もんむす・くえすと!の女の子たちがやって来てしまった件について 作:森野熊漢
とりあえず前回までのような感じではないです。
「あー……なんか久しぶりに一人でゆっくりしてる気がする……」
俺は現代の自室で寝転がりながらぼやいていた。
つい先日に四天王との手合せ(?)をし、その次の日からまた平日で仕事。正直ある意味充実はしてるが、疲労感が半端ない。休みに休めてないどころか命の危機に瀕していたなんて冗談じゃないぞまったく。
平日の癒しは主に七尾だ。仕事の合間や仕事から帰るときによく話しているが、なんとなく癒しを感じている。
彼女自身、こちらに来て仕事を始めてから一カ月ほどだが、だいぶ慣れてきたようである。もともとたまもの側近ということで有能だからというのもあるからだろうか。
かむろときつねは、俺のクラスの児童としてよく頑張ってくれている。二人とも実年齢は相当上のはずなのだが、うまく溶け込んでいる。……かむろはともかく、きつねは素で溶け込んでいるようなのが少々笑えるが。
平日はこの三人と過ごしている。時々たまもも様子を見に来てくれるし、ご飯の用意をしてくれたりもするが、一番長く過ごすのはやはりこの三人だろう。かむろの料理スキルがグングン伸びているのもそうだが、意外なことにきつねの他の家事スキルが伸びてきていることに驚きを隠せない。あの子、意外な才能があるのね……。
七尾が二人の家事スキルを目の当たりにして、焦ったように「……これは休日に頑張らないといけないかしら……」とか呟いていたあたり、やはり相当できるようになったのだろう。
「平日頑張ってるんだから、休日くらいゆっくり休みなよ」と伝えると、少し不服そうにしていたのが若干気になったが。
んで、その家事スキルは、最近は自分たちで伸ばしているらしいが、大元の基礎スキルはアルマエルマに仕込まれたらしい。もうほんと万能だなアルマエルマさん。なんというか頼れるお姉さんとかでは納まりきらないで、「おふくろ」ってポジションだよ。
あ。ちなみにもんむすたちは食事とか洗濯とかはこっちで済ましているものの、寝る時は基本ポ魔城に帰ってる。七尾曰く「テレビで見ましたが、最近は平気で人のプライバシーを侵害してでも報道したがるところがあるから、輝に不利になるようなことはしたくないです」とのこと。
まあ変化して外を出歩いてるわけだし、ゆっくり休む時くらいは元の姿でのびのびしたいだろうし、そっちの方が彼女たちも気が休まるというなら特に口出しする気はない。
……まあ、そんな風に気を遣ってくれている七尾には、朝起きたときにきつねやかむろが布団にもぐりこんでいることに関しては、黙っておいた方がよさそうだな。
少々長くなったが、こちらの平日はこんな感じである。
だが今日は休日。みんなはポ魔城でゆっくりしているころだろう。
かくいう俺もゆっくりのんびりしているわけだが……うん。
「アドラー、いるか?」
「どうした、輝」
「早い!?」
なんとなしに呼んでみたら、間髪いれずに返事が返ってきた上に、机の上で開きっぱなしになっているノーパソからアドラメレクが顔を出した。
あ、アドラメレクっていちいち呼ぶのがまどろこっしいから「アドラ」って愛称をつけた。彼女もそれに了承してくれた。ついでに俺のことを名前で呼ぶように頼み、口調もシステムチックなものから変えてもらったのだが、すぐに順応してくれた。さすがアドラ、できる女である。
「輝に何も起きないか見張っていたから、早くて当然」
「……少なくとも部屋でアドラが心配するようなことは起きないから安心してくれ」
そして最近わかったのだが、彼女は案外心配性である。……俺を主と認識しているからなのか?
「そういやソニアたちは?」
「今は狭間で休んでいる。世界に顔を出すわけにもいかないから」
「……そうか」
そういえば、XX型アポトーシスって世界にとって脅威になってたな。そりゃ気軽にポ魔城とかフィールドとかにはいけないか。
「まあ、もし退屈してるようだったら俺の部屋なら来ても大丈夫だって伝えといてくれ」
「……わかった。ソニアたちも喜ぶ」
アドラ、ソニアカオス、ソニアマズダ、ソニアマンユの四人が一部屋に揃うってなかなかに絵面がやばそうだけど、まあいいだろう。同じところにいるよりは、多少狭くても違うところの方がいいこともあるだろうし、帰りたかったら別に引き留めるつもりもないし。
「そういや、今更だけどアドラたちが来てもこの部屋って何ともないよな」
本当に今更だけど、俺の部屋って別世界の人が行き来するわ生活するわ、と実に現代社会から見たら不可解極まりない現象が起きてるんだが、なんというか世界の危機みたいなのが起きる気配はない。
「すべてがアポトーシスになる」ってゲーム中にあったし、なんなら俺が一番にアポ化してもおかしくないんだが、特にこれといった変化はない。
「……この部屋は特異点。私たちが存在しても変質しない極めて特殊な空間だから」
「マジか」
俺の部屋って一体。
「あとこの部屋、我たちにも干渉できない結界が貼られている。外への影響は起きない」
「マジで俺の部屋何が起きてるの!?」
いわくつき物件とかじゃなかったよなここ!?
「その代わり、私たちはここから外に出られない。世界に拒絶される」
「……それは少し寂しいかもしれないな」
「……別にいい。輝の世界を壊すのは本意ではないから、我慢できる。それはソニアたちも同じ」
なんだなんだ、お前らいい奴すぎやしないか!?え、アポトーシスってこんなだっけ!?
断界接触とかそんなのが無い限りすごくいい奴らなの!?
けど、それでアドラたちが寂しい思いをするのは違う気がする。
「……ここじゃ無理ってならさ。またそっちに行くなり……世界に影響が出るっていうなら、アドラたちがいても問題ないところ……そうだな、行っても大丈夫なタルタロスの先の世界とかでも散歩しようや」
「……必要ない」
「……存外気持ちが顔に出るのなお前」
今一瞬だけど、顔がパァッと明るくなって、そこから寂しそうな顔になったのを対面の俺が見逃すと思ったか?
「俺と、お前と、ソニアたちと……そうだな、連れて行きたいなら他のアポたちもいいかもしれないな」
「……楽しみに、していい?」
「時々でもいいならな」
自分で言っておいてなんだけど、アポたちとの散歩って割と混沌としてるな。主に見た目的な意味で。
けど、付き合いを深めてみると結構面白い奴らだったりもする。多分。おそらく。絶対。
「我、戻る。ありがとう」
「ん、こっちこそ急に呼び立てて悪かったな」
アドラはそう言い残してパソコンに戻って行った。多分だがソニアたちに今の話をしに行くのではないだろうか。
「っと……とりあえず今日はまだまだ時間あるし、一日ゴロゴロ『輝、来たぞ!』させてくぐべぇ」
パソコンから球形の物が飛び出したと思ったら壁で何回か跳ね返り、寝転がっていた俺の腹の上へ。もっふもふしてるとはいえ、それなりの勢いと重量があるから少なからずダメージはある。
「たまも……次からはそれはやめろ」
「む、どうしてじゃ?」
「貴様、どこにダイブしてきたかわかってての質問か?」
俺の上に乗ってきた球形の物はたまも玉。つまりはたまもである。
つまりは少女サイズとはいえ人一人分の重量を腹に受けたわけだ。やめろと言って何が悪い。
「……輝、大丈夫?」
「ああ……ってエルベティエ。心配するふりをしながら俺の右腕をとりこむな」
「……下半身の方が良かった?」
「ちくしょう『譲歩してやったんだから我慢しろ』みたいな目で見やがって!」
エルベティエはエルベティエで、さりげなくちょっかいをかけてくる。……それだけ気を許してくれているのかと思えばまあ悪い気はしないのだが。もんくえとかの初期の彼女と比べると、ね?
「……とりあえず、向こうでみんな待ってるから」
「うむ!れっつらごーごー!じゃ!」
「わかった!わかったからとりあえず離せええええええええ!?」
どうやら今日一日も、ゆっくり休めないものの、騒がしく退屈しない一日になりそうだ。
そのことに満足している俺がいた。
四天王がほぼ毎回出てるので、そろそろ別の子も出してあげたい所存。
ゲームで使ってないキャラが多すぎるのであまり考えられてませんが、そこらへんは想像でなんとかしましょうか(投げやり)
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