とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)   作:御劔太郎

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かなり間が開いてしまいました。


第35話 あなたの目には何が見えていますか? 後編

支部を飛び出した美琴を追い掛けて、詩音も支部を出た。

彼女との時間差は無かったので、詩音はすぐに美琴に追い付いた。

 

「御坂さん!何やってるんですか!」

 

美琴の肩を掴み、引き止めようと問いかける詩音。

 

「何って分かるでしょ!テレスティーナの所に行って、春上さんを……枝先さんを……みんなを助けるのよ!」

 

美琴は訴えた。

 

「今、御坂さんじゃ無理ですよ!」

 

「何が無理なのよ!私はレベル5よ!不可能なことはないわ!」

 

美琴は感情的なことになっているのか、ワケの分からないことを言っている。

 

「私のせいで……私が感情的になって……それで……!この責任は私にあるの……!」

 

詩音に対して、今回の美琴は一歩も譲らない。

しかし、詩音も引かずに食い下がった。

 

「仮に奴からみんなを助けられたとしても、御坂さん自身が無事だと言う保証はどこにもないんですよッ!!?」

 

「じゃあ、どうすれば良いの……ッ!!!」

 

「僕も行きます……ッ!」

 

詩音の覚悟を決めた瞳が、美琴を見据える。

 

「えっ?……」

 

「僕も御坂さんと行くって言ったんですよ!」

 

「アンタこそ無理よ!レベル0に何が出来るって言うのよ!」

 

「レベル0とか関係ない!少しは友達である僕を頼ったら良いじゃないですか!」

 

その言葉に美琴は、ハッと何かを気づかされた。

 

「だから……」

 

詩音は手を差し出す。

美琴がその手を握った次の瞬間、詩音に強い衝撃が走った。

 

「がッ!!?……」

 

美琴は能力を詩音に向けて行使したのだ。

その威力はスタンガン程度には強く、その電撃を不意に受けた詩音は昏倒して倒れてしまう。

 

「ど、どうして…………」

 

ワケの分からないまま詩音は意識を失った。

薄れ行く意識の中で詩音の目に映ったのは涙で濡れる美琴の顔だった。

 

「ゴメン詩音……大切な友達だからこそ私はもう誰も巻き込みたくないの……」

 

美琴は救急への通報とメールで後の事を黒子に任せると自分は一人でテレスティーナのもとへ向かった。

 

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場所は変わり、第一七七支部でもひと悶着起きていた。

未だに涙が止まらない初春に痺れを切らした黒子が、泣く彼女の頬を平手で叩く。

乾いた音が支部内に響いた。

 

「……ッ!!?」

 

「いつまで、そうやって泣いていますの……!」

 

静かだが、黒子の声は明らかに怒気を孕んでいる。

 

「白井さん………?」

 

呆気にとられる初春。

佐天もその様子を心配そうに見守るしか出来ない。

 

「もっと他にやるべき事があるでしょ……以前、詩音さんにもあんな啖呵を切っておいて、何かあると泣くことしか出来ない……いい加減にしてくださいな……!」

 

黒子の檄が届いたのか、初春は涙を拭き支部のパソコンを叩く固法と席を変わる。

 

「交代してください!」

 

涙声だが、いつものジャッジメントとしての初春に戻っていた。

パソコンと向き合い、懸命に連れ去られた春上たちの手掛かりを探る。

一方の黒子は初春の為だと言えど、彼女に手を上げたことを深く後悔していた。

 

「そう言えば、詩音くんと御坂さんは大丈夫なのかしら……」

 

固法はふと言葉を漏らす。

その時、黒子の携帯が鳴った。

相手は美琴……その内容に黒子は驚愕する。

それと同時に支部の電話も鳴った。

電話はアンチスキルから、その内容は詩音のことだった。

 

「佐天さん!詩音さん「くん」が……!」

 

「へッ!!?……」

 

****************************************************************************************************************************

 

美琴が先進状況救助隊の研究所に着いた。

ちょうどその時、数台の大型トレーラーが研究所から出発するタイミングだった。

次々とトレーラーが正門を出ていく。

しかし、その内の一台が美琴の前で停車した。

ドライバーが見送っていたテレスティーナに無線で指示を乞う。

 

『良いから、行きなさい。』

 

彼女の指示でトレーラーが再び動き出した。

 

「ちなみに今のトレーラーに子供たちが乗っていたんだけど、良いの~?追い掛けなくて?」

 

専用の新型の駆動鎧を着たテレスティーナが美琴を煽る。

 

「騙したわね?」

 

怒りに震えながら美琴はグッとテレスティーナを睨み付けた。

 

「怒った~?」

 

「いったい何を企んでいるのッ!!?」

 

「フフ……企むだなんて………」

 

不敵に頬笑むテレスティーナ。

 

「木原幻生の孫で能力体結晶の最初の被験者でおじいさんの実験体にされるなんて……なのにアンタは幻生の研究を手伝い春上さんたちを連れ去った。いったいどういうつもりなのッ!!!」

 

美琴はテレスティーナの目の前に立った。

 

「ププ……ギャハハハハハハッ!」

 

次の瞬間、テレスティーナは下品に笑う。

 

「よく調べたじゃねェかァお利口さァ~ん!けどなァ~どういうつもりと聞かれて答えヤツは居ねェ~んだよ……ヴぁーーか!」

 

ついに堪忍袋の尾が切れた美琴の体には尋常ではない電気が流れ、その身を青白く輝かせる。

 

「そんなに知りたきゃ、力ずくで聞き出してみろやァッ!」

 

その言葉に反応した美琴は電撃をテレスティーナに向けて放とうしたが、急に頭全体に響く音に邪魔される。

 

「まあ、出来ればだけど……♪」

 

不快な音に苦しみ、美琴はその場に膝間付いた。

 

「こ、この頭をかき乱す音は……まさかッ!!?」

 

「そう!そのまさかだよ!」

 

テレスティーナは右手を振り上げると、美琴目掛け力任せに振り落とす。

美琴は激しい頭痛に苦しみながらも、テレスティーナの一撃を間一髪避けた。

テレスティーナの一撃は駆動鎧の助けもあって、アスファルトの地面を易々と砕いて見せる。

 

「ど、どうしてキャパシティーダウンをアンタが……」

 

「だってコレを作ったの私だから……♪」

 

「つ、作った……ッ!!?」

 

「ああ、スキルアウトに試作品を流したら、たくさんデータが集まってなぁ。おかげでかなり性能がアップしたぜェ?まあ、ちっとばっかしでかくなったけど……まあ、ゴミくず見てェなスキルアウトも使い方しだいじゃ役に立つんだなァ。アハハハハ!」

 

美琴は第十学区であった出来事を考えると堪らなく腹が立った。

 

「ふ、ざけるんじゃないわよ!」

 

「あぁ~?」

 

「スキルアウトは使い捨ての道具でもなければ、ゴミくずでもない!」

 

美琴がテレスティーナに向けて電撃を放つが、キャパシティーダウンの効果で狙いが外れる。

逆にテレスティーナは自身が携えていたグレネードランチャーを装備すると美琴に狙いを定めた。

 

「怒っちゃいーや!」

 

彼女はなんの躊躇いもなくランチャーの引き金を引く。

発射されたグレネード弾は美琴の脇を通り、後ろに止めてある大型車両に着弾し大爆発した。

 

「きゃッ!」

 

爆発の余波に煽られる美琴。

 

「何だよ……調整がいまいちじゃねェか。」

 

再び銃口が美琴に向けられる。

 

「まあ、互いにハンデがあるし面白いゲームになりそうだ。」

 

テレスティーナが連続でグレネードランチャーを撃ってきた。

美琴は必死なって彼女の攻撃を避ける。

 

「こんのォォッ!!!」

 

すかさず美琴も反撃するが、全くもって彼女には届いていない。

 

『キャパシティーダウンのせいで上手くコントロール出来ない。』

 

「ほらほら~全然こっち届いてないよう~♪」

 

こうなっては、テレスティーナの一方的な展開だった。

 

「ギャハハハ!どんどん逃げろやァッ!レベル5のお嬢ちゃんよォォッ!」

 

研究所の敷地内では轟音が鳴り響き、そこら中から土煙が立ち上る。

絶体絶命の美琴はとうとう建物の支柱付近まで追い詰められてしまった。

 

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場所は変わり、研究所内の病室。

そこには、婚后光子が入院しており、優雅に読書をしていた。

しかし、何だか外が異様に騒がしいことに気づく。

 

「もう~何ですの?この騒がしさは……これでは、ゆっくりと読書に勤しむことも出来ないじゃありません………かッ!!?」

 

カーテンを開けると外には爆発によって開いた穴がそこらじゅうにあった。

外の状況に婚后は戸惑いを隠せない。

さらに彼女は驚愕した。

 

「み、御坂さんッ!!?」

 

なんとテレスティーナが美琴の首を絞めていたのだ。

苦しそうにもがいている彼女の姿に居ても立ってもいられなくなり、患者用の部屋着のまま病室を飛び出した。

 

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「苦しいか?苦しいか?」

 

美琴の首を絞め上げながら、テレスティーナは笑っている。

 

「グッ……ガッ…………ッ!」

 

一方、首を絞められる彼女は必死に抵抗するが、駆動鎧の力は凄まじく徐々に意識が薄れていった。

 

「フフ……この際だから教えて上げる♪私の目的は能力体結晶の完成♪もう誰にも止められし、邪魔はさせねェ……!」

 

その言葉を最後に美琴の意識は途切れた。

 

「おい。面白い“実験材料(モルモット)”が手に入ったぞ。運んで置け……ッ!」

 

『了解……』

 

テレスティーナに敗れた美琴は彼女の部下の科学者と量産型の駆動鎧を纏った者によって別の場所に運ばれそうになった所に、婚后光子が立ちはだかる。

 

「お待ちなさいッ!」

 

婚后の言葉に科学者たちが立ち止まった。

 

「アナタ方がお連れになっているその方をワタクシ婚后光子の知っての狼藉ですの?」

 

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時間は経ち、全ての準備を終わらせたテレスティーナは各分隊へ最後の確認を取らせていた。

 

「各分隊、状況報告を……」

 

『イエローマーブル異常なし。』

 

『ブランマーブル異常なし。』

 

『こちら、ブルーマーブル!“超電磁砲(レールガン)”を取り逃がしました!』

 

なんと婚后光子は美琴の救出に成功し、研究所からの脱出に成功したのだ。

 

「だとォッ!!?」

 

その報告を聞いたテレスティーナは激怒する。

 

『申し訳ございません!周辺を捜索していますので………!』

 

「使えねェクズ共が!もういい!テメェらはそこで首でも吊ってろ!」

 

部下は謝罪するが、とうの彼女は聞き入れて貰えず失敗した部下らに罵詈雑言を浴びせた。

 

「まあいいか……さあ、茶番は終わりだ。盛大にフィナーレといこうか!」

 

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テレスティーナの研究所から婚后によって連れ出された美琴は病院のベッドで目を覚ました。

 

「…………ハッ!!?」

 

「お姉さま!!?」「御坂さん!」「痛いところとかありませんか?」

 

「こ、ここは………?」

 

「病院だよ……」

 

詩音が答えた。

 

「詩音……大丈夫だったの?」

 

「アンタが言えた口ですか……友達だと思ってたのに、裏切られた気分ですよ……」

 

詩音は美琴に冷たい言動とる。

 

「…………ゴメン。」

 

美琴の目から一筋の涙と共に謝罪する言葉が零れた。

 

「まあ、良いですよ……僕は人一倍頑丈ですから。」

 

美琴は気を失ってからのことを黒子たちから聞かされる。

 

「そう……婚后さんが……」

 

美琴の脳裏にテレスティーナのあの悪意に満ちた顔が浮かんだ。

 

「あの女……ッ!」

 

苛立ちを隠せない彼女は上体を起こす。

 

「お姉さま!無茶ですわ!そのお体では……ッ!」

 

「退きなさい黒子!こんな所で呑気に寝ている場合じゃない!早く春上さんや子供たちを……私が勝手に研究所に潜り込んで、それで感情的になって、テレスティーナに子供たちを託したりしたから……ッ!」

 

「ですから!」

 

「大丈夫だから。早く春上さんの所に……私はこの一件に対して責任を取る必要があるの!」

 

黒子の静止を振り切り、ふらつく足で病室を出ようと美琴は扉に向かって歩き出した。

しかし、その行く手を佐天が遮り彼女の力強い瞳が美琴を見据えている。

 

「佐天さん……?」

 

「御坂さん。今、御坂さんの目には何が見えていますか?」

 

「え?佐天さんだけど………」

 

少しの間のあと、美琴は何かに気づかされた。

 

「あ………」

 

ベッドの方に目をやると、自身を心配そうに見つめる初春や黒子、それに詩音の姿がある。

 

「私……ゴメン。私、何か見えなくなってた。みんなに迷惑掛けるんじゃないかって……」

 

「迷惑なんかじゃありません!でも、離れて心配しているよりも一緒に苦労したいんです。それが……」

 

「友達だからね♪」

 

「あー!詩音くん!その最後のセリフは私が格好よくキメたかったのに〰️ッ!」

 

「プッ……アハハハ!」

 

美琴に笑顔が戻った。

 

「そうですよ。私も御坂さんのチカラになりたいです!」

 

「ワタクシもですわ……」

 

「みんなありがとう。」

 

美琴は皆に向かって頭を下げる。

 

「と、言うことでみんなで仲直りをしましょう!まずは初春!」

 

「は、はいッ!!?」

 

「謝りなさい!みんなに!ずっと嫌な態度を取って“ごめんなさい”って……!」

 

「ちょ、ちょっと佐天さん!!?」

 

「白井さんもです!」

 

「へぇ……ッ!!?」

 

「“初春ひっぱたいてゴメン”って謝ってください。」

 

「エェ……」「あぁ……」

 

佐天の押しの強さに一瞬戸惑う二人であったが、すぐに二人とも頭を下げて謝った。

 

「「ごめんなさい。」ですの………」

 

「うんうん……二人は謝ってくれたし、最後は詩音くん!」

 

「やっぱり……流れ的に来るとは思ってたよ。みんなには迷惑にかけました。ごめんなさい。」

 

「詩音くん?詩音くんの場合、私たちに謝るだけじゃダメだからね。」

 

「え?どうして?」

 

「だって詩音くんのやったこと一番ひどいよ?だから春上さんや木山先生の教え子みんなに謝るんだよ?男の子だからちゃんとしなきゃ!」

 

「はい……ルイコって、なんか僕たちのお母さんみたい。」

 

「もう、詩音くん。そこは“お姉さん”って言ってよね……」

 

とにかく佐天のおかげで五人は仲直りをする事が出来た。

そこへ婚后がやって来て一言……

 

「ワタクシには何かありませんの?」

 

確かに彼女の言う通り、美琴を助け出し病院まで運んだのは婚后だった。

礼の一言もあっておかしくない。

 

「ありがとう。婚后さん……♪」

 

美琴は婚后にお礼を言った。

 

「別に構いませんけど……////」

 

しかし、自分から感謝の言葉を催促しておきながら、言われたら言われたで気恥ずかしくなったのか、自身の持っている扇子で照れて赤くなった顔を隠している婚后であった。

 

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美琴も回復し病院を出る頃には、時間も正午を回っていた。

詩音たちは急いで一七七支部に戻り、テレスティーナの足取りの捜索と逮捕のためにアンチスキルに通報していた。

 

「ですから!テレスティーナ・木原が違法な行為をしていたのは、最早明らかですの!」

 

『奴らの組織が怪しいのは、コチラでも分かっていたんだよ!色々調べてから……』

 

「そんな悠長に構えている時間はありませんの!どうにかしてくださいな!」

 

『そう簡単には動けないんだよ!アタシたちにも限界ってものがあるじゃん!』

 

アンチスキルの黄泉川と黒子の画面越しの押し問答が続く。

そこにしびれを切らした佐天が割り込み、黄泉川を一喝した。

 

「限界を超えることに意味があるんじゃないんですか!」

 

『お前は講習の時の……ッ!!?』

 

「もう無理だと言って諦めたら、そこで終わりだと言っていたじゃないですか!このままじゃ子供たちが危険なんですよ!」

 

佐天が黄泉川に言った言葉は、特別講習で彼女が言ったのと同じである。

それに黄泉川は何も言い返せなくなった。

 

『少し時間をくれ……』

 

黄泉川はそう言って通信を切る。

 

「ルイコ言うようになったね~♪」

 

佐天の後で支度をしながらも、彼女をきちんと茶化す詩音。

 

「詩音くんも私を茶化さないでさっさと支度しなさい!」

 

「はいはい……」

 

アンチスキルへの通報もやったあとは速やかに行動してくれることを願うだけだ。

各々準備や腹ごしらえを初める。

 

「アンチスキルの監視衛星からのデータが来ました。MARのトレーラーは都市高速五号線、十八学区第3インターチェンジを通過したところです!」

 

「都市高速五号線って、確か十七学区に繋がっていたわよね?」

 

「十七学区……?」

 

「なぜそのような所に……?」

 

「あそこには木原幻生が持っていた私設の研究所があるからね。おそらくはそこに向かっていると思う。」

 

支度を済ませた詩音がやって来た。

今回は普段の出で立ちに専用の籠手とブラウンのロングブーツとシンプルな格好である。

前回のAIMビースト戦で他の防具はボロボロになり、今はメンテナンス中だ。

 

「ふーん……ねえ、これ……」

 

美琴は走行するトレーラーの画像の後に付ける青いスポーツカーに目が止まる。

 

「初春さん、トレーラーに付いてるこの青い車、拡大して貰える?」

 

「え?はい………って、この車、木山先生!」

 

初春が手元のマウスを操作して青い車を拡大すると、その車は木山春生の物だった。

 

「やっぱり。ッたく、一人で行っちゃうなんて背負い込んでじゃないわよ!」

 

自分のことを棚に上げといて木山に文句を垂れる美琴。

 

「お姉さま……それはツッコミ待ちと言うことでよろしいんですの?」

 

「え?」

 

「案外似た者同士じゃないんですか?」

 

「そ、そんなこと……」

 

黒子と佐天の的確すぎるツッコミがイタい。

 

「だから、御坂さんの手綱は白井さんがきちんと握ってやってくださいね?」

 

「アンタねぇ……!」

 

「はいはい、お姉さま。どうどう……」

 

忙しい中でも、しっかりコントをする芸人魂を持った三人。

 

「それで、ワタクシは何をすればよろしいの?」

 

おにぎりを口に頬張りながら、訪ねる婚后光子。

 

「まだ居ましたの?」

 

黒子の邪険な扱いに動揺した婚后は、食べていたおにぎりを喉に詰まらせた。

胸を叩き慌てる彼女に、味噌汁を注いだお椀をお盆に載せたエプロン姿の固法美偉が現れた。

 

「ほら、これを飲みなさい!」

 

応接用の机には大量のおにぎり、寸胴鍋に作った味噌汁、そしてムサシノ牛乳が老いてある。

 

「腹が減っては戦は出来ぬ!しっかり食べなさい!」

 

「「「「「「はーーーーーい!」」」」」」

 

詩音たちと木山春生、テレスティーナ、それぞれの思いが交錯するなかで最後の戦いが今始まる。

 

準備が出来た美琴たちが支部を出ようとした時だった。

 

「初春さん……」

 

詩音が初春を呼び止める。

 

「はい?何でしょう?」

 

「これ……」

 

詩音は彼女に何かを投げ渡した。

 

「わぁッ!!?おっとっと……」

 

危なげではあったが無事に受けとることができた。

詩音が初春に渡した物は、彼自身の携帯電話だった。

しかし、その携帯には見慣れないアタッチメントが付属されている。

 

「えっと……これは?」

 

「インカム式だから右耳に付けて見てごらん。」

 

詩音の言うとおりに初春はその携帯を耳に当てた。

すると付属されたアタッチメントの一部品から光が彼女右目に照射される。

 

「え?え?」

 

混乱する初春。

 

「大丈夫、それはウチの会社の技術部が開発した網膜投影式のパソコン。僕の携帯回線からありとあらゆるネットワークにアクセスできる。もちろん君のパソコンにもね……瞳を動かせば操作は出来るから……」

 

「す、すごい……」

 

「みんなのナビゲーションは頼んだよ。」

 

「ま、任せてください!」

 

初春は他のメンバーと木山春生のもとへ向かった。

 

「行ったか……」

 

皆を見送った詩音は別のインカムを使って誰かと連絡を取り始める。

 

『あ、委員長……』

 

通信に出た相手は瀬田つかさだった。

 

「みんな行ったよ。キミはどうかな?」

 

『大丈夫です。移動手段は確保しました。到着まで8分です。』

 

「了解。気を付けてね。」

 

『はい。』

 

通信が切れる。

 

「さて、僕も行きますか……」

 

詩音も支部をあとにした。

 

次回に続く。




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