とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)   作:御劔太郎

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第3話 御坂 美琴(レベル5) vs 紅月 詩音(レベル0)

強盗事件から数日たったある日……

詩音は美琴に呼び出され、ファミレスに来ていた。

 

「もう~どういうつもりですか?御坂さん…こんな朝っぱらから……僕、暇じゃないんですよ?」

 

「そんなことどうでも良いわ!この間の事件の話!アレって何なの?アンタ自動車を斬ったでしょッ!」

 

「ああ~確かに……そんな事してましたね~」

 

「どんな能力なのッ?教えなさい!」

 

美琴が矢継ぎ早に質問してくる。

 

「う~ん……別に能力なんて使ってないですよ?そもそも僕はレベル0……ただの無能力者です。」

 

「はあ~ッ?ウソばっかり!じゃあ、どうしてあんな事ができるの!納得のいく説明をしなさい!さあ!さあ!」

 

鼻息の荒い美琴……

物凄い勢いで詩音を捲し立てる。

 

「まあ……何て言えばいいですかね?あれは先祖から受け継いだ血と日々の鍛錬の結果ってところですか?」

 

「何を言ってんの?そんなの説明になってないじゃん!いいわ!私がアンタを試してあげる!ちょっと来なさい!」

 

美琴は詩音の手をおもむろに掴むと、ズンズンと引き摺るように店から出ていった。

もちろん、お代は詩音持ちで……

 

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場所は変わり、黒子は佐天と初春ら三人で第七学区内にあるガーデカフェでお茶をしていた。

どうやら黒子は、朝から居なくなったルームメートの美琴を心配しているみたいだ。

 

「えーと、つまりは……朝起きたら御坂さんが部屋から居なくなっていた……と?」

 

「ええ……この間の強盗事件で紅月さんのアレを見てから彼に興味深々で……もしかしたら、お姉様の悪い癖が出てしまったんじゃないかと思いまして……」

 

「御坂さんの悪い癖ってアレですか?」

 

「たぶん、そうみたいですよ。佐天さん……」

 

三人には思い当たる節があるみたいだ。

そう、何を隠そう御坂美琴は気になるヤツを見つけると所構わず勝負をしてしまう“バトルジャンキー”なのだ。

 

この悪癖に迷惑を被った被害者は数知れず……

 

どうやら詩音もその標的となってしまったようだ。

 

「白井さん!そうなると大変ですよ!紅月くんは、ああ見えてもレベル0の無能力者!御坂さんの電撃をまともに受けたりでもしたら……ッ!」

 

「真っ黒コゲになってしまいます!」

 

「分かってますの!だから、二人をこうして呼び出したんですの!初春!この際だから手段は選びませんわ!学園都市中の防犯カメラを使って一刻も早くお姉様を探し出して止めませんと……」

 

「そうですね!このままだと紅月くんがローストされかねません……ッ!」

 

初春が手持ちのリュックからポータブルパソコンを取り出すやいなや、信じられない速さで操作し学園都市中の防犯カメラにハッキングを掛けだした。

 

「あ、居ました!」

 

そして、彼女は5分も経たない内に二人の居場所を見つけ出す。

 

「どれどれ~あ、ここって近くの河川敷じゃん!」

 

初春のポータブルパソコンを佐天と黒子が横から覗き込むと、そこには西部劇さながらに向かい合う二人の姿が……

 

「マズいじゃないですか~!白井さん……御坂さん、やる気マンマンじゃないですか!」

 

防犯カメラの映像には青白い火花を散らす美琴が映っていた。

 

「これはウカウカしていられませんの!急ぎませんと……初春!ワタクシ先に行きますわ!」

 

「えッ!!?ちょっと、白井さんッ!!?」

 

「お代はあとから返しますんで~~ッ!」

 

黒子はテレポートを繰り返し、物凄い速さで二人の前から去っていく。

 

「この勝負見逃せないわね!」

 

「佐天さんッ!!?悪のりしてません?」

 

「してない!してない!じゃあ、私の分のお代もよろしく!白井さ~ん!待ってくださ~い!」

 

「も~~~~ッ!!!!!!」

 

佐天も初春に支払いを任せるとダッシュで黒子の後を追い掛けていった。

 

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場所は戻り、ここは第七学区内にある河川敷……

御坂さんと詩音は互いに向かい合っていた。

 

「ねえ~御坂さん……本当に戦わないといけないんですか~?」

 

「当たり前よ!そのためにここまで来たんだから!行くわよ!」

 

御坂さんは先制攻撃と云わんばかりに詩音に向かって強烈な電撃を飛ばすが、詩音は人間離れした動きで彼女の電撃を避ける。

詩音がその時に踏み込んだ際の地面は抉れたように深々と陥没していた。

そして、この攻撃が彼の中に眠る先祖から代々受け継いできた人斬りの血を呼び覚ましてしまう。

 

「はあ~いきなりですか、御坂さん……まあ、良いでしょう。僕もちょっと本気を出してあげますよ……」

 

詩音は、絶影の鍔に指を掛ける。

彼の瞳はいつもの朗らかな感じとは違い全てに倦んだ冷酷なものになった。

詩音はそんな瞳で彼女を見据える。

 

「……ッ!!?か、体が…動か…ないッ!!?」

 

次の瞬間、目の合った美琴はまるで金縛りにあったように痙攣し、その場に力無く膝から座り込んだ。

 

「はあ、はあ……こ、呼吸も…………」

 

彼女の呼吸が次第に浅く早いものになっていく。

 

「ア、アンタ……!い、いったい私に………何をしたの……!」

 

「何をって……僕のチカラを知りたかったんでしょ?『二階堂平法、心の一法』……強力な瞳術です。」

 

「ど、瞳術……?な、何よ、それ……」

 

「ん~~何て説明すれば良いのかな?……あ、人の恐怖心を利用した強力な催眠術ですよ……それも瞬間的に掛けれるから楽に相手を無力化できるんです。」

 

詩音が愛刀『絶影』を抜きながら、ゆっくりと彼女もとに近づいて来た。

 

「ね、ねえ、詩音……これって、冗談……だよね……?」

 

苦しい表情を浮かべる美琴……

 

「冗談?何を言ってるんですか?アナタの好奇心も大概なモノだ。良い顔です……恐怖に歪んで、とっても可愛いですよ?大丈夫、痛みは感じません……すぐに楽になれますから……」

 

「や、やめて……」

 

「い・や・だ・ね♪」

 

命乞いをする美琴を詩音は、そんな彼女を無視して高らかと愛刀を掲げる。

死を覚悟した美琴は、ギュッと目を閉じた。

 

「そこまでですわ!紅月さん!」

 

突如、背後から黒子の声がした。

彼女は美琴を助けるために詩音の死角にテレポートし、ドロップキックで彼を仕止める気でいた。

 

「甘いわーーッ!!!!!!」

 

詩音は鞘の先で黒子の跳び蹴りを止め、勢いを完全に殺したところで、瞬時に彼女の方に振り返り足首を掴むと、地面に激しく叩き着けた。

 

「ガハッ!!?」

 

「く、黒子……ッ!」

 

「ダメだ……全っ然ダメ!白井さん……あの頃から全く進歩してないじゃないか……攻撃パターンが同じだって、前から言ってるでしょう?それに僕の目には空間移動するキミの姿がはっきりと見えてるだよ……コマ送りするみたいにね!」

 

「な、何ですって……?」

 

「おっと、敗者に発言を許した覚えはないな……少し待って、御坂さんを切り刻んだ後に、ゆっくりとバラしてあげるから♪」

 

黒子との会話を終えた詩音は改めて美琴に向き直った。

今度こそ絶対絶命の美琴……

 

「や、やめて下さい!」

 

「だからさ~負けたキミたちには何の権利もないんだよね。」

 

黒子の願いも聞き入れて貰えない。

その時だった。

 

「何をやってるんですか!」

 

「うん?」

 

詩音が土手の方向を見ると、そこにはジャッジメントの腕章を着けた初春と佐天の姿があった。

 

「あ、初春さんに佐天さん……」

 

詩音は刀を鞘へしまう。

美琴も“心の一法”から開放され、苦しい表情も少し和らぎ、呼吸も落ち着いてきた。

これに合わせるように黒子も上体を起こす。

 

「詩音くん!コレはいったいどういう事?説明してよ!」

 

佐天に言い寄られた詩音は、黒子たちに対して事の次第を説明をした。

 

「はあ~やっぱりですの……だからアレだけ言いましたのに……お姉様は仮にも常盤台のエース、軽はずみな行動はお慎みあそばせと……」

 

「分かってるわよ、黒子……今回は反省してる……」

 

「紅月くんも紅月くんですよ!あの行動は犯罪です!何を考えているですか!」

 

「だって、御坂さんと白井さんが………」

 

「だってじゃありません!」

 

「はい、ごめんなさい……」

 

普段はおとなしい初春にこっぴどく叱られて詩音はシュンとしている。

 

「まあ……今回はお姉様にも原因がありますので、紅月さんの事は大目に見ますわ……だけど、次回は本気で逮捕しますからね……分かりましたかッ!!?」

 

「はい、肝に銘じときます……」

 

次回に続く。

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