ナイトローグの再評価を目指す話   作:erif tellab

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「前回までのあらすじ。横須賀沖に突如出没したエニグマの元へ、独断で向かっていく弦人たち四名。三人の仮面ライダーと一人のISハーフスマッシュが、EVOLカイザーに変身する最上魁星との再戦に挑もうとしていた」

「一人だけベルト無しというのはどうなのでしょうか? 仲間外れにされているようで、一夏さんが少し可哀想ですわ」

「そう言うな、セシリア。嫁がああして白式を使う事で、ISの面目躍如に買って出ている。それよりもだ、箒たちだけでない。教官の仇もある」

「ラウラさん、織斑先生はまだ死んでなくてよ?」

「わかっている! だが、尊敬しているからこそ信じられないのだ! 洗脳兵士如きに教官がやられるなど!! 教官なら素手でISを圧倒するぐらいに相手を鎮圧できたはずなのだ!! かつての私と嫁が私闘した時のように!!」

「確かにそのぐらい化け物染みたイメージはありますわね。しかし生身では限界があるのも当然ですわ。訓練機を使っていれば、勝てずとも負けない戦いにはできたかと」アノトキハ、ブレードモッテマセンデシタッケ……?

イタリア、ヴォルガノ島

「ノコルハコノカーズノミカ……。ダガ、チョウテンニタツモノノハツネニヒトリ!」

「ハッ! そうだ、我々は今このスマッシュと戦闘中だったのだ!? うっかりしていたぁッ!?」

「しっかりしてください、ラウラさん! えー、わたくしたちが何故ここにいるのかと言うと、時空の狭間に吸い込まれて気付けばとしか……それと――」

「JOJO! キサマダケハイマ、コロサナクテハナラナイ!!」

「どうしてなのかは不明ですが!! あのスマッシュはわたくしばかりを狙ってくるのです!! 誰がJOJOですか!?」






平成ジェネレーションズ Parallel

 市街地の真上をジェットスライガーが飛翔する。エニグマから羽ばたく無数の黒いスマッシュに向けて、遠距離からビーム砲撃を放つ。

 爆発エネルギーも秘めた光弾は、一発命中するごとに数体のスマッシュを巻き添えにして撃破する。通常なら生身の人間はおろか、戦車すら木っ端微塵にしかねない火力で五体満足なのは流石の耐久性であるが、既に再起不能となっていた。力なく地上へと落ちていくかと思いきや、不時着直前に完全消滅する。

 それをナイトローグの後ろで見ていたヘルブロスは、通常のスマッシュとは違う倒れ方を疑問に思う。しかし、スチームライフルで次々と敵を狙撃していく辺り、掛けられた命の天秤の傾き方は当に決まっていた。迫り来るスマッシュの大群に人々が悲鳴を上げながら逃げていく。彼らを守る事が最優先事項だった。

 

「即消滅だと……?」

 

「恐らく強化されたクローンだ。ハザードレベル1未満もそうそういない」

 

 健康的であれば子供でも、成人より負担が大きいが無事にスマッシュ化を果たせる。それに今更、普通のスマッシュで自分たちを止める事などできやしない。戦い慣れているナイトローグとヘルブロスなら、動きの違いで相手が通常タイプや亜種よりも強いという事が瞬時にわかった。

 飛行しているのは全てフライングスマッシュと統一されている。ボトルが装填されている様子もなく、ロストスマッシュなら狂化しても統率された動きを見せられるはず。連携で言えば、レベルは量産ブロス未満であった。

 

「キリがない……! 弦人くん、アレしよう!」

 

 スマッシュの数に辟易したブラッドスタークが、ハンドルから一瞬手を離す。ナイトローグと併走させているジェットスライガーの上で、輝き出した胸部より二体の巨大コブラを天に放った。同じくして、ナイトローグも二体の巨大コウモリを召喚させる。

 すると、それぞれ異なったエネルギーの塊が空中で融合を始め、光の翼竜へと変化する。二体の翼竜は自由自在に空を飛び、二台のジェットスライガー目掛けて突撃してくる大群をブレスや牙、爪、尾で蹴散らす。

 翼竜の援護で驚くほど簡単にエニグマへと接近する事ができた。次に光子ミサイル全弾を発射し、エニグマの一点に風穴を開ける。そのまま穴の中へビークルを疾走させれば、果てしなく続く一直線の大通りへと出た。

 

 

 大通りの景観は、さながら宇宙戦艦を格納させる軍事施設のようだった。途中に小さな出入り口などは見当たらない。しばらく走っていると、周囲に人一人分のハッチが無数に開かれた。

 ハッチから現れたのは、上半身だけを露出させているハードガーディアンだ。近接戦は考慮されておらず、両腕ともガトリングガンを装備している。白一色の殺風景だった大通りのあちこちに、緑色の斑点がモグラのようにひょっこり出てきた。直後、上下左右からとてつもない弾幕の嵐が降り注ぐ。屋内である事にも構わず、両肩に装備されているミサイルを遠慮なく飛ばした。

 

「ヤバイ!?」

 

《シングル!》

 

《シングルフィニッシュ!》

 

 白式HSが消しゴムフルボトルを雪羅に装填する。砲身から放たれた光弾はジェットスライガーごとナイトローグたちを包み込むドーム状のバリアとなり、敵方の弾幕をことごとく防ぐ。一方でバリア内からの味方の射撃は通すので、間違いなく無敵の盾と化していた。

 車線上にいるハードガーディアンは容赦なく轢く。やがて大通りを抜け出し、ジェットスライガーでは通れない入り組んだ空間へと出た。幾つもの並び立つ柱の先には、上へと続く階段が用意されている。

 ブレーキを踏み、ジェットスライガーを停める。罠は承知の覚悟で突き進むだけだ。ジェットスライガーから降りた彼らは、周囲に警戒しつつ前へと進み――突如、立体映像が頭上に浮かび上がった。

 

 映像に映っているのは、スマッシュの大群を駆逐する翼竜たち。しかし、エニグマから新たに現れた量産ブロスの部隊が二体をズタズタに斬り殺す。猛スピードでスチームブレードを振るう一撃離脱を繰り返し、前後左右とすれ違ってくる量産ブロスに翼竜は為す術なく霧散する。

 翼竜の肉体を構成するエネルギーが、桜の花びらのように儚く散り行く。街を守る者がいなくなった今、無防備となった市街地に生き残りのスマッシュが雪崩込むのは道理だった。

 避難警報により、既に近隣住民はエニグマから離れている。されど、高速で空を飛ぶ敵から逃げ切る事はできない。懸命に地上を移動している人々とは対称的に、何もない夜空を悠々自適に動き回れる事がどれほど爽快で、どんな悪逆無道にひっくり返せるか。これでは空襲と変わらない。

 

 直後、先ほど彼らが通ってきた道が隔壁で閉じられる。隔壁が全力を出しても破壊できないほどの硬さなら、言われるまでもなく可及的速やかに元凶を倒していくしかない。これは最上の挑発だ。

 

「街が……!?」

 

「止まるな、一夏。ここまで来たら一歩でも早くゴールを目指すしかない」

 

 狼狽える白式HSをナイトローグが諌める。こちらの手札が限られた以上、欲張って全てのものを守り通す事は不可能。当然、ワープ対策もしているはず。彼らには、ひたすら前に進む事しか許されなかった。

 

 

 

 

 そんな彼らがエニグマ内部に侵入してくる様子を、最上は中心部の研究ルームで監視カメラ越しに見ていた。研究ルームは一般的な体育館よりも広く、平行世界融合装置として機能する本体を厳重に守っている。何枚もの障壁に囲われ、据え置きのパネルで遠隔操作を行う。

 そのすぐ近くの区画分けされている培養室にて。溶液で満たされたカプセル群には量産ブロス用のクローンたちが半分有機パーツの状態で静かに眠っている。量産ブロスのインナーフレームとして機能させるなら必ずしも全身が生の肉体である意味はなく、脳などの重要な器官以外は徹底して半機械化がされていた。人間と変わらない柔軟な動きを損なわないように求めた結果の一つだ。

 クローン人間に対する倫理観はとっくの昔に投げ捨てた。理性に縛られては、成し得られるはずだった研究にも辿り着けないからだ。他者が外道と呼ぶ道を突き進もうとも、最上は端から気にしない。研究のためなら平気で周囲に犠牲を強いる。

 

 いつから狂気的になったのかと問われれば、それは初めてパンドラボックスの欠片の光を浴びた時だ。しかし、人を狂わす赤い光を抜きにしても自分が科学者として、人として禁断の領域に踏み出すのは時間の問題だと断言できた。伊達に生涯を研究で終わらせたいと思っていない。

 その点では、自分のしたい事を貫く篠ノ之束と通じるところがある。独りよがりに相手の気持ちを考えられず、己の研究成果に他者が手を加えただけで殺しに掛かってくるようなクレイジーさには理解し難いが。後天的なブラッド族に進化した最上としては、自分に危害を加えるつもりがなければ同じようにされても問題ないと許せるほどの心広さはあるつもりだ。思い入れこそあれど、科学は芸術ではない。

 そのため、束とは互いに競い合えるような仲になれても、仲良くするのは無理だった。元々研究重視で、自身の成果がしばしば他人に掻っ攫われる事に無頓着だったせいもある。ある意味、自分も相手の気持ちを考えられないでいた。

 

 実験台の上には、蘭が洗脳装置のチョーカーを着けたまま眠っていた。その隣で最上はパソコンをいじり、蘭に掛けた洗脳具合の微調整をしていく。

 不思議と、洗脳したはずの蘭は誰も即死させる事はなかった。生身の千冬との戦いでは変身した時点でいつでも即殺できたはずなのに、重傷で済ませた。数馬にトドメを刺した時もそうだ。ネビュラガス投与された高ハザードレベルの人間を、手加減して殺せるはずがない。洗脳と共に、身体能力を限界まで強制的に引き上げさせているのだから。

 調べてみると、彼女に残った僅かな自我が微力ながら洗脳に抗っているのが判明した。このサイズの洗脳装置ならば十分実用に耐えうる結果だが、キングストーンフラッシュなどの理不尽を目にしてきた身としては油断できない。この際なので、とことん完璧に洗脳しきってみせる。

 

 やがて微調整が終わり、虚ろな表情の彼女が目覚める。アンドロイドと変わらない忠実な洗脳兵士に最上は愉悦し、チョーカーの信号を通じて蘭に指令を与える。側に置いてあったエボルスチームガンとギアを回収した蘭は、研究ルームを後にした。

 すると、近くに置いてあるモニターに変化が起きた事に最上は気付く。出撃させた量産ブロスたちのデータリンクだ。緑色の光点が次々と、大破の意味を示す赤色に変わっていく。何事かと思い、急いで現場の映像を回した。

 遠方に映る街の景色を拡大させる。あちこちに火が出ているが、部隊を出したのは侵入者の挑発以外に被験者の拉致も含まれている。データを確認するが、未だに一人もエニグマに連れ込めていない。

 よく映像に目を凝らす。その時、信じられないような光景が飛び込んできた。

 

『とりゃぁぁぁーッ!!』

 

 深緑の超戦士、女型のアナザーアギトがライダーキックを放つ。

 

『イ・ク・サ・ラ・イ・ザー、ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ』

 

『イクサ……爆現ッ!!』

 

 決して消える事のない輝く太陽、ライジングイクサが量産ブロスを一掃する。

 

『スイカアームズ! 大玉ビッグバン!』

 

『横須賀海軍カレーの聖地を荒し、人々からグルメを奪うヤツは絶対許さねぇ!!』

 

『Hyper cast off』

 

『グルメを滅ぼす事はすなわち、人々の笑顔を滅ぼす事。そんな人々とグルメを守るために今、俺はここにいる』

 

 二人のフードライダー、頼武スイカアームズとケタックハイパーフォームが豪快に現れる。スマッシュたちが面白いように吹き飛んだ。

 

『あなた! ようやくエジプトから帰ってこれたと思えば、こっちも大変な事になってるわ!』

 

『仕方ない。ついでだからコイツらも倒して行こう。全く、どこにいてもトラブルに巻き込まれるのは一緒じゃないか』

 

『お父さん、お母さん、行ってらっしゃーい。わたし先にお兄ちゃんのとこに向かうねー!』

 

 ダークネクロムに変身している家族が、さも当然の如く激戦の中へと入っていく。特に夫婦が異様に強く、例え世界がゾンビパンデミックで崩壊しても平気で生き抜いていけるような逞しさを持っていた。小学生の娘が変身したダークネクロムも、イグアナゴーストライカーに乗って邪魔な敵を蹴り飛ばす。

 

 いつの間にか、自分のすぐ近くに仮面ライダーたちが続々と集まっていた。しかも一人一人の戦闘力が高すぎる。確実に勝てるようになるまでは決して彼らに接触せず潜伏を続けてきたが、このようなイレギュラーが発生するなら事前に手を打っておくべきだったと辛酸を舐めさせられる。

 かの太陽の子によって刻まれたトラウマが、無意識下で仮面ライダーと戦う事を極端に避けさせていた。例え勝てる相手だろうとも、どうせ蘇るのだろうという根拠のない、しかし妙に現実味を帯びている予測がストンと思い付いてしまう。

 もちろん、そんな奴らに何十回でも勝てるように自分は進化したのだ。何も恐れる事はないはず。吸収したSOLUによるフェーズ抑制を早急に解決すれば、たかが仮面ライダーの一人や二人。詮無き相手と放置できる。

 

 どうして普段からチャレンジグルメや大食い・早食い大会を挑んでいるばかりのフードファイターがここまで戦えるのかとか、この世界と眼魔世界に繋がりがあったのは初耳とかは関係ない。エネルギー消費の激しいスイカロックシードの予備を頼武が何個も持ち、ひたすら交換してスイカアームズを維持しているのも別に大した事ではない。“過去”には存在していなかったはずのナイトローグのように、エニグマへ乗り込んでくるのならば、重要な実験体として仕立て上げるために迎え撃つまでだ。

 

 

 

 

 

 

 弦人たちが行ってしまった。ネビュラスチームガンとギアを手に、黒の戦闘ジャケットを着た京水は寂しく佇む。

 IS学園をガラ空きにする訳には行かなかったので、自分のビルドドライバーを弾に託した彼女は一人残っていた。度重なる敵の襲撃により、防衛の要である訓練機の可動率は大幅に低下。敵がIS学園の陥落を狙うなら、こんな後一歩のところで諦めずに攻撃の手を休めないはず。量産ブロスを使えば、学園の保有している訓練機全てを丸々強奪する事も可能だ。せめて同じカイザーシステムの戦士がいなければ、守り切る事も難しい。

 カイザーへの変身は一応可能だ。しかし、使用するギアの特性がルナフルボトルと違いすぎるので、体操選手のように柔軟すぎる動きは無理だろう。一度変身して確かめたが、取れる動作が硬かった。個人的にも、あまり好きになれない。

 

 IS学園にはちょくちょくワープで抜け出すナイトローグたちへの予防策として、ワープ反応を拾う試作センサーが夏休み前に用意されていた。当然、弦人たちが黙って出て行った時にネビュラスチームガンのワープを使用したので学園側にバレている。それでも誰も何も言わなかったのは、千冬の不在と事務処理やらで多忙なのが大きかった。止められる人間がいなければ、こんなものである。

 正直に言うなら、ナギと同じように自分も弦人に付いていきたかった。しかし、時には感情を抑えて合理的に行動しなければならないのを理解している。同時にそれが弦人の期待を応える事となり、彼を支える事に繋がる。一生懸命戦っても帰る場所がなければ、待っているのは虚しさだけだ。

 

 昔とは違って、今の自分は不死身の肉体ではない。生身でクネクネしながら銃を持つ相手に近付く事さえ至難となっている。

 失われた生命は戻らない。ネクロオーバーとなって死を超越する事自体が異常だったのだ。覚悟や度胸はあっても、微塵も死が怖くないと言えば嘘となる。死ねば二度と弦人たちと会えないのだから。

 じっと待つのも性に合わないので、陽気に鼻歌を奏でる。身体の動きでリズムを取り、緊張をほぐしていく。大丈夫、いつものようにすれば下手にしくじる事もない。

 すると、視界の端で黒いマントを羽織る白い影を見た。敵かと思ったが、この隠れる場所のない廊下で姿や気配はない。変ね、と首を傾げると共に、その白い影にどこか懐かしさを感じた。

 気にする事なく校舎の屋上へと出ていく。まだ太陽が沈みきっていない空には、すっかり一番星が輝いていた。

 

「――マキシマムドライブ!」

 

 幻聴か否か。その時、ハッキリと耳元に聞き覚えのあるノスタルジックな男性の声が響いた。ふと視線をやるが、そこには誰もいない。誰かが横を通り抜けていった気がしたので、さっと後ろを振り向く。

 そこには、背中を向ける白い仮面ライダーの姿があった。間違いない、自分は彼を知っている。その頼り甲斐のある逞しい後ろ姿や、頭部にあるトライデントのような三本角を見紛うはずがない。しかし、この世界に彼がいるはずがないのも事実である。思わず京水は、彼の名を呟いた。

 

「克己ちゃん……?」

 

 瞬間、幻のようにエターナルは消え失せる。目をパチクリさせた京水は、次に何気なくネビュラスチームガンとルナフルボトルを取り出しては驚く。

 

「これって……」

 

 気が付けば、二つとも外見が変化していた。ネビュラスチームガンはエターナルが巻いているロストドライバーのような真紅のデザインへと変わり、ルナフルボトルに至ってはクリアな胴体に黄色の紋章と配色が明るくなっている。

 とんでもない奇跡が起こった。地獄の住人から喝を入れられたのだと思うと、情けなさよりもこそばゆさを強く感じる。かくはともあれ、ますますネガティブになっている場合では無くなった。弦人だけでなく、死者からにも応援されている。

 

 しばらくして、屋上から気ままに暗視スコープで周囲を見渡していると、遠くの方に煙幕がいきなり現れるのが見えた。その中から量産ブロスが出てくるのと同時に学園中で警報が鳴らされ、京水はルナフルボトルをネビュラスチームガンにセットする。起動音はトランスチームガンの時と変わらず、トリガーを引けば筒がなく変身していく。

 黒煙を纏い、全身黄色の戦闘スーツが形成される。特徴で言えばトランスチームシステムやカイザーシステムのどれにも属さず、強いて言うなら仮面ライダーの風貌に近かった。可愛らしく収まった小さなフォルムに、垂れ目となっているカラメル色の複眼が魅力的である。

 

「見える見える、団体様のご案内ね♪ 迷惑行為を働くお客様にはお仕置きの上に出禁よぉ〜ッ!!」

 

 いつにも増して絶好調。身体をくねらせながら腰に手を当て、鞭と化したメタルシャフトを何度もしならせる。

 

「やはりそういう事か!」

 

 そして、遥か上空から一つの影がホールドルナの隣に颯爽と降り立つ。その正体は、ジャックフォームとなっていたギャレンであった。

 

「あら。その声って、あなたもしかして一年三組のサクヤ・タチバナ? ウッソー!? あなた仮面ライダーだったのぉ〜!?」

 

「そういう君は泉京水だったか。いや、余計な話は後だ。ナゴの野獣の勘とやらで来てみれば、まさかあんなに多くの敵が集結しているとは……。向こうが本腰を入れると言うなら、私も出し惜しみはしない!」

 

 そう言って拳を握り締めるギャレン。次の瞬間には、左腕に備え付けていたアブゾーバーに二枚のカードをセットした。

 

『Absorb queen』

 

『Evolution king』

 

 ディアマンテゴールドの装甲が全身を覆い尽くし、重厚感のある金色の戦士が誕生する。各部に散らばるダイヤレリーフは足に六枚、左腕に二枚、右腕に三枚の計十一。胸部にはギラファの刻印があり、頭部にある雄々しく尖った二本の角や昆虫の翅にも似たマントも存在し、まさに王と呼ぶのに相応しい佇まいだ。

 その名も仮面ライダーギャレン、キングフォーム。人知れず時空を越え、数多のダイヤスートという運命を乗り越えし王者が生誕した瞬間である。

 

「まぁ、とっても大きな銃♪」

 

 横でホールドルナが感嘆の声を上げる。

 ギャレンラウザーは“重醒銃キングラウザー”へと変化し、黄金のロングライフルと化す。とても片手では持てないような代物をギャレンは軽々と持ち上げ、苛烈な戦場の中で怯える事なく陣頭指揮を取る将軍のように叫んだ。

 

「IS学園での思い出はまだ数えるほどしかない。だが、ここで得たものは全て私にとってかけがえのないものばかりだ! 友と巡り合うこの場所を、人々を、私は必ず守ってみせる! 過ちは二度と繰り返させやしないッ!!」

 

 開戦の鐘を鳴らす代わりに、キングラウザーから一筋の閃光が発射される。猛々しいと言わんばかりの特大の砲火は、遥か遠距離にいる量産ブロスを数体纏めて悠に撃ち抜く。直撃を受けた相手は灰燼に帰し、ギャレンは屋上から飛翔した。綺麗な夜空を背景にマントを美しく翻す。

 

 




Q.究極生命体カーズロストスマッシュ

A.イタリアに潜伏していた個体が、奪取したスマッシュボトルを吸収して進化した姿。スペックがぶっ飛んでいるあまりに現状のセシリアとラウラでは倒せなかったので、マグマに落として地球に閉じ込めた。


Q.御手洗一家ファイヤー

A.イグアナゴーストライカーはバイクではなくイグアナなので、自転車と同じ軽車両扱い。つまり免許は要らないので小学生の妹は法的にセーフ……だといいな。



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