メリー・オリエンタリズム   作:ひらそん

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-レポートに追われるメリーが強制招集されました-

*2018/4/9に公開後、同年8/29に一部修正しました。


セレブ式東海道メガロポリス

プルルルルルル…

12番線から、のぞみ200号、東京行きが、発車いたします。

 

まだ静かな早朝の京都駅新幹線ホームに流れる合成音声はまるで人間がアナウンスをしているように感じるほど違和感がない。

時間帯が時間帯だからかホームには機械音声の残響が残る。

それに混じって規則的なノイズが聞こえる。

階段を駆け上がるような雑音だ。

新幹線の白いドアが閉まりかけたところに雑音が飛び込んだ。

いや、間に合わずドアに挟まった。

黒い雑音は時代遅れな格好をした少女であった。

靴は革靴、頭には中折帽。

この日の始発はこの風変わりな懐古主義者のせいで30秒遅れて京都を出発する事になった。

 

…と言う場面を私はこの新幹線の中から眺めていた。

窓のホームは静かに流れ始めている。

「はぁー」

とため息をつく私の隣にはあの懐古主義者がやってきた。

「蓮子ったらまた乗り遅れかけたじゃない、恥ずかしいからやめてよね」

私は呆れながら懐古主義者…連子に言った。

すると懐古主義者は帽子を取ると白い歯を見せてこう言った。

「まぁ、乗れたしいいじゃない。ノーカンノーカン!」

流石に苛立ちが私の大きな器から溢れたので メリー右腕1号 遅刻魔懐古主義者蓮子の頭行き を運行した。

メリー新幹線はまっすぐ頭へゴチン。

微妙な間の後に蓮子の悲鳴が耳をつんざく。

私の怒りはこれでも収まらず更に言葉の臨時列車を運行する。

「全く…どっかの蓮根が旅行日程を間違えなければ9時頃のヒロシゲで行けたのにねぇ。自業自得もいい所ねぇ?蓮子さん。」

 

「メリーさん…こわいです、ごめんなさい。」

 

-皆様、おはようございます。この列車は東海道新幹線、のぞみ200号、東京行きです。先ほどの京都駅でお客様の駆け込み乗車があった為、少々遅れて走行をしております。-

 

ほら見なさい、蓮子ったら車掌さんにまで根に持たれてるじゃない。

 

「というかメリーがまた東京に行きたいなんて言うとは思わなかったわ、前回着いてから色々散々な目にあって結局疲れただけでお土産はヒロシゲ饅頭しか[持ち帰れなかった]じゃない。」

 

「前回持ち帰れなかったから今回も行く気が起きたのよ。目標が未達成なんてなんかかゆい感じがして嫌じゃない。」

 

「おっ、マエリベリー副部長も遂に秘封倶楽部の魅力にハマってきましたなぁ!」

 

「うるさい遅刻魔懐古主義蓮根。」

 

「あっはいすいません。」

 

現在、京都-東京の交通手段として一般的なのは「ヒロシゲ」と呼ばれる両都市を一直線で結んでいる地下新幹線のようなものである。

「ヒロシゲ」は卯東京-酉京都の二駅だけを結んでおり片道の所要時間は53分である。

一直線と謳っているが実は富士山の下を避ける為に線形がどうのこうのとか本当はもっと速く走ることが出来るけどヒロシゲの名前の由来である歌川広重の作品「東海道五拾三次」、もっと言えば東海道に設置された宿の数総数53に合わせて所要時間を53分にしているなどと色々な噂がある。

もっとも所要時間の短さから京都-東京で通勤する人もいるぐらいだから昔で言うところの東京メトロにまつわる都市伝説程度のものであるが。つまりこんな事を気にするのは鉄道オタクか連子みたいなオカルトオタクぐらい。

 

しかし私たちが今使っているのは遥か大昔の1964年に開業した東海道新幹線。

連子がヒロシゲの切符を買ったのだが日付が間違っており、気づいた時にはこの日の座席は満席。

そんな訳で本数の少ない東海道新幹線に合わせ出発は午前6時、東京までは2時間の旅である。

こんな時間をかけられるのはセレブか東北人だけだと思っていたがまさか自分が東北人になる時が来るとは…いや、私はセレブですわ。

東北人が嫌いな訳ではないですけれども。私はお嬢様なの、おほほほほ。

 

連子はいきなり鞄を漁り始めた。

中からは大量のスナック菓子。

 

「全く、そういう所だけは用意がいいんだから…」

呆れつつも少し蓮子らしさに笑ってしまった。

…苦笑いですけれどもね。おほほほほ。

 

お菓子を食べながら私たちは現地での倶楽部活動について念入りに確認し始めた。

 

そんな事をしているといつの間にか車窓の流れは悪くなっていた。

窓をよく覗くとビルが迫っていたのでどうやら名古屋に着いたらしい。

ヒロシゲでは味わえない殺風景な高層ビル郡の車窓はなんとも言い難い写りである。




いやー僕的には少しダラダラした展開になったかと思ったのですがこれでも1400文字なんですね…
そんな訳で今回は東海道新幹線を使った東北ゲフンゲフンセレブのメリーさんと懐古主義遅刻魔蓮根ですが私が初めて卯酉東海道のジャケットを読んだ時に驚いた事はヒロシゲが出来た時代にも東海道新幹線が残っているという設定でした。
撮り鉄もしている僕からするとこの作品は色々深く考えてしまう面もあるのですがそれはそれで独特の観点から楽しめているのかなと。

今回はそんな僕なりの解釈も表現してみたつもりです。
なるべく鉄道に詳しくない方でも読めるような内容にしたつもりですが読みにくかったらコメントでクレームを書いてください(コメ稼ぎ)

さて、今回は自分でも足を運んだ場所を使っていきたいなと考えているので更新ペースがえげつない事になるかもしれませんが蓮子さんのように寛大?な目で見ていただければと思います。


-2018/8/29追記-
1話はそれなりに読めなくもなかったので修正を加えるところがあまりなくて良かったです。
まぁささっと見てるだけなのでまだまだな部分も多いかとは思いますがダメそうならまた修正するまでです(本心:めんどくさい)

いつかは本という形にしたいのでその時にはちゃんと修正したいと考えていますがひょっとすると完成版は頒布品のみの公開になるかな?
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