げる。
この前のリベンジと行かせてもらう。リモコンブロスが見当たらないのが不可解だが、複数対一にならないだけマシだ。以前とは随分と楽なマッチングなのだから、これで負けたら酷すぎる。
手始めに、エンジンブロスとは徹底的に力勝負を回避する。至近距離での銃撃は互いに軽々とかわしていき、彼が力任せに振る重たい斬撃をなるべく受け流す。もしくは見切って避ける。助けに入った時点でレオナルド博士は満身創痍のようだったから、割り込まれる事はないだろう。このままタイマンを張らせてもらう。
「くそっ! ちょこざいすぎる!」
俺が流れる水の如き戦術を意識していれば、エンジンブロスはそう悪態をついた。
スペックの次に大切なのは技量、経験。この程度の高速戦闘は、織斑先生怒りのシゴキでもう慣れた。臆する事なく判断をつけられる。
次にエンジンブロスの横一閃が胸部に迫る。それを俺はバッタのように跳ねる事で回避し、ややうつ伏せの姿勢で空中に浮く。それから落下が始まる直前、トランスチームガンでネビュラスチームガンを撃つ。
「いっ!?」
手元がやられたエンジンブロスはすっとんきょうな声を上げ、俺は四つん這いに近い形で着地。間髪入れずにスチームブレードを前方左右に振りまくり、相手の小足を狙っていく。目標は脛への直撃だ。
しかし、そう簡単に一撃を入れてくれるほど甘くはなかった。咄嗟にエンジンブロスはスチームブレードを足元に差し出し、防御する。ついでに低姿勢で前進しながら攻撃を続ける俺に応じて、彼も素早く後退していく。
刃同士がぶつかる音が何度も響く。しつこく攻撃しても一向に入る気配がない。キリが良いところで脛狙いをやめて、一思いに斬り上げる。
右足をぐっと前に出し、大きく踏み込んでは懐にスチームブレードを目掛ける。案の定、これも捌かれた。俺たちは一度、少しの距離を保ったまま見合う。
「一対一だとお前こんなにしんどいのかよ……」
そう言って溜め息をつく彼だが、こちとら話し掛けるつもりは毛頭ない。トランスチームガンを仕舞い、両手で持ったスチームブレードを腰の左側へ運ぶ。鞘はないが、抜刀術のイメージだ。腰だめになり、機を窺う。
対して、エンジンブロスはスチームブレードを左手に持ち直すと、右半身から白い歯車状のエネルギー刃を顕現させる。エネルギー刃は宙に浮かび、同じく射出のタイミングを測っていた。
辺りはしんと静まり返る。張り詰めた緊張感が襲い掛かり、早まる気持ちを頑張って我慢する。まだ絶好の機会ではない。見極めろ。相手の意表を突け。
そして、真っ先に俺は動いた。踏み込んだ右足にすかさず、左足を前に出す。既にスチームブレードは振り抜いた。
刹那、眼前にエネルギー刃が飛び込んでくる。気合いで姿勢をさらに低くし、頭頂部スレスレでかわす。次に視界の中に入ってきたのはエンジンブロス本人だ。
まずは横に一閃。左足を出した絶妙な瞬間に抜刀したおかげで、剣のスピードは今まで以上に昇華する。
一撃目はスチームブレードで防がれた。だが、昇華したスピードで生み出された初撃は、そんな事もお構い無く空気を弾く。真空領域が出来上がり、僅かながらもエンジンブロスの動きを阻害する。
必死に下がろうとするエンジンブロスだが、何故か俺に引き寄せられる。防御が疎かになり、無防備な顎を完全にさらけ出した。決めるのはここだ。
特異な踏み込みによって、エンジンブロスとの間合いを瞬時に詰める俺。彼が何かしようにも既に遅く、凄まじい速さで振り上げられる二撃目の刃が彼の顎にあっさり入った。頭をカクンと後ろに曲げさせ、その衝撃で身体ごと空中へと吹き飛ばす。力なく地面の上に落ちるのは、数秒後だった。
「……飛天御剣流奥義、天翔龍閃」
「……か……かめはめ波を目指してる俺より先に……完成してるだと……?」
ぼそっと技名を呟く俺と反して、エンジンブロスは半ば呻き声を上げていた。かくはともあれ、苦しくて立ち上がれないままなら結構だ。勝負は俺の勝ち。無力化にも成功した訳だから、後は適当にボコボコにして変身解除させるだけ。
さぁ、覚悟しろ。便利アイテムのネビュラスチームガンも、明後日の方向に飛んでいったままだ。逃げられまい。
「よくやったぞ、弦人くん! このやろ! このやろ! のわぁっ!?」
すると、後ろからレオナルド博士がすっ飛んできた。ゲシゲシとエンジンブロスを蹴っていくが、零距離でエネルギー刃を撃たれて大きく仰け反る。そのまま尻餅を付き、今度は仰向けに倒れたままのエンジンブロスに何度も叩かれる。
この隙にネビュラスチームガンを回収した俺は、スチームブレードの代わりにトランスチームガンを出して二丁持ちを実現させる。ギアエンジン自体はエンジンブロスが持っているのだろう。そうそう都合良くないか。
その時、横から水色のエネルギー刃が複数飛来してきた。割りと尋常ではない弾幕で、スチームガン二丁の引き金を一心に引き続けて撃ち落とす。弾幕は全て俺に向かっていた。逃げようとすると追尾してくる。
片や、レオナルド博士はエンジンブロスから這う這うの体で距離を取っていた。
「待ちなさ~い!!」
「ついてくるんじゃねぇ!! このっ!」
「アァン、切れちゃった~!! あうっ!」
京水とリモコンブロスの声が聞こえてくる。弾幕をどうにかやり過ごした先には、ネビュラスチームガンと電子レンジを持っている彼と、それを追い掛けるルナ・ドーパント擬きがいた。後者に至っては、可愛らしくなったブラッドスタークの色違いにしか見えない。
リモコンブロスの背後に迫るクネクネとした黄色の触手は、エネルギー刃によって容易く切断される。先ほどまで女の子走りを見せていたルナ・ドーパント擬きは、多大なショックを受けてか何もない場所で大きくつまずいた。
それからリモコンブロスはエンジンブロスの元へ駆け寄ろうとする。それを阻止せんと俺は発砲しながら接近するが、エネルギー刃を盾代わりにされた上に腰部スラスターを出される。こちらも慌てて翼を展開するよりも早く、彼は全速力で飛び去った。
その際、エンジンブロスは見事なタイミングで彼の足に掴まり、十数メートルは低空飛行したところで一緒に霧ワープしていく。俺が持っているネビュラスチームガンは完全に捨てられたみたいだ。しくじった……。
「ハァ……ハァ……ごめんなさい、石倉さん。弦人ちゃん。電子レンジ守れなかったわ……」
「何だと!? くっそぉ、ブロス兄弟めぇ……パクるだけでなく盗みも働くとは!」
変身を解除しながら走ってくる京水に合わせて、レオナルド博士もビルドの形態を解く。クマみたいな姿が再び現れ、眉間にシワを寄せながら歯軋りした。一方の京水はばつの悪そうな表情で、たちまちへたれ込む。
電子レンジ……以前にレオナルド博士から聞いた浄化装置の事だろう。そうでなければ、研究所をブロス兄弟が襲撃してきた目的にしてはやる事が小さすぎる。
「だが、こちらも弦人くんのおかげでトランスチームガンのパクり製品を奪えた! 完全敗北ではない!」
「あっ」
レオナルド博士は俺からネビュラスチームガンを奪い取り、さながら黒いノートで新世界の神を目指す人間の顔をしながら高笑いする。しまいには小躍りを始め、一人で騒がしくネビュラスチームガンを天に掲げる始末だ。目も当てられない。
ふと京水と目が合う。彼女は「てへへ」と照れくさそうに笑うが、ひとまずルナ・ドーパント擬きの件は後回しだ。それよりもやりたい事が一つある。
俺はレオナルド博士の腰に巻かれているものに注目し、存分に怒りをたぎらせる。そのまま殺意の波動に目覚める勢いで、思いっきりそれを掴んだ。
「ビルドドライバァァァァァァァァ!!」
ベルトは簡単に剥ぎ取れた。まさかの展開に目を白黒させるレオナルド博士は放置し、罪のないフルボトルを外して地面に置く。片手には、空高く掲げたスチームブレードを持つ。
「よ、よせぇ! なんでボトルは律儀に外してビルドドライバーを――」
「イッテイーヨォォォォォ!!」
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
問答無用で振り落としたスチームブレードは、ビルドドライバーを一刀両断させた。切断面から覗ける限り、くっつけるだけでは直らない有り様だった。
だが、慈悲はない。最後に勝つのはナイトローグだ。
※
南波重工。財団BやZECT製薬、鴻上ミュージアム、スマートXユグドラシルコーポレーションといった企業に名を連ねる、日本国内最大級の重工業メーカーだ。その圧倒的な技術力を駆使して、日本の国防の一翼をも担っている。主な防衛兵器は戦闘用アンドロイド“ガーディアン”であり、その汎用性の高さから人員不足を解消するだけでなく、災害派遣時などの人命救助に大きく貢献している。
また国連軍にも一部採用されているが、国連主導で開発中のEOSと対立。ガーディアンの性能は世界的に高く評価されているものの、政治的問題もあって本格的な国外輸出には至っていない。ちなみに南波重工が最近、無重力空間でしか精製できない特殊な合金の開発に成功したのは、ここだけの話である。
現在の南波重工の会長の座にいるのは、南波重三郎。メガネを掛け、人の好さそうな顔をしている老人であるが、未だに現役だ。
ところ変わって南波重工の会長室。外から入る日光が反射しているおかげで、室内は真っ白に明るく照らされている。会長の名前が刻まれたネームプレートが置かれるデスクには、南波重三郎本人が座っていた。デスクを挟んで彼の前に立つのは、黒いスーツをきっちりと着こなす青年秘書だ。
秘書はタブレット端末を片手に持ち、恭しく重三郎に用件を話す。これから告げるのは、決して電話やメールなどで済ませてはならないものだった。
「会長。つい先刻、任務を完遂させたブロス兄弟が帰還してきました。奪取した装置は現在、解析に回されています。明日には結果が出るかと思われます。しかし、エンジンブロスがネビュラスチームガンを奪われるという失態を犯してしまいました」
最後に秘書は唇を噛み締めて、そっと口を閉ざす。しかし、重三郎の悠々な様子は全くといって変わっておらず、優しく微笑みながら言葉を返す。
「いや、構わんよ。ネビュラスチームガンはギアを使わなければ、ただの銃に等しい。浄化装置さえ手に入れたのであれば、ブロスたちのさらなる強化も可能になる。十分にお釣りが来るさ」
次いで、「はっはっはっ」とゆっくり笑い声を上げる。口角はすっかり上がっており、笑顔の印象が一転する。途端に悪どさが増した。
秘書はそれを見咎めはせず、ただ無表情を貫く。重三郎の笑い声が一段落すれば、場の雰囲気を切り替えるようにして話を続ける。
「それと、亡国企業の方が会長との面談を求めてきています。アポは取られていませんが、いかがしますか?」
「ふん、来たか。下手に追い返せば後日、実力行使に出てくるだろうな。だがアポなしなら……相手も文句は言えんか。面談はお前に任せよう、最上」
重三郎の表情が一気に怖くなり、秘書――最上の顔をまっすぐ見据える。最上は特に嫌がる素振りも見せず、サイボーグの如き挙動で「かしこまりました」と頭を下げた。用件が終われば、そそくさと会長室から出ていく。
それから最上はエントランスから電話を貰いつつ、客人を待たせている応接室へと急行する。ドアを数回ノックし、「失礼します」と一言置いて入室を果たす。
室内でソファーに座っていたのは、見目麗しい金髪の女性だった。女性は一度立ち上がり、最上とお互いに会釈する。先に切り出したのは女性の方だ。
「はじめまして。スコール・ミューゼルと申します」
「秘書の最上です。会長はご多忙の身ですので、私が代理を務めさせていただきます。ご了承ください」
「はい。本日はお忙しい中、面談の機会を設けさせていただき、ありがとうございました」
そうして二人は挨拶をほどほどに済まし、ソファーに座り改めて対面する。彼女から微かに漂う香水の匂いは、特にクドサを感じさせるものではなかった。むしろ緊張感がほぐれそうだ。
だが、最後に述べた言葉に白々しさを覚えずにはいられなかった。それでも最上は冷静さを保ちながら、おもむろにスコールへ話し掛ける。
「では早速、本題に入りましょう。会長には何のご用件で?」
「そちらが開発に成功したカイザーシステムを、こちらに融通してもらいたいのです」
「ほう」
上辺だけを見ていれば、人に頼み事をするには相応の態度であった。誠実さが見受けられる。しかし、あまりにも図々しい上に、カイザーシステムの名が知られていた。
後々にカイザーシステムはガーディアン同様売り捌く予定であるので、知られる事自体に慌てる必要はない。問題なのは、目の前にいる女性が所属する組織だ。
裏では南波重工は、多くの中に混ざって亡国企業のスポンサー役を買って出ている。普通に考えれば資金提供される側がこうも厚かましくするのはあり得ないのだが、亡国企業そのものの特異性を考慮すれば不思議ではない。暗躍していく彼女たちは、ISコアの強奪にすら成功している。
すなわち、現在の地球上で最強の機動兵器を手にした亡国企業は、武力を以てして相手を脅す事が可能。通常戦力によるISの撃退は、それこそ本気で陸海空軍を揃えないと並大抵では叶わない。スコールはおしとやかに出ているものの、もはや言外に脅迫していた。要求を飲まなければどうなるかと。
まるで面談の形を取り成していない。加えて、確たる証拠がなくともスコールがISを待機状態で持っている可能性もある。下手な行動一つで、南波重工に損害がもたらされてしまうのは目に見えていた。
無論、すごすごとカイザーシステムを渡す訳にもいかない。タダで寄越せと言われて、素直に頷けるものでもなかった。
「お断りします。あれはまだ、世に出せる代物ではありません」
「ご冗談を。IS学園での騒ぎは世界中が耳にしていますよ?」
「存じ上げています。ですが、あれはあくまで実践テストの延長に過ぎません。それに使い手が限られます」
「IS反応があったそうですね、リモコンブロスたちに。つまりは、そういう事なのでは?」
念を押すようにしてそう言うスコール。少なからず世間で騒がれた以上は、ブロス兄弟の秘密を誤魔化しようがなかった。
形こそ違えど、南波重工はISコアの製造に実質漕ぎ着けたとも言えた。篠ノ之束製作のものと比べればデメリットは多いが、それを補うほどのメリットも確かに存在する。そもそも、コア製造のアプローチが違う事など最上はとっくにわかりきっていた。
南波重工が持つ研究所で厳重に保管された、残骸と思わしきキューブ状の物体。それによって生み出された極小規模な地殻変動と赤い光、ネビュラガス。これらの姿を最上は一通り脳内に巡らせると、ゆっくりと笑顔を浮かべた。
「そう思っていただいて構いません」
その時、スコールの背後より何者かが突如として彼女の肩に手を置いた。はっとしたスコールは急いでそちらに振り向く。
黒い煙が霞むように消えていく。そこには、右半身に歯車型の装甲を持つエンジンブロスの色違いが立っていた。瞳と同じ赤色で、凄むようにスコールを見下ろす。肩に置いた手は一向に離さない。また、利き手にはネビュラスチームガンを持っていた。
瞬間、驚愕の表情に包まれたスコールは最上の顔を再度見る。今の彼はすっかり、寡黙な青年のイメージから脱却していた。
「ご紹介しましょう。彼はカイザーリバース。呼びにくいようでしたらRカイザーでも構いません。もちろんステルス状態にしているので、コア反応を探知される心配はありません」
「……彼、という事は……」
「はい、お察しの通りです。ちなみに私も」
まさに余裕綽々。そのまま最上は、懐よりボトルを取り出してスコールに見せつけた。そのボトルには、青い小さな歯車が刻まれている。
それにスコールは目を見開かせた。声を出す事すら忘れて、最上とRカイザーを交互に眺める。最上の勢いは留まる事を知らず、頼まれてはいないのにどんどん喋っていく。
「ナイトローグの空間転移能力はご存知ですよね? それを我々は曲がりなりにも実用化しています。例え貴女がここでISを展開しようにも、それより早くRカイザーが貴女を強制的に転移させる。あの煙を用いたアレは、理論上は惑星間移動も可能です。流石のISも、太陽や木星の重力は振り切れまい」
脅しに脅しで返した。普通なら悪手極まりなくとも、カイザーシステムというれっきとした対抗手段があるなら話は別だった。
そもそも、長距離空間転移の時点で現行全てのISを一笑に付している。惑星間移動はネビュラスチームガンの出力不足で空論の域を越えないが、それでも地球上なら深海の底へ送り込む事はできる。相手がISを纏いきる前に送れれば、水圧によってあっさり倒せる。脅しとしては、十分に機能していた。
一方でスコールは、最上に冷たい目線を向けながら沈黙を貫く。太陽や木星に閉じ込めるなど、いくらなんでも嘘八百だとバレる。それでも異様に大人しいのは、霧ワープの脅威がしっかり伝わっているからだと最上は判断した。これで立場は対等に持ち込めた。
直後、スコールが不意に微笑んだかと思いきや、まるで意に介していないという風に口を開く。
「それは脅しでしょうか? 最上博士」
「博士は余計ですね。プレゼンテーションの一環です。これは決して脅しではありません」
しらを切る最上。謝罪をしていない時点で、建前であるのが相手にもわかる。だが、彼は有無を言わせずに次の言葉を投げた。
「カイザーシステムは渡せません。しかし、我々が保有している強化型スマッシュと、新型ガーディアンをいくつか提供しましょう。対価はそちらで取得した実戦データで構いません」
「……よろしいので?」
「はい。幸い、貴社はグローバルに商品を扱っていらっしゃる。抜け目なく処置すれば、ガーディアンも盗難品とされるでしょう」
そうして、起動したタブレットをスコールの前に出す。そこには新型ガーディアンの詳細情報が載っていた。ばっと流し読みするだけでも、グレネードランチャー・ミサイル・ガトリングといった重火器が大人一人分のサイズに集約されているのがわかった。
「時期が経てば、さらなる兵器を提供しようかと考えています。いかがでしょうか?」
そんな最上の言葉にしばらくの間、スコールは考え込む。それから首を縦に振るのに時間は掛からなかった。
Q.可哀想なEOS……
A.フルボトルを動力源にすればワンチャン
Q.エボルト……
A.ボックスではなくキューブなのがミソ。お察しください。
Q.電気的に中性かつ、電磁波吸収しまくってレーダーに一切映らないガンダムの合金があったような……
A.ファイズとかブレイドとかの装甲材って、謎に包まれていますよね。響鬼に至っては筋肉である。ライフル通さない巨大ワニとかがいるから不思議でもないですけど。