ViVid Contrail   作:にこにこみ

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鬼を宿した兎 後編

エディとの邂逅から半年……イットは長老に謝り倒しながらも、強引ながらもそのままバルカス集落に住ませてもらう事になり。 1日も鍛錬を怠らずに集落の人々と共に日々の生活を支え合っていた。

 

「イット! 今日こそ一歩取るのカラな!」

 

「そのセリフは一体何度目だろうね……」

 

瞬間、イットに飛びかかってくるエディ。 エディは姿勢を低くして潜り込むように接近し、固く握られた拳を地面スレスレで振り上げ……

 

「ーーフッ!」

 

「アウッ!」

 

エディの渾身の拳はアッサリと払われ、そのまま地面に投げられた。

 

「……うん、良くなってるよ。 動きに理が出ている……これなら最強も夢じゃない」

 

「……軽くあしらっておいてよく言うヨ……」

 

淡々と評価を言うイットを見てエディは草の上で寝転びながら不貞腐れる。 イットは苦笑しながらそのまま続けて言う。

 

エディはイットが強者と分かってから毎朝試合をしており、その度にエディは転ばされていた。

 

「いいかいエディ。 エディには攻撃を全て受ける癖がある。 耐久力があるから問題ないとは思うけど……その慢心はいつか、文字通り身を滅ぼす事になる。 受けるべき攻撃か、避けるべき攻撃か……しっかりと見極めないと」

 

「うう〜……そういうのは難しいヨ〜……」

 

「はあ……エディは身体で覚えるタイプだからね。理屈を並べても意味はないか……」

 

そこでイットは手を叩き、朝の鍛錬を終わりにした。

 

「さて、朝練はこれくらいにして……今日は北の森に行くんだったよな? 何を狩るんだ?」

 

「フッフーン! 今日は角牛を狩りに行くヨ!」

 

それを聞くとエディは地面から跳ね上がって立ち上がり、途端に元気になる。

 

「了ー解。 それでは長老、行ってきます」

 

「うむ。 イット、エディをよろしく頼んだぞ」

 

「長老、酷いヨ〜……」

 

「はは、分かりました。 ですが……」

 

不意に、イットは空を見上げた。 その目は鋭い目をしており、丸で空を睨みつけているようだった。

 

「……異常が、この地に紛れ込んだようですね」

 

「………………?」

 

2人は不審に思うが、イットは首を横に振って誤魔化した。

 

「なあなあイット、さっきのは一体どう言う事ダ?」

 

「……エディもいずれ分かるよ。 この世界の裏側の現実をね」

 

また誤魔化され、エディは頰を膨らませて不機嫌になる。 しばらく北の森に到着し、角牛の捜索を始めると……

 

「ーー待て。 何かおかしい……」

 

森の中腹でイットが手を横に出してエディをとめる。 エディは眉をひそめるが……ふと一陣の風が吹き、その匂いを嗅いだ。

 

「…………(スンスン)。 風に流れて血の匂いがするヨ……」

 

「ああ、そうみたいだな……」

 

緊張感を出しながら薄暗い森の中を進む。 すると……段々と何が蠢く音が聞こえてきた。

 

(ア、アレは……!?)

 

(ーー怪異……角牛を喰らっているのか……)

 

2人が視界に捉えたのは……巨大な二本の角を有している牛のような動物が血を流しながら息途絶え、その腹わたを喰い散らかす黒い獅子の怪異がいた。

 

(……エディ、集落の皆に避難誘導をお願い)

 

(え!? イ、イットはどうするヨ……!)

 

(見た感じA級グリムグリード……討伐は無理でも、ここで食い止めるくらいは……)

 

エディはイットの提案に納得がいかないが、気にせずイットは腰の太刀に手を添えた。

 

(まだ未熟な俺では、この太刀は扱いきれない。 でも、抜かないままでは万に一つも勝ち目はない……だからーー)

 

太刀を縛る飾り紐に手をかけ……紐を解き、そのまま刀身を抜いた。

 

「僅かな可能性があるのなら……それにかける」

 

「あ……」

 

エディが止める間もなく茂みから出る。 気配に気づいたのか、獅子は角牛から身を離し、ゆっくりと振り返った。 その口元は血で濡れており、鋭い犬歯は咥えていた骨を砕いた。

 

「八葉一刀流・初伝……神崎 一兎、参ります」

 

だがイットは怯まず、心を落ち着かせて名乗り……飛び出した。

 

「はあっ!」

 

イットは獅子型のグリムグリード……怨獅子に斬りかかる。

 

(ッ……硬い!)

 

だが怨獅子の体表は硬く、刃を通さなかった。 怨獅子はイットを一瞥すると前脚出し、タックルしてきた。

 

「ぐうっ……!」

 

太刀でガードしたが吹き飛ばされしまい、空中で受け身を取り木に足をつけて勢いを落とすが……木の幹に足をつけた瞬間、既に怨獅子が回り込んでおり、その先端に鉄球を付けたような尾を振り回した。

 

その一振りで周囲の木々が根元から折られる。 イットは宙に舞う木の上で屈んで跳躍……同じく宙に舞う木を足場にして怨獅子の頭上を取る。

 

「でやあああっ!!」

 

首筋を狙って振り下ろされた太刀は浅く皮膚を斬りつけた。

 

「ッ……ガッ……!!」

 

刃が通らなかった事に歯軋りをするが……悔やむ暇もなく怨獅子がその場で回転し刃を弾き、右脚を振り上げながらイットの方を向いて腹部を殴りつけた。

 

「カハッ!」

 

地面に叩きつけられ、転がりながら肺から息が吐き出る。 余りの衝撃にイットは悶え苦しみ……その間にも怨獅子は地面を揺らしなら迫ってくる。 殺られまいとイットは太刀を杖にして立ち上がろうとした時……

 

ーードックンッ!!

 

「ッ!?」

 

突然異変が起き、イットは苦しみながら胸を抑える。 するとイットの身体から赤黒い焔が漏れ出るように出てきた。

 

(マズい……出て、くるな……!)

 

抑えよ込もうと必死になるが……その間にも怨獅子は倒れるイットの前に向かい、上げられた毒の爪がイットを切り裂こうとし……

 

「ーーだあああああっ!!」

 

掛け声と共に怨獅子が横に吹き飛ばされ、爪はイットの横の地面を切り裂く。 イットは異臭を放つ爪に冷や汗を流すが……そんな事よりも、イットの目の前に来たのは……

 

「大丈夫カ、イット!?」

 

「エ、エディ……! 何で戻って来たの!」

 

「イットを……友達を置いて逃げるほど、ワタシはヘタレてないヨ!」

 

イットに教えてもらった構えを取りながらエディは怨獅子と向かい合う。

 

「それよりも……イットのソレは何なノ? とても怖い感じがするヨ……」

 

「ご、ごめん……今抑え込むから……!」

 

イットは立ち上がりながら胸を抑え、しばらくして……赤黒い焔は静かにイットの身体の内に収まった。

 

「ッ! ……はあ、はあ……呑まれてたまるもんか……」

 

「大丈夫カ?」

 

「……ああ、問題ない……」

 

脂汗を拭いながらエディの隣まで歩き、再び怨獅子に太刀を向けながら構える。

 

「エディ、これは命を賭けた狩りだ。 一瞬の気の緩みが死に繋がると思え!」

 

「ハッ……ワタシはいつでも狩りに命を賭けてるヨ! そんなの今更ネ!」

 

「……ああ、そうだな!」

 

次の瞬間、怨獅子は爪を立てて前脚を振り下ろし、斬撃を飛ばしてきた。 2人は軽く横に跳んで避け、そのまま走り出して左右から接近する。

 

「行くよ、エディ!」

 

「うん!」

 

2人はジグザグと幾度も交差する事で怨獅子を撹乱し、背後に回り怨獅子がイットの方に向くと……

 

「テアッ!!」

 

反対側のエディが急接近、脇腹に食い込むくらいの蹴りを入れた。

 

「そこだ……紅葉切り!」

 

激痛が走り怨獅子は振り返りながら禍々しい魔力溢れ出るが……その隙を狙いイットがすれ違い側に抜刀、一瞬で何度も斬り裂いて溢れ出る魔力を止めた。

 

「……ダメだ……決定打がない……このままじゃジリ損だ!」

 

「じゃあどうするヨ!?」

 

「……攻撃力のある技が1つある。 けどそれを発動するには時間がかかる……時間稼ぎ、行けるエディ?」

 

「うん、任せてヨ!」

 

「頼むよ……」

 

目を閉じて集中するイット、その前に彼を守る為に身構えるエディだが。 突然、怨獅子はその場で高速で回転を始め……急停止と同時に鞭のように放たれた尾が迫ってきた。

 

(コレは……!)

 

迫る尾を見てエディは悟った。 コレを防いでも、受けた瞬間命はないと……だが、避けたら背後にいるイットを殺してしまう。受ければ致命傷、だが受けなければならない……瞬間、エディが出しまた答えは結果となった。

 

「ーー受け……流ス!!」

 

エディは自身を回転させる事により、回転により放たれた尾を払いのけるように受け流した。 続けて流れるように懐のに入りながら両手を組んで振りかぶり、軸足に全体重を乗せ……

 

「フンッ!!」

 

ハンマーを振るうように振り下ろし、その強烈な衝撃で怨獅子の四肢は地面にめり込んでいく。

 

「焔よ……!」

 

そして怨獅子の正面にいたイットが太刀に手を添え、刀身に焔が纏われる。 そのまま上段に構え……

 

「業炎撃…………滅ッ!!」

 

燃え盛る太刀を振り下ろした。 刃は硬い皮膚を斬り裂き、さらに焼き切る事で深く斬りつけ……完全に斬ることが出来た。 怨獅子が痛みを感じて怯む中……

 

「……ワタシが戦うのは、狩りをするのは生きる為、皆と日々を過ごす為……ケド、お前からは殺す事への愉悦しか感じられナイ……命を貰う事を楽しんジャいけない……だからーー」

 

エディは目を閉じてながら眼前で拳を握り……魔力が急激に高まっていく。 そして開眼と同時に飛び出した。

 

「これが、ワタシが生きる為の力ダ……!!」

 

戦って勝利を得る戦いではない……狩りで生き残る戦いを、それが今1つの拳となって形となり、振り下ろす。

 

「ーー虎皇拳(こおうけん)!!」

 

撃たれた拳は怨獅子の脇腹を撃ち抜き、次いで衝撃波が炸裂し……脇腹に拳より大きな凹みが出来た。 そして……

 

「ーー二の型……疾風!!」

 

高速の一刀が怨獅子を斬り裂き……とうとう力尽きて倒れ伏し、消えて行った。

 

「はあはあ……た、倒したのカ?」

 

「な、なんとか、ね……」

 

2人は緊張が解け、そのままへたれ混んでしまう。 呼吸を整えていると、突然エディが笑い始めた。

 

「フフ……アハハ……」

 

「どうしたの、エディ?」

 

「倒せた事に喜んでいたケド……それよりも世界にはあんなに強い獣がいて嬉しいんダ。 ワタシは……もっともっと強クなれる……!」

 

寝そべりながら腕を上げ、開いた手を握りしめてエディはそう言う。 イットは苦笑し、それから視線を横に移した。 そこには無残に命を散らせた角牛の亡骸があった。

 

「この角牛も不運だったな……こんな目にあって……」

 

「でも、それが自然ヨ。 化物であれなんであれ、弱肉強食……でも世界が、自然が厳しけれバ弱い者は強い者の肉にすらならナイ……ダカラ、私は強くサイキョーになりたい」

 

だが、せめてもの弔いとして、角牛の命に感謝を込めてその血肉を頂こう。 集落から男手を呼んで角牛を解体していると……そこへ、2人の男性が息を上げながら歩いてきた。 キチンとスーツを着て身なりはいいが、アウトドアに慣れてないのか、かなり疲労している。

 

「……ん? あんた達、誰?」

 

「こらエディ、失礼でしょう」

 

「いや、気にしなくていい。 君がエーデルガルド君だね?」

 

「そうだケド……ワタシに何の用だ?」

 

「単刀直入に言おう。 僕らの街で1番女の子になってみる気はないかい?」

 

彼らはミッドチルダで格闘技のジムをやっており、逸材を探すべくこの地方で育った人材をスカウトしに来たそうだ。 そして先ほど集落で長老の話を聞き、エディに白羽の矢が立ったようだ。

 

「エディが1番? 無理無理、素質はあるけど今のままじゃ絶対無理ですよ」

 

「えええッ!?」

 

「それは一体どういう意味だい? えっと……」

 

「自分は神崎 一兎と言います。 昔ならいざ知らず、今のミッドチルダは魔法だけではなく武の方にも力を入れています。 勘や直感、フィジカルだけが頼りのエディでは、良くて中の上止まりと言った所です」

 

「それは……」

 

「無いと言い切れますか?」

 

「……実際、いつもイットにはボロクソ言われてるから言い返せないヨ……」

 

今朝も直球で非難された事を思い出し、エディはガックシと項垂れる。

 

「……あれ、神崎? 神崎ってもしかして……蒼の剣聖、神崎 蓮也の……?」

 

「え、ええ……神崎 蓮也は俺の父です」

 

「やっぱりそうか! ミッドチルダ最強の魔導師、その息子に会えて光栄だよ!」

 

「ええっと……」

 

「ーーオッホン!」

 

と、そこでもう1人の男性が態とらしく咳払いをし、聞こえたのか眼鏡の男性は顔を赤くして頭をかきながら身を引いた。

 

「で、どうする? 色々と非難はしたけど決めるのはエディだよ」

 

「う〜〜ん…………」

 

頭を抱えて悩むエディ、するとイットの顔を見て……

 

「ねえイット、一緒に来てワタシをサイキョーにしてくれないカ?」

 

「え? そうだね……もう確実に老師は帰ってこないだろうし、家族も心配しているから帰ろうかと思ったけど……だが俺もまだ初伝、教える立場にはないんだが……」

 

「それでも! ワタシはイットに教えてもらいタイ! イットと一緒にサイキョーになりタイ!」

 

拳を握り、エディは大きな声でそう言う。 今度はイットが悩み……ゆっくりと頷いた。

 

「……分かった。 でも覚えておいて、最強を目指すならいずれ立ち塞がる……至高の存在がね……」

 

「至高……」

 

イットは脅したつもりだが……むしろエディをその気にさせてしまい。 彼らのスカウトを受ける事になった。

 

「あ……あの出来れば充電器を貸してもらえませんか? もう俺のメイフォンの充電が無くなってしまって……」

 

「ああ、構わないよ」

 

イットはほぼ1年前に充電が切れたメイフォンを取り出して見せた。 男性から充電器を受け取って充電し……数分で電源が付いた。

 

「えっと……うわ、凄いアップデートの数。 後メールとーー」

 

そこでイットは目を疑った。 着信履歴とメールを見ると……着信履歴はビッシリとヴィヴィオの名で埋まっており、同様にメールもヴィヴィオの名で埋まっていた。 時折親達のメールもあるが……

 

ピリリリリ♪

 

「うわっ!?」

 

驚愕して言葉も出ない時に来た着信、不意を突かれてメイフォンを落としそうになりながらも画面を見ると……そこにはヴィヴィオの名前が。 イットは少し唾液を嚥下し、恐る恐る出ると……

 

「も、もしーー」

 

『お兄ちゃん!!!』

 

応答を言い終わる前に、耳に当てる前に大音量で音がイットの鼓膜を揺さぶった。 イットは耳がキーンとなりながらもメイフォンを持つ。

 

「……はい……お兄ちゃんですよ……」

 

『今の今までどこに行ってたの!? ヴィヴィオはもうかなり心配したんだからね! いつまで経っても連絡が返って来ないし、パパとママ達は“大丈夫だろう”って放置するし!』

 

「あー……そうだね」

 

父達を思い出しながらイットは納得してしまう。

 

「……老師はどっか行ったし、目的も出来たから近々帰るよ。 お土産、期待しておいてくれ」

 

イットは木々の合間から見える空を見上げた。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

翌日……身支度を整えたイットとエディは集落の前におり、集落の人達が2人を見送りに来ていた。

 

「ううぅ……にいちゃん、ねえちゃん……」

 

「行かないでよぉ……」

 

「あ〜、泣かないでヨ〜……ワタシまで行きたくなるなるカラ〜……」

 

子ども達に泣き付かれてエディは慰めるように頭を撫で、苦笑いしながら決心が揺らいでしまう。

 

「皆さん、この半年間……本当にお世話になりました」

 

「いいのよ、こっちもイット君にはお世話になったわ」

 

「馬と羊の世話とか、家の修復とか、狩りとかでこっちも世話になったからな。 お互い様だ」

 

「ええ、月にあなたが遠く離れた町から買い出しに行ってくれて……それだけでもありがたかったのよ」

 

「そう言っていただけると」

 

そして出発の時間……2人は別れを惜しみながらも荷物を背負った。

 

「じゃあ皆……行ってくるヨ!」

 

「うむ、イットに面倒や迷惑はかけるなよ」

 

「ちょ、それどう言う意味ヨ!?」

 

「はは。 心配しないでください、エディは責任を持って面倒を見ますので」

 

「イットはイットでヒドイ!?」

 

エディがガーンとなると、辺りから笑い声が立ち込める。 そして、今度こそ2人は歩き出し……集落が一望できる丘で振り返った。

 

「皆、待っててネー! すぐにお金を稼ぐけど……次会うときはサイキョーになって帰ってくるカラ!」

 

「聖王のご加護を! 今度は家族を連れて来ます!」

 

手を大きく振りながら進み、遠くに見える集落の皆も返すように手を振るのを見送り……2人は集落を後にした。

 

するとすぐに、エディの目元に涙が出てきた。

 

「ウ〜……グスッ……」

 

「エディ、泣かないんじゃなかったのか?」

 

「だって〜、皆と離れバなれになるのは寂しいヨ〜……」

 

「その気になればいつでも会えるさ。 エディは夢を叶えるために行くんだろう? だったら……!」

 

「ウワッ!」

 

イットは喝を入れるようにエディの背中を叩き……

 

「胸を張って、真っ直ぐ前を向いてこの高原を出よう」

 

「イット……うん!」

 

空を見上げて少しボーッとなりながらも涙を拭い、エディは笑顔になって勢いよく頷く。 そして高原を抜け、整備された舗道に出ると、そこには1台の車と2人の男性がイット達を待っていた。

 

「あ、来たね」

 

「お待たせしたヨ」

 

「道中、よろしくお願いします」

 

「では行くとしよう。 ミッドチルダに」

 

4人は車に乗り込み、車は走り出した。 しばらくイットは遠くなっていく高原を見つめ……不意にある事を聞いた。

 

「すみません。 まず、エディは何をすればいいのですか?」

 

「ん? そうだね……先ずはフィジカルチェックをして、キチンと実力を把握してから試合を組むかな。 まあいきなり試合になる事はないよ」

 

「ふうん? ワタシは最初から戦いたいけどナー」

 

「そんな調子ならミッドチルダの武術の世界では生きていけないよ。 ここ最近の魔導師はマジカルよりフィジカルの方が強いんだから」

 

「あはは、でも気合いがあっていいね。 そうだ、先ずは都会に慣れるためにもでもあるけど……イット君も含めてある大会に出てみる気はないか?」

 

『大会……?』

 

何故がイットも含まれおり、2人は揃って疑問に思い聞き返してしまう。

 

「そう、18才以下の子ども達によるチームバトル……年々強豪ぞろいだけど、参加してみる気は無いかい?」

 

よく分からないのか、2人は揃って首を傾げたが……内心ワクワクしていた。 まだ見ぬ相手と戦える事に。

 

ーーこれは1つ目の軌跡……鬼を宿した臆病な兎が仲間と共に歩む道……

 

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