MONSTAR HUNTER METEOR 作:メテオ9729
雷狼竜
眩しく照りつける光で俺は目を覚ました。
青く、薄らと雲がかった空を視界に捕え、ゆっくりと体を起こす。
どうやらショウとカエデは意識を失っているらしい。
クアンタさんは腕を組み、目を瞑っている。眠っているのだろうか。
ガーグァがひくこの荷車から考えるに、どうやらクエストを終え、村へ向かっているらしい。
俺は朦朧とする頭で懸命に何があったのか、記憶の糸を手繰り寄せた。
*****
ジンオウガへ向かっていった俺たちは、基本的な陣形になった。
ハンマーの俺とクアンタ姉さんは比較的前方、ハンマーの基本的な目的である
俺たちに対し、カエデは雷狼竜の背後へ。
各々の役割を最も生かすと思われる陣形で俺たちはジンオウガを囲んだ。
しばし、この状態で静止。
隙が……ねぇ……。
暗闇で輝く稲妻、
そして何より、嫌でも感じる異様な程の威圧感。
とてつもない圧力……。立っているのがやっとなくらいだ。
ごめん、それは言い過ぎた。動けるっちゃぁ動ける。
とにかく、俺は少し緊張し、ハンマーをもう一度握りなおした。
刹那、俺の横を駆け抜ける一人の女性。
その後ろ姿はよく知っている。クアンタ姉さんだ。
クアンタ姉さんが振り上げたハンマーが、雷狼竜の頭部を捕えた。
反動に負けるように、雷狼竜の顔が跳ね上がる。
俺はその隙を見逃さず、一気に畳み掛けた。
跳ね上がった顔へもう一度ハンマーを振るい、背後ではカエデが巨大な刀で尾へ一太刀浴びせた。
尾の肉が削がれ、血しぶきが舞う。
クアンタ姉さんがハンマーを地を抉りながら振り上げる。
そのハンマーは見事に腹部を捕えた。……俺の。
「ぐ……ぐふっ!!」
呻き声を漏らして宙を舞った俺は、雷狼竜から十分に距離をとったところで勢いを無くし、頭から落ちた。
……痛いです。
涙を流しながら、俺は起き上がり、ジンオウガの方へ視線を向けた。
――――――――俺のいた地面が抉れている。
クアンタ姉さんが俺の事を救ってくれたのだ。
実際、モンスターの攻撃に耐えるために作られた装備の上から殴られても、痛みはほとんど感じない。
まぁ、頭から落ちた時は首が折れるかと思ったけどな。
そのクアンタ姉さんが俺に向かって指示を出した。
「おいコウキ! 落とし穴仕掛けろ。こいつ落とすぞ!」
「了解!」
アイテムポーチから取り出したのは、ネットが小さく折り畳まれた小さな袋。
地面を少し掘り、俺はその袋を埋める。
ちなみに、落とし穴の仕組みはこうだ。
袋を埋めた地面からネットが噴出し、ネットは空中で広がり、地面に付着する。
このネットに湿らせた薬物が地面に触れると同時に化学変化を起こし、土が溶け、その溶けた地面にモンスターが触れる事によってその重さで地面が沈むと言うものだった。
俺は埋め終え、様子を見るためにジンオウガを見た……。
一目散にこっちへ向かってきている。
うん、終わった。一瞬でそう思った。
必死に後ろを追うクアンタ姉さんとカエデの姿が見えるが、雷狼竜の速度には敵わない。
しかも、まだ落とし穴は完成していない。俺は動くに動けず、気がつけば激痛と同時に体は宙に浮いていた……。
強烈な痛みに意識も朦朧とする。最後、視界に捕えたのは雄叫びを上げる雷狼竜と、今になって噴出した落とし穴のネットだった。