とある科学の刀剣使い(ソードダンサー) 作:御劔太郎
良ければ、ご意見・ご感想をヨロシクお願いします。
ここは第七学区、学舎の園……
時刻は夜の8時を回った頃だった。
突如、地震に似た強い揺れが、一帯を襲う。
揺れは十秒ほど続き、ここに置かれた常盤台中学の女子寮も少なからず被害を受けてしまった。
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次の日、場所は変わり柵川中学校にて……
詩音と初春は、担任の大圄先生に呼ばれ、学校内の応接室にいた。
「昨日もあったみたいだね?地震……君たちの寮はどうだった?」
「私は大丈夫です。ウチの方は揺れませんでした。」
「僕も初春さんと同じで大丈夫です。」
「でも、不思議だよね?同じ第七学区なのに……」
「それで大圄先生?私と紅月くんに何かご用ですか?」
「実を言うと、二人にはウチの風紀委員(ジャッジメント)として、頼みたいことがあるんだ……入って来て?」
大圄先生に呼ばれ、扉が開くと現れたのは一人の少女。
ピョコンと飛び出た癖っ毛が特徴のショートカットでおとなしそうな女の子だ。
その娘は部屋に入るなり、詩音と初春に頭を下げる。
「春上衿衣なの……」
「二学期からの転入生だ。そして初春、君のルームメートになる。」
「へぇッ!!?」
いきなりのことに初春は驚く。
「いきなりの事で済まないとは思っているけど、チカラを貸してくれないかな?もちろん、紅月も……」
「ま、任せて下さい!」
「ヨロシク、春上さん。」
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春上が初春の寮に越して来る日……
詩音と佐天、美琴に黒子は初春の寮に向かっていた。
「第一九学区からの転入生か……この時期にしては珍しいわね?」
「普通なら新学期に合わせそうな気もしますけど……」
佐天は鼻歌を歌っている。
「ルイコ、今日は一段と機嫌が良いね?」
「当たり前じゃん♪初春のルームメイトってことは私の親友候補だからね。」
詩音たち一行は、初春の寮までもう少しと言うところまで来た。
「紅月くーーん!」
すると寮に門の前で彼らを呼びなから手を振る初春とペコリと頭を下げる春上の姿を見つける。
二人と合流した詩音たちは、そのまま初春と春上の部屋の前まで来るとそこでなぜか立ち話を始めた。
「春上衿衣さんです。こちらが常盤台中学の白井黒子さんに、その先輩の御坂美琴さん。そして、私たちのクラスメイトの佐天涙子さん。」
「「「ヨロシク~」」ですの。」
「僕は昨日会った時に言ったけど、改めて紅月詩音です。」
「それでどうしてこうなっているの?」
佐天が唐突に話し出す。
部屋に入るための扉の前には、大量の荷物が積まれており、中に入ることが出来なかった。
玄関前で立ち話をするはめになったのは、これが理由だった。
「えーっと、その……春上さんを駅に迎えに行っている途中に引っ越し屋さんから連絡があって……」
申し訳無さそうに答える初春……
「でも、引っ越し屋も少しは考えれば良いのにね。」
ごもっともな意見を述べる美琴……
「どうしたモノか……」
佐天が呟く。
「このくらい大丈夫だよ。なんと言ってもこちらには白井さんがいるから……ね?」
「はあ、仕方ありませんわね……」
詩音に言われて黒子は、仕方ないと言った表情で能力を使い、あっという間に大量の荷物を部屋の中に入れてしまった。
春上は初めて見る高位の能力者に、純粋に感激していた。
「スゴいの……テレポートって初めて見たの。」
「そりゃそうでしょうとも……ワタクシのチカラを持ったテレポーターは学園都市内でも、そうそう居りませんのよ。」
「ほぉー。」
春上の尊敬の眼差しに鼻高々になる黒子であった。
「はいはい。チャッチャッと片付けちゃお!」
美琴の言葉を合図に各々手分けして、春上の荷物を片付けていく。
詩音を除いて……
詩音は初春の使う勉強机の椅子に座り、まるで自分の部屋のように勝手に彼女の冷蔵庫から麦茶を取り出し飲んでいた。
やはり、四人係で片付けそれば早い。
小一時間で終わった。
「こんなところかな?」
佐天が最後の段ボールを部屋の隅に置いた。
「疲れたね……」
詩音が一言。
「アンタは何もしちゃいないでしょうが!」
美琴がゲンコツを彼の頭に落とそうとしたが、当の詩音には当たるはずもなく……
「あ、避けるな!」
端から見ると二人は仲の良い姉弟のようだった。
「みなさん、どうもありがとうございましたなの。」
春上がペコッと頭を下げる。
「気にしない、気にしない。それより、片付けも案外早く終わったことだし、どこかに遊びに行かない?」
「そうだね、いろいろと紹介したい所もあるだろうし……」
「賛成ー!」
「あ、賛成じゃありませんの!ワタクシと初春、詩音さんはこれから合同で会議じゃありませんの!」
「「はっ!………はあ~~」」
春上と一緒にいることが出来ない初春はガックシと肩を落とす。
昼行灯の詩音に取っても、苦痛の時間だ。
「合同って?」
「アンチスキルとジャッジメントのですわ。何でも最近頻発している地震についてだそうですわ。」
「地震で会議?」
「はあ、そうでした。」
「じゃあ、御坂さんと私の三人で行こうか?」
「あぁ!ズルいです。」
「終わったら、合流すれば良いじゃん。ね?」
「あ、大丈夫ですよ。佐天さんはともかく、御坂さんは優しい人ですから。私たちも終わったらすぐに行きますし……」
「アンタね~?」
「佐天さん?冗談でも春上さんのスカート、捲ったりしないで下さいね!」
「え?どうして私がそんなことするの?」
「え?あれ?……え?だって……」
「えぇぇ~~~~~ッ!!?」
どうやら佐天のスカート捲りは初春限定のモノらしい。
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その後、ジャッジメント組の三人は合同会議の行われる会場へと向かう。
会場入り口には、先に到着した固法が、詩音たち三人を待っていた。
「お疲れ様です。固法先輩……」
「どう?そっちはお友達の引っ越しは済んだの?」
「はい。白井さんたちに手伝って貰ったんで……」
「そう。良かったわね?」
何気ない雑談をしながら、用意されていた席に座る。
「やっぱり凄い人だね……」
「まあ、第七学区に置かれたジャッジメントの支部とアンチスキルの全てが、一同に会していますからね?」
「でも、ジャッジメント組の席、あそこの二席だけ誰も座ってないよね?」
詩音の指摘どおり、ジャッジメントたちに用意された範囲のうち、一番前の二席だけポツンと空いていた。
「本当ね……いったい誰が座るのかしら?しかも一つは革張りの椅子だし……」
固法の言うとおりその内の一つは他とは違って革張りの豪華な作りとなっている。
「ルイコから聞いた噂なんだけど、ジャッジメントには風紀委員長って言われる役職者がいるんだって……」
「でも、紅月くん?その噂が本当ならどうして席は二つ分空いているんですか?」
「風紀委員長がいるなら、ナンバー2の副委員長が居たって不思議じゃないよ。」
「なるほど………」
「なるほど……じゃありませんの!バカバカしい!佐天さんも佐天さんですわ!毎回、変な噂話に振り回されて……」
そんな話しをしている内に、会議の開始時間となった。
「ほら、三人とも始まるわよ。」
壇上に上がったのは、アンチスキルに所属する黄泉川先生……
どうやら、今回の会議の司会進行役であろう。
「このところ、頻発している地震についてだが、結論から言おう。これは地震ではない。正確には………………」
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「ポルターガイスト?」
詩音たちジャッジメント組とは別行動となった美琴と佐天、そして春上の三人は、公園のベンチに座ってクレープを頬張っていた。
「イエス!ポルターガイスト!」
佐天は興奮していた。
オカルト好きの彼女に取っては、何とも言えない胸が踊るような熱い噂なんだろう。
「って、あれでしょ?家具やらなんやらが、勝手にぐらぐらと揺れたり、動いたり………」
佐天と真逆で、美琴はあまりそう言ったモノには興味がないようだ。
「P波もS波も観測されないんですって!」
ちなみに“P波”とは『“Primary Wave”=“最初の波”』のことで、“S波”は後から来る『“Secondary Wave”=“第二の波”』である。
「これは超常現象ですよ!超常現象!」
佐天の瞳は純粋な子供のように、キラキラと輝いていた。
「超常現象?ルイコ、それは違うよ……」
そんな彼女に水を指す輩が現れる。
声の主はなんと、詩音であった。
初春の寮で分かれたかと思うと、一時間もしない内に、再び美琴らと合流したのだ。
「はあッ!!?何でアンタがここに居るのッ!!?」
「そうだよ!合同会議はッ!!?」
驚く二人。
「面倒くさいし、途中で抜けて来た……」
「詩音くん、そんなことして大丈夫なの?」
佐天は彼のことを心配している。
「さあ?僕一人が抜けたところで何も変わんないよ……」
「アンタがいないこと、黒子たちは知ってるの?」
「知らないんじゃない?気配を完全に消してたから……」
ジャッジメントとしてはあるまじき行為だが、当の詩音は何ら悪怯れる様子もなく、飄々としていた。
「詩音くん、スゴいの……」
「春上さん、僕に惚れた?ダメだよ。僕はルイコ一筋だからね……♪」
「はあ~そんなのどうでも良いわよ。それでポルターガイストの原因とはなんなのよ?」
「ポルターガイストの原因……それは“RSPK症候群”の同時多発だよ。」
「「RSPK症候群……?」」
RSPK症候群とは、能力者が一時的に自立を失い、無自覚に能力を暴発させる病気である。
それが同時多発する事でポルターガイストのような現象など様々なことが発生する。
さらに規模が拡大することによって、地震と区別のつかないような現象に感じたりする。
詩音は分かりやすく、美琴たちに説明した。
「と、僕はそこまでしか聞いてないけど……」
「ええぇ~!じゃあ、別次元からの波動や学園都市が秘密裏に行っているって言う話は~?」
「ルイコには悪いけど、そう言ったモノは愚にも付かない噂ってことさ……」
「そんな~」
佐天は心底ガッカリしている。
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詩音が合同会議から抜け出してから一時間半ほど経った。
会議を終わらせた黒子と初春が、美琴たちと合流する。
『パチン……ッ!』
合流すると同時に黒子は、詩音の頬を張った。
「もう、我慢できませんわ!アナタはジャッジメントとしての自覚はありますのッ!!?」
黒子は詩音を叱責する。
「“自覚”なら、あるよ……」
「じゃあ、どおして?ワタクシたちは必死になって働いているのに、アナタいつも仕事をサボることしか考えていない!ワタクシにはそうにしか見えないですの!」
「僕はあいにく白井さんみたいに熱い何かは持ち合わせてはない……はっきり言って、暑苦しい。」
「なんですって……!」
一触即発の状況。
詩音の言葉に黒子は拳を握る。
「ちょっと黒子、落ち着きなさい!アンタの気持ちは良くわかっているから……詩音!謝りなさい!」
「………」
美琴に謝罪を促すが、詩音は謝ろうとしない。
そんな態度に黒子は落胆した。
「見損ないましたわ。詩音さん………」
黒子は踵を返し、どこかへテレポートして行った。
「あ、黒子!アンタなんてことをッ!!?」
「別に……本当のことを行ったまでさ……」
「あ~!もう!私は黒子をどうにかするから、そっちはお願いね!」
「あ、はい!」
「分かりました。」
美琴はいなくなった黒子の姿を追うのだった。
「行っちゃった……」
「でも、どうして紅月くんは、白井さんにあんなヒドいことを言ったんですか?」
「初春や固法先輩、他の人たちも同じように見ていたってこと?」
「ただ僕は、白井さん自身が持っている価値観を押し付けられたくないだけさ………」
詩音もどこかへ行こうとした。
「詩音くん!」
咄嗟に彼のあとを追おうとした佐天であったが、詩音が「一人になりたい」からと言って、それを許さなかった。
その場に取り残される、佐天と初春、そして春上の三人……
「どうしよっか……」
「分かりません……でも、紅月くんがあんなことを言うなんて、私ショックでした。」
途方にくれる二人。
そんな彼女らに、春上が声をかける。
「初春さん、アレ……」
春上が不意に指差した方に目を向けると、街灯の支柱に張られたポスターが一枚。
良く見るとそれは今夜行われる花火大会の案内ポスターだった。
「これ今夜の……」
「私、みんなで一緒に見たいの。」
「ナイスアイデアだよ!春上さん!」
「そうですね!このシチュエーションなら絶対に仲直り出来ますよ!」
佐天と初春は、ケンカをした詩音と黒子を仲直りさせるための席を設けるために行動に移るのであった。
次回に続く。
今回、ラストがちょっとモヤモヤしてしまいましたが、
二人は無事に仲直りでますでしょうか?