ナイトローグの再評価を目指す話   作:erif tellab

51 / 77
「前回のナイトローグ。スチームドライブの限界時間を迎えた事で、最上魁星ことバイカイザーに敗北を喫するナイトローグ。そのまま少年を拐われてしまった。そして南波重工に戻った最上は、南波重三郎を内部告発。その勢いで首相官邸に殴り込み、内閣総辞職デビルスチームを果たした」

「そして青羽のあらすじ紹介が終わったところで始まり! 北都三羽烏生存戦略〜!! 壮絶な戦死を遂げた俺、赤羽が行き着いたのは三途の川の待機室。そこで待っていた青羽と黄羽に『何死んでんだよ!!』だの、『負けちまったら意味ねーだろ!!』だのボロクソに言われ。そこで迎えにやって来た死神と話をすると、どうやら来た道戻ればこの世に帰れると判明。せっかくだから三人で死神を張り倒して、現世に蘇ったのさ!!」

「赤ちゃんの説明補足。戻れる時期は北都と東都の紛争開戦時。記憶も引き継げるから楽勝だと思ってたけど、暴走したビルドハザードフォームが強すぎてだいたい青ちゃんがやられる始末。もしくは死ぬ順番が変わるだけ。最近になって西都との代表戦越えたと思ったらね……エボルトで全滅した。ねぇ、二人とも。僕たちコレで何周目?」

「え? 覚えてないや。青羽ー」

「俺も三桁超えた辺りから数えるのやめたぜ。死神曰く死の運命は変わらないそうだが、そんな事で俺たち三羽烏はめげやしねぇ。カシラだって頑張ってんだからよ。千回死ぬまでは楽勝だ」

「そうそう、勝つまでレンコンだ!」

「それを言うなら連コインだよ、赤ちゃん。あと、あの世を脱出する度に邪魔してくる死神さんもどんどん手強くなってるんだよねー。もっと別の事しないとヤバイかも?」

「あっ、良い案浮かんだ。今度トランスチームガン貰いに行こうぜ。そして俺は今度こそ、完全に、ハザードフォームに殺される運命から抜け出す」

「青ちゃん……ファイト」

以上、異次元宇宙の地球よりクマテレビが中継しました。死神は千回張り倒される。




消せない悪夢の街

 バイカイザーによる首相官邸の襲撃から翌日の朝。世界から何の前触れもなく、ネビュラガスが嘘のように消え去った。同時に、ネビュラガス散布エリア内に蠢いているはずのスマッシュの群れが失踪。世界は意図せず、事態の収束へ大きく一歩前進した。

 この事件で誕生したスマッシュは推定四万体。二次被害を含めると死傷者は軽く二十万を超える。経済被害も見れば、目も当てられない。なお、そこまで被害の増大を阻止できたのは、初期に迅速な対応が行えたのが要因だ。

 スマッシュ四万体の内、三万を撃破。残す一万は行方知れず。早急に世界中へ配布された改良型エンプティボトルで、前後数時間の記憶が欠落するものの多くの人々がスマッシュ化を解かれた。使われたエンプティボトルは後に、国連の下で厳重に保管される事となる。

 その一方で、スマッシュ化解除後に消滅する人間も少なからずいた。また、ネビュラガスを浴びて生き残れた動物や昆虫は極僅か。植生にも若干の変異が起きている。

 

 

 あの後、大怪我を負った弦人は自力でIS学園に帰還。手当てを受けるとすぐさま現場へ逆戻り。止めてくる千冬を決死の覚悟で振り切り、二日目の内に全ての地域で発生しているネビュラガスを取り除き、世界で唯一スチームソードを鹵獲する。溶けた分を含めた三本のスチームソードを持ち帰ったところで気を失い、最寄りの聖都大学付属病院まで運ばれた。

 

 かくして、日本で総力を上げたスマッシュ一斉撃滅作戦が開始。内閣メンバーほぼ全員が死亡を遂げたという世間にとって前代未聞の事態に陥りながらも、程なくして成功を迎える。

 

 

 

 

 

 

 ネビュラガス発生事件から四日。高いハザードレベル由来の驚異的な回復力で立てるようになった弦人は即退院。まだ包帯は外せないが、軽く運動する分には問題なくなっている。

 IS学園へ戻る前にレオナルドから連絡を受けた彼は、寄り道に先端物質学研究所へ訪れた。内容は、預けていたカメラガジェットの改良が済んだという事だ。コウモリ形態時の飛行速度上昇に加え、ビルドドライバーやトランスチームガンにも使えるようになったと、レオナルドに電話越しで散々聞かされた。

 到着すると早々、エントランスでナギと出会った。疲れが滲み出ている彼とは対称的に、彼女は明るく話し掛けてくる。

 

「おはよ弦人くん! 怪我大丈夫?」

 

「おはよう。怪我は平気。ところでレオナルド博士は?」

 

「今ね、泉さんのトランスチームガン調整とエンプティボトル製造の同時作業中で忙しいって。泉さんもシミュレーション受けてて、だから私にコレ渡してほしいって頼まれたんだ。ほい」

 

 カメラガジェットはナギに軽く宙に放られ、弦人の手のひらへ綺麗に収まる。見た目は変わっていないが、重量感がレオナルドにイジられる前よりと違う。何気なく、生まれ変わったのだと改めて感じた。

 お礼を言おうと弦人はカメラガジェットから目を離し――ナギの頭上をフワフワと飛んでいる赤い物体が気になってしまう。

 

「ありがとう……そっちの赤いのは?」

 

「へ? あっ、コレね。ブラッドスタークの毒が危なすぎるから石倉さんが作ってくれたんだ、万能解毒係」

 

『説明しよう! 私の発明、ブラッドドラゴン――』

 

 瞬間、レオナルドの音声を再生する赤い物体をナギは掴み、キャンセルした。

 よくよく見ると、ブラッドドラゴンなるものは弦人の知っているクローズドラゴンと形状が酷似していた。異なるのは配色だ。頭部と尻尾が黒でなければ、グレートクローズドラゴンに近い。

 

「まぁ、うん……石倉さんの声が収録されてるんだよね。キャンセルできるけど」

 

 そう言ってナギはブラッドドラゴンをポケットの中へ仕舞う。新たなレオナルド製ガジェットを見れた弦人は、それ以上の興味は示さずに帰ろうとする。

 

「それじゃ、俺帰るよ」

 

「あ……」

 

 後ろに振り返った時の弦人の目が唐突に死んでいく様子に、気付いたナギはふと小声を漏らした。完全に誤魔化されているのだと確信を得て、咄嗟に彼の手を掴む。

 ナギにグイッと引き止められた弦人はおもむろに立ち止まり、顔を彼女の方へ動かす。目に映ったのは、すっかり心配してくれている彼女の表情だった。

 

「ねぇ? ホントに大丈夫? なんか、こう、あれ……すごく辛いのに耐えてる感じ。やっぱり――」

 

「だから平気だって。……少し疲れてるだけだから、休めば元通りになる。それじゃ」

 

「弦人くん!」

 

 束の間、ナギの手を振り払った弦人はそそくさと立ち去っていく。負けじとナギも通せんぼしてくるが、醸し出されるとてつもない威圧感と拒絶感を前にやがて茫然と立ち尽くしてしまう。

 単純に身長差で見下されるだけなら、ナギも怖気づかない自信はある。だが、自分が変身している時にナイトローグでしか示さなかったものを、今回初めて生身で突きつけられた。それはナイトローグという仮面を被っている時は異なる、ひしひしと肌に鋭く突き刺さってくるような感覚。不意に緊張感に襲われ、冷や汗が止まらない。

 こうして弦人は、まるで金縛りにあったかのように止まった彼女の横を通りすぎていった。後ろ髪を引かれる思いすら抱かず、先端物質学研究所を去る。

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 有言実行がとことん成し遂げられない俺は実に不甲斐ないと思える。ナイトローグの戦績に傷を付けただけに飽き足らず、あの少年を人殺しにし、なおかつ最上に拐われた。これ以上までにない屈辱と敗北感、挫折を覚える。

 そして、自分を心配してくれたスタークを拒絶してしまった。頭では本物のスタークではないとわかっているつもりだったが、うっかりその影が何の関係もない彼女の上に重なってしまった。例え坊が憎くても袈裟まで憎まずに我慢できると前々から思っていた自分が笑える。彼女には悪い事をした。

 

 まだIS学園には直帰したくない。頭を冷やすついでに、しばらく適当に街をふらつこう。今日ばかりは、ナイトローグに変身する気が起きなかった。

 炎天下の中、暑さ対策は白い帽子一つで歩いていく。この街近辺の被害はほとんどなく、夏休み中という事もあって今まで通りの賑わいが戻っている。一方でネビュラガスを散布された都市は帰宅困難区域と指定され、まだ大勢の避難民が存在しているという。さっき入ったコンビニの新聞で流し読みしてきた。

 

 平和だ。ここには、昨日までの惨劇の様子が一欠片も残ってはいない。

 

 だからこそ、脳裏で蘇るこの間の出来事が鮮明に映えてくる。先日のネビュラガスにまみれていた空は、こんなにも綺麗に晴れていなかった。

 

 特に病院を訪れた時は最悪だった。やけに荒らされた様子がないかと思いきや、テーブルに放置されたままの食事の数々。後片付けがされていない無人の手術室。廊下で倒れている点滴。そして、病院のエントランスの真ん中で堂々と鎮座していたスチームソード。荷物の残り具合からして、何があったのか押し測れる。

 どうしてそこを選んだのかは知らない。だが、ギリギリまて騒ぎにならずに設置するために、直前の深夜帯を狙ったのだろうか。十分な人手と霧ワープがあれば可能だ。危険物を大っぴらに持ち運ぶような思い切りの良さに、ある種の戸惑いを感じる。

 血塗れの死体なんてものはどこにもなかった。無差別なネビュラガスの過剰投与で病院内の人間がほとんど消滅したのは明らかだ。無惨な光景が広がっていない分だけ心的負担は軽くなるはずが、もたらされる異様な静けさのせいで怒っていいのか、悲しんでいいのかわからないイライラを煽がれる。不思議と感情の爆発はなく、一方で何かの感覚が麻痺していくようだった。

 

 

 

 ……あと、今まで目にしてきた破滅と救いが複雑に絡み合って、心が息苦しい。自分は何もできていないようで、無力感に打ちひしがれる。

 そう言えば、バイカイザーに完膚なきまで叩きのめされるまでは、目の前にいる誰かを助け損ねた経験なんて一度もなかった。なるほど、道理で精神が深く削られる訳だ。納得。

 

 

 すると、前触れもなく雨が降ってきた。勢いはやがて強くなり、ゲリラ豪雨と化する。

 

「げっ、また雨かよ……」

 

「ギャアー!? 洗濯物ー!!」

 

 歩道にいる人々が各々に雨を避けようと急ぐ中、傘を持っていない俺は瞬く間にズブ濡れになる。鉄砲水が俺の身体を激しく打ちつけ、間を置かずして雷鳴が轟く。

 これは……あの忌々しい天の声が俺をしばいているとでも言うのだろうか? 心無しか、雨粒の攻撃力が上がっている気がする。

 それからトボトボと歩き続けるが、ゲリラ豪雨にしては止む気配がない。むしろ、俺の後ろを雨雲が追い掛けているように思えてくる。それを気のせいと済ますには、いささか俺の気力が足りなかった。ふと笑いが込み上げてくる。

 

「ハハハ……アハハハハ……」

 

 気が付けば、雨だけでなく涙も流れてきた。しばらく泣き笑いしながら歩いていく。

 

 あの時、俺はスタークたちを軍事起用するなと坂田に言い放った。口約束までしか持ち込めなかったので信用できないが、やらないよりはマシ。レオナルド博士にも、二人が戦いに出ないように協力してほしいと頼み込んだ。

 決してナイトローグ一人で行けるなどと自惚れていないが、あの凄惨な現場を経験させずに済んだのだから誤った判断とも言えないはず。酷い目に遭い、それに抗おうとするのはナイトローグの十八番だ。ただ、もしスタークたちと一緒に最上と戦っていたらとついつい考えてしまうのが、とても悔しい。後悔しか生まれてこない。

 

 ナイトローグの道を選んだ以上、今更終わりのない戦いを恐れやしない。しかし果たして、本当にナイトローグである資格など俺にあるのだろうか? 人の命を助けるのに失敗するのは、とても許される事ではない。

 

 

 

 

 

 

 

「……日室くん?」

 

 その時、不覚にも傘を差している谷本さんと出くわしてしまった。顔見知りと会いたい気分でもないのだ。少しの間だけ目が合い、とにかくスルーを決める。

 

「No, I'm not」

 

「何故英語。え? スルー? ちょ、ちょっと!!」

 

「ヘクチッ」

 

 だが素通りは失敗。谷本さんに呼び止められ、すっかり冷えた身体で俺はくしゃみをした。

 

 

 

 

 

 谷本さんに引っ張られ、彼女の自宅まで強制的に招かれる。俺は偶然にも近くを通っていたようだ。彼女がタオルを持ってくると言うので、せっかくの善意を無駄にする訳には行かず、玄関口で待機しておく事にした。

 

『白いナイトローグが助けてくれたんです! ……あれ? 白だっけ?』

 

『ばっかお前、ナイトローグは黒だぞ。黒いナイトローグが助けてくれたんだよ』

 

『え、待って。ナイトローグってガンダムヘッドでしたっけ? この写真、ナイトローグじゃないですよね? パチモンですよね?』

 

『カメラ止めてぇ!!』

 

 リビングの方から、テレビの音がここまでダダ漏れで流れてくる。そうか、遂にナイトローグにも著作権を賭けて戦う時がやって来たのか……。心が沈んでいるのに、無性に喜ばしい。

 

「はい、お待たせ。て、うわぁ……全身びっしょりだね。包帯もズブ濡れじゃ取り替えないとだし、ウチにあったかなぁ?」

 

「いや、そこまでしなくても大丈夫。本当ならすぐにでも寮に帰れるから……」

 

「風邪引いちゃうでしょ? あ~あ~、もう着替えないといけないレベルだし……」

 

 そうして頭を抱える谷本さん。その間に俺は濡れたところを拭いていく。夏場でなければ冷水シャワーなんてものは気持ち良くもない。だが、浴びすぎも考え物だな。体調を崩す。

 

「おやまー、癒子。お客さん? あら、ズブ濡れ」

 

「あっ、お婆ちゃん。知り合いだよ。ちょうどそこで会ってね、傘持ってなくてズブ濡れになってたから」

 

 やがて奥から、俺の来訪を嗅ぎ付けた谷本さんのお婆さんがやって来る。……てか、以前川で溺れていた人じゃないですか。

 

「知り合いってこの子、ナイトローグじゃあなかった? しかも生身。あぁ久しぶりだねぇ〜。この間は助けてくれてありがとう〜。ささ、身体冷やすとマズイから上がってどうぞ〜」

 

「あっ、いえ、そこまでしていただかなくても……」

 

「そんな事言わずに、命を救われたこの老い先短いババァに恩を返させてください。ささっ! ささっ! ささーっ!」

 

 そんなこんなで、本格的に家の中まで連れ込まれた。もしかしたら、今度の週刊誌にナイトローグが民家に招待されたという記事が載るかもしれない。必要とあれば日本国民をやめて無人島生活する覚悟はできているが、どんな内容になるかだけが少し不安だ。

 

「お風呂沸かしてきますね」

 

「いえ、このままで結構です。すみません」

 

「それじゃあ、飲み物とお菓子持ってきますね。ごゆっくりどうぞ〜」

 

 俺がひたすら謙虚でいると、やたらと世話焼きなお婆さんは台所へと姿を消す。リビングでは俺と谷本さんの二人きりとなり、たちまち沈黙が訪れる。それでも喧しく音を立てているのは全力で動いている扇風機と、外で激しく降っている雨だけだ。室内がジメジメとしている。

 

「えっと、ごめんね。お婆ちゃんが無理やり上げて」

 

「気にしてない。気持ちだけでもありがたいから」

 

 懸命に谷本さんが話し掛けてくるが、俺が一言返すだけで会話が続かなくなる。今、この場には気まずい空気しか流れていなかった。一秒がとても長く感じてしまう。

 ものすごく居辛い。何かこの状況を打開しようと言葉を探してみると、不覚にも見つからない。普段なら何気なく話せるのに、今日ばかりはナイトローグスイッチが弱にもならない。

 

 ちくしょう。最上はこうなる事を見越した上で、餓狼の如く俺から完全勝利をもぎ取ったというのか。なら完敗の一言に尽きる。ぐうの音も出ない。お前の計算通り、譲ってはいけないものを奪られてしまった俺は絶賛、地の底に落ちて苦しんでいるよ。鳴滝の気持ちがわかってしまいそうだ、おのれディケイド。

 リビングのソファで向かい合うようにして座っている俺と谷本さん。顔も合わせづらく、俺の視線はついつい庭側の開け放たれた窓の方へ動いてしまう。

 庭側は網戸を閉じているだけの状態。雨の勢いは衰えず、雨樋から大量の水が溢れ落ちる。

 そこに、赤い両耳とグレーの毛並みを持つ一匹の子猫がやって来た。足が高い木製のデッキの上に飛び乗り、網戸を開けようとするが上手く行かない。すると、つぶらな青い瞳で懇願してきた。

 

「ニャー」

 

「ん? あ!」

 

 子猫に気付いた谷本さんが、タオルを持って急いで駆け寄る。網戸を開けて、外にいる子猫をタオルで包みながら抱き寄せた。

 

「お帰り〜。もぉ、揃いも揃ってズブ濡れになるんだから〜」

 

 谷本さんのその言葉が俺に刺さる。困り顔になった彼女はぶつくさ言いながらも、丁寧に子猫の濡れた身体を拭いてあげた。

 

「……谷本さん。猫、飼ってるの?」

 

「うん。始めは家の前で瀕死だったのを獣医さんに診せたんだけどね、いつの間にか保護先を脱走してウチの庭とか屋根裏に住み着いちゃったの。特に迷惑掛けないし、水浴びが大好きでお風呂に行きたがるからついつい……名前はロットロね」

 

「ロットロ? ……コケ地獄で倒せる勇者?」

 

「そうだよ。元ネタよくわかったねー。図鑑の説明がアレだし、見た目がまんまだったから」

 

 そう言って谷本さんは、ロットロを扇風機の風で乾かすついでに愛で始める。首回りを撫でられて目を細めたロットロは、俺を見て挨拶でもするかのように片手を上げた。なかなか人間臭い子猫だ。

 

「ところで日室くん。どうして大雨の中でボサっと歩いてたの?」

 

「それは……」

 

 不意に答えにくい質問をされて、言葉に詰まる。質問した本人は特に悪気を持っているようではないが、俺の反応を訝しんでか顔色をまず窺ってくる。

 すると――

 

「はいお待たせ〜。ぬるめの麦茶とお菓子。栗饅頭で良かった?」

 

「あっ、はい。ありがとうございます」

 

「あら、ロットロちゃんも帰ってきたのね。それじゃあ後は……二人でごゆっくり」

 

 絶妙なタイミングで割って入ってきたお婆さん。すぐにまた二人きり+一匹にされるが、笑顔で去っていくお婆さんを見ていたら気分が少し軽くなった。

 改めて実感した。誰かを助けるという事はその人の笑顔を守る事に繋がり、最後には様々な可能性の秘めた大切な未来を守る事になるのだと。最上に敗れた衝撃が大きすぎて、そんな簡単な事をうっかり忘れていた。

 お婆さんは老い先短いと言っていたが、例え残された命が僅かでも未来は確かに存在している。その未来を長いとするか、短いとするかは人次第。けれども、どの未来も尊く大切で、決して理不尽な理由で奪われるような安いものではない事に変わりはない。人やナイトローグを守るというのは、そういう事なんだ。

 

「谷本さん、俺……」

 

「何?」

 

「絶対に諦めない。絶対に、ビルドドライバーには走らないから」

 

「うん。……うん?」

 

「ニャー?」

 

 おもむろに谷本さんとロットロは疑問符を浮かべるが、俺は気にしない。一口で栗饅頭を食べ、麦茶を一気に飲んでいく。厚意で頂いたものだからか、すごく美味しく感じる。

 

 そして気付けば、雨は止んでいた。

 

 

 

 




Q.ビルドドライバーの方から走ってこないとは言っていない。

A.はい。唯一の懸念材料がそれです。アランに友情されたマコト兄ちゃんの例がありますから。あと以前に夢オチでマッドローグにさせられました。ローグにもされかけました。


Q.北都三羽烏、生存戦略失敗要因ランキング

A,
一位……マックスハザードオン → ハザードフィニッシュ

二位……クロコダイルインローグ

三位……ギアエンジン / ギアリモコン

四位……エボルトォ!!

五位……ロストスマッシュ

六位……ドラゴンインクローズチャージ

七位……ヘルブロス

八位……究極体を諦められてブラックホール

九位……初手、ブラックホール

十位……パンドラタワー建築の巻き添え

十一位……エボルトは倒せたけど月がブラックホールで消されたため、直後に天変地異が起きて地球は人の住めない星と化した ←New!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。