ナイトローグの再評価を目指す話   作:erif tellab

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「前回までのあらすじ。1.白式HS vsヘルブロス。2.それと止める篠ノ之箒たち乱入者。3.一時休戦。バイカイザーの元へ侵攻開始」

「初めまして、数馬の父です。現在、エジプトで長い眠りから目覚めたスコーピオン・キングとやらの手勢と交戦中です。始皇帝も何故かいます。一時はエジプトに飛ばされてどうしようかと思いましたが、エジプト語を喋れて助かりました。今、攫われた娘を救いに母と一緒に立ちはだかる敵を次々と蹴散らしています」

「あなた、途中でこんなものを拾ったわ。これ何かに使えるかしら?」

「お前、その石仮面は捨てなさい。その奇妙な弓矢もだ。なんだか私たちの手に負える代物ではなさそうだからね」

「わかったわ。あっ、これはどうかしら?」

《メガウルオウダー》

《ネクロムアイコン》

「それなら平気っぽいな。よし、ちゃんと二人分あるね。では行こう!」

「ええ! 娘を助けたら日本に戻って、私たちをこんなところに飛ばした数馬を叱らないと!」

エジプトもヤベーイ!!




バイカイザーの最期

 今や荒野は砂塵と炸薬の香りが舞うばかり。おびただしいほどの烈波が繰り返され、あちこちには抉れた大量の土砂が無秩序にばら撒かれている。ここが街中であれば、死屍累々の光景が出来上がっていてもおかしくない。

 静かな空気の流れと共に煙は消え行く。呻きながら膝を付いているマッドローグの目の前には、バイカイザーに首を締められているナイトローグの姿があった。すぐにでも首の骨が折れそうな勢いだ。

 片手で首を掴むバイカイザーの拘束は、ジタバタと暴れる程度では解けない。苦悶の中でナイトローグが繰り出す膝蹴りを顔面に浴びて、ようやく力を緩めた。

 その隙を逃さず、全力で蹴り飛ばす。首締めから解放され、バイカイザーは大きく踵を引き摺らせながら退いた。

 

「日室くん!!」

 

「駄目だマッドローグ! 下がれ!」

 

「でもぉ!」

 

 危うい目に遭った彼の元へ、マッドローグが這う這うの体で駆け寄る。頑なに共闘を許さない彼に痛ましい声が掛けられ、直後にバイカイザーが距離を詰めてきた。

 真上から振り落とされるスチームブレードを、お互いの剣を交差させた二人は咄嗟に受け止める。その斬撃は大地に伝わるほどにまで重たく響き、容易に押し返させない。対峙する狂気の科学者のバイザー光が妖しく輝く。

 

「またあの時と同じ状況になったな。リベンジと行きたいか? だが無駄に終わる。再び私の手で!!」

 

 バイカイザーとの鍔迫り合いは、両手で剣をしっかり保持していなければ至難の技。されど、バイカイザーは片手でスチームブレードを振るっている。他者を圧倒する怪力だけでなく、空いた手があれば次の攻撃を仕掛けるのは至極当然。歯車を胴に撃ち込まれ、二人は吹き飛ばされた。

 間髪入れず、揃って受け身を取る。ロットロの補助によりマッドローグの戦闘力は、隣にいるナイトローグに優るとも劣らない。彼よりも一足先に飛び出し、バイカイザーに斬り掛かる。

 続けてナイトローグも走り、バイカイザーの横側から攻めていく。時折隙を見つけてはマッドローグを退かそうとするが、彼女は引き下がるどころか果敢に敵へ立ち向かうばかりだ。

 

「ハァ……ハァ……大変だけど……私だって戦える! ロットロと一緒だもん! 一人きりで戦うなんてそんなの痛々しいよ!」

 

「何のために命を賭けて来たと思っている! あと俺だけじゃない! 一夏や織斑先生、皆がお前を助けに来ている!!」

 

 戦いに参加するのはロットロだけの意思ではなかった。明らかに無理をしている彼女の姿に、ナイトローグは苛立ちを抑えられない。共にバイカイザーを殴り飛ばし、間近で怒鳴りつける。

 

「それに、ここで死なれたら全てが無駄に終わる!! つべこべ言わず黙って逃げろ!!」

 

 すかさず彼女を後ろに押し退け、バイカイザーの前へ躍り出る。高速剣技と銃撃で押し込むのもほんの僅か、相手方の剣圧一つで軽々と身体が宙を舞ってしまう。

 そのまま勢い良く後方へ飛んでいくかと思いきや、マッドローグに背中を受け止められた。

 

「だったらあなたも! 殻を閉じてないで一緒に戦おうよ! 少しぐらい戦わせて!」

 

 同時に大声でお叱りをもらう。耳元で叫ばれただけあって、一瞬だけ放心してしまった。

 

「閉じる……俺が……? ――ッ!?」

 

 息つく間もなく、赤いスチームガンによる弾幕が張られる。百メートル以上飛んでも減衰する事のない散弾の嵐に二人は左右へと散らばり、的をバラけさせて少しでも被弾しないように努める。

 結果、集中砲火を受けたのはナイトローグの方だった。黒霧を纏ったマッドローグがバイカイザーの背後へ瞬間移動し、渾身の蹴りを放つ。あっさり蹴り飛ばせば弾幕は止み、彼女の元へ駆け出したナイトローグは擦れ違いざまにバイカイザーに一太刀入れていく。

 

「だってそうでしょ!? 今の私と同じ気持ちのナギの事、受け入れきれていないんでしょ!? どうしてなのかわからないけど、ダメだよそんなの!! もうあなたは独りぼっちじゃない!! 一人で戦わなくていい!!」

 

 すぐさま隣に並べば、開口一番に怒りの声の続きが始まる。互いに視線はバイカイザーから離れていないが、戦闘と並行して彼女の言葉が心に突き刺さっていく。ナイトローグは咄嗟の否定もできず、黙って息を呑むだけだ。

 言いたい事はわかる。知った風にと逆ギレするつもりは毛頭ない。しかし、ブラッドスターク嫌いが足を引っ張っている以上に、ネビュラガスの投与を受けたという事実を直視したくなかった。

 

 それが意味する事はどこでも散々に言われている。ある人からしてみれば変わらず人間のままで、またある人からすれば人間をやめた化け物。真っ二つに意見が割れるのは世の常。自分一人が彼女を人間と言い張る程度で貫けるほど、世界は甘くはない。下手をすれば、容易く人生を台無しにしかねないのだ。肩を並べてくれる存在の出現に対する喜びよりも、この一種の外道から追い出せなかった責任感が大きい。

 これが見知らぬ赤の他人ならマシだったのかもしれないが、知人であれば尚更居たたまれない。加えてそれが善意による考え抜いた選択なのだから、どうして今更になって全否定できようか。彼女と会うたびに、多少なりとも気まずさが出来てしまう。一から十まで強く当たりきれない。

 ならば、最初からナイトローグの再評価など目指さなければ良かったのではないのか。あの偽りのビルドの言葉がふと脳裏によぎるが、振り払う。

 とは言え、結局それらは自分の心の問題だ。既にやってしまった事は仕方ないと割り切る必要もある。そうでなければ前に進む事は叶わない。未だにそのキッカケは見つからないままだが――

 

 《ライフルモード》

 

 《Bat》

 

 《Bat engine》

 

 三人一斉にスチームライフルを構え、ナイトローグとマッドローグはそれぞれフルボトルを装填する。対してバイカイザーは、おびただしい量の歯車を周囲に展開していた。赤と青の歯車の美しい輝きは、決して素肌で触れてはならない灼熱の光だ。

 

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 放たれた歯車の一部――それでも大量の弾幕を一点突破で迎え撃つ。二つのスチームショットは立ち塞がる数多のエネルギー塊などものともせず貫いていき、混ぜ合いながらバイカイザーへと突き進んでいく。

 混ざり合ったエネルギー弾は融合し、威力を増幅させる。翼を広げたコウモリのように形状を変化させ、寸手でバイカイザーが張った歯車の盾を激しく穿った。高エネルギー同士のぶつかり合いは、眩しいほどに閃光を煌めかせ――

 

 刹那、マッドローグへと真っ直ぐ弾き返された。

 

「キャアァァァァァァー!!」

 

「マッドローグ!!」

 

 反射物の飛来があっという間で、躱す暇などなかった。エネルギー弾に飲み込まれたマッドローグは爆発を浴び、吹き飛んではゴロゴロと地面に転がっていく。

 そしてナイトローグが余所見した次の瞬間には、浮遊していた全ての歯車がスチームライフルと赤いスチームガンの弾幕と共に襲来してきた。その面制圧の密度は洒落にならず、避ける事はままならない。すぐ後ろには、横たわったマッドローグがいる。弾幕全てが降り注がれる直前に翼を全身に纏い、彼女を庇った。

 

 頑丈な翼に風穴が次々と空き、やがて跡形もなく削られる。爆発が起きる度にゴーグルがひび割れ、胸部の装甲には亀裂が走る。それでもなお、彼は倒れない。全力で踏ん張りを利かせ、敵の攻撃をどこまでも耐えていく。それから赤いスチームガンの弾幕が止むのを見計らって、遂に地面を蹴った。

 がむしゃらに弾丸の嵐を掻き分け、斬り捨てる。どんなダメージにも臆せず、ひたすらバイカイザー目掛けて走った。

 しかし、ようやく剣が届くところで逆にこちらが伏せられてしまった。腹部を深く殴られ、荒々しく地面に叩き付けられる。

 

「勝負ありだ。刻限のある赤目は渋るか……」

 

 背中を踏み付けられ、後頭部には赤いスチームガンの銃口が触れていた。無理に起き上がろうとすれば、有無を言わせず左手の甲が串刺しにされる。気を失う事すら許されない激痛がナイトローグを襲った。

 必死に歯を食い縛り、悲鳴を押し殺す。ヒート刃でスーツの内側から瞬時に焼き尽くされないのは、バイカイザーが手加減しているからに他ならない。相手に弄ばれ、ナイトローグは己の無力さを酷く呪った。

 

 

 

 

 

『あーあ、だから言ったろう? これが現実だ。身の丈に合わない事をするから』

 

 その時、仄かにビルドスパークリングの顔が浮かび上がった。心なしか、ビルドだけではなく他の幻聴も聞こえてくる。

 

『どうせ俺たちは、日向の道を歩けない……』

 

『人殺し』

 

『ナイトローグいらない』

 

『お前よりもジーニアスに来てほしかった』

 

『そうすれば俺たちは死なずに済んだ』

 

『絶対許さない』

 

 それは先程殺したスマッシュの怨嗟を伝えるかのように、おぞましさを声に秘めていた。一度聞くと頭の中から離れず、いつまでも反芻する。

 

『さっさと諦めて楽になろうぜ? ほら、こっちだ』

 

 次にビルドが、穏やかな川を挟む彼岸から手を差し伸べてきた。ビルドの周りには多くの人々が心地良さげに佇んでいる。そこには悲しみや絶望などが欠片たりとも存在していない。

 思わずその光景を羨望の眼差しで眺めてしまう。自身に絡まりつく面倒な事は全て振り払ってでも行きたいという衝動に駆られる。嫌いなはずのビルドが一瞬、心優しい天使のように見えた。背に腹を変えられない誘惑に、串刺しされたまま動かせないはずの左手を伸ばしかける。

 頭を空っぽにしてこの誘惑に応じられれば、どれほど楽だろうか。自分の周囲では、変わらず怨嗟の慟哭が続いている。このままでは慟哭する彼らの手によって、真っ暗闇の無限地獄に引きずり込まれそうだった。終わりのない暗黒の世界へと。

 

 

 

 

 

 

 

 すると、彼岸のずっと先で懸命に立ち上がろうとするマッドローグの姿を見つけた。

 否、彼女は彼岸にはいない。立っているのはこの荒野だ。スチームブレードを杖代わりにして立つのがやっとなのに、紫の瞳に宿る闘志は砕けていない。そんな彼女の瞳に、光を掴み取ったような気がした。

 

「ああ、わかってる。全ての人間を救えやしない事なんて。けど、それを目指すのを決して諦めてはいけないんだ」

 

 気が付けば、細々とそんな事を口にする。だが、背中を踏み付けるバイカイザーを退かすほどの力は出なかった。

 

「でも悔しいな……いつもいつも、誰かを頼りたくなるなんて。一人で何でもできないなんて……」

 

「遺言はそれだけか? 別に構わんが安心しろ。サンプルとなる遺体までは消さん」

 

 バイカイザーがそっと引き金に指を掛ける音が小さく鳴る。凶弾がナイトローグの頭を粉砕するまでのカウントダウンは現状、誰にも止められようがなかった。刻々と迫る処刑を阻もうとマッドローグは届かない手を伸ばし、悲鳴を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《Cobra. スチームブレイク!》

 

「ぬっ!?」

 

 その時、一発の光弾が二体の巨大コブラを引き連れてバイカイザーを襲った。這い寄る蛇の如く軌道が複雑な光弾にバイカイザーはなす術なく食らい、宙を舞って巨大コブラの追撃を受ける。

 思わぬ展開にナイトローグは取り敢えず、左手に刺さったままであるバイカイザーのスチームライフルを抜き取った。苦悶の声が僅かに漏れ、苦しくもライフルの二丁持ちを実現させる。その奪取品の持ち主は絶賛、巨大コブラに身体を締め付けられている最中だ。様子からして、さほどの時間は稼げそうにない。

 次に先程の光弾がやってきた方向に視線をやれば、這いずりに似た高速スライディングで近付いてくるブラッドスタークと、駆け飛んでくるシャルロットの姿を見た。

 

「私が来た! 弦人くん生きてる!?」

 

「弦人! あと……えっと、白いナイトローグは癒子でいいんだよね? うん」

 

「ナギ! デュノアさん!」

 

 このタイミングでやって来た増援に、マッドローグの口から歓喜の声が飛び出す。それから慌てて彼女たちの元へ合流し、ブラッドスタークと一緒にナイトローグの肩を支える。

 それも束の間、ナイトローグは軽い動作で二人の手を払う。助けを借りずに立ち上がる事で大丈夫だと周囲に示し、そろそろ慣れてきた左手の怪我の痛みは堪え忍ぶ。程なくして怪我の方に周りの視線が突き刺さるが、その気まずさを押し退けてブラッドスタークに礼を告げた。

 

「スタークに助けられる自分が腹立たしい。でも礼を言おう――ナギ」

 

 すると自分でも驚くほど、すんなりと彼女の名を呼べた。

 一方でブラッドスタークは、いきなりの名呼びに不意を打たれる。照れているのが一発でわかる挙動不審な仕草が徐々に目立ち、ナイトローグに頭を小突かれてようやく気持ちを切り替えた。

 バイカイザーの怪力によるゴリ押しで、二体の巨大コブラはバラバラになって飛散。散り行くエネルギーは消滅し、改めて彼女らと向き合う。

 直後、空に穴がカッポリと開いたかと思えば、ビークルモードのパワーローダーがバイカイザーの頭上へと勢い良く落ちていった。

 

『パワーローダァァァァァァァァァッ!!』

 

 なお、その叫び声で落下地点にいる者に顔を振り向かせる事なく、赤いスチームガンで淡々と撃ち落とされた。被弾したパワーローダーが爆散する間一髪で、コクピットからパイロットが空中に大きく身を投げ出す。

 それから高所から落ちたにも関わらず、何事もなかったかのようにパイロットの数馬は着地。サッとネビュラスチームガンを構え、後を続いてくる相棒の名を呼び掛けた。

 

「弾!」

 

 《Gear engine!》

 

 地面へ舞い降りるヘルブロスが投げたギアエンジンが、綺麗に数馬のネビュラスチームガンにセットされる。後続の一夏、箒、ホールドルナの三人も駆け付け、二本のフルボトルを取り出す一夏を数馬は見やった。

 

「同時変身いくぜ、一夏!」

 

「ああ!」

 

「潤動!」

 

 《ファンキー! Engine running gear》

 

 《ユニコーン! イレイサー!》

 

 ヘルブロスの半身から白い歯車群が分離し、数馬の元へ飛んでいく。スマッシュ化する白式と合わせてエンジンブロスに変身し、身体をほぐすかのようして両腕を思い切り振り上げた。短く「よっしゃ」と気合を入れて、ファイティングポーズを取る。

 分断させていたはずの彼らに集合を許し、包囲されるバイカイザー。おもむろに手に取ったスイッチをブロス兄弟に向かって押すが、何の変化も起きない。

 

「おっと、強制変身解除のスイッチはいい加減に攻略させてもらったぜー? もう自力じゃ無理だから取られた方のデータ暗記したからな、研究所に滞在して」

 

「ほう。まぁ、裏切られる事に関してはどうも思わんが……」

 

 あっけらかんと答えるエンジンブロスに、バイカイザーは溜め息をつく。そして周囲にいる彼らを見回し、威勢良く啖呵を切った。

 

「仮面ライダーの紛い物が六人、ISが二体。……その程度の障害、乗り越えさせてもらう!!」

 

 右足を軸にしてその場に回転し、赤いスチームガンを連射する。全方位に渡って強烈な弾幕を形成し、接近を許さない。各々は回避に徹し、唯一ホールドルナが伸縮する両腕によるなめらかな弾幕捌きを披露している。

 

「ワタシが先陣切るわね! イッテきまぁぁぁぁぁぁす!!」

 

 一発一発の威力は油断できないものの、全方位をカバーするために弾幕の密集度は高くない。弾丸に対しては滅法に強いホールドルナが突撃し、伸ばした両腕で中距離からバイカイザーを拘束した。

 だが、相手を縛る両腕は回転した全身の歯車によって切断される。立て続けに白式HSと紅椿が攻め掛かっても、振られる刃をいなされては手痛く殴り飛ばされた。

 それと入れ替わるようにして、ブロス兄弟が駆け抜ける。繰り出す拳は容易く受け止められた。バイカイザーの両手を塞ぐのもほんの僅か。そのまま乱暴に振り回され、シャルロットらの援護射撃の盾に扱われてしまう。

 次いで放り投げられ、バイカイザーが歯車を射出しようとしたところで――いつの間にか懐に潜り込んでいた幻影のマスカレイドたちが彼をガッチリホールドしていた。

 

「今よ! 今今!」

 

 ホールドルナの号令で一斉射撃が始まった。彼女以外の全員が銃器を構え、バイカイザーを狙い撃つ。

 荷電粒子砲、光刃、炸裂・貫徹弾、光弾。しばらくの間はこの凶悪な銃火が雨あられと撃ち込まれ、しれっと身をロットロに任せて参加しているマッドローグが叫ぶ。

 

「何これすごいリンチなんだけど!?」

 

「大丈夫だ! この程度では倒せない!!」

 

「えぇ!?」

 

 スチームライフル二丁持ちで連射しながら答えたナイトローグに、まだ戦闘経験が浅いマッドローグは驚く。

 そうこうしている内に、ダメ押しと言わんばかりに幻影のマスカレイドは全機自爆。ナパームかと見紛うほどの大爆発をゼロ距離で披露し、真摯に一斉射撃を耐えていたバイカイザーに目にものを言わせる。

 しかし、これしきの火力でバイカイザーは倒れない。一跳びで大爆発の中から抜け出し、おどろおどろしい真っ赤な光を纏いながらシャルロットへと襲い掛かった。

 

「そらぁ!!」

 

「このぉ!!」

 

 瞬間、ブラッドスタークがシャルロットと力を合わせて受け止める。気付けば素手のみのバイカイザーは突進の威力を削がれる事なく彼女たちを押し込み、二人のローグの挟撃を受けて一旦下がった。追撃の光弾を次々と躱していく。

 すかさず、箒がバイカイザーの回避先に横入りする。瞬時に通り過ぎれば、微かにだが胴体を斬り裂いた。

 余裕は与えない。上空から再度、ブロス兄弟によるスチームブレードの斬撃が落とされる。相変わらずあっさりと受け止めるが、両手を塞ぐのは失敗だとバイカイザーが悟るのは直後だった。

 

『ツイン!』

 

「うおおぉぉぉぉぉ!!」

 

『ツインブレイク!』

 

 白式HSが合間を縫って、そのガラ空きなみぞおちに雪羅を叩き込む。高エネルギーを迸らせるパイル先端が、バイカイザーを容赦なく穿った。

 吹き飛ぶバイカイザー。その後ろには、ネビュラスチームガンで空間転移したブロス兄弟が待ち構えていた。阿吽の呼吸で空に蹴り上げられ、新たな影を垣間見る。

 

「今だ箒!」

 

「ああ、出し惜しむなよ!」

 

 赤と白、二つの機体がスラスターを全力で吹かして交差する。力を打ち消す蒼光の刃と、力を増幅させる金色の刃がバイカイザーを十字に刻んだ。そして――

 

 《エレキスチーム》

 

 《Bat engine. ボルテックアタック!》

 

 バイカイザーの遥か頭上には、ナイトローグ、マッドローグ、ブラッドスタークの三人が飛翔していた。コウモリの翼をはためかせる二人はそれを全身に包まい、ブラッドスタークに至っては背後に巨大コブラを侍らせている。奔流する緑のエネルギー体と化した巨大コブラが突撃するのを皮切りにして、三人同時に必殺キックを放つ。

 負けじとバイカイザーは手短に歯車を数枚放ち、重ねて盾としながら右足の底へ。頭上から襲来する三人の戦士を真っ向から打ち破らんと、同じく蹴りの姿勢となっていった。段階的に練り上げられた力が、激しく火花を散らしながら衝突しあう。

 四つの力が空を明るく照らし、空気を揺らす。彼らを中心に風が同心円状に吹き荒れ、地上では砂塵が撒き散らされる。一秒がとても長く感じるような時間の中、最初は拮抗していた力のぶつかり合いにやがて変化が訪れた。

 バイカイザーが更にパワーを込めた次の瞬間、側頭部に一発の弾丸が当たる。さしてダメージはなく、ふと視線を動かせばシャルロットによるものだと判明した。

 そして、それがナイトローグたち三人に突かれる致命的な隙となった。

 

「「「ハァァァァァー!!」」」

 

 三人揃って掛け声を発し、形勢が一気に逆転。トントン拍子に数重となった歯車の盾を粉砕させ、バイカイザーと正面衝突。キックを直撃させ、この大空にド派手な爆発を引き起こした。

 

 

 

 





Q.エジプト

A.他にも不動産王、チェリー院、不良、占い師、柱のような男、黄色い奴、家出少女、犬といった心強い八名が味方に付いております。
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