とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)   作:御劔太郎

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第19話 特別講習

ここはとあるファミレス……

店内では、美琴と黒子が紅茶を飲みながら、各々雑誌を呼んでいた。

 

「黒子ぉ~今日はどうしようか?」

 

「そうですわね~……あ、お姉さま、映画なんてどうです?こちらの映画、“愛と青春の戸惑い”!」

 

「映画か~恋愛モノは嫌いじゃないけどね……ッ!!ね、ねえ?映画見るよりセブンスミストの屋上でやってる夏祭りイベントにいかないッ!!?」

 

「えぇ……どうせ、お子さま狙いのお寒イベントですわよ。」

 

「そ、そんなことないもん!」

 

一生懸命に屋上イベントを勧める美琴を『おかしい何か裏がある』と悟った黒子が、彼女の横にテレポートして雑誌を覗き込む。

そこには浴衣姿のゲコ太のイラストが……

 

「ははぁん……お姉さまはこのゲコ太ショーに行きたいのですのね……?」

 

「ちち、違うわよッ!!?」

 

「良いんですのよ~もっと素直になられても~」

 

先輩である美琴を茶化す黒子……

 

「だから、違うって……」

 

二人がイチャイチャしていると、そこへ聞きなれた間延び声の少女がやって来た。

 

「すいませ~ん。バス一本乗り遅れちゃって……」

 

「初春さん……大丈夫。私たちもそこまで待ってないから……」

 

「そう言えば初春?詩音さんと佐天さんの姿が見えませんけど?」

 

「あ、それはですね………」

 

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私は佐天涙子。

今日、私は特別講習がある。

私だけじゃない……レベルアッパーを使用した人たちを集めてやるみたい。

朝早くから、おっくうだな……

だけど、気持ちをきりかえ頑張ろう!

玄関の戸締まりしてっと……あ、ママから貰った大事な御守りが……

私が落とした御守りを私が拾うよりも早く、別の誰が拾ってくれた。

 

「はい。」

 

私の御守りを拾ってくれたのは、私の大切な人……詩音くんだった。

 

「おはよう。佐天さん♪」

 

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二人は特別講習の行われる学校に向かう。

 

「でも、本当に良かったの?風紀委員も非番なのに……別に、私に付き合って貰わなくても……」

 

「はい!それ以上は言わない!僕は好きで佐天さんに付き合ってるの……それに、この事に関する許可は貰ってる。……あ、でも、他の人は知らないから、この事は秘密にね?」

 

「うん////……」

 

二人は特別講習の会場となっているとある高校に到着した。

しかし、最後の関門として、その高校の前には長い坂道が行く手を阻む。

 

「長いね……」

 

「うん、長いね……」

 

二人はテンションだだ下がりの中、何とか登りきった。

 

「ハアハア、ツラい……」

 

超人の詩音と違って、常人の佐天は息が上がって本当に辛そうだ。

夏の日差しの手伝いもあって、彼女の額には汗が滲む。

 

「佐天さん、これ使って……」

 

さりげなく詩音はハンカチを取り出し、彼女に手渡した。

 

「ありがとう……////」

 

「おーい!ルイコ~!」

 

そこへ佐天の名前を呼ぶ声が……

詩音もつられ、二人で後ろに振り向くと、同じクラスの仲良し三人組がいた。

 

「あ、アケミ~!」

 

「マコちゃんにムーちゃんも……」

 

「何だよ。朝から、この階段……」

 

「はぁ~疲れた~」

 

「何だよ、二人とも来た早々……」

 

「だって……」

 

「仕方ないでしょ~」

 

「あれ?詩音くん?髪、切ったの?」

 

「うん?あぁ、まあね……」

 

「何で?あんなに綺麗だったのに……」

 

「まあ、イメチェンだよ。たまにしたくなるでしょ?」

 

「う~ん、そうかなぁ?」

 

五人となった詩音たちは案内の張り紙をもとに会場の教室に向かう。

 

「まったく~最悪だよね。わざわざ休み日にまで他所の学校まで来て……」

 

「本当だよね。特別講習受けてレベル上がれば、苦労しないって……」

 

「こんな暑い日はプールにでも行きたいのに……」

 

三人はずっと愚痴ばかりを言っていた。

 

「ルイコと詩音くんもさぁ~初春んたちと遊びに行く予定じゃなかったの?」

 

マコの質問に足を止める佐天と詩音……

それに伴い後ろの三人も立ち止まってしまう。

 

「まあ~しょうがないよ……」

 

「そうだね。」

 

「ったく……諦め良いな~ルイコは……」

 

「そうそう。そう言う女は幸せになれんぞ?」

 

「え?私は幸せだよ?彼氏がいるし……」

 

「「「えぇーーーッ!!?」」」

 

「誰よ!誰なよ!」

 

「いつから?」

 

「付き合ってるのッ!!?」

 

三人から質問攻めに佐天は合う。

彼女はサッと詩音に目くばせをした。

それにいち早く気づいたムーちゃんが詩音を見る。

 

「まさか、ルイコの好きな人って、し……詩音くん?」

 

「「何ーーーーッ!!?」」

 

「まあ、告白したのは僕だけど……」

 

「はぁ~負けた……」

 

落胆するマコ……

柵川中でトップクラスの美形の詩音は、文武両道、女の子にも優しいと同クラスの女子たちから絶大な人気を誇っている。

 

「まあまあ、早く行かないと遅刻しちゃうよ?」

 

「あ、本当だ!」

 

「さあ、今日一日、頑張りますかー!」

 

教室に入った五人はまとまり、窓際の席に座った。

 

「本当に色んな学校から来てるんだね……」

 

「そうみたいだね~」

 

「それにしても侘しい人数だね~」

 

「これじゃ、ウカウカ居眠りもできないじゃん……」

 

「ダメだよ?マコちゃん。きちんと起きてなきゃ……」

 

「分かってるよ。冗談、冗談だよ……」

 

五人は講習の準備をしながら、雑談をしていた。

そこへやって来たのは、柄の悪い高校生の四人組……今で言うところの“ヤンキー”だ。

一人は女子高生だった。

 

「ったく~どいつもこいつも湿気たツラしてんな。」

 

「やっぱり、帰りましょうぜ、姉御ぉ。」

 

どうやら、女子高生がリーダーみたいだ。

スケバンかな?

 

「あぁッ!!?ここまで来てつべこべ言ってんじゃないよ!ジュンタ!テメェッ!」

 

弟分の男子高生の愚痴にリーダーの女子高生が胸ぐらを掴んでメンチを切る。

 

「スミマセン!姉御!」

 

「落ち着いて下さい。姉御ぉ!」

 

「うるさい!テメェは黙ってろ!」

 

目の前で起きる修羅場に目のやり場に困る。

 

「すごいね~」

 

「生のヤンキーだよ……」

 

「スケバンかな?」

 

「詩音くん、いったいいつの時代の人間なの?」

 

「ほら、ジロジロ見ない!」

 

五人が見ている。

 

「はーい!さっさと席に着いて下さいね?」

 

不良が騒いでいると彼女らの後ろから幼い女の子の声がした。

すると、不良の後ろにはピンクの髪色をした少女が立っている。

 

「あぁッ!!?何だこのチビ!」

 

不良の一人がガンを飛ばした。

しかし、その睨みに少女は臆さない。

 

「チビではありません。先生ですよ~!」

 

「「「「先生ッ!!?」」」」

 

「はい!月詠小萌です♪早く席に行かないと授業時間を伸ばしちゃいますよー♪」

 

笑顔でサラリと怖いことを言ってのける彼女であった。

 

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午前中の講習の終わりを告げるチャイムが鳴る。

相当に退屈だった。

みんながみんな、背を伸ばしている。

 

「あ〰️疲れた〰️揉んで揉んで~」

 

勉強が苦手なマコはぐったりと机に突っ伏していた。

友達のアケミにマッサージを要求する。

 

「はぁ~ババくさ……」

 

見かねた佐天がマコにツッコんだ。

 

「うるせー」

 

「フフ……」

 

「ムーちんも笑うな~」

 

「でも、マコちゃん?お昼から体力トレーニングだよ?そんなんで大丈夫?」

 

「それに午後の講師の先生はアンチスキルにも所属してるって……」

 

「マジかッ!!?」

 

「その為にも、お昼をちゃんと取って午後に備えて置かないと……」

 

「あ、お弁当忘れた。」

 

「本当なの?佐天さん……」

 

「うん……うっかりしてた。もしかしたら、食堂がやってるかも……ちょっと食堂に行ってみるね。」

 

そう言うと、佐天は教室から出ていった。

 

「どうしよっか?」

 

「じゃあ……取り調べしよう!」

 

アケミが唐突に言い出す。

 

「お、アケミ、良いこと言うニャ~♪」

 

「と、取り調べッ!!?何のッ!!?」

 

「ルイコのことだよ。それでどこでする?屋上にでも行く?」

 

「あの、僕に拒否権は……?」

 

「ない!」とアケミ。

 

「当然、黙秘権も……」

 

「あるわけないニャ!」とマコ

 

「逃走は……?」

 

「許しません!」ととどめにムーちゃん。

 

マコとアケミにがっちり脇を抱えられ、ムーちゃんの先導のもと半ば拉致られる形で屋上へ移動し、三人から根掘り葉掘り取り調べ受け、コッテリと搾られた。

 

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昼休みも終わり、各自体操服に着替え、グランドに集まる詩音たち。

グランドでは講師の先生が、白線でトラックを描いている。

目測で一周300mはありそうだ。

 

「詩音くん、疲れてるね?休憩してないの?」

 

佐天が気遣う。

 

「え?まあ、色々あったんだ……」

 

アケミたち三人からの取り調べが本当に厳しく、詩音の顔はかなり窶れていた。

 

「良し!全員集まったな?午後の体力トレーニングを受け持つ黄泉川だ。ヨロシクじゃん!」

 

やる気がないため、生徒たちはだらしない返事を返す。

 

「それじゃ、早速、持久走行ってみようか!」

 

彼女の言葉に、詩音以外の生徒が固まる。

 

「限界に挑戦じゃん♪」と黄泉川先生満面の笑み。

 

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ピッピッ………ピッピッ……

黄泉川先生のスポーツ用ホイッスルの音ともに生徒たちはトラックを走る。

持久走が始まって、15分が過ぎた。

すでに詩音はトラックを9周回り、10周目に突入していた。

佐天を含む他の受講生はまだ3周目に入ったぐらいだ。

 

「大丈夫?佐天さん?」

 

彼女に並んだ詩音が体調を気遣う。

 

「ハアハア……何とか……詩音くんこそ、そんなに跳ばして大丈夫なの?」

 

「僕は別に……」

 

顔色ひとつ変えない詩音に、佐天は逆に心配になった。

みんなが次々とギブアップするなか、雨が降ってくるまでの一時間、詩音は走りっぱなしだった。

総距離にして約12㎞。黄泉川先生を始めとする受講生が唖然としていた。

 

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体力トレーニングも終わり、詩音は別の教室で着替えていると、不良たちが講習の文句垂れていた。

 

「最悪だ……」

 

「マジで……意識不明になるわ、こんな講習は受けさせられるわ、散々だな。」

 

「あのクソ先公ども、ぶっ飛ばしてやろうか?」

 

三人はバカ笑いを上げる。

 

「はぁ~ねぇ、その下品な笑い声止めてくれないかな?」

 

詩音が見下したように不良たちに注意する。

 

「何だと?クソガキ?嘗めてんのかッ!!?」

 

ニット帽を被った不良が詩音に近づき、胸ぐらを掴み上げる。

仲間の不良たちも、調子に乗ってニット帽の彼を煽り出した。

しかし次の瞬間、ニット帽の不良の表情が苦痛に歪み、叫び出す。

何と、詩音は胸ぐらを掴む彼の右の手首を握り潰さんとする勢いで握っていたのだ。

 

「ぐあぁぁ〰️ッ!!!!」

 

「どうしたの?さっきまでの威勢は?」

 

無表情、虚ろな目で首を傾げる詩音……相当な恐怖だろう。

仲間の不良たちが、詩音を彼から離そうとするが、微動だにしない。

 

「ねえ?お兄さん……アンタたちは、レベルアッパーと言うズルをしたんだよ?それなのに反省すらしてないんだね?」

 

そう言って、ニット帽の不良を投げ飛ばした。

机を薙ぎ倒しながら吹っ飛び、床に叩きつけられる。

 

「恥を知れ!」

 

怒鳴る詩音!

 

「野郎ッ!」

 

彼の怒鳴り声にキレた他の二人が、詩音に襲いかかる。

だが、詩音は赤子の手をひねるよりも軽く、二人を倒してしまった。

一人目は右ストレートを躱すと、腹部に劣化版“二重の極み”いわゆる手加減した二連撃を鳩尾に叩き込む。

 

「ガハッ!!?」

 

いくら、常人用に手加減したところでその拳は猛烈に痛い。

二人目には、何と愛刀の絶影を抜いたのだ。

詩音は残る不良を押し倒すと、彼の顔の真横に突き立てる。

 

「ヒッ!……」

 

初めてだろう、命を脅かす状態に陥った不良は心底恐怖した。

 

「分を弁えろ、下郎……俺は許せないのが二つある。冷えた飯と力も無いくせに意気がる野郎だ。今度から首を刈られないように回りに気を配って生きろ……忠告だぞ?」

 

と、詩音が不良を脅していたところに、騒ぎを聞き付けた黄泉川先生がやって来た。

 

「お前ら!何してんじゃん!」

 

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その後、詩音は黄泉川と二人っきりで話しをしていた。

 

「どうして、あんなムチャなことをしたじゃん?」

 

「アイツらがうるさかったから……自分たちのやった事を棚に上げて、先生たちに仕返ししてやるって、言ってました。ジャッジメントとして許すことができなかった……」

 

「でも、アレはやっちゃダメじゃん?キミはジャッジメントだろ?正義感が強いことは大いに結構。だけど、その正義を履き違えてはいけないと思うじゃん……」

 

彼女の気遣いを知ってか知らずか、詩音は立ち上がる。

 

「ちょっと待つじゃん!まだ話しは……!」

 

しかし、詩音は彼女を無視して教室を出て行った。

 

「ったく……」

 

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講習が終わったのは夕方だった。

帰り道、詩音は佐天と二人で歩いていた。

 

「ねえ?どうしたの?」

 

「どうしたのって、何が?」

 

「午後の体力トレーニングの後のことだよ!更衣室の教室で不良の人たちとケンカしたんでしょ?」

 

「だって、アイツらって来たら……」

 

詩音はケンカをした理由を彼女に話す。

 

「私のことを思ってくれてるのは嬉しい……けど!ケンカは絶対に止めて!乱暴な事をする詩音くんは見たくないの……」

 

悲しげに訴える佐天を、詩音が優しく抱き寄せる。

 

「佐天さんの……ルイコのお願いとなれば、聞かない訳にはいかないね……」

 

「うん……ヨロシクね////」

 

二人は改めて歩き出した。

 

「それはそうと、最後の能力測定はどうだった?」

 

「相変わらずのレベル0……」

 

「そっか、僕もレベル0だった。……」

 

「だけど、もうレベルのことは良いんだ……私には能力以上に大切なモノがいっぱいあるから……♪」

 

佐天が詩音の手をギュっと握る。

 

「僕もここに来なきゃルイコや御坂さん、白井さん、それに初春さんと出逢うことはなかった……」

 

「詩音くん……」

 

「ルイコ……」

 

二人の距離がゆっくりと近づいた。

その時だった……

 

「「あ〰️〰️ッ!!!!」」と悲鳴に近い大声で叫ぶ美琴と黒子、それと真っ赤な顔でフリーズしている初春がいた。

 

「み、御坂さんッ!!?」

 

「白井さんに初春さんまで……」

 

「ふ、二人して、ななな、何やってんのよ!……」

 

「べ、別に如何わしいこと考えてませんよッ!!?ね?詩音くん!」

 

「そ、そうですよ!ルイコと良い雰囲気になったから、キスとか考えてn………って、あ…………」

 

詩音のキスと言うフレーズに抵抗を持ってない三人は、さらに

顔を赤くする。

 

「キキ、キスッ////」

 

「しかも、佐天さんを下の名前でッ!!?昨日までは名字で呼んでいたはずですのに……今日一日で何があったんですのッ!!?」

 

「ふぇぇ~~………////」

 

「もう!二人とも落ち着いて下さい!初春もしっかりして!」

 

三人は佐天の説得によって、ようやく冷静を取り戻した。

 

「じゃあ、改めて……僕は彼女、ルイコのことが好きです。」

 

「私も詩音くんが好きです。」

 

「まあ、ここ最近?二人の仲が異常に良かったから、薄々感じてだけど?」

 

「まさか、キスする仲までに発展していたとは……」

 

「驚きです……」

 

「分かった!でも詩音?佐天さんを泣かせることがあったら、私許さないから!」

 

「ワタクシもです……個人的に逮捕しますわ。」

 

「わ、私も……!親友の佐天さんを傷つけたらゼッコーですよ!」

 

三人から脅しに近い、念を捺される詩音であった。

 

次回に続く。

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