もんむす・くえすと!の女の子たちがやって来てしまった件について 作:森野熊漢
「そこっ!」
「ぐうっ…!」
ガキィンという音が鳴り響き、手に大きな衝撃を感じ、痺れが来る。
「まだまだぁ!」
「ちょ、まじかよ!」
「くらえっ!」
飛んでくる剣戟に俺はというと。
「ちょおおおおぉぉぉっ!?」
すんでのところでところで身をかがめ横に転がることで回避できた。
すぐに体勢を整えるものの、こちらから打てる手がないためどうしようもない。
さてどうしたものか、と考えていると。
「ふむ、今のも避けるか……。よし、いったん終了だ」
「やっとか……死ぬかと思った……」
その場に腰を下ろし、大きく息をつく。
「何をこのくらいで音をあげている、軟弱な」
「あんたら基準の能力を誰しもが持ってると思うな!」
「ふん、それだけ喋れるならもう一回」
「頼むから身体能力の差を考えてくれませんかねえ、グランベリアさんよぉ!」
ただの一般人に四天王の相手をさせるのは酷いと思う今日この頃でございます。
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どうも、種族人間、職業は社畜の一般人、片梨輝です。
先日もんぱら世界の住民がこちらにやってくるということがあったわけだが。
どうやら夢ではなかったらしい。
というのも、だ。
「おい、朝だ起きろ。この時間まで何を寝ている」
乱暴に揺すり起こされる感覚があったからだ。
起こされるだけなら普通、とおもうかもしれないが、俺は一人暮らし、いや独り暮らしをしている。
もうお分かりかと思うが、俺を起こす人などいてはいけないのだ。
「……なるほど、いい度胸だ」
夢だという淡い希望を抱き、目を瞑り布団にもぐりこみ続けていると、不穏な声が聞こえ。
ーーーーザクッ
何やら不穏な音が頭の横でした。何事かと思い、薄目を開けてみると。
なんということでしょう。大きな剣が鼻先3cmのところにあるではありませんか。
「…………………………」
「起きたか。お前が寝たふりなどつまらないことをするから手荒な真似をしなくてはならなかったんだが」
冷や汗が止まらない今日この頃、何故かグランベリアさんにさわやかとは言い難い起こされ方をされた俺だった。
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「あら、おはよう輝」
「……おはよう」
「待ってて、今パンを焼くから」
リビングにグランベリアさんと共に着くと、そう声をかけられた。
どっこいしょ、と席に着くとすぐに目の前にコーヒーを出された。
顔を上げると。
「…早いな」
「でしょ?気が利くと言ってほしいわね?」
「さすがですアルマエルマさん。ありがとう」
アルマエルマさんがニコニコしながら立っていた。
現在、いつもの若干過激な服装の上にエプロンを着てるため、なんというか普通に家庭的な雰囲気を醸し出してるという状態である。何も知らない人が見れば、奥さんとかに見られる可能性があるよなこれ。
……うん、平々凡々な俺の奥さんにアルマエルマさんとか、なんだそれ。月とすっぽんすぎるだろ。
もちろん月はアルマエルマさんだ。
「気が利くというなら、こいつをもっと早くに起こしてやったほうが良かったんじゃないか」
「そうかしら? 休日なんでしょ? しっかり休ませてあげた方がいいと思うけど」
「休みは確かに必要ではあるが、遅くまで寝ているのはまた違う話だろう。多少眠かろうが、早めに起きた方がいいと思うが」
「まあそうではあるけど……輝の普段から考えたら少しくらいはよくないかしら」
「あの、なんで俺の起きる時間についてそんなに話せてるんですかね」
何故かグランベリアさんとアルマエルマさんが俺の休日の起床時間について議論していた。
ちなみに俺はアルマエルマさんに着きます。なぜなら休日はしっかり休みたいからです。
「何故って、お前のためだろう。魔物も人間もしっかりとした生活習慣が大事なのは変わりない」
「それは確かにそうだが、平日はしっかり起きてるんだ。休みくらい寝かせてくれ」
「……たるんでるな。ルカを見てみろ。あいつは毎日早起きして鍛錬を積んでいるぞ」
……そりゃ、そっちの世界では冒険者はそのくらいしてないとダメなのだろう。経験が、努力が己の今後を左右する生活なのだから。
「いや、俺はこっちの住民だし必要ないだろうが……」
まあ、こう返すしかないよな。非戦闘員なんだし。
……バトルファッカーたちが普通に戦える戦闘力を有していることに関しては知らん。むこうの住民はみんなサイヤ人だと思ったら解決するし。
「お前もこっちに来ることがあるかもしれんからな」
「いや、行かないよ。興味はあるけどさ」
興味はあってもわざわざ危険を冒してまで行きたいかと言われると微妙ではある。
「ほう、なかなか興味深い話をしているの?」
突然窓際から声が聞こえた。目をやると窓から入ってきた日光がよく当たる位置に、ボールが転がっている。
いや、見た目はボールだけどあれは。
「何してるのたまも……」
「無論、日向ぼっこじゃ」
くるんっとボールから通常形態になるたまも。正式名称は玉藻前さん。
たしか天魔対戦だかなんだかの時から生きてる重鎮だったか。
「して、輝はこっちに来ることに興味はないのかの?」
通常形態になるものの、ぐでっと寝転がっている彼女を横目に俺は。
「いや、もちろん興味はあるけど、そんな俺がそっちに行けるかなんてわかr「よし言質はとったぞ。ご案内じゃ!」「わかったわ」「了解だ」「……ようやくね」待て誰も行くとは言ってないから離してくれそもそもエルベディエはどこから出てきた!」
「……ずっと一緒にいたわよ」
「やっぱり怖いなこの人!だあああああもう離せって!」
抵抗も空しく、俺は四人にノートパソコンの穴に放られました。
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「……この空間になぜ来れた」
「いや、俺に訊かれても。そもそも来るつもりなかったし」
ぶち込まれた先は冥府でした。
なんでわかるかって?死神さんが目の前にいるからだよ。
「……まったく、ルカの知り合いか?にしてもお前はあの連中とはまた違う異質さを感じるが」
「はぁ……そう言われても俺だって初めてきたわけだしわからないんですが」
「……ふむ、この空間では、というよりは私も含めて……か。これは」
何やらぶつぶつ呟いてらっしゃるのですが、なんですかこの人。もともと若干不気味な人ではあるけど、こういう意味での不気味さはいらなかったよ?
「はぁ、まあいい。とりあえずお前の世界と彼らの世界とがつながるようにしておく」
「えっ、死神さんそんなことできるんですか」
「私だからな。というより、お前が特殊なのと、ここに真っ先にきたということが大きく関係するのだが……白兎の奴も使うか」
「はぁ、まあよくわからんけど頼みますわ」
なんか知らないけど直通ルートを用意してくれるらしい。ありがたい。……ありがたいのか?
「じゃあそこの魔法陣に乗れ。先に行った奴らと同じ場所に転移させてやろう」
「あー、うん、ありがとう。また来るかもだけどその時はよろしく頼みますわ」
「……いや、来ないでいい……と言いたいが、来そうだな。うん」
転移する瞬間、死神さんは遠い目をしていた。
……すみません、たまに憂さ晴らしで喧嘩吹っかけてたからですね。申し訳ない。
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と、いうことでポケット魔王城へ無事転移。そこからいきなりグランベリアに中庭に連行され、冒頭へと至るわけだ。せめて中の案内とかしてほしかった。
「ほら、グランベリアちゃん。もう終わってあげないと輝がボロボロよ?」
「む? 一度も剣を当てていないが?」
「そういう意味じゃないんだけど……ダメだわ、これだからグランベリアちゃんは」
「おいアルマエルマ、どういう意味だ」
……なーんか知らないけど喧嘩が始まったぞ。アルマエルマが噛みついてくるグランベリアを適当にいなしながら、こっちにウインクを飛ばしてきた。……本当にありがとうございます。
「ふむ、輝よ。いい動きじゃったぞ?」
「……そりゃどうも」
こっちはひたすらわたわたしてただけなんだけどね。渡された剣も防ぐためだけにしか使ってないし。
「……本当に初めてなのかしら?」
「初めてだよ。なんなら剣道はおろか、格闘技系もやったことないんだけどな」
「それにしてはグランベリアの攻撃をよく避けていたの?」
「ん? まあグランベリアもなんやかんや言いつつ手加減してくれてたんだろうな」
グランベリアってさっきまでとか今の言動とかで忘れそうになるけど、凄腕の剣士だったはずだし。
え、本編の終章? 頑張ってたじゃん。決して彼女は悪くない。
「……どう思う?」
「確かに最初は。じゃが、中盤あたりからは本気だったと思うのじゃが」
「……後で確認しましょう」
二人が何かこそこそ話してるんだけど、全然聞こえなかった。
「…っと、アルマエルマさんが時間を稼いでくれとる間にさっさと離れるぞ」
「そうだな、疲れてるのにまた再開されるとか勘弁だわ」
エルベディエ含めた三人でその場を離脱。その後は一緒にミニの宿屋で駄弁ってました。
ちなみに後でアルマエルマさんにお礼を言ったところ、すっごく頭を撫でられました。
……正直、とって食われるかと疑ってしまいましたごめんなさい。
輝「ところで、アルマエルマさん以外はポ魔城にいないはずなのになんでいるの」
狐、蜥蜴、水羊羹「終章待ちで暇だから」
輝「すっげぇメタな理由だったな」
ってことで、時系列(?)一応終章待ち時点の予定です。