とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)   作:御劔太郎

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第11話 マジョリティーリポート 後編

次の日、詩音は朝から第一七七支部にいた。

自身の特等席である来客用のソファーに座り、愛刀の手入れをしている。

また、別の場所では初春と黒子の二人がレベルアッパーの事で話をしていた。

 

「初春、どうですの?」

 

「はい、何とか取引場所の特定は出来ました。」

 

「本当ですの?」

 

「はい。ただ、仲間内の言葉や暗号などが多くて正確さには欠けますね……」

 

「ですが、レベルアッパーというものが本当に存在していたなんて驚きですわ。」

 

「とりあえず、取引場所の候補地を何ヵ所かピックアップしてプリントしました。」

 

初春は、まとめた資料を黒子に見せる。

 

「え、こんなにあるんですの?」

 

「ええ…今や色んな手段でレベルアッパーは爆発的に広がっていますからね、仕方ないですよ…」

 

「確かにそうですわね。とりあえず、片っ端から当たっていくしか方法は無いみたいだし……じゃあ、行って来ますわ。」

 

そう言って、黒子は支部を出ていった。

 

「じゃあ、僕も……」

 

詩音も刀の手入れが終わったのか、ソファーから立ち上がった。

 

「ねえ、初春さん…僕にも今のと同じのを貰えるかな?」

 

「あ、はい、分かりました。」

 

初春が改めてプリントアウトした資料を詩音に手渡す。

 

「ありがとう。僕は最後ページの方から回って行くからって、白井さんには伝えといて……」

 

「分かりました。紅月くん、くれぐれも無理だけはしないで下さいね……」

 

「大丈夫、退き際は分かっているつもりだから……」

 

詩音も支部を後にした。

外に出てすぐに詩音は足を止める。

 

「うーん…格好つけて出てきたのは良いけど、やっぱり、この量は多いな……ちょっと、知り合いにでも聞いてみようかな?」

 

詩音は懐から携帯電話を取り出すと、どこかにダイヤルし始めた。

数回のコールの後、通話相手が出る。

 

「あ、もしもしー?」

 

『あぁ、詩音?いったい何の用よ……』

 

「あ、別にたいした事じゃないんだけど~ちょっと、聞きたいことがあるんだよね~?」

 

『何よ……』

 

「沈利お姉ちゃんってさ、レベルアッパーの事とか知らない?」

 

『レベルアッパー?使っただけで能力値が上がるっていうヤツよね?』

 

そう、今、詩音が電話越しに話しているのは学園都市のレベル5の一人、序列第四位の『原子崩し(メルトダウナー)』こと『麦野沈利』である。

 

「う~ん、やっぱり沈利お姉ちゃんでも詳しい取引場所とかって分からないか~ゴメンね…ご迷惑をおかけしました。」

 

『別に気にしないで良いわよ。そう思っているなら、たまには何か私に奢りなさいよ……』

 

「アハハハ……了解~♪今度、シャケ弁でも差し入れに行くから♪」

 

そう言って、詩音は電話を切った。

 

「ったく……沈利お姉ちゃんも役に立たないな。そんなんじゃ『アイテム』の名が廃るっていうのに……」

 

そして、詩音は再び歩き出す。

その後、詩音は別の暗部組織と接触した。

その組織と言うのが、学園都市 序列第二位の『未元物質(ダークマター)』こと『垣根提督』率いる暗部『スクール』である。

そこのメンバーから、レベルアッパーに関する有力な情報を手に入れる事ができた。

 

「フゥ~やっと良い情報が入った……」

 

詩音が手に入れた情報にしたがって取引場所までやって来た。

そこはすでに取り壊しの決まっているビル群……

五階から七階建てのモノがほとんどだ。

 

「ここか………って、あれ?……」

 

到着した取引場所で見知った顔が目に入る。

佐天だった。

 

「佐天さーん!」

 

詩音は佐天に向かって手を振る。

それに気づいた彼女が詩音に駆け寄り抱きついた。

 

「し、詩音くん!白井さんが……白井さんが……ッ!」

 

詩音の胸の中で泣きじゃくっている。

 

「どうしたのッ?!!佐天さん!落ち着いて!」

 

詩音は佐天さんから事の次第を聞いた。

彼女が言うには、たまたまレベルアッパーの取引を目撃し、そのまま不良たちに絡まれてしまった。

そこに、これまた偶然に現れた黒子が助けに入ったが、リーダー格の男が予想以上に手ごわく、苦戦しているという。

 

「だいたいの事は分かった。白井さんは僕に任せて、佐天さんはアンチスキルに通報をお願い!」

 

「だけど、私のケータイは充電が切れてて……」

 

「じゃあ、僕のを使って!使い方は分かっているよね!」

 

「う、うん……」

 

「じゃあ、お願いね!」

 

詩音はアンチスキルへの通報を佐天に任せて、廃ビルの中に入っていく。

最上階まで上がると、黒子が居た。

レベル4の彼女は不良からの暴行を受けてボロボロだった。

その姿を見た詩音は、内心黒子のことを残念に思っていた。

しかし、あくまでも詩音は彼女の同僚、友人として不良と会い見える。

 

「おい、不良!」

 

「あん?」

 

詩音の声に反応した不良がコチラを向く。

また、黒子も同じように気付いた。

 

「し、詩音さん……」

 

「何だぁ?」

 

「ジャッジメントだ。お前を公務執行妨害と暴行の容疑で拘束する!覚悟しろ!」

 

「ハハハ!何を言い出すかと思えば、オレを逮捕するぅッ?!!」

 

下品に顔を歪ませて笑う不良。

不良の右手には妖しく光ナイフが握られている。

 

「ムダムダぁッ!テメェが、いきり立った所でオレには指一本触れる事はできないんだからよーッ!」

 

不良が黒子から離れ、詩音に向かって来た。

 

「フン、お前みたいな畜生以下のクソ野郎に触れるなんて、こっちから願い下げだね……」

 

詩音は不良の繰り出すナイフでの一閃を難なく避ける。

 

「ヒュ~♪やるぅ~♪だけどな、避けてばっかりじゃあ、オレは倒せねぇぞーーッ!」

 

興奮している不良は何度も詩音に切りつけてくるが、詩音も涼しい顔で攻撃を回避している。

 

「き、気をつけて下さいッ!ヤ、奴の能力は……ッ!」

 

黒子が叫んだ次の瞬間、ナイフを持つ不良の右手が有り得ない方向に曲がった。

 

「なッ、腕がッ!!?」

 

詩音は驚きながらも咄嗟に後ろに後ろに跳び退いたが、ナイフの鋭い刃が彼の左頬を掠る。

詩音の頬から一筋の血が垂れた。

 

「どうだ?痛いかぁ?」

 

不良は血の付いたナイフを舐めている。

 

「ああ……痛いね………」

 

この瞬間を境に詩音の口調が冷酷なものとなる。

黒子はそう感じていた。

 

「なら、僕も………いや、オレも本気を出してやるよ。まずは、テメェの肺を潰す……!」

 

「……ッ!!?」

 

急に不良は胸を押さえて苦しみ出す。

 

「い、息が……できねぇ…………ッ!」

 

呼吸が困難になった不良は、その場にうずくまってもがいている。

 

「(これはこの前のお姉さまと同じ反応ッ?!!不良に指一本触れずに……やはり、詩音さんは……)」

 

彼女は必死に思考を走らせていた。

 

「ククク、苦しいか?だけど、これぐらいじゃ、終わらないぜ?次は右膝を砕いてやろうか?……」

 

「ぎゃあぁぁ〰〰ッ!!!」

 

不良は大声で叫び散らす。

 

「おうおう…見苦しいな。さて、次は……」

 

「もう、お止めなさい……ッ!」

 

満身創痍の黒子は残り少ない体力を振り絞り、詩音と不良の間に割って入った。

 

「邪魔をする……オレはアンタや佐天さんの為にやっているんだよ?」

 

「聞こえなかったのですか?これ以上は過剰防衛ですの……」

 

彼女の目が本気だった。

これ以上の事をすれば、「実力を持って止める」そう言っているかのようだった。

 

「分かった、分かりましたよ……」

 

そう言って、詩音は不良に対する攻撃?を止めた。

不良は次第に落ち着きを取り戻していく。

その後、詩音と黒子は拘束した不良からレベルアッパーを手に入れた。

なんと、レベルアッパーは音楽だったのだ。

不良たちは通報により駆けつけたアンチスキルにより連行されていった。

 

「あ、ケータイ……あれ?佐天さんは?」

 

佐天が近くに居ないことに詩音が気付く。

 

「そう言えば、見当たりませんの……色々とお聴きしたい事がありましたのに……」

 

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一方、佐天は黒子と詩音の姿を確認すると、足早に現場から立ち去っていた。

 

「(良かった……白井さん、無事だったんだ……だけど、何だろう…このイヤな気持ち……二人とも私と同じ中学生で、私と同じ年齢なのに私とは違う世界にいる人がいる……能力者とレベル0では何もかもが違うんだ。)」

 

「ルイコーー!」

 

彼女がモノ思いに耽っていると、彼女を呼ぶ声がした。

 

「アケミ、マコチン!ムーちゃん!」

 

合流した四人は宛もなく歩き出す。

歩き出して間もなく、四人はレベルアッパーの話しになった。

 

次回に続く。

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