とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)   作:御劔太郎

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第20話 スキルアウト

第七学区……ここは学園都市の中でも比較的栄えている学区である。

しかし、路地を一本でも裏に入ると治安が一気に悪くなる。

そんな裏路地に常盤台中学の生徒がいた。

彼女を取り囲むのは、数人の素行の悪そうな青年たち。

表の大通りには、青年たちが乗って来たであろう、紫基調のボディーにファイアパターンに白い文字で“BIGSPIDER”と書いてある趣味の悪いワンボックスカーが止まっている。

 

「アナタたち?ワタクシを常盤台のレベル4婚后光子としてのロウゼキですのッ!!?」

 

彼女は恥ずかしめもなく、堂々とした態度で名乗った。

 

「ハハハッ!ローゼキ?さすがはお嬢さま。俺たちとは違うお言葉をお使いだ。」

 

しかし、婚后に臆することもなく彼女に近づいてくる。

何か秘策があるのだろうか……

 

「お覚悟を……!」

 

婚后が能力を行使しようとした瞬間……

彼女の感覚を逆撫でするような、甲高い音が路地一帯に響く。

 

「あ、頭が……ッ!!?」

 

婚后はその場に、崩れるように倒れ込んだ。

 

「さて、コイツどうする?」

 

「ヒン剥いてやろうか?」

 

婚后光子、最大のピンチ!

その時だった。

 

「な、何だ!お前ッ!!?ぐあぁぁ!」

 

不良の一人が、通りすがりの若い男の一撃で殴り飛ばされた。

 

「おいおい、可愛い女の子に寄って掛かってとは見過ごせねぇな……」

 

「誰だ!お前はッ!!!」…………

 

婚后が気を失う瞬間、彼女の目に映ったのは、革ジャンを脱ぎ、上半身裸なった男だった。

その男の背中には大きな蜘蛛の刺青が入っている。

 

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次に婚后が目を覚ました時には、不良たちは彼女の危機に現れた通りすがりの男にノされた後だった。

そして今の彼女は、通報により駆けつけたアンチスキルや風紀委員第一七七支部の初春飾利から事情を聴かれていた。

詩音と黒子、固法の三人は現場検証をしている。

 

「スキルアウトの輩も、よりにもよって婚后光子に手を出すとは……愚かですわね?」

 

黒子は呆れた目で搬送されるアンチスキルを見ている。

 

「白井さん?それは違うみたいだよ?」

 

「どういうことですの?」

 

「見てみなよ、コイツらの顔……このアザといい、全て拳打によるケガだ。相当な手練れの仕業だね。それに婚后さん自身も上手く能力を使えなかったみたいだし……」

 

「じゃあ、いったい誰が?………」

 

二人で話していると………

 

「……タメゾウ?」

 

固法は自身の前を担架に寝かされた状態で搬送される不良を見ると、二人に聞き取れるか分からないような音量で呟いた。

 

「え?固法先輩、何か言いました?」

 

黒子が聞く。

 

「えッ!!?……べ、別にッ!!?」

 

固法は慌てて取り繕うが、詩音はそんな彼女を怪しんでいる。

その後、詩音たちはあの場をアンチスキルに任せて、支部へと帰った。

黒子と初春は並んで、詩音と固法の前を歩いている。

 

「ねえ、固法先輩?」

 

唐突に詩音が固法に話しかけた。

 

「何?」

 

「あのスキルアウト……知ってますよね?」

 

「えッ!!?」

 

詩音に不意を突かれた固法は驚き、言葉を詰まらせた。

 

「さっき言ってましたよね?タメゾウって………」

 

追い打ちかける詩音。

 

「べ、別にッ!!?そんなこと言ってないわよ。」

 

二人は立ち止まる。

詩音は固法の目をジッと見ている。

 

「きっと詩音くんの空耳よ……!」

 

固法は気まずい雰囲気をはぐらかした。

 

「……………そっ、」

 

納得はしていないようだが、詩音は再び歩き出す。

 

「(本当にあの子の感の良さは……)」

 

固法はそんな詩音の背中を見つめていた。

 

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詩音は固法たちと別れ、風紀委員の本部にいる。

自身の執務室でパソコンを使い、学園都市の全人口のデータが入った“書庫(バンク)”を調べていた。

 

「ふーん、そう言うことだったのか……」

 

その時だった。

執務室の扉が開く。

現れたのは、ジャッジメントの副委員長こと瀬田つかさだった。

 

「あら、委員長……戻って要らしたのですね?すみません、勝手に開けてしまって……」

 

「別に良いよ。つかさちゃん……僕自身いつも一七七支部に入り浸ってるからね……」

 

「そうですよね。委員長は基本昼行灯で、全くっていいほどに仕事をしませんからね?」

 

副委員長であるつかさの小言が始まる。

 

「(ヤバ……墓穴掘ったかも……)」

 

その後、詩音はつかさの小言は一時間ほど続いた。

 

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次の日の昼下がり……

詩音は美琴たち、いつものメンバーで喫茶店にいた。

 

「えッ!!?婚后さんが襲われたッ!!?」

 

友達を傷つけられたことに憤る美琴が机を叩く。

 

「まあまあ、お姉さま落ち着いて……」

 

そんな彼女を宥めようと黒子であったが、逆に美琴は益々ヒートアップしてしまう。

 

「大勢で女の子を襲うなんて、男としてサイテーじゃない!」

 

「御坂さん、今日はえらくテンションが高いですね?」

 

佐天がツッコんだ。

 

「いや……私はただ自分にできることをしようとしないで、現実から逃げているような奴がムカつくっていうか?……」

 

「うわぁー。何だか自分のことを言われているみたい~?」

 

自分に思い当たる節がある佐天はガックシと肩を落とす。

 

「え?佐天さんは違うよ?」

 

「そうですわ!赤信号!みんなで渡ればなのがスキルアウト!一人で渡りきった佐天さんとは肝の座り方が違うんですよ!」

 

「はぁ~」

 

佐天がさらに深い暗黒面に突入する。

 

「白井さん!それフォローになってませんよッ!!?」

 

「そうそう……」

 

詩音が黒子の腰手を回し、彼女を背中からがっちりとクラッチしてホールドする。

 

「へっ?どうしたんですの?詩音さん……?って、まさかッ!!?」

 

「そうだよ。どっせーーい!」

 

最初は訳が分からなかった黒子も、この後の展開をすぐに予想した。

次の瞬間、詩音は黒子をそのままブリッジをする要領で相手を真後ろへと反り投げる豪快かつ芸術的なジャーマン・スープレックスを叩き込む。

 

「グヘッ!!?」

 

「ダメだよ?僕のルイコをキズつけたりしたら……」

 

「はい、すみません……でも……お、お姉さま以外から掛けられる技も意外と乙なモノですわ……」

 

黒子はピクピクしながら、変なことを言っていた。

 

「でも、スキルアウトって言えば、やさぐれレベル0でしょう?それがどうして、能力者狩りなんて……」

 

「多勢に無勢、いかに優秀な能力者でも大人数を相手にするのは難しいんですの……」

 

頭をさすりながら、答える黒子。

 

「それにビッグスパイダーと言う組織は、闇のルートで非合法な武器を入手しているとの情報もありますし……」

 

大きなパフェを食べながら、初春がビッグスパイダーの捕捉を付け加える。

 

「へぇ~いっそのことソイツら私に絡んで来てくれないかな?」

 

バトルジャンキーの美琴に闘志が宿る。

 

「あ、分かりますよ。御坂さんの気持ち……僕の剣術も対多人数を想定してますからね♪」

 

「詩音く~ん?この前した約束、覚えているよね?」

 

佐天が詩音を見た。

どうやら、特別講習の時に話したことを言っているようだ。

 

「大丈夫だよ佐天さん。約束はきちんと守るから……でも、仮に向こうが危害を加えて来たら、正当防衛で対象していくから、そこは理解してね?」

 

「うん……そこら辺は詩音くんに任せるよ。でも婚后さんを襲ったスキルアウトは、全員捕まったんだよね?」

 

「そうですよ。誰かは分からないんですが、謎の人物が一撃でやっつけちゃったみたいですよ?」

 

「へぇ~通りすがりの正義の味方かぁ~かっこいi……」

 

「トンでもない!」

 

佐天の言葉を遮るように、黒子が机を叩き声を荒らげる。

 

「アンチスキルでも、ジャッジメントでもない人がチカラを行使するなんて言語道断!立派な犯罪者ですわ!」

 

「確かに、白井さんの言ってることは分かるけど、犯罪者は言い過ぎじゃない?」

 

「言い過ぎではありません!学園都市の治安を守るのは、ワタクシたちジャッジメントとアンチスキルですの!そもそも、詩音さんはろくに仕事もせずに、アイスや甘ったるいカフェオレを食べたり、飲んだりで…………」

 

黒子の熱弁は次第に脱線し、いつの間にか詩音への説教タイムとなっていた。

 

「(んーこのパターン……昨日のつかさちゃんと同じだぞ……)」

 

「詩音さん!聞いてますのッ!!?」

 

「はひッ!!?」

 

形勢が逆転した。

 

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場所は変わり、とある場所にある学生寮……

その日の夕方……

固法は自室に籠り、携帯電話に保存してある写真データを見つめていた。

彼女の表情は重い。

 

「やっぱり、先輩なんですか………」

 

固法は辛そうに呟いた。

 

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さらに場所は変わり、第10学区……

ここは、学園都市から棄てられた場所だ。

そこの一角に建てられたモルタル製のボロボロの倉庫を、ビッグスパイダーのメンバーは根城にしていた。

 

「黒妻さん!聞いて下さい!」

 

「あぁッ!!?」

 

「タメゾウさん達をやったって言うのは………」

 

ビッグスパイダーの下っ端が、リーダー各の男に耳打ちする。

その瞬間、耳打ちされたリーダー各の男の顔から余裕が無くなり、ひどく同様した男は、下っ端の口の中に銃口を突っ込んだ。

 

「でたらめを言うんじゃねえよ!」

 

「お、オレがって……」

 

上手くしゃべることのできない下っ端。

黒妻と呼ばれるリーダー各の男は、舌打ちしながら、銃口を口から引抜き下っ端を解放した。

一方の下っ端も苦しかったのか、咳き込んでいる。

 

「アイツが生きているはずがねえ……アイツは死んだんだ。」

 

リーダー各の男がぶつぶつと呟いたと思うと、次の瞬間、銃を明後日の方に撃ち、メンバー達の注目を集めた。

 

「おい!テメェら!オレの名前はッ!!?」

 

リーダー各の男が大声で聴く。

 

「「「「黒妻ワタルッ!!!!!!!」」」」

 

声を合わせてメンバー達が答えた。

 

「そうだ!オレの名前は黒妻ワタルだ!ビッグスパイダーの頭を張っているな!」

 

そう言って黒妻は、メンバー達に背中の小さな蜘蛛の刺青を見せつける。

 

「テメェら、忘れた訳じゃねえだろうな?能力共のあの目を!オレ達を馬鹿にして蔑んでいる!オレ達は奴らをブッ飛ばす!良いかッ!!?気合い入れろ!」

 

「「「「うすッ!!!!!!!」」」」

 

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初めての能力者狩りが発生して数日が経った、風紀委員第一七七支部には、固法に黒子、初春と部外者ではあるが色々と関わりのある美琴がいた。

 

「また、ビッグスパイダーが?」

 

「えぇ、今週だけでもう三件目……連中、ピッチを上げてきてますわ。」

 

「やっぱりここは一発ドカーーン!っと……」

 

「はあ~お姉さま?お姉さまのドカーーンは被害が大き過ぎますの……」

 

やる気満々の美琴をたしなめる黒子。

 

「ビッグスパイダーが勢力を伸ばしてきたのは、二年前からですね……」

 

初春はパソコンで調べた結果をメンバー達に話す。

その会話を聞いた固法は、何か思いあたるモノがあるのか、ハッと反応した。

 

「武器を手にして犯罪行為を繰り返すようになったのもその頃……」

 

「なるほど。武器を手に入れて調子づいたっていうわけね……でも、そんな物をどうやって学園都市の外から持ち込むんだろう?物資の流通は厳重に管理されてるし、非合法の物なんて当然シャットアウトされてはずじゃない?」

 

美琴の疑問に答えるべく、黒子はアゴに手を添えて考える。

 

「フム……蛇の道は蛇と言いますから……」

 

「連中にその道を作ったヤツが、他にもいるのかも……」

 

「バックがいると……?調べてみる価値はありそうですの。」

 

「白井さん?」

 

「初春、どうしたんですの?」

 

「えっと、ビッグスパイダーを率いるリーダーの男が判りました。名前は黒妻ワタル……かなり悪どい男のようですね?」

 

さらに固法自身とても辛い気持ちになってきた。

リーダーの男の名前を聞いた瞬間に、唇をギュッと噛みしめてしまう。

 

「仲間も平気で裏切るみたいで、チームを抜けると言うものならば、後ろから撃ちかねないと……」

 

「そうですの……つまり、サイテーの男と言うわけですね?」

 

固法は聞くに耐えられない。

自身が使っているパソコンの影になっているため、握る拳が他の三人には見えてはなかった。

 

「あ、あと、その男……背中に蜘蛛の刺青を入れているみたいですよ?」

 

「蜘蛛?……おかしいですわね?確か、婚后光子を助けた男の背中にも蜘蛛の刺青があったはず……その男が黒妻ワタル?どういうことでしょう?」

 

「………あ~!きっと仲間割れよ!背中から撃ちかねない男なんでしょ?」

 

「なるほどですの。」

 

美琴と黒子は勝手な憶測で物事を進めていく。

 

「彼らは第十学区の通称ストレンジと言われる地域を根城にしていると……」

 

「そうですか。」

 

「行くの?」

 

「まあ、ワタクシ達の支部の管轄外になっていますが、第七学区で起きた事件の調査と言えば筋は通りますの。」

 

ここで登場するのが、黒子お得意の越権行為である。

 

「では、固法先輩?……」

 

黒子が固法に声をかけた。

しかし、固法は報告書をまとめないといけないと理由を付けて、黒子の要請を断った。

 

「じゃあ、変わりに行こっか!」

 

「お姉さまッ!!?行くって?」

 

「固法先輩のピンチヒッターよ!」

 

美琴は黒子の手を引っ張り、ストレンジに出発する。

 

「ええッ!!?ちょ、ちょっとお姉さまッ!!?あ~れ~!ご無体な~!」

 

黒子は、言葉では迷惑気味なことを言っているが、美琴と二人っきりでのお出かけと言うことで、表情は嫌がってはなく寧ろウェルカムな状態だった。

 

「白井さん、嬉しそう……」

 

初春はそう呟きながら、出かける二人を見送った。

 

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一方その頃、詩音は風の吹くまま気の向くまま、第7学区をブラブラしていた。

さすがは昼行灯の鏡……別に街中のパトロールをするだけではなく、ベンチに座り、好物のクレープを頬張っている。

 

「ああー暇だなー?」

 

「じゃあ、私に付き合ってよ。」

 

声のした方に顔を向けると、佐天が立っていた。

 

「あ、ルイコ……」

 

二人は歩き出した。

 

「詩音くん、今日は非番なの?」

 

「え?違うよ?」

 

「って言うことはサボり?この前みたいに、また白井さんに怒られるよ?」

 

「大丈夫、大丈夫。」

 

詩音から悪怯れてる様子はない。

 

「はあ~~」

 

佐天は大きなため息をついた。

その後、二人はしばらく歩き、途中でタイ焼きを買って近くの河川敷へ行き、土手に座り食べていた。

 

「うう……胸焼けしそう。」

 

佐天がジト目で詩音をみている。

詩音が食べているタイ焼きのサイズは通常の十倍と言う恐ろしさである。

これ一個で成人なら1日持つエネルギー量を持っている。

それを詩音は表情一つ変えずに黙々と食べていた。

 

「ねえ、詩音くん。」

 

「どうしたの?」

 

「私、分からないでもないんだよね……スキルアウトの気持ち……一緒懸命頑張って結果がでないと、何もかもが嫌になって、全部投げ出したくなるの。」

 

「まあね。僕だってそうだった……初めて学園都市に来た時、どんな能力を持っているんだろうとワクワクしてたけど、能力測定でレベル0無能力者のレッテルを張られた時は愕然としたね。僕は何のために、この学園都市に来たのかって……」

 

「そうそう……でも、色々あったけど今はみんなに出会えたことを感謝してる。」

 

「僕もさ……」

 

その時だった。

 

「おやおや、こんな所に仲の良さそうなお子様がいるな~?」

 

二人を茶化すセリフが聞こえて来た。

詩音と佐天が声のした方を見ると、柄の悪そうな数人の男たちがいる。

 

「スキルアウトか?」

 

「ああ、そうさ!天下のビッグスパイダー様よ!」

 

組織名を聞いた佐天は不安になった。

 

「へぇー僕たちを狩ろうって事かい?」

 

「良く、分かってんじゃねぇか!」

 

ビッグスパイダーの男たちは懐から獲物を取り出す。

拳銃、サバイバルナイフ、スタンガン……全員が武装していた。

二人にジリジリと男たちが迫る。

 

「ルイコは、危ないから下がってて!」

 

「うん……」

 

佐天は詩音の後ろに隠れる。

 

「僕はジャッジメントだぞ!良いのか?こんなことをしたら……」

 

「別に気にしちゃいねぇ!むしろ、お前らジャッジメントに勝ったとなると俺の地位は絶対となるんだッ!」

 

「あ、そ……」

 

次の瞬間、詩音は目にも映らぬ速さで刀を抜くと、幹部各の男の拳銃を切り払った。

詩音以外、何が起きたか分からない。

その一瞬の隙を突いて、詩音は佐天をお姫さま抱っこした。

 

「きゃッ!!?し、詩音くんッ!!?」

 

「逃げるよ!」

 

佐天を抱えた詩音は、スキルアウトの集団から逃走を図る。

 

「野郎!逃げやがった!追え!捕まえて潰せッ!!!!!!!」

 

河川の土手を滑るように下り、河川敷を猛スピードで走った。

ビッグスパイダーのメンバー達が、二人の後を追うが、詩音の超人的な脚力には、追い付くはずがない。

二人は難なく逃げ切ることが出来た。

 

その後、二人はビッグスパイダーから逃げ切り、第一七七支部へ着く。

 

「詩音くん、大丈夫?」

 

「うん、何とかね……」

 

詩音は佐天を降ろすと、彼女の手を引き支部の入っているフロアへの階段を登る。

 

「どうして、アイツらと戦わなかったの?詩音くんなら!」

 

「ルイコ、キミを巻き込むおそれがあった。確かに僕一人だったら、どうにでも出来た……」

 

「私のため……私は足手まといなの?」

 

「ごめん……今はそうとしか言えない。」

 

詩音が勢い良く支部の扉を開けた。

 

「こ、紅月くんッ!!?」

 

「初春さん!ビッグスパイダーとか言うスキルアウトに襲われた。佐天さんの保護を!」

 

「佐天さんのことは任せて下さい。だけど、紅月くんはどうするんでするか?」

 

「ビッグスパイダーを潰して来る……」

 

詩音は支部を後にする。

彼の後ろから佐天の声が聞こえたが、その声に詩音が振り向くことはなかった。

 

次回に続く。

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