とある科学の刀剣使い(ソードダンサー) 作:御劔太郎
第七学区、とある公園にて……
クラスメートの三人と会った佐天は、レベルアッパーをみんなで使い、それぞれに発現した能力に興奮していた。
「スゴいよ!ルイコ!私、紙コップ一つ持ち上げんのがやっとだったのに!って、ルイコ?……」
その時、佐天は自身の能力に感動していた。
彼女の手の中で風が踊る。
「(ど、どうしよう……能力だぁ!白井さんや御坂さんに比べたら、ささやかなチカラだけど、他人から見たら何とものないチカラだけど……私、能力者になったんだッ!!!)」
佐天は今までに感じたことのない幸福感を味わっていた。
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その翌日……
詩音は佐天に貸していた携帯電話を無事に返してもらえた。
だが、その時の可能性の様子が少しよそよそしいと感じた詩音は彼女の身辺を探ることにした。
そして、佐天の周りを探り始めて三日目が過ぎた頃……
彼女がクラスメートと共にレベルアッパーを使っていたことを知る。
「佐天さん達まで………」
しかも、今まで元気にしていたクラスメートの一人が目の前でいきなり倒れたのだ。
急な出来事に佐天は絶句しその場に立ち尽くす。
他の二人が倒れた友達に慌てて駆け寄った。
詩音も監視を止めて茂みから飛び出す。
「誰か!救急車を…ッ!」
「えッ!!?詩音くんッ?!!どうして……ッ?!!」
「そんな事は良いから、急いでッ!!!」
「あ、はい!」
詩音の指示で救急車が呼ばれたのだった。
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場所は変わり、初春は木山春生のいる『AIM解析研究所』へ向かっていた。
その時、彼女の携帯電話に着信が入る。
発信者欄には佐天の名前が……
「佐天さん! 今までどうしてたんですかッ?!!学校でもなんにも話してくれないし、電話だってずっと……心配してたんですよッ?!!」
『……どうしよう、アケミが倒れちゃった……』
電話の向こうで彼女の声が震えている。
『どうしよう……ゴメン、私の所為なんだ……レベルアッパーにあんな副作用があるなんて知らなくて……それで、みんなで使おうって……ううん、違う……只単に私が怖かっただけなんだ……一人で使うのが怖くて、それで私がみんなを……』
友達をクラスメートを巻き込んだ罪悪感に佐天は苛まれていた。
「お、落ち着いてください!今どこに……」
初春が彼女の居場所を聞き出そうとするが、佐天は混乱しているのか、独り言のように気持ちを吐露している。
『私も、もう眠っちゃうのかな?そしたら、もう二度と起きられないのかな?……』
“もういい。嫌われてもいい”とまで思った。
だから、全部言ってしまおうと……
全部言って、謝って、それで……彼女は決心した。
『……私さ、何のチカラも無い自分が嫌で…でも、一緒にいる初春たちは皆凄いのに、私だけが普通で、いつかそれでみんなと一緒にいられなくなるんじゃないかって! ……それで、私……』
(何かあったら、すぐに戻ってきても良いんだからね?……あなたの体が何より一番大事なんだから……)
こんな時になぜか佐天は母親の言葉を思い出していた。
(ママにも謝らなくちゃ……言われたこと守れなかったって……)
『ねぇ、初春……』
「何ですか、佐天さんッ?!!」
『レベル0って、欠陥品なのかな……』
佐天の本音が……彼女の心の闇が顔を覗かせる。
「な、何を言って……」
『それがズルして能力を手に入れようとして罰が当たって……それに皆を巻き込んじゃって……私、私……ッ!』
「大丈夫ですッ!もし、眠っちゃっても、私がすぐに起こしてあげます!佐天さんもアケミさんや他の眠っている人たちもみんな……だから、ドーンと私に任せて下さい!」
その一言が嬉しかった……
『初春……』
親友の名前がこぼれる。
「佐天さんは欠陥品なんかじゃありません!能力なんか使えなくたって、いつも私を引っ張ってくれるじゃないですか!能力なんて関係ない……佐天さんは佐天さんです!私の大切な親友なんだからッ!!!」
お互いに涙をこらえられない。
「だから、そんな悲しい事を言わないで……」
そんなだからか、佐天はワザとおどけて、励ます彼女をからかってみせる。
『アハハハ……初春を頼って言われてもねえ~』
「ッ////わ、私だけじゃないですよ?御坂さんに白井さん、それに紅月くんだっているんですから……」
『うん……分かってる。ありがとう、初春……迷惑ばっかりかけてゴメンね。あとはよろしく、ね……』
それを最後に佐天との通話が切れた。
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「ありがとう、詩音くん……」
「別に気にしなくていいよ。君たちのことを知っていたのに止めなかった。僕も悪い。ゴメン……」
「そんな……詩音くんは何も悪くない……」
薄れ行く意識の中でも、一生懸命に詩音と言葉を交わそうとする佐天。
「いや、同罪だよ……」
「ど、どうして、そこまで私のことを………心配…して、くれる……の……?」
佐天はその言葉を最後に意識を完全に手放してしまった。
彼女の目から一筋の涙が光る。
詩音は彼女の手をギュっと握ると、その場に寝かせる。
「僕はキミに特別な感情を持っているからさ。宣言しよう紅月詩音はキミの事が好きだ。」
その時だった。
玄関のノブか動く。
どうやら、初春が到着したようだ。
「やっときたか。」
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初春は佐天の寮へ到着し、階段を駆け上がり、彼女の寮のドアを開けて部屋の中に入るとそこには、意識ない佐天さんとそれをじっと見る詩音の姿があった。
「どうして、紅月くんがこんな所に……?」
初春の言葉に、詩音が口を開いた。
次回に続く。