もんむす・くえすと!の女の子たちがやって来てしまった件について 作:森野熊漢
なんならもんぱら終章の体験版まで出てるのにね。
あ、ちなみに体験版はまだ手を出してないです。
「ホリィ、そこから右へ!リノアは左!ハイネとキリエはそこで迎撃してくれ!」
声を張り、ドッペルたちに指示を飛ばす。
今回の勝利条件といえるのは、アドラことアドラメレクの防衛。向かってくる奴らがアドラに殴りかからないようにすることである。つまりもんむすTDでいうところのハートマークのアレである。侵入されたらダメージ喰らうやつ。
そしてもんむすTDのようにかぐやドッペルルカたちに動いてもらってるのだが、いやはや強い。
ハイネはおそらくガーディアンクラスであるためか、一度に多数の敵を食い止めている。さっきから偽四天王が定期的に吹き飛んでいるのを見るに大丈夫だろう。
キリエはアーチャーだろうか。なんかとんがってる感じだしイメージとはかけ離れてはないだろう。ちょくちょく敵が5体くらい連なって飛んでいくのが見える。
ホリィはすばしっこさ代表だからか知らんけど、スカウト職みたいな動きをしてる。ナイフを延々と投げてるわけだが、まあ投げた先から敵が溶けていってる。比喩じゃなく本当に。どんな猛毒仕込んでるんだあの子。
リノアは…うん、ヒーラーと思ってたら地味に攻撃もしてない?一人だけ本来のシステムからかけ離れた動きしてない?毒リンことポイズンスライム娘と化したリンよりぶっ壊れてるぞ。ガチャ来たら絶対手に入れるわ。tier1確定だろあの子。
アドラは定期的に聖光波を中央で放っており、範囲内の偽四天王はそれを受けて蒸発してる。ドッペルシリーズたちも直撃してるわけなんだが、混沌の迷宮で出てくる時の耐性に「聖属性無効」があるからか、平気な顔をしている。そこもんぱらの仕様引き継いでるの狡くない?いや、助かってるから文句は言ってはいけないんだろうけどさ。
「んで、とりあえず落ち着いたわけだが」
各々の様子を見てる間に全てが終わっていた件について。
やだもうドッペルシリーズたち怖い。お兄さん、今更ながらに生きる凶器に囲まれてることに気づいたよ。もん娘TDという雰囲気ゆるゆるのゲームでそんなこと気づきたくなかったよ。
「とりあえずアドラは…キツそうだな。キリエ、戻るのに時間はかかりそうか?」
「そうね……私たちはともかく、今の状態の彼女が戻るのは難しいと思うわ」
「なら、どうすれば……」
「行くしかないんじゃないかな? ここへ」
ホリィが近くの穴を指さす。うっすら見えるのは……もしや。
「ゲシュペンス島、か?」
「名前は知らんが、あのゲーム画面に映ってた島と同じ形をしてるな!」
「ハイネにしてはよく見てるわね。ハイネにしては」
「おいリノア、どういう意味だそれは」
悪いハイネ、俺もそれは思った。
「まあ、アドラの回復のためにもゲシュペンス島に行くのがベスト、か。アドラは……動けそうか?」
「う……頑張る」
頑張るとは言うものの、だいぶ使い果たしてしまったようで動くのが厳しそうではある。
さて、どうするべきか。
「ハイネは右、キリエは左からアドラを抱えて」
「おう」「わかったわ」
「ホリィは二人のサポートを。足元だったり周囲に変化があったら二人に教えて」
「わかった!」
「……リノア?」
ぱちくり、とリノアの方を見ると、ウィンクを返された。
やだ、有能すぎてすごい。
「ほら、輝」
手を伸ばされる。
意味が分からず首をかしげていると、むぅ、と頬を少し膨らませ、腕を掴まれる。
そのまま腕を勢いよく引かれたと思ったら、リノアに抱きしめられていた。
「うぉ!?」
「……ふふっ」
少し動揺した俺にリノアは悪戯っぽく笑い、そのまま穴に飛び込んだ。
「あ、リノアずるい!」
「……あとで覚えてろ」
「……今回ばかりはホリィとハイネに同意ね」
後ろからちょっと不安になる内容の声が聞こえた気がしたけどきっと気のせいだと思いたい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……て?輝、起きてー」
「……ううん?」
声が聞こえて、目を開けた。
周りは明るいが、眩しくない。
上からのぞき込む一人の姿があったからだ。
「……ホリィ?」
「あ、起きた!みんな!輝が起きた!」
「……うるせえ……」
「あ、あ……ごめん」
思わず顔をしかめると、ホリィが慌てたあとしゅんと沈んでしまった。
しまった、俺が起きるまで看ていてくれたのに気を遣わせてしまった。
すまん、と謝り手を伸ばしホリィの頭を撫でる。
謝罪の気持ちと感謝の気持ちを込めて優しく、丁寧に。
その気持ちが伝わったのか、ほっとした表情を浮かべてくれた。
「輝、大丈夫?」
「調子が悪かったりしないか? 悪くても肉を食えば何とかなるだろ!ほら食え!」
「ハイネ、今渡しても困るだけだと思うけど」
どうしよう、ハイネが今更になって脳筋キャラになり始めてるんだが。
肉を頬に押し付けてくるのをやめろ。ちょっといい匂いしてるのが地味に腹が立つ。
「リノアたちは何をしてたんだ?」
「私とキリエは周囲の調査ですね。ハイネには狩りを優先しつつ調査してもらいましたが」
「いい魔猪を狩れたぞ!」
「すごく良い環境の島のようですよ。ここが輝の言っていた「ゲシュペンス島」なのでしょうか?」
「……そう言われると俺にもわからん」
ゲシュペンス島のことは島全体を見た記憶があるかないかくらいだからなあ。
火山がある、森があるくらいで、地理関係全く分からん。
「んー、それならさぁ」
ここからどうするかと考えていると、ホリィが声をあげた。
「そこにいる子たちに訊いてみたら良くない?」
「え?」
ホリィの指さす先に目を向けると、そこには。
「………………バレてたの?」
「割と最初から気づいてたよ、君はえっとぉ……」
そっかー、と言いながらのそのそと出てきたのは。
「えっと……誰だっけ?」
「誰なのかしらね」
「知らんなあ」
「知らないわね」
「ちょっと泣いていいかな?」
「かっこつけたホリィが悪いなこれは。確か弓のゴブリンの人だよな」
「私の姿見てそのままの特徴を言われても……」
はぁ、とため息を吐いたゴブリン娘。本当に誰だっけ。
「ゴブリン娘といえばサポーターのアニシラしか思い出せねえ……」
いや、いたのは覚えてるんだが自分が使ったことないからってのが大きいかもしれん。
いや使ってても名前を思い出せないモン娘いるわ。
「ふん、いいもんいいもん。というか、あなたたち誰よ!……はっ、もしかして密猟者の仲間!?」
いかん、マズい方向に流れが行ってしまってる。
「みんな!密猟者!ご主人君はいないけど追っ払うわよ!」
「あー……めんどくせえ。とりあえず黙らせたらいいんか?」
「落ち着けハイネ。まあ迎え撃つ必要はあるが、ほどほどにしてくれ」
ドッペルたちが俺の前に展開すると同時に、木陰からゴブリンが飛び出してきた。
おー、ゲームで出てくるゴブリントークンそのままじゃないか。なんか感動。
「輝、アドラと一緒に下がってて。あと私たちも通すつもりはないけど、周囲の警戒は怠らないで」
「キリエ、気持ちは嬉しいがゴブリンの方に集中してくれ」
なんか適当に放たれた矢がえっぐい角度でゴブリンに突き刺さってるの、結構絵面的に悲しくなってくる。何が起こってるのか全く分からない。ゲーム違っても混沌の迷宮出身ってだけでやばいんだなあ。
そんなことを思いつつよくよくキリエの髪を見ると、
「……ん?」
これまでついてなかったはずのものが。あれは……櫛?
「大丈夫よ、これがあるから」
「なんだ? その櫛が関係してるのか?」
「ええ、これは『百発百中の櫛』。名前のとおりのアイテムよ」
「……もしかしてそれ、混沌の迷宮の?」
「いえ、究極納入で偶然手に入ったもの……のはずよ。」
命中率アップ系のアクセサリ、そういえばあったか。それの一番強い奴か。
混沌の迷宮でも宝箱から出ることはあるっけ。まあ納入スキルで手に入ったというなら本当にそうなのだろう。
「いや何勝手に他ゲームに装備持ち込んでるの!? 効力発揮してるの!?」
「使えてるんだから仕方ないじゃない」
「そうだよ輝。文句言わない」
「なんでホリィに諭されてるんだ俺は……」
たまたまそばを通ったホリィにまで言われる始末である。
「……っ! 輝!避けて!」
「え……うぉおおおお!?」
ホリィの声がした方を見た瞬間に頭を下げて回避行動。直後、頭の在った位置を突き抜けていく複数の短剣。
その短剣は飛び出してきたゴブリンたちの眉間に突き刺さった。
「ふぅ、危なかった」
「ほんとにな!俺の首が飛ぶところだったわ!」
倒れ伏すゴブリンは目を回しているだけで済んでいるが、これってアレよな。
きっとモン娘関係だから無事って訳なんだろうな。
一般人の俺に当たったら首が搔き消えていたんだろうな。
「いや、多分逆にホリィの首が吹き飛ぶところだったと思うけど」
「えっ? リノア今何か言った?」
「いえ、何でもないわ。まあ仮に輝に当たったとしても無事だったと私は思うわ」
「何その変な信頼!?」
そしてどうしてホリィは顔を青くしてるんだい? 君が投げたんだよね?
「おい、くっちゃべってる間に全部終わったみたいだぞ」
そして今まで会話に加わってこなかったハイネが入って来た。
彼女の後ろを見ると、倒れ伏したゴブリンが山のように積み重なっていた。
ゴブリンだけじゃなく、木々も結構倒れているわけだが、どれだけ暴れまわってたんだ。
「とりあえずこいつも取り押さえたけどどうする? 処す?」
「うう、放してぇ……」
ハイネの右手の触手?にさっきのゴブリン娘さんが捉えられていた。
とりあえず、落ち着いてお話しの時間といきましょうか。
次あたりでモン娘TDは終わります。多分。