もんむす・くえすと!の女の子たちがやって来てしまった件について 作:森野熊漢
「ふぃー……今日のデイリーも終わりっと」
PCのタブを閉じてぐいっと大きく伸びをする。
割と今日はさっくり終われたな。
「輝、終わった?」
ドッペルルカシリーズの一人、ホリィが声をかけてくる。最近当然のように部屋に入り浸っているのだが、今のところ特に何も問題なく過ごせている。
というのも、本編未登場なもん娘たちは察知能力が高いのか、四天王とかが来る前後に姿を消すのだ。しかし急に空間に穴をあけて消えていくのは何回見ても心臓に悪い。寝起きに見たりしたら、部屋の修理を本気で考えるレベル。
「んー、とりあえずはなー」
「輝、最近それ毎日やってるよね。楽しいの?」
「まー、楽しいといえば楽しいかな」
見せて見せて、とホリィがせがんでくるので再度ページを開きなおす。
別に構わないんだが、当然のように膝に座ってくるのはいかがなものか。
元が男の子であるルカさんのドッペルだからすごく複雑なんだが、大元のドッペルルカの設定が対ルカさんのために女の子になってたから、つまりドッペルシリーズはみんな女の子って認識でいいかな。いいよね。
「んー、モン娘TD?」
画面を凝視してホリィが呟いたと思ったら、ぎゅりんとこちらに顔を向けて来た。
こわっ。勢いがこわっ。
「え、私たち以外のもん娘にも手を出してるの?」
「すっごく言い方に悪意を感じるんだが?」
お前らみたいに現実に浸食してきてるわけじゃないんだから別によくない?
いや、浸食してたとしても俺の勝手だよな。
なんでこんな圧をかけられてるのか謎だ。
ホリィだけじゃなく、どこかから残りのドッペル三人も背後に現れて圧をかけてきてるんだけど。なんで?
「ふーん、こんな娘たちがいるんだねー」
オープニング画面を見ながら、感想を呟くホリィ。そっと膝から降ろそうとすると動きに合わせて器用に身体を動かして落ちないようにしてきた。意地でも降りる気はないらしい。
ならばと思って、残りのドッペル三人に目で助けを求めると、逆にくっつかれるという事態。
あれ? なんでこんな時だけ察しが悪くなるの? 他の時だとめちゃくちゃ不必要なレベルでこちらの考えていることを当ててくるのになんで?
「あれ? ここにもあの子たちいるの?」
ホリィが指さす先にはタイトル画面。そこには見慣れたメンツがでかでかと表示されていた。
「ああ、今コラボしてるからな」
そう、現在もんくえコラボしているのである。とはいうものの、一通りストーリーは全て終わらせたし、交換アイテムも全部入手した。チャレンジバトルだけ頑張ってるけど、最後の発狂軍団が安定しないなあっていう状態である。
ガチャ? 課金もして全員手に入れたよ。アルマエルマさんだけ異常に出なくて、初めてメダルで交換しましたけど何か?
といっても、あと少しでコラボも終わるわけだが。
「わー、グランべリア以外必殺技が違うんだねー」
「……そこは俺も思った」
何なら、グランべリアもその技なのかよって思ったわ。
なんで「乱刃・気炎万丈」じゃなくて「天魔頭蓋斬・焔」を採用したのか。
本編終了してる設定で、技が使えないなんてことはないだろうに。謎だ。
「天魔頭蓋斬・焔」を覚えてなくてサイト見たくらいには忘れてたぞ。
アリスも「魔王の暴虐」とかでよかっただろうし、アルマエルマさんはサキュバスアーツ零式……はさすがに無理か。
たまもはもうサポート役だし、あの技に似つかわしい名前がわからないし、水ようかんもといエルベティエはヒーラーだからなあ。トークン数を増やすだけだからとくに名前はないな。これは仕方ないね。
きつねやライムは……うん、まあここではいいかな。
「さっきまでイベント走ってポイント稼いでたからスタミナないんだが」
「やってみせてよー」
ホリィがぶーたれるので、仕方なしに必要分だけスタミナ回復アイテムを使い、チャレンジバトルの最難関のものを選択。
こちらのメンツは、まあめんどくさいから省略するが、アリスとグランべリア、たまもは入っている。普通にスキルが強いし。
「あっ、魔王やられてる」
「こっちもやられてるわね」
「おいおい、もしかして輝はこのゲーム下手くそか?」
「これ、逐一きちんとやっていたら途方もない時間がかかるわね。だから完璧を求めるのではなく、回転率を上げているのかしら」
本編だと本陣へのダメージはクリアのランクに関係するからやり直すが、このチャレンジバトルに関しては別に本陣の残り体力さえ尽きなければ最後までいけるからいいんだよ。それに一応ちゃんとノーダメでクリアはしてるから。ポイント稼ぎはそこまでこだわる必要を感じないから不安定だけど回しているってだけで。
そんなことを考えながらとりあえずクリア。ふむ596体討伐か。最終版で壁が落ちたのが痛かったな。
「さて、もういいか? さすがにこのゲーム……というより、このバトルは何回もやるのはしんどいんだよ」
「そうだねー、一回見たらもういいかなって気になったし」
ページを閉じると共にホリィが降りてくれた。
やれ幸いと思うと同時に昼飯を食べていないことを思い出し、パソコンを閉じようとマウスを動かそうとして。
「輝、助けてくれ」
「アドラ?」
なんということでしょう、俺の右手にはマウスではなくアドラの手が握られているではありませんか。
「移動しながら説明する。このまま来て」
「え、ちょ?」
状況を理解する時間も与えられないまま、アドラに異空間への穴に引きずり込まれた。
「あれー、これ、トラブってる感じかな?」
「そうね、あれだけ焦っているなんて珍しいことだし」
「ってことは、だ」
「そうね」
残されたドッペル姉妹たちは頷きあい。
二人の消えた穴に我先にと飛び込んでいった。
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「……なるほど、アドラが本領発揮できなくなっている、と」
「第三種異界接触が発生。しかし我、不調。今は何とか別の我が食い止めている」
「なるほど……」
どうやらアドラメレクことアドラは、第三種異界接触が起きようとしている現場にて排除作業をしようとしていたようだが、どうにも能力が十全に使えていないらしい。
どうやら使えるのがモンスター呼び出しとメテオ、あとは聖光波らしい。
しかも一定時間ごとにしかメテオと聖光波は出せないとか。
うん、なぜかすごーく覚えのある技というかギミックだよな、これ。
「ふむ……もしかしてこっちの四天王とこっちにいないもん娘たちと戦ってるとか?」
「それもある」
……ん? それも、ある?
「着いた、ここだ」
そう言って、下ろされた場所は。
「やっぱりコラボイベント最終ステージっぽいところじゃないかこれ」
ストーリー最終版の、対アドラメレク戦のフィールドであった。
「……来る」
不意にアドラが呟くと同時にフィールドの中央に降り立つ。
それと同時に現れてきたのは。
「グランべリア、たまも、エルベディエ、アルマエルマ……んだと!?」
最初は四天王だけかと思った。それならまだいい。俺の知っているストーリーでもそうだからな。
だが明らかにこれは違う。俺の知っているストーリーにはないことが起きている。
「なんで、あいつらがあんなに数増やしているんだ……!?」
最初に見えた四天王の後ろには夥しいまでの数の四天王がいた。
アドラが呼び出したモンスターは四天王に接敵すると戦闘し始める。だが悲しいかな、多少殴り合ったところでモンスターが粉砕されていく……?
(多少なりとも殴り合えているだと?)
これがもんぱらの世界だったらおそらく一撃でアドラの呼び出したモンスターは一瞬で消し去られているはず。かといって、ここがモン娘TDの世界線だったとしても明らかにおかしい。
明らかにあの四天王は弱体化している。その証拠にスキルを全く使ってくる気配がない。
(かといって、俺が一人でどうにかできるものでもない……!)
おそらく、あの四天王相手でも戦うことは出来たとしても、アドラへの侵攻を防ぎきることは出来ない。
聖光波やメテオは一定時間ごとに撃てるとはいえ、後続がどんどん押し寄せてくるだろう。あまりにも焼け石に水が過ぎる。
「わー、すごいことになってるねえ」
「いや、すごいこととかそんな呑気なことを……?」
思わずツッコミを入れたが、今俺は誰に対してツッコミを入れた?
後ろを振り返ると、装備を展開している四人組の姿。
「これは私たち、大暴れできる感じ?」
ふむ。状況を整理しよう。
①ここはもんぱら世界ではない。
②明らかにイベントとは異なる戦闘。
③アドラがピンチ。
④原作キャラがいない。
⑤既に第三種異界接触状態。
なるほど。
となると、ここでの俺の役割はとりあえず決まったかな。
「よし、ドッペル4姉妹は俺の指示で動いてくれ!」
『了解!』
主人公くんの立ち位置で、あの軍団を食い止める。
超久々です。
本当はイベントあった時期に書きたかったけどなんやかんや手を付けていなかったです。
そしてこの時期にやることでうろ覚え状態という……。
なんとなくこうしたいっていうのはあるんですが、進みは遅いと思います。
あと書き方とかも忘れていますね、これ。
また感想やら評価がもらえたら嬉しく思います。