「巧さーん! 博士ー! 葛城様ー! お願いだー! パンドラパネル材料にしてジーニアスフルボトル作ってくれぇー! じゃないとブラッドとキルバスで詰むんだよぉー! 俺たち洗脳されるんだよぉー!」
「何だ、赤羽か。近所迷惑になるからギャーギャー騒ぐんじゃない。品性を問われるよ?」
「だったらぁ! エボルト倒した後でも呑気にしてないでさぁーっ!」
「ハイハイ。……しかし、三羽ガラスはどうしてそんな発想やら知識が浮かび上がるんだ? 時々変な事を言うかと思えば、妙に的を射ている時もある。万丈を始末するなとヤケにうるさいし、謎だな……」
異次元宇宙の地球より中継。北都三羽ガラス生存戦略、神殺し葛城ルート突入。エボルトはフルフルゴリラハザードによる低確率即死ガチャで撃破。
エニグマ侵入口に集まったナイトローグ一同。奥へ続く通路は、さながら地下神殿のようだった。巨大な柱に高い天井。それでいて、照明が通路全体を明るく照らす。
ここからは一本道しかないが、外見上のエニグマと比べて明らかに内部が広すぎる。その事をシャルロットが冷静に指摘した。
「ねぇ、空間が広すぎない? 見かけは空母と同じぐらいの大きさだったのに」
同意を求めるように面々の顔を見渡し、最後に光子ミサイルで開いた出入り口の方を一瞥する。出入り口に変化はなく、常にポッカリと穴が空いたまま。塞がれる気配は感じられない。
「軍艦ではないから……という訳でもなさそうだ。非戦闘向けだとしても、スペースに余裕を持たせるはずもなく有効活用するはずだし……」
「ハイパーセンサーで見ても変哲のない一本道が続いてるだけだな。弦人はどう見てる?」
訝しげに箒が推測を述べ、通路の奥を確かめた一夏がナイトローグに話を振る。誰よりも慎重に歩を進めていた彼は、周囲の観察を程々にして淡々と答える。
「待ち伏せは端からわかっている。単純に多くの戦力で突入する訳には行かない事も。京水」
そう言ってナイトローグがホールドルナに差し出したのは、一本のスチームブレードであった。鹵獲してある二本の内一本はブラッドスタークの手に渡っているので、彼女が唯一スチームブレードを持っていない者となる。
しかし、ホールドルナがキョトンするのも束の間、両手を横に振りながら断った。
「え? ワタシに? いいわよ〜刃物は。遠慮する」
「だが……」
「ヘーキヘーキ。ナギと弦人ちゃんとは違って、専用の武器持ってるし。ささっ、先急ぎましょう!」
渋るナイトローグを押し切り、ホールドルナは珍妙なステップを踏みながら先に進む。一見して緊張感のない動きだが、格闘技の型も組み込まれているので地味に隙がなかった。そのクネクネとした舞いは故意なのは、そうではないのか。見る者を脱力させる。
だが次の瞬間、突如光り出したパネルの上に立ってしまったホールドルナが姿を眩ます。一筋の光となって消え行くその様子に、ナイトローグは咄嗟に腕を伸ばした。
「京水!?」
当然、彼女に手は届かなかった。早速罠が発動したと彼が理解するのも遅く、ホールドルナを発端に光るパネルが次々と侵入者全員の足元に現れる。
そして、激しく燃焼するマグネシウムのように強く光が輝いたかと思いきや、その場には誰もいなくなっていた。
「きゃっ!?」
エニグマ内部のどこかへと空間転移させられたホールドルナは、可愛らしい悲鳴を上げながら尻餅を着く。アタフタと尻をさすりながら、「よいしょ」と呟いて立ち上がる。
次に辺りを見渡すが、誰もいないと考えるのは最初だけ。遅れて箒も転移させられ、重々しい音を立てながら危なっかしい着地を果たす。
「ぬあっ!?」
ズンズン……ギュピギュピ。総重量が戦車レベルの紅椿の足音が、二人のいる長大な通路に響き渡る。やがて反響音が静まると、途端にホールドルナが吹き出した。
「ププッ」
「ん、泉?」
同じく状況確認をしていた箒が、急に笑い出したホールドルナに首を傾げる。訳がわからなかった彼女だが、プルプルと震えるホールドルナの弁解を聞けば、ついつい面食らった。
「いえ! 今の足音でおデブちゃんだとか、全然そんな事思ってないから! 思ってないから!!」
「急に何を言い出すんだ!? 今のは紅椿が重たいからであって、お、おデブとか――って!! 私たちは一体何を話している!?」
「体重」
「私は断じて太っていないっ!! さて、この話題は終わりだな!! 話を戻すぞ!!」
年頃の女子にとってはあまりにも禁忌である話題を強引に叩き斬った箒は、すっかり顔が真っ赤になっていた。その反応の濃さにホールドルナは察してしまうが、それ以上は何も言わなかった。
気を取り直した二人は先程引っ掛かったトラップの類に注意し、ホバリング移動を慎重に実行する。ホールドルナの飛行は、ルナフルボトルの成分を応用した内蔵フローターユニットで実現している。これにより、空中移動法はISを操縦している時と然程の違いしかなくなった。
「まったく……。泉、貴様はやる気があるのか? そんな事をしている場合ではないと言うのに」
「あるわ。こうして分断させられたから、ピンチになってる事も自覚してる」
眉をひそめる箒に、急に声のトーンを落とすホールドルナ。しかし、直後に「でもぉ〜」と言葉を溜めると、再びはしゃぎ始めた。
「だからこそ、希望を捨てずに前向きにならなくっちゃ!! あ〜、地獄の中東サバイバルを思い出すわぁ〜。不死身ならまだしも、よくわからないものを食べちゃダメ!! 目にした不思議な果物をものすごく食べたくなっても!! なんてね♪」
「顔に似合わない事を言うんじゃない。一理あるのが逆に腹に立つ……」
「そうそう。箒ちゃんもワタシの事、名前で呼んでも構わないわよ。もっと仲良くしましょう、箒ちゃん?」
「だから呑気に――」
刹那、雑談をする箒たちに目掛けて一本の光が迸った。狙いはホールドルナで、攻撃を察知した箒が彼女を突き飛ばそうとするが――
「イナバウアァァーっ!!」
別に助けるまでもなく、思い切り上半身を反らしたホールドはビームを回避した。外れたビームはそのまま直進し、ホールドルナの遥か後方で着弾、爆発する。
「何? ビーム? 誰!? ビーム撃つイケない子は!!」
「スマッシュだ。脚部の特徴が一致している。そして――!!」
元に姿勢に戻り、やや熱くなっているホールドルナとは対照的に、箒が即座に顕現させた二本のブレード《雨月》と《空裂》を両手に構える。
彼女たちの前に、霧散していく煙幕と共に二体のスマッシュが現れる。自我を持たない個体であるキャッスルスマッシュとオウルスマッシュだ。既にキャッスルの代名詞とも言える頭部の砲撃ユニット《カタプルタキャノン》はエネルギー充填を完了し、有無を言わせず次弾が放たれた。今度は横一閃に薙ぎ払うビーム砲撃だった。
「キャアァーっ!!」
甲高い悲鳴を上げるホールドルナは姿勢を低くし、箒は機体を天井に張り付かせる。またもや空振ったビームは辺り一面に降り注ぎ、爆発を引き起こす。
それでも木っ端微塵に吹き飛ばない通路の異常な耐久力はさておき、スラスターを焚いて爆発の中を一気に駆け抜けた箒がキャッスルスマッシュに突進する。その驚異的な火力は彼女が今まで見てきたスマッシュの中でも上位に君臨した。真っ先に倒すべき敵だと認識し、刺突を繰り出す。
対してキャッスルスマッシュは、慌てる事なく両肩部に装着されて防壁《グランドランパート》を前面に可動。紅椿のブレードから放出されるエネルギー弾を容易く受け止めるが、そのまま勢い良く体当たりされると流石に衝撃を殺しきれない。どんなに踏ん張ろうが、紅椿の推進力を前にしてはズルズルと後ろに押し出され、オウルスマッシュから大きく距離を離された。
キャッスルスマッシュを遠くに連れて行く箒を見て、すかさず追い掛けようとするオウルスマッシュ。だが、飛び去る寸前に伸ばしてきたホールドルナの腕が自身の足を掴んでいた。なかなか振り切れず壁に叩き付けられる。
「箒ちゃあぁーん!! そっちは任せたわぁー!!」
「相分かった!!」
声が通路を反響するため、通信を介さなくともホールドルナの言葉が箒に届く。それぞれ一対一の盤面に持ち込んだ二人は、威勢良く戦闘に挑む。
「さぁて、あなたの相手はワ・タ・シよ♪ スマッシュもあざとイエローの時代なのかしら? でも! とにかく! その座だけは譲ってあげないわッ!!」
オウルスマッシュから一旦腕を離したホールドルナは、その場で可憐とした決めポーズを取り始める。腰に手を当て、額にVサインを添えて――
「愛と正義の強化服美少女戦士!! ホールド――」
その時、起き上がったオウルスマッシュが両腕に装備している球体ドローン《フォレストシーカー》を放ってきた。二機のドローンは臆する事なく、ホールドルナへと突撃する。
「アァン! 決め台詞の一つや二つぐらい待ちなさ……あ、ちょ、らめぇぇぇぇぇ!!」
縦横無尽に動き回るドローンにホールドルナはひたすら回避に徹し、休む暇の無さに嫌気が差してしまう。加えて、オウルスマッシュの突進攻撃をやって来る。
アクロス、エルビス、L字サポート。エアロビクスの動きを踏襲した動きでヌルヌルとかわし続けるホールドルナ。身体の柔らかさが彼女の売りだが、これでは攻め手に欠ける。思い切ってドローンニ機を正面から胴体で受け止めると、トランポリンのように勢い良くオウルスマッシュへ跳ね返した。
これにオウルスマッシュは一瞬驚き、跳ね返されたドローンを落ち着いて両腕でキャッチし、再発射。この間にホールドルナは、一本の武器を取り出していた。
「もーいいわ! ワタシ激おこ! 太陽に代わってお仕置きよ!!」
両手で振り回すのは鋼鉄のロッドかと思えば、ムチのようにしなやかになり始める。専用武器《メタルシャフト》を片手にホールドルナが決め台詞を言い放つや否や、それを激しく振り回した。
「エイ! エイ! エーイ!」
程よい硬さと柔らかさを両立した奇跡の鋼鞭が、ドローンを床に激しく叩き落とす。次に飛行するオウルスマッシュの姿を捉え、その頬を正確に打ち抜いた。
十分に遠心力を得た一撃は相手に失速を誘い、オウルスマッシュを墜落させる。そのまま容赦なくムチを螺旋状にし、持ち手を胸の前に出してひたすら浴びせた。
そして相手がうずくまったところで、メタルシャフトを仕舞ったホールドルナは駆け出す。オウルスマッシュの両脚を掴み、関節技を極める。
「この前テキサスバーガー初めて食べてみたの! テキサス……クローバーホールド!!」
バンバンバンバンバンバン!
やられたオウルスマッシュは途端に地面を手で叩きまくるが、残念ながらこれは試合などではない。現実は非情である。どんなにギブアップの意志を示そうが、ホールドルナはそんな事を気にも留めない。今の彼女の中にあるのは、スマッシュからあざとイエローの称号を守り抜く事のみ。まさに今、オウルスマッシュの背骨が折れようとしていた。
すると、叩き落とされたドローンが復帰。故障はなく、極めている最中のホールドルナを横殴りにする。側頭部と二の腕を強く殴られ、痛みに悶絶した彼女は派手に床へ転がり落ちた。
「イッタ〜い! セシリアちゃんのとは違ったビットなの? でも全然怖くないわ!」
ドローンは大きく旋回し、ホールドルナの元へと戻っていく。殺意全開の速度で突進していくが、依然として戦意を失わない彼女がトランスチームガンを発砲してきたため、即座に回避。銃撃の狙いは本体に変わり、オウルスマッシュは一度ホールドルナから距離を取った。
次いで宙を舞い、ドローンを帰還させてホールドルナの周囲をグルグル飛ぶ。様子見をするのも最初だけで、次第に全身に黄色く光るエネルギーを帯びていく。帯びたエネルギーの一部は激しく散り、安定して滞留させる事ができていない。
かくはともあれ、その急激な変化は危険の印。そう感じ取ったホールドルナは、瞬時にルナフルボトルとメタルシャフトに持ち替えた。
「ワタシが一番嫌いなのは刃物! お腹に刺された事あるから! 銃も好きじゃないけど我慢はできる! これで終わりよぉーッ!!」
《Luna》
《ボルテックブレイク!》
オウルスマッシュが体当たりを仕掛けてくる刹那、メタルシャフトに備えられた装填部にルナフルボトルを挿し込む。そして素早くスナップを利かせて振り出せば、閃光を纏ったムチ先がオウルスマッシュを弾き飛ばす。
体当たりの軌道が逸れ、背中がガラ空きになる。隙が出来た。そのままの勢いで横を通り過ぎていったオウルスマッシュにホールドルナは振り返らず、その場で軟化状態のメタルシャフトを左右交互に忙しく振り始めた。
すると、瞬く間にいくつもの円陣がホールドルナの周りに形成されていく。円陣は夜空に浮かぶ満月のような輝きを放ち、不思議な紋様を浮かべる。
「ムーンプリズム〜、じゃなくてぇ……決めた! メタルイリュージョン!」
同時に技名を思案するホールドルナ。そう叫ぶと共にムチを後方に打ち、円陣を一斉に発射する。Uターンしてきたオウルスマッシュは真正面から円陣を突破しようとするものの、一発目で敢えなく撃沈。立て続けに被弾し、爆発四散した。
キャッスルスマッシュ相手に一撃離脱を心掛けた箒は、紅椿の持ち前の機動力を活かして何度も斬りつけていく。やや鈍重なキャッスルスマッシュでは紅椿に追い付くのは不可能で、なし崩しにビームを乱射されるのは至極当然の成り行きであった。
乱射するビームは先程までお見舞いしたものと性質が異なっており、爆発は起こさずに対象を高エネルギーで熔融させていくタイプだった。合わせて、そんな省エネ法の成果か、連射速度も抜群に上昇。派手な乱射攻撃が箒を撃ち抜かんとする。
なお、普段から高速戦を経験している身である箒としては、そのキャッスルスマッシュのビーム射撃にやや生温く感じてしまう。ただでさえ三次元的な移動が可能だから、簡単に避けられる。
しかし――
(刃が通らん……!!)
圧倒的なまでの高い防御力。相手がバリアを張らないので、なおさら分かる手応え。模擬戦でナイトローグを斬る時でさえ、さながら不可視の波動がやんわりと受け止めて威力を全力で削いでくるような感覚を覚えた。
やはり、スマッシュというのは異様にも硬すぎる。いっその事、殴りに行くのも有りだと考えたがやめておく。マニピュレータの耐久力が足りずに損壊してしまうのが目に見えた。実際、度々ISの実技授業で千冬にサンドバッグもとい指導を受けさせられている弦人が、打鉄で激しい肉弾戦を仕掛けてはよく腕や脚部を故障させたのを目撃している。いくら自動修復機能があろうとも限度はあった。
このままでは埒が明かない。だが、半端な火力ではシールドエネルギーの無駄遣いとなる。ホールドルナがオウルスマッシュを倒してくるのを待つのが安全牌ではあるものの、まず自力でどうにかできなければ、この先話にならない。実力不足にも程がある。
また、キャッスルスマッシュがすっかり守りを固めて不動を貫いているのも要因だった。特に肩のシールドが堅固すぎて、なかなか破れない。
(一か八か……押し通す!!)
こうなれば方法は一つ。相手の守りを崩すため、グランドランパートの可動部分を正確無比に切断する。もちろん、キャッスルスマッシュが防壁をこちらに向けたままでは斬鉄以外に叶える術はない。その斬鉄もやや実現不可であるので、近接戦闘からの被弾は覚悟しておく必要がある。
ヒットアンドアウェイはやめ、大胆不敵に懐へと踏み込む。油断もしていなければ、過信もしない。例え弱くともスマッシュは恐ろしい怪人というのは、とっくの前から理解している。決断する箒の瞳の奥で闘志が燃え盛った。
まず多段のエネルギー弾を放つと同時に、片方のブレードを投げ飛ばす。エネルギー弾とビームがぶつかると互いに相殺され、衝撃波が発生。それでも投げられたブレードは勢いを削がれず、まっすぐキャッスルスマッシュへ向かっていく。
そしてキャッスルスマッシュは安定の防御姿勢を取る。ブレードは呆気なく弾かれて粒子化するが――
「ハァ!!」
瞬時に横へ降り立った箒が、残りのブレードで横一閃する。研ぎ澄まされた狙いは寸分狂わず可動部分を両断し、悩まされた防壁の一枚がようやく地に墜ちた。
もはや、これだけでも防御力はガタ落ち。展開装甲も使い、ありったけの斬撃を曝け出された上半身に叩き込む。剣がキャッスルスマッシュの肩口を斬った。
「よし! ……ン!?」
だが、途端に剣が抜けなくなる。すかさずキャッスルスマッシュに腕を掴まれ、簡単に逃れられない。ビーム充填は既に完了した。この至近距離では当たる。
「うっ……くぅぅ!!」
キャッスルスマッシュの頭部が光るのも束の間、箒は掴まれた腕部を収納させて自由となり、咄嗟に上半身を反らす。顔を狙ったビームは外れ、明後日の方向へ飛んでいく。
息着く間もない箒。今度は瞬間的に脚部装甲を仕舞った右足を高く上げ、キャッスルスマッシュの脳天にカカト落としを決めた。トン越えの重量が生み出す破壊力はキャッスルスマッシュを地に伏せさせ、仕留める絶好の機会を彼女に与える。すかさず箒は粒子化させた近接ブレードを逆手に持ち、うなじを刺した。
直後、ピクリと跳ねたキャッスルスマッシュの身体はそれっきり動かなくなり、箒が剣を二本とも回収して離脱すると爆発四散。跡形もなく消え去った。
「ふぅ……ふぅ……」
ブレードを鞘に納め、息を整える箒。爆発が止むとおもむろに視線をそちらに動かすが、普通なら倒されても残っているはずの戦闘不能体がない事に戸惑いを覚える。
もしかして、勢い余って……。不意に嫌な想像をよぎらせるのも束の間、同じくオウルスマッシュを倒したホールドルナが手を振りながら駆け付けてきた。
「箒ちゃーん! こっち終わったわよぉー!」
「あ、ああ。そうか、無事で何よりだ。ところで、スマッシュの肉体が残らず爆発したんだが……」
「え? そっちも?」
「何?」
その事実に箒が眉尻を下げると、辺りは静寂に包まれる。そして、沈黙を先に破ったのはホールドルナだった。
「普通じゃないなら、そういう事なんでしょうね。証拠隠滅に自爆なんてよくある話だわ。深く考えるのは後にして、先急ぎましょう?」
「う、うむ……」
どこか割り切った様子で告げるホールドルナに、箒はぎこちなく頷く。彼女の言う通り、今は任務遂行に集中するべき。雑念を捨てて、ホールドルナと共に駆け出した。
Q.低確率即死ガチャ
A.こんな感じの戦いが繰り広げられました。
葛城「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
エボルト「無駄無駄無駄無駄ぁ!! ……あっ」チーン
人間を見下しすぎて、戦兎だけでなく巧にも足をすくわれるエボルトの図。