とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)   作:御劔太郎

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第22話 学園都市

美琴たちと別れた詩音は第七学区の中心を一人歩いていた。

詩音の狙いは、ビッグスパイダーを探し、彼らから詳しいことを聞くためだった。

奴らはネズミのように裏でコソコソと目立たないように、行動すると読んでいる詩音は、第七学区内の裏路地を徹底的に調べて回る。

そして……

 

「見つけた♪」

 

詩音の口角が上がる。

裏路地の一番奥で能力者相手に、数人のスキルアウトが暴力を振るっていた。

 

「ケケケ!弱肉強食って言葉を知ってるか?」

 

スキルアウトの一人が笑いながら、能力者の男子生徒の腹に膝蹴りをいれる。

 

「ッ!!?……」

 

男子生徒は腹を手で押さえながら崩れ落ち、気を失った。

 

「今、この状態をを言うんだよ!」

 

「まあ、今回ばかりは立場が違うがな?」

 

別のスキルアウトが手に持っていた木製バットを高々と振り上げる。

絶体絶命の男子生徒だったが……

 

「弱肉強食かぁ~いい言葉、知ってんじゃん♪」

 

詩音がスキルアウトの前に突如として現れ、木製バットをスキルアウトから素早く奪う。

意表を突かれたスキルアウトの一人は、次の瞬間、詩音から容赦なく胸を殴打された。

胸を砕かれたスキルアウトは血の泡を吐き、そのまま地面に向かい仰向けに倒れ、ショック症状を起こし痙攣している。

あばら骨が砕け、砕けた骨が肺を傷つけ、内出血した影響でろくに呼吸も出来ない。

スキルアウトは虫の息だった。

 

「窒息してる!凄いよね?何分持つかなッ!!?」

 

瀕死のスキルアウトを見て、詩音は興奮し、薄気味悪い笑顔を浮かべている。

残りのスキルアウトのメンバーは恐怖に刈られた。

 

「い、いったい何なんだよ!」

 

「イカれてやがる!」

 

彼らは、慌てた様子で拳銃やナイフなどの武器を構えるが、詩音にとってはあくびが出るほどに遅い。

 

「遅いなぁ……まったく持って遅すぎる!」

 

詩音がバットを横に振り抜く。

その一撃が二人目の左側頭部に直撃、頭蓋骨が砕ける音と共に膝から崩れ落ちた。

 

「う、うわあぁぁぁッ!!?」

 

仲間が二人もやられ、錯乱した三人目が拳銃の引き金を引く。

乾いた発砲音が裏路地に何発も響いた。

しかし、素人の銃撃など詩音に当たる筈もなく、すぐに弾切れになる。

空になった弾倉を急いで変えようとするが、手元が狂い上手く交換することが出来ない。

詩音は三人目の拳銃と変えようとしていた予備の弾倉を奪い取ると彼に銃口を向ける。

 

「なぁ……せっかくの飛道具なんだ、もうちょっと狙って撃たんか……こういう風にな!」

 

三人目は眉間を撃ち抜かれた。

スキルアウトも残り一人となる。

全員をやられ、戦意を喪失した彼は、詩音に降参した。

 

「ま、参った……た、助けてくれ!」

 

「うーーん、どうしよかな……」

 

右手に拳銃、左手にバット、絶対的な強者となった詩音。

余裕な面持ちでスキルアウトの男を見下している。

 

「た、頼む!何でもするからァッ!」

 

「じゃあさ、ビッグスパイダーについて教えてよ。キミ、メンバーなんだろ?」

 

詩音に脅されたスキルアウトは、ビッグスパイダーのメンバー構成やリーダー、レベル0が能力者と渡り合う為のカラクリなど、色々な事をペラペラと話し出した。

 

「ふ~ん、そういう事か……ありがと♪帰って良いよ。」

 

スキルアウトを解放するかと思われたが、

 

「って、言うとでも思ったぁッ!!?」

 

男のふくらはぎに銃弾を撃ち込む。

 

「ぎゃあぁぁぁッ!そ、そんな……知っていることは全て話しただろ!」

 

「そりゃあ、そうだけど……キミ以外はみんな死んでるし、それにお前たちビッグスパイダーは僕と僕の彼女に手を出したんだ。その報いはきちんと受けて貰うよ。」

 

「い、嫌だ……死にたくない!」

 

「何を女々しいことを言っているんだい?学園都市は弱肉強食なんだろ?キミはこの僕に喰われるんだ。」

 

必死に命ごいをする男だったが、詩音はまったく聞く耳を持たない。

常時、所持している手錠で男を拘束、雨樋に繋げる。

 

「大丈夫、キミの精神力しだいじゃ、生きる事が出来るかも知れない。だから頑張って!」

 

そう言うと詩音は、再びふくらはぎに向けて引き金を引く。

何度も何度も……

 

「さあ!ふくらはぎのお肉が、ぜ~~んぶ吹き飛ぶぞぉッ!」

 

詩音が全弾撃ち尽くす頃には、スキルアウトの男はピクリとも動かなくなっていた。

どうやら、出血多量などでショック死したらしい。

 

「ありゃ?死んじゃったのかな?まあ、良いか♪」

 

詩音は持っていた武器を捨てると、気を失っている男子生徒を抱え、その場から立ち去る。

途中、ケータイを取り出すと、どこかに電話をかけ始めた。

数回コールし、電話に誰かが出る。

 

「あ、もしもし?つかさちゃん?」

 

相手は副委員長のつかさ。

 

『あ、委員長……?この番号に掛けて来たと言うことは、掃除の時間ということですか……』

 

「そう言うこと。」

 

『了解しました。掃除屋に連絡しときます。』

 

「うん、ヨロシク~♪」

 

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詩音との電話を切ったつかさは別の所に、電話で別の誰かと連絡を取り始めた。

数回のコール音のあと、相手が受話器を取る。

 

「もしもし……」

 

『もしもし?アンタから電話が掛かって来たってことは……』

 

「ええ、仕事よ。」

 

『でもさ?仕事って言っても、アンタらが出した“ゴミ”の掃除でしょう?アレ、面倒なのよね……』

 

学園都市に潜む闇の組織は、つかさを通してジャッジメントのトップである詩音の依頼に『面倒だと』いちゃもんをつけたのだ。

 

「あら?受注する側のアナタたちが仕事を選ぶのって言うのかしら?ギャラはきちんと払っているでしょうに……」

 

『なら、コチラとしても、もう少しギャラを上げて……』

 

「嘗めたこというなよ!これは私からのではないぞ、委員長直々の依頼だ!それにな、貴様たちのクソみたいなプライドなど我々ジャッジメントの知ったことではない!貴様らは我々の依頼どおりに仕事をすればいいのだ!」

 

声を荒らげたつかさは一方的に電話に切る。

そして、その報告を詩音に伝えた。

 

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詩音はつかさに連絡したあと、近くに置かれているアンチスキルの詰め所に、救出した男子生徒を預けると自身の寮に戻っていた。

帰り道を歩いていると詩音の電話がなる。

 

「ん?つかさちゃんか……もしもし?」

 

『委員長、アナタの言うとおり、暗部に掃除を依頼しました。』

 

「そう……ありがとう♪」

 

『しかし奴らときたら、掃除をしたいならギャラを上げろと言ってましたよ?』

 

「そうなの?」

 

『ええ、我々ジャッジメントを嘗めているとしか思えません!』

 

「フフフ……確かにそうだ。調子に乗らないように連中には調教しないといけないね?」

 

『まったくです。分をわきまえて貰わないといけないですね……』

 

「今日はもう帰って良いよ。お疲れ♪」

 

『分かりました。ありがとうございます。でも委員長は少し頑張った方が良いですよ。私もついでにアナタの書類整理をしてますが、減るどころか増える一方で……』

 

「マジで……」

 

『ええ、特に第一七七支部からの始末書が……』

 

「アイツか〰️〰️!」

 

詩音には心当たりがあるのだろう。

彼の叫び通りに響いた。

 

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二日後……

詩音は一七七支部にいた。

もちろん本部での書類整理は全て終わっている。

8割方つかさのおかげだが……

 

「どうしたんですの?」

 

詩音の向かい側のソファーに腰かける黒子が聞く。

 

「別にぃ~」

 

「そうですの……」

 

「白井さん?御坂さんって、ずっとあんな感じなんですか?」

 

黒子の隣に立っていた佐天が美琴について質問した。

美琴はここ最近、固法のことが気がかりでしようがなかった。

 

「ええ、まあ………」

 

その時だった。

初春が扱っていたパソコンに、アンチスキルからメールが届く。

 

「あ、アンチスキルからメールだ……えっと……アンチスキルはスキルアウトによる能力者狩りに対抗するべく、明朝10時より第十学区エリアG通称ストレンジの一斉摘発を行う!」

 

初春が読んだメールの内容に、その場にいた者たちは耳を疑った。

ある一人を除いて……

 

「(やっと始まった……)」

 

詩音は心の奥底で思い、少しニヤケそうになる。

そもそも、この一斉摘発を仕組んだのは詩音であった。

風紀委員長としての絶大な権力を持っている彼は、そのチカラを持って上位組織であるアンチスキルを動かしたのだ。

それも、ビッグスパイダーを一掃するための布石である。

 

もちろん、この一斉摘発の情報は仕事を休んでいる固法の元にも入って来ていた。

その日の夕方、メールを見た固法は部屋着のまま、どこかへ出かけようとする。

そこに彼女のルームメイトがジャッジメントの腕章を持って現れたが、固法はそれを受け取らず、寮を出て行った。

 

固法が向かった先は、第十学区のストレンジであった。

彼女がここに来た目的は黒妻に対し、一斉摘発の情報を教え、彼を逃がす為だった。

 

以前お気に入りだったビルの屋上に来て、学園都市の風景を眺めながら、吹き抜ける風に当たって考え事をしていると、不意に何者かから声を掛けられる。

 

「やっぱり、ここだったんですね……」

 

声の主は御坂美琴だった。

 

「御坂さん……」

 

「こんな所で何をしているんですか?ひょっとして、明日の一斉摘発のことを黒妻に教えに来たんですか?」

 

自身の心を見透かされ、固法は美琴から顔を背け、目線を外す。

 

「ここは固法先輩のいる場所ではないと思います!」

 

「そうね……ここは私のいる場所ではない。それを私に教えてくれたのは黒妻なの。」

 

固法は過去にどういった事があったのか、その当事者の一人として経緯を美琴に話した。

 

「色々と辛かったけど、それが、私がここにいる理由よ。」

 

「でも……だからって、先輩はジャッジメントじゃないですか!犯罪者を逃がすって言うのもおかしいじゃないですか!それって………」

 

「ああ、間違っているな。」

 

美琴の言葉を遮るように黒妻が二人の前に現れる。

 

「先輩……」

 

「あれから二年か……あの後、目を覚ましたら病院でさ、そのまま施設に送られて、出てこれたのが、ほんの半年前……」

 

「先輩、私ッ……!」

 

「この景色も、もう見られねぇと思っていた……それにお前にも会わない方がいいと思ったいた。」

 

「また、あの時みたいに一人で乗り込むんですか?」

 

「ビッグスパイダーを作ったのは俺、だから潰すのも俺だ……アンチスキルでは……」

 

「アンタでもないよ。ビッグスパイダーを潰すのは、この僕だ……」

 

さらに意外な人物が現れた。

その人物は詩音……

 

「奴らは僕の大切な人を危険な目に合わせた。そのけじめを着けて貰うよ。」

 

「何?」

 

黒妻は凄むが、詩音にはどこ吹く風か……まったく気にしていない。

 

「その為に、わざわざアンチスキルを動かしたんだから。」

 

「ちょ、ちょっと詩音!何をでたらめを言っているの?空気を読みさなさい!」

 

「冗談?本気さ……僕はいつだって本気。やるときは徹底的にやる。悪党は全て潰す……」

 

「おもしれェ……だけどな坊主、ビッグスパイダーを潰すのは、この俺なんだ。お前に譲る気はサラサラねェってことは、分かってくれ……」

 

黒妻が立ち去ろうとした。

 

「行かないで、先輩!」

 

「美緯!いい加減にしろ!男にはやらねばならねェ時ってモンがあるんだよ。今日はもう帰りな……あの子も困っているぞ。」

 

「私は諦めません!私の気持ちは……今とか昔とか関係ないんです!明日は私も行きます。」

 

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その日の夜、美琴はベッドに寝転びながら黒子に聞く。

 

「ねえ?黒子………」

 

「何でしょう?お姉さま……」

 

「時間が経っても、立場が変わっても変わらない思いってあるのかな?」

 

「むしろ、誰かが誰かを思うって、そう言うことだと思いますの……そして、その時の思いの積み重ねがその人を輝かせている。」

 

「積み重ね、か………」

 

「口幅ったいですけど、お姉さまとワタクシにも短いながらも、積み重ねて来たものが……」

 

「そっか、それはこれからも積み重ねっていく……うん!」

 

美琴は今までモヤモヤしていた気持ちに、納得し何かを思いたった。

 

「黒子、ちょっと手伝って欲しいんだけど……!」

 

美琴は黒子に作戦を話す。

 

「お姉さまらしい強引な手ですが……」

 

「強引は余計よ……でもさ、黒子……」

 

「はい?」

 

「私がストレンジに行った時に詩音が来たの……」

 

「そうだったのですの……詩音さん、途中で支部から消えるように居なくなったから、心配していましたの……」

 

「それでね。アイツ、明日の一斉摘発は自分が指示したんだって、言ってたの……」

 

「まさか。あり得ませんわ……一介のジャッジメントである詩音さんが、上位組織であるアンチスキルを動かせるなんて……」

 

「でしょ?私もにわかに信じられないわ。」

 

「ここは秘密裏に調べてみないといけないですわね……」

 

「そうね……」

 

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明くる朝……

ストレンジの一斉摘発のために数十人のアンチスキルが、それぞれ車両に別れて乗車して目的地へ向かう。

また、アンチスキルが施設を出発した頃、美琴と黒子はすでにストレンジにおり、少し遅れて来た固法と合流していた。

やって来た固法は、上に赤いレザーのジャケットを着ている。

 

「アナタたち、どうしてッ!!?」

 

「すみません!固法先輩!」

 

美琴が一言謝り、強引に固法の右腕に何かを着ける。

 

「ちょ、ちょっと……ッ!!?」

 

「もう少し………出来た!」

 

固法の右腕に付けられたのは、ジャッジメントの腕章……

 

「これ、私の……どうして?腕章は私のロッカーに入っていたのに……ハッ!」

 

固法は自身のロッカーから腕章を取り出した犯人を、すぐに見つけた。

こんなことができるのは白井黒子だけだと……

彼女を見ると舌をペロッと出していた。

どうやら固法に対して悪いことをしたという気持ちはあったようだ。

 

場所は変わり、詩音は一人でストレンジを蹂躙しながら、ストレンジ最深部にある根城を目指していた。

 

「ハハハ……キミたちは運がいい!普段は殺して回るけど、今日はアンチスキルが来るからね、特別に生かしてあげる!」

 

「野郎!嘗めやがって!」

 

あちこちからスキルアウトたちが、詩音に遅い掛かるが、誰一人として彼を止めることが出来ない。

次々と無力化、倒していく。

 

そして、ビッグスパイダーを作った張本人である黒妻が根城の倉庫へ一番乗りした。

 

「ふあ~~寝みぃ~」

 

「おいおい、朝から見張りとは大変だな……」

 

黒妻は倉庫の扉共々、見張りをブッ飛ばす。

 

「よお!蛇谷!終わらせに来たぞ……!」

 

「コイツ……」

 

「この間の……ッ!!?」

 

「分かっているとは思うが、俺は強ェぞ?」

 

ビッグスパイダーと黒妻が対峙する。

時を同じくしてアンチスキルも一斉摘発のために別区画から隊列を組んで歩を進めた。

 

黒妻は拳ひとつで次々とビッグスパイダーのメンバーを倒していく。

 

「ああ!アンタは確かに強ェッ!」

 

ニセ黒妻こと蛇谷は押され気味だ。

 

「だがな、そんなんは能力者と一緒だぁ!数と武器には勝てェッ!!!」

 

一斉に銃口が黒妻に向けられる。

 

「そこまでよ!!!」

 

そこへ現れたのは、赤いレザージャケットを着た固法だった。

右腕にはジャッジメントの腕章がみえる。

それを見た、黒妻はカッコいいと一言……

固法はその言葉が嬉しく、頬を赤らめていた。

 

「こ、固法さんッ!!?」

 

「蛇谷くん?アナタ、ずいぶんとゲスな男に成り下がったわね?」

 

「うぅぅ……うるせぇッ!!!!!!俺たちを裏切って、ジャッジメントになったヤツらに何が分かる!オラァ!行けェ!」

 

「で、でもォッ!……」

 

ビッグスパイダーのメンバーたちは二人を恐れている。

蛇谷は怖じ気づくメンバーたちを、無理やり鼓舞した。

黒妻に向けられる銃口のいくつかが、固法にも向けられる。

しかし、その銃は黒子の能力によって、使い物にならなくなった。

 

「次は、直接体内にお見舞いして差し上げますわよ?」

 

黒子が金属製のダーツをチラつかせる。

 

「まだだ!俺たちにはアレがある!」

 

「アレって……」

 

ゲームセンターのコインが宙を舞ったかと思うと、次の瞬間そのコインはローレンツ力にてよって一条の青白い光となって、倉庫脇に止めてあった“キャパシティーダウン”搭載のワンボックスかーを凪ぎ払う。

 

「うわぁぁぁ!」

 

レベル5級の能力に、蛇谷をはじめとするビッグスパイダーのメンバーに戦慄が走った。

 

「コレのこと?同じ罠に二度も掛からないわよ!」

 

「まだだ!俺たちには奥の手が……!」

 

蛇谷の声で倉庫二階に現れたのは、“M134ガトリング銃”……

その銃口が黒妻たちに向けられるが、その射線に詩音が割って入る。

 

「やらせないよ!」

 

そして、発射される弾丸を愛刀絶影を使い、超人以上の剣捌きで切り払って彼らを守った。

 

「な、何だよ……」

 

蛇谷は青ざめ、ただ唖然としている。

ガトリング銃は詩音を殺す前に動作不良を起こし、壊れてしまった。

 

「まだ、やる気かい?」

 

詩音は笑っている。

 

「や…………やれェェッ!!!」

 

蛇谷は部下たちに命令するが、下っ端たちは完全に腰が引けていた。

 

「無茶です!あれは常盤台のレールガンと化け物たちを相手にするのは!」

 

「良いから、やれって言ってんだよ!」

 

蛇谷は持っていた銃を頭に突き付けることで脅すことで、部下たちを戦いに駆り立てる。

 

詩音と美琴、黒子も黒妻や固法と共に戦おうとしたが、固法から「先輩を少しは立てろ」と、止められ成り行きを見守ることにした。

 

「おー強い、強い♪」

 

詩音はこの状況を楽しんでいる。

息の合った二人にビッグスパイダーは一人、一人また一人と削られ、最後に蛇谷だけが残った。

 

「さて……どうするよ?」

 

黒妻が問う。

万事休すの蛇谷……しかし、彼は最後の手段として腹に巻いた爆発物を黒妻に見せつける。

 

「うわッ!!?」

 

「ダイナマイト!!?」

 

「いつの時代の方ですのッ!!?」

 

詩音たち三人は、息の合ったツッコミを披露した。

 

「これ以上近づいてみろ!みんなドカーン!だ!」

 

黒子と詩音は万が一のことを考えて構えるが、美琴に静止させられる。

 

「はあー蛇谷……面倒くせェな……」

 

黒妻は着ていた革ジャンを脱ぎ、蛇谷を追い込むように近づいた。

 

「く、来るなァッ!ドカーン!だぞ!」

 

「なあ、蛇谷?昔は楽しかったよな?」

 

「来るな……」

 

「みんなで吊るんで、馬鹿やって……」

 

「来ないでくれ……」

 

次の瞬間、黒妻は蛇谷の鳩尾に強烈な一撃を叩き込む。

 

「グハッ!!?……」

 

その衝撃でダイナマイトが、体から落ちた。

蛇谷がとうとう膝間付く。

 

「どうしちまったよ?蛇谷……」

 

「しょ、しょがなかった……」

 

涙声で蛇谷が訴えた。

 

「しょうがなかったんだよ……俺たちの居場所はここしかねェ。ビッグスパイダーをまとめるには、俺が“黒妻ワタル”になるしか、なかった……だから!」

 

蛇谷は懐から大振りのナイフを取り出し、黒妻に遅い掛かる。

 

「今さら、テメェなんか要らねェんだァァァッ!!!!!!」

 

黒妻は紙一重で蛇谷のナイフを避けると、顔面めがけ拳を叩き込んだ。

それを見ていた詩音は自身の目を疑った……

 

「(まさかッ!!?手加減してるけど、あれは二重の極み……ッ!!?)」

 

黒妻の拳は蛇谷の顔にめり込む。

 

「ゴパァァァッッ!……………」

 

蛇谷は仰向けで倒れて、全てが終わった。

 

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ビッグスパイダーは完全に壊滅した。

また、黒妻も傷害と暴行の罪で連行されることになった。

手錠を掛けるその役目を固法が担当する。

せっかく憧れの人に会えたのに、再び離れ離れになってしまう。固法は手錠を掛けるのを躊躇すが、黒妻は手を静かに差し出した。

男の覚悟を察した固法は手錠を掛ける。

 

「黒妻ワタル。アナタを傷害と暴行の罪で拘束します。」

 

これでこの事件は解決した。

 

「なあ美緯?その服、ちょっと胸キツくないか?」

 

「フフ、だって毎日飲んでますもん。「ムサシの牛乳!」」

 

「やっぱり、胸のことを言われているのに……」

 

「不思議とイヤらしくない……」

 

美琴と黒子は各々胸を触りながら、首を傾げている。

 

「二人とも覚えておくんだね。アレが大人のオーラってモノさ……まあ、子供のキミたちが理解できればの話しだけど……♪」

 

「「なんですってェェ〰️〰️ッ!!!!!!」」

 

詩音を追いかけ回す美琴と黒子を見ながら、固法と黒妻は笑っていた。

 

「(先輩……ありがとう。)」

 

次回に続く。

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