もんむす・くえすと!の女の子たちがやって来てしまった件について 作:森野熊漢
割とバタバタとしていたのとかありまして遅くなりました。
展開はなんとなく決めてたのに、文字に起こすと難しいことこの上ないという……。
これでいいのかな?と悩みながらの投稿です。
☆10にMeka クマ様
☆9にランドリア様
☆8にグラニュー様
評価ありがとうございます!
おかしい、どうしてこうなった。
「さて、輝……存分にやりあおうぞ!」
「輝とやりあうの、初めてね? ウフフ、勝ったら何しちゃおうかしら?」
「……輝。私は負けるつもりはないから……」
「訓練で鍛えてきたとはいえ、真剣勝負では関係ない。全力で来い!」
「なんでもんくえ中章の四天王連戦の再現みたいなことになってるのかなあ!?」
俺は四天王を前に頭を抱えていた。
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気が付いたら知らない……いや、よくよく見たら知ってる天井だった。
正確に言えば、たまに昼寝に使わせてもらってその時に見ている天井である。
「……あれ?ここは……」
知ってる天井とは言ったものの、ここがどこか、なんてとっさには出てこず、そんなことを呟いてしまう。
辺りを見渡してもあるのはベッド。他に誰かが寝てるわけでもなし。
仕方ないから少し歩いてみるか、と思い、ベッドから離れたところで、見慣れた姿が目に入った。
「お、プチじゃないか」
「あ、ひ、輝!? 起きたの!?」
「ああ、今起きたところだ」
なんだかプチの反応が嫌に大袈裟な気がするが、どうしたんだ一体。
「ちょっと待ってて!」と俺に言い残し、ダッシュでどこかへ行くプチの姿を眺めながら俺はそんなことを思っていた。
程なくしてプチは帰ってきた。帰ってきたのだが。
「なあ、この心なしかポ魔城が揺れている気がして……というか段々と揺れが大きくなってきてない?」
「あ、あー……それは四天王のみなさんに声を『輝!起きたか!』かけたからなんだけ『輝!』ど『輝!』うるさいなあ……」
プチよ、お前はここの宿の主なんだからもっと声を大にして言っていいと思うぞ。相手が四天王とはいえ。
「とりあえず、おはよう。プチが呼んできたとはいえ四天王勢揃いとは仲良いな」
「仲とかの問題ではないのじゃが……まあ、あの時のメンツで集まりやすかったのはウチを含めたこの四人じゃからの」
「プチちゃんが来てくれた時、タイミングよく私たちもそろってたのよ。もう少し早かったらグランベリアちゃんが間に合ってなかったわね」
「ふん、多少出遅れたところで一番乗りするくらいはたやすいから問題はないがな」
「……たった今たまもとアルマエルマに先を越されてなかったかしら……」
「まあそれは置いといて、だ。なんかすごい勢いで来たけどどうしたんだ一体」
首を傾げながら問う。普通人に会いに来るくらいでどたばた騒ぐようなことはないだろう。
「そりゃ騒ぐじゃろうて……輝。お主、覚えておらんのか?」
「ん?グランベリアの楽しみにしていたプリンをたまもが食べてしまったことか?」
「ひ、輝!それは「たまも、後で話がある」覚えておれ……」
「プリンのことはどうでもいいから、話を進めてもいいかしら?」
さすがアルマエルマさん。みんなのお母さんなだけある。
「輝、あなたが覚えてる最後で、プチの宿屋で寝た記憶はある?」
「?」
変なことを聞かれた。確かに俺はここで目を覚ましたけど、それなら俺がここで寝たからなんじゃないのか?
……あれ?
「そういえば俺、たまもにイリアスヴィル前に飛ばされたあたりから覚えがないんだが」
「そこまでは覚えてるのね」
「輝、お主はそこで誰と戦ったとか覚えておらんのかの?」
「おぼろげにだけど……確かラナエルさんだったような」
服をしっかり着てたからあってるはず。
「たしかテンタクルブラストに当たって……そこからは完全に記憶がないや」
なんか頭の中で走馬灯の代わりに呪文の詠唱みたいなのがよぎったけど、関係ないだろう。
「……私たちが輝のところに着いたのは多分そのちょっと後よ……。あの天使が急に現れたと思ったら直後に消滅したから……」
「そうだ。そして消滅させたのが、確か……アドラメレクだったか」
「アドラメレクだって!?」
なんで奴がそこに現れるんだよ!?
「で、その後にまた別のアポトーシスも来て……」
「お主がそいつに半分くらい飲みこまれておったのじゃぞ?ヒヤヒヤしたぞ?」
「別のアポトーシスって……」
アドラメレクときて、別のアポトーシスとくると、それって。
「確か、ソニアカオス、じゃったか?」
「マジか」
話を全て聞いたところ、俺を追いかけてきたたまも一行はアドラメレク、ソニアカオスと戦ったらしい。ソニアカオスは途中でもう二体の異形……予想はつくけど確信は持てないから名前は控えておくか……を呼び出したものの、直後アドラメレクやそいつら共々消滅?撤退?したらしい。うん、わけわからん。
「はー、よく生きてたな、みんな……」
「それは私たちの台詞よ……1日寝たっきりだったから心配だったのよ」
それはきっとその日寝不足だったからだわ。多分。10%くらいは。
「まあ、なんとか大丈夫だったし……心配かけて悪かったな。ほれ、この通り大丈夫だから」
「ならよかったのじゃ。それなら今からウチたちと本気の手合せをするとしようかの」
「……んん?」
今この狐、なんと仰りやがりましたか。
「あら、いい考えねたまもちゃん。乗ったわ」
「ふん、私もちょうど身体を動かしたかったところだ。付き合ってもらうぞ、輝」
「……たまには私の暇つぶしに付き合いなさい……」
「え、ちょ、あの、お前らちょっと落ち着け?」
俺が戸惑ってる間にグランベリアに俵のように担がれて、ポ魔城の外までドナドナされた。
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そして冒頭に至る。
正直に言おう。絶望しかないんだが。
「必殺!たまもパンチ!」
「いきなりだなおい!」
まずはたまもか!小さくかわいらしいその右手をぐーにしてこちらにとびかかってきたのだが、いかんせんその威力は……おそらくアレだ、当たったら即ゲームオーバーなやつだ。
「ほいっ……と」
ラナエルさんと戦った時からつけてる装備のお陰もあり、割と余裕を持って回避できた。
……決して防衛本能が全力で働いたとかはないはず。地面にクレーターができてるのはあれだ、きっとそこだけ偶然地盤が弱かったからだ。
「あら、たまもちゃんだけ見てていいのかしら?」
「あれ!? 一対一じゃなかったの!?」
いつの間にかアルマエルマに背後をとられていた。これが本当に命のやりとりだったら死んでたわ俺。
「さあて、輝はどうされたい?」
「できればこのまま何もなかったことにして部屋でゆっくりしたいんだけど」
「それは無理ね。じゃああまり気が進まないけどちょっとだけお姉さん、バイオレンスになるわね」
「気が進まないとか言う割にノリノリじゃねえか!?」
一旦その拳を開けよう?ね?
「……そこ」
「あっぶね!」
這い寄る混沌……じゃなかった、粘液が足元に来てたのにギリギリで気付いた。
さすがエルベティエ、無駄なおしゃべりなんてせずに攻撃してくるなんて、四天王一クールな奴だ。
「龍をも屠る一撃、その身に受けよ!」
「受けたら死ぬからやめろ!」
巨剣アレスが迫りくる。屠龍撃って確かグランベリアの技の中ではそこまで威力の高い技ではなかったはずだけど、勢いを見る限りそんなことないよな?
……あ、俺のレベルやらステータスが低いからどれを受けてもダメってだけだわ。
「うーむ、やはり輝の回避力は凄まじいの……」
「……そうね」
「私も不意を突いたから近づけたけど、もし正面からだったりしたら確実にダメだったかしらね」
「死剣・乱れ星!」
一人延々と攻撃してくる竜人のせいで、他の三人が何を話してるのかわからねえ!
この間のラナエルさん戦の時と同じで、こちらに攻撃手段がないせいでひたすら躱し続けるしかできないんだが!
せめて武器が欲しい……んだが……あれ?
「いつの間に右手薬指に指輪なんてついてんだ……?」
「……どこに目を向けている?」
やべえ、ちょっと目を指に向けた瞬間を見逃さずに距離を詰められた!
「お前の持てる力、自分で理解しきれていなくてもこれは使えると思ったものを存分に発揮してみろ!」
「…………!」
なら……さっきから鬱陶しいくらい頭をよぎるこれに縋ってみるか……?
「我、混沌を呼び覚ます者なり」
そう決めた次の瞬間には口が詠唱のために動いていた。
「全てを飲み込みし原初の混沌を率いる者なり」
「我の名に於いて、汝を召喚する」
「奥義!乱刃・気炎万丈!」
グランベリアの奥義がこちらに向かってくる。俺に躱す手段は、ない。
だが、どこかで俺はわかっていたのかもしれない。
「……っ!? なっ!?」
「あれは……ディフレクト!?」
「……輝はクララや電磁アーマーを使えないはずよ……なぜ?」
指輪から不可視の盾が現れ、グランベリアの攻撃を防ぎきった。攻撃の終わりと同時に指輪から感じた波導が消える。おそらくディフレクト効果を一時的に失ったのだろう。
だが、おかげで詠唱を中断することはなかった。
「身を削られるも、世界を消し去る力を持つ者よ、我が呼びかけに応じよ!」
「アドラメレク!」
名を呼んだ瞬間、俺とグランベリアの間に裂け目が現れた。
「やはり、来たか!」
「……あまり当たってほしくはなかったが……ウチの予想通りじゃったの」
そしてそこから現れるのは、何度か見た姿。
「消去対象、確認。主様の敵と判断。消去、消去、消去」
「……やっぱりあの時助けてくれたのはお前だったか」
「……主様。無事で、安心」
「ああ、ラナエルさんの時は助かったよ」
「断界接触による危機。我、当然の行為」
「まあお前を呼び出せるようになったのってお前が何かしたんだろうけどさ……」
「……予想外の事態。我も困惑」
「お前自身も驚きの事態なのかよ」
てっきりアドラメレクはこうなるものとわかってたと思ってたんだが。なんというか、すごい奴だし。
「……ふぅ、輝よ。少しいいかの」
俺とアドラメレクの会話が一区切りついたところでたまもが声をかけてきた。
……そういや、四天王と手合せという名の一方的なリンチを受けてたんだっけ。
「先程話したことじゃが……ウチたちが戦ったのはこいつじゃな」
「……そうなのか?」
「相違なし。我への敵意を確認した」
「ま、まあそりゃあ急にお前が出てきたら誰だってびっくりするだろうな……」
つまりはタイミングとこいつへの認識自体が悪かったってことだな。
まあ前章でのラスボスだし警戒されて仕方ないとは思うが。
「よしよし、これでウチたちの目的も達成したし、これで手合せは終わりにするかの」
「そうね、グランベリアちゃんもそれでいいでしょ?」
「……そうだな」
「……戻りましょう」
どうやら俺がアドラメレクを呼び出せるという予測を立てて、この手合せを開いたと。
俺が、一方的に命の危機にさらされることで。
怖い思いをすることで。
「ふーん……なあ、たまも」
「うん?……って、ひ、輝?どうしたのじゃ?」
「どうしたって……何が?」
「輝?なんだか、すごく雰囲気が怖いんだけど……?」
「気のせいじゃないかなアルマエルマさん?」
こーんなに笑顔だというのに、ねえ?
「ところでさ、アドラメレク呼び出しちゃったんだけど、まさかこれで終わりってことにしないよね?」
『……え?』
「そんなの、アドラメレクもいい迷惑じゃないかな?かな?」
「ひ、輝……それでどうしたいんじゃ?」
「そりゃあ……俺にもやっと味方ができたんだからもう少しだけ付き合ってくれるよな?」
『……うっ!?』
「アドラメレク、消去や排除は禁止で、あいつらと手合せを頼む」
「委細了解。消去、排除禁止。致命傷等禁止」
「素晴らしいな、さすがアドラメレク」
俺が言わんとしていることをきちんと読み取ってくれるなんてなんてできた奴だろう。
『えっと、輝?』
「じゃあ、始めようか!」
この時の俺はすっごくいい顔をしてたと思う。
この後お互いに疲れるまで手合せは続いた。
とりあえずですが、シリアス(笑)は一旦終わりです。
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