とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)   作:御劔太郎

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今回でこの話は終了となります。
今までありがとうございました。


最終話 Dear My Friends

学園都市、第二十三学区………

木原幻生が所有していたシステム研究所。

美琴たちが到着した頃には、すでに日が傾き空を茜色に染め上げていた。

 

「どうだ?分かりそうか?」

 

中央管制室でパソコンを叩き、内部情報を調べる初春に木山が尋ねる。

 

「もうちょっと……システムのプロテクトが固くて……」

 

部屋のすぐ外では佐天が心配そうに初春の後ろ姿を見つめ、また美琴と黒子は二人揃って壁に寄りかかるように座り込んでいた。

 

「まったく……お姉さまが一人残らずお片付けになるから………」

 

愚痴を溢す黒子。

彼女の言うとおり、時間の無い中、システムの解析用に一人ぐらい残しとくべきだった。

詩音と別れる時に聞いた『まだ嫌な感じがする。』と言う言葉も気になる。

 

「うッ……しょうがないじゃない!まさか中にまでいるなんて思いもしなかったんだから……」

 

「だからと言って………」

 

二人のやり取りを見ながら佐天は苦笑いを浮かべていた。

 

「あった!」

 

初春が子どもたちのいるフロアを見つける。

 

「この施設内で消費電力が桁違いな場所……最下層ブロックの…………」

 

****************************************************************************************************************************

 

初春の案内で美琴たちは最下層ブロックまで降りて来た。

そして、テレスティーナによって捕らえられていた子どもたちをようやく見つけることが出来た。

 

「見つけた………」

 

木山から安堵の声が漏れる。

 

「春上さん!春上さん!春上さん!」

 

初春は春上の寝かされているカプセルのクリアパーツを叩き、彼女を起こそうとしていた。

それに気づいたのか、それとも睡眠薬が切れたのか分からないが、春上が目を覚ます。

 

「う、い、春……さん……?」

 

「春上さん……」

 

無事な彼女の姿に初春も安堵した。

 

「えっと、コレを開けるには………」

 

初春はカプセルを見たり、辺りを見回すが、ここには色々な機材が置かれているため、どれがどれだかさっぱり分からない。

 

「ちょっと待ってて、私、向こうを見てくるから!」

 

「すみません。お願いします。」

 

佐天はみんなから離れ、フロアから出て行った。

 

「待ってろ。今、助けて……!」

 

木山が教え子たちに、自身の思いを吐露した時だった。

フロア内に聞き覚えのない甲高い音が鳴り響く。

 

「うッ!!?……………」

 

次の瞬間、初春が頭を抱えて苦しみ出した。

それだけではない、互いに支えあっていた美琴や黒子も同じように頭を抱え、崩れるようにその場に座る。

 

「おい!大丈夫かッ!!?」

 

訳の分からない状況に混乱する木山。

カプセル内の春上も気が気ではない。

 

「この頭を欠き乱すような感じ………」

 

「まさかッ!!?」

 

美琴が後ろを見ると、そこにはテレスティーナが立っていた。

 

「この……クソガキどもがッ!」

 

テレスティーナの左手には見慣れない機材を持っており、右手ではボロボロに傷ついた詩音を引き摺るように連れている。

詩音は髪を彼女に無造作に掴まれ、目は虚ろな感じだった。

ここまで来る間に相当な暴力を受けたのだろう、生傷が絶えない。

 

「うそッ!!?そんな、詩音………ッ!」

 

そんな彼に美琴たちは愕然とする。

 

「さっきの礼だァッ!」

 

テレスティーナは右手の機材で美琴と黒子を殴り飛ばした。

 

「きゃあァッ!!?」

 

「白井さん!御坂さん!」

 

「貴様ァァーッ!!!」

 

木山はテレスティーナに向けて走り出す。

次の瞬間、テレスティーナは突撃してくる木山に向かって詩音を放り投げた。

投げられた詩音と木山はぶつかる。

そこへすかさずテレスティーナはショルダータックルをお見舞いした。

 

「ガハッ!!?」

 

激しい衝撃を腹に受けた詩音は、尋常ではない量の吐血をし、さらに木山も一緒に吹き飛ばされる。

これらの物音は別の場所にいた佐天の耳も届いていた。

 

「えっ?何ッ!!?」

 

気になった佐天はみんなのもとへと戻る。

急いで戻った彼女が見たモノは凄惨な現場だった。

美琴と黒子はフロアの端で、詩音と木山は重なるように倒れ込んでおり、詩音の吐血による血溜りまである。

そんな地獄絵図の中で狂ったように笑うテレスティーナ。

 

「スゥーとしたぜェッ!」

 

怒りが込み上げた佐天は手に持ったバットを強く握り絞め、テレスティーナに走り出そうとした。

しかし、それを止める者が現れる。

なんとそれは、“つかさ”だった。

彼女はあれから、詩音たちを追いかけて来たのだ。

だが、ここに着いた時からこの音に苛まれ、なんとかこの場所までやって来た。

つかさが今にも走り出しそうな佐天の手を掴み、彼女を静止する。

 

「い、今はダメよ!」

 

「で、でも!みんながッ!……詩音くんがッ!」

 

その時だった。

苦しみながらも初春が叫ぶ。

 

「キャパシティーダウンですねッ!!?御坂さんが言ってた……能力者だけを苦しめる音だって……ッ!」

 

「なんだテメぇッ!!?それが分かったところでどうするつもりなんだ?」

 

「確か、改良型は大きくて固定したスピーカーを移動できないって………」

 

「あぁ~♪だが、この施設中に設置してある。何なら一個一個壊して回るかァ~?」

 

「そ、それだけ大きいシステムなら、制御できる場所は限られます!この施設内を調べた限り、それが出来るのは私たちがさっきまでいた中央管制室……ッ!」

 

彼女は必死に佐天にこの音を止めるための術を教えた。

 

「初春……」

 

佐天も初春の意を汲んで耳を傾ける。

しかし、テレスティーナは初春の言葉を遮るように彼女の頬を張り飛ばした。

 

「きゃあ!」

 

キャパシティーダウンによって足腰の立たない初春はそのまま床に倒れる。

 

「まったく……小鳥みたいピーチクパーチクうるせェガキだなァ………」

 

テレスティーナは初春の顔を踏みつけた。

 

「グッ……あ、が…………ッ!」

 

「や、止めなさい……!テレスティーナ………ッ!!!」

 

美琴も止めようとするが、体に力が入らない。

佐天も我慢の限界だった。

今にも飛び出して行きそうな勢いだ。

だが、つかさは必死に首を振り静止する。

 

「は、離して下さい!」

 

「ダメよ!」

 

「どうしてですか!私……もう我慢できません!」

 

「アナタはあの花飾りの子の思いを無駄にする気なのッ!!?あんなになってまでも伝えたかった事を……今の状況を打破できるのはアナタしかいないの!だから………ッ!」

 

「………わ、分かりました!」

 

佐天を決心すると中央管制室に向けて走り出した。

 

「ゴメン……初春、みんな……ッ!」

 

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「さて……邪魔者はいなくなった。それにしても残念だよ。せっかく良いモンを見せてやろうと思ったのに……能力体結晶ってヤツの完成をなァッ?」

 

「何でよ……アンタだって犠牲者じゃない、おじいさんの実験台になって能力を暴走させられて……なのに!」

 

美琴は立ち上がり、テレスティーナを睨み付ける。

 

「おっと、勘違いして貰っちゃ困るな。私は別に犠牲者じゃないよ。」

 

「えっ?」

 

「権利を得たのさ!私から生れたこの種を花開かせて……」

 

「それはまさかッ!ファーストサンプル!!?」

 

木山も意識が戻り上体を起こす。

彼女の体に重なっている詩音を優しく床に寝せた。

 

「レベル6を生み出す権利をなァッ!」

 

「レベル6………」

 

「そうだ!コイツはこれから学園都市最初のレベル6となる!」

 

テレスティーナの高揚は最高潮に達していた。

初春から足をどかすと、今度は春上の入れられたカプセルの前まで移動する。

 

「このガキどもの能力を使ってなァッ!!!」

 

「ま、まさか春上さんを!」

 

「特定波長下におけるレベルを超えた受信能力……コイツの能力は能力体結晶と共振するのに実に都合が良い。高位のテレパスは希少だからなァ……」

 

テレスティーナはシステムを起動させるためにコンソールを操作した。

 

「なぜだ?なぜまたこの子たちなんだ……なぜこの子たちばかりを苦しめるんだァッ!!!」

 

「んなもん知らねェよ。運がないんじゃねェの?」

 

冷たく吐き捨てるテレスティーナ。

木山は絶望に染まる。

 

「なぁに、ちょっとばかりコイツらの頭の中の現実を拝借するだけさ。」

 

「パーソナルリアリティー。」

 

「ふ、呼び方なんてどうだって良い……要はその脳内活動をつかさどる神経伝達物質、とりわけ眠れる暴走能力者のソレを採取し、ファーストサンプルと融合させる。それによって能力体結晶は抑止力を獲得……完全な物となるのさ。あのジジィはその事には気づかず、ひたすらコイツのマイナーチェンジに気を取られていたけどなァ……さて、あとはコイツをォ…………」

 

仕上げに入ろうとするテレスティーナ。

 

「止めなさい!」

 

「あぁ~?」

 

「そんなことして、もし子たちが暴走状態で覚醒したりしたら……ッ!!!」

 

「学園都市は空前絶後のポルターガイスト現象にみまわれ壊滅する。上等じゃねェか!“神ならぬ身にて天上の意志に辿り着く者”その為の学園都市だろうがァッ!!!」

 

テレスティーナは左手に持った機材の先を美琴の胸元に引っ掛けると力任せに持ち上げた。

 

「くッ!……ああ………ッ!」

 

呼吸が出来ず苦しむ美琴。

 

「レベル6さえ誕生すればこんな街、用済みだろうがよォッ!」

 

「うわぁァァッーーッ!!!」

 

木山が走り出した。

美琴を助ける気だ。

 

「手ェ、焼かせんなよォ……」

 

テレスティーナは木山の横っ腹に蹴りを放つ。

 

「ガハ……ッ!!?」

 

木山は衝撃で床に倒れた。

 

「木山先生!」

 

「テメぇらは、そこで大人しくしてろ……」

 

絶対絶命である。

初春は最後の希望である佐天をすがった。

 

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一方の佐天は中央管制室で一生懸命にシステムを探っていた。

部屋のスピーカーから下の様子が聞こえる。

 

「どれ!どれなのッ!!?その何とかダウンって言うのは!分からないよ!」

 

切羽詰まる様子に焦りが止まらない。

 

『ぐぁァァーーッ!!!』

 

美琴の苦しむ声が部屋に響いた。

 

『テメぇ、面白いこと言ってたな?』

 

「この声……」

 

『スキルアウトはモルモットじゃねェ?そうさ!スキルアウト“だけ”がモルモットじゃねェ!お前ら全員がモルモットだァッ!学園都市は実験動物の飼育場……テメぇら全員、家畜なんだよォォッ!!!』

 

その言葉に佐天の我慢していたモノが爆発した。

持ってきた金属バットを握り締めて立ち上がる。

 

『御坂さん!』

 

『そろそろ、止めと行こう………』

 

佐天はマイクの音量を最大にした。

 

『あぁ~?何だァ?』

 

「モルモットが何だろうが、そんなこと知ったこっちゃない!」

 

『さ、佐天さん………』

 

『ガキがもう一匹ッ!!?何で動けるッ!!?どこだ!』

 

テレスティーナは見誤っていた。

レベル5の仲間は全員能力者だと……キャパシティーダウンさえあれば全員を封じ込めると。

佐天はバットを振りかぶる。

 

「私の大切な友達に手を出すなァァーーッ!!!」

 

そして、コンソールに向けてバットをフルスイングしたのだった。

 

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佐天が中央管制室のコンソールごとシステムを破壊したことでキャパシティーダウンが停止する。

この期を美琴たちが逃すはずがなかった。

黒子は残っていた金属矢をテレスティーナの手へと転移させ、彼女が不意に落としたファーストサンプルを木山が手に入れる。

間髪入れずに美琴はテレスティーナを能力で投げ飛ばした。

 

「フフフ……アギャハハハッ!!!もういい分かったよ。テメェらはこの施設ごとまとめて消し飛ばしてやんよォッ!」

 

頭のネジが完全に吹っ飛んだテレスティーナは、最後の手段とばかりに、持っていた機材を美琴たちに構える。

三角錐状の部分が花が咲くように展開し、中央に砲身が現れた。

凄まじい閃光と共に電気を帯びる。

 

「コイツはレベル5、テメェの能力を解析して作ったんだ。テメェのレールガンより強力になァッ!」

 

テレスティーナのレールガンを前にして美琴はやけに冷静だった。

ポケットから出したゲーセンのコインを見つめる。

 

「ったく、モルモットとか家畜とかどんだけ自分を憐れんだら、そこまで逆恨み出来んのよ……」

 

美琴もテレスティーナに対抗するために“超電磁砲(レールガン)”を放つ気だ。

 

「エレクロトマスターレベル5!この街じゃテメェはデータ!そうさ!減らず口を言うただのデータだァッ!」

 

「学園都市はね?私たちが私たちで居られる最高の居場所なの……」

 

美琴も青白い電流を帯びる。

 

「私一人じゃ出来ないこともみんなと一緒ならやり遂げられる!それが………」

 

美琴はコインを真上に弾いた。

回転しながら宙を舞う。

 

「テメェらは人間じゃねェッ!ただのサンプルだァッ!それが学園都市の………ッ!」

 

「私の……私だけの……ッ!!!」

 

互いのレールガンがぶつかり合う。

やはりテレスティーナの方が出力が上だ。

少しずつ美琴が押されている。

 

「これで終わりだァッ!逝っちまいなァァーーッ!!!」

 

「負けない!私は……私たちはッ!!!」

 

その時だった。

 

『そうだよ。御坂さん……』

 

美琴の耳もとに詩音の声が聴こえたような気がした。

 

「えっ?詩音………?」

 

次の瞬間、詩音の刀がテレスティーナの脇腹に突き刺さる。

最後の最後に気がついた詩音が、最後の力を振り絞りテレスティーナ目掛けて愛刀を投げたのだった。

 

「な、何だコレは!」

 

激痛が走り、テレスティーナに大きな隙が出来てしまう。

そこを一気に押し込む美琴。

 

「こ、この私が……ああァァーーッ!!!」

 

立場が逆転したテレスティーナは、美琴との張り合いに負け光の中に消えていった。

轟音が施設中に響く。

 

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全てが終わった。

吹き飛んだテレスティーナは、壁に叩き付けられ気を失っている。

佐天が中央管制室から戻った時には、春上はカプセルから出ており、木山は治療プログラムの最終調整中だった。

 

「はあ~良かった……」

 

みんな無事だと分かった瞬間、佐天はその場にへたり込んでしまう。

 

「お疲れ様。ルイコ……」

 

「助かりましたわ。」

 

「てへ……ッ////」

 

二人に労を労われ気恥ずかしそうな佐天だった。

 

「プログラムの調整は完了だ。あとは…………」

 

一方の木山は最終調整が終了し、あとは実行するだけだ。

しかし、以前の出来事がフラッシュバックし、なかなか実行キーを押すことが出来ない。

 

「大丈夫なの……」

 

その時、春上が木山に声を掛ける。

否、正確にはテレパスで受信した枝先絆里のメッセージを彼女に伝えたのだ。

 

「絆里ちゃんがね?先生のこと信じてるって……」

 

教え子のメッセージを受け取り、勇気をもらった木山は実行キーを押す。

システムが起動し、治療プログラムがインストールされていく。

そして、数分の内に子どもたちが次々と目を覚ました。

 

「ん………先生?どうして目の下にクマがあるの?」

 

目を覚ました枝先が開口一番に、木山に尋ねたのがソレだった。

昔と変わらない教え子の様子に涙が止まらない。

 

「色々と忙しくてね……」

 

「ほんとだ。髪も伸びてる。」

 

「でも、先生だ………」

 

「木山先生だ………」

 

枝先以外の他の子どもたちも木山に声を掛ける。

 

「お前たち……」

 

その様子に美琴たちもホッと一安心だ。

アンチスキルの到着を待つことにした。

 

『衿衣ちゃん……』

 

春上の頭の中に枝先の声が響く。

それは枝先の能力によって送られたメッセージだった。

 

『私の声、聞いてくれてありがとう!』

 

「うん……////」

 

春上も自然と嬉し涙が零れる。

 

「今度こそ言わせてくれ……ありがとう。」

 

****************************************************************************************************************************

 

乱雑解放事件から一週間ほど経った。

世間は夏休みに入っている。

昼下がり、とあるカフェで婚后と彼女の友人、湾内と泡浮が雑談に花咲かせていた。

 

「何と言えば良いんでしょう。孤軍奮闘・獅子奮迅?ワタクシ、詩音さんのために白井さんや助っ人さんが逃げ出した後も一人で並みいる敵を千切っては投げ、千切っては投げあ、それぇーと戦っていましたのよ。」

 

「ということは大規模ポルターガイストを止めたのは……」

 

「ワタクシってことになりますわね?」

 

「まあ♪さすが、婚后さんですわ♪」

 

場所は変わり、カエル顔の医者が勤務する総合病院。

テレスティーナの起こした事件の被害者の子どもたちは、皆この病院に集められていた。

何かと重傷を負っていた詩音もここに収容されている。

カエル顔の医者の治療したおかげで、彼も順調に快復し、まだ介護はいるが動けるまでになっていた。

詩音を含めた子どもたちは病院の屋外テラスに集まっている。

 

「委員長、お体の具合いはどうですか?」

 

介護に来ていたつかさが聞いた。

 

「つかさちゃんやルイコのおかげで順調だよ♪」

 

「ありがとうございます。彼女にもそう言って上げると喜びますよ。」

 

彼の耳もとでそっと囁くように言った。

つかさはこんな時でも、お姉さん風をビュービューと吹かせる。

 

「また、そうやって僕をからかうんだから……////」

 

顔を赤くして詩音は、そっぽを向いた。

 

「二人って仲が良いの……」

 

「もしかして、二人は付き合ってるの?」

 

春上と枝先から、二人は茶化される。

 

「「違います。」」

 

「そうなんだ………」

 

「それにしても、初春さんたち遅いの……」

 

「そうだね。もう少しで約束の時間なのに………」

 

詩音はこの事に関してまったく知らないが、木山の教え子たちは今日の日に何やらサプライズを企画しているようだった。

木山の教え子たちは予定していた通りにマイクとカメラがスタンバイされている場所に集まる。

このサプライズ演出には美琴たちが一枚噛んでいるようだが、待ち合わせ場所である病院のテラスにはまだ現れていない。

 

一方の美琴たちはというと……今、病院へと急いでいた。

 

「早くしないと間に合いませんよ?」

 

「御坂さんと白井さんが遅刻って、珍しいですね?」

 

「まったく、お姉さまったら今日に限ってお寝坊されるんですから……」

 

「うっさい!アンタだって、ぐっすり寝てたじゃない!」

 

「でも以外でした。御坂さんがこんなアイデアを思い付くなんて……!」

 

「な~に言ってんのよ、初春!御坂さんらしいロマンチックなアイデアじゃない!」

 

「あ~あ!」

 

「そんなんじゃないわよ!」

 

そんな時だった。

黒子のケータイが鳴る。

相手は固法からだった。

 

『あ、白井さん?もう着いた?』

 

「え~ッと、それが~」

 

『えっ?まだ着いてないのッ!!?』

 

「今、向かっていますの。それで何か用でも……?」

 

『あ、用ってほどでも……例のあの人、目を覚ましたみたいよ。』

 

その言葉に黒子は足を止める。

それに伴って美琴たちも立ち止まった。

 

「それで?何か分かりましたの?はい、はい……」

 

コレによって四人は完全に遅刻が決定する事になる。

 

「そうですか……ありがとうございました。固法先輩……」

 

黒子は電話を切った。

 

「電話、何て……?」

 

「テレスティーナが目を覚ましたようで、回復しだい取り調べが始まるようだと、固法先輩が……」

 

「ふーん……」

 

「あっ!こうしては居られませんの!急ぎませんと!」

 

ふと初春は空を見上げると、ハッと何かに気づき指を指した。

 

「御坂さん!白井さん!あれ……ッ!」

 

「「「…………あっ!」」」

 

どうやら企画していたサプライズ演出が始まる。

それは今日が木山の誕生日と言うことで、彼女の教え子一同が学園都市を浮遊する飛行船を使ってメッセージを送るようだ。

飛行船のスピーカーから子どもたちの音声が大音量で街中に響く。

 

『せーの!木山せんせー!』

 

アンチスキル付属の病院で療養して木山は、自身の名前を呼ぶ声に外を見る。

空には大きな飛行船。

そしてその飛行船に掲げられた大型スクリーンに教え子たちが映っていた。

 

『『『『お誕生日!おめでとうー!!!』』』』

 

『ありがとう!木山せんせー!大好きだよー!』

 

そのメッセージに彼女の頬を伝う一筋の涙。

今日という日が、忘れなれない一日となった。

 

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その様子を眺めていた美琴は背伸びをする。

 

「ほんと退屈しないわね……この街は♪」

 

そして、自分たちの暮らす学園都市に希望を見出だすのだった。

また病院にいる詩音も、微笑ましい光景に感動していた。

 

「御坂さんもやるじゃん。感動したよ……」

 

「ええ……私もです。」

 

「ねぇ、つかさちゃん?」

 

「何でしょう?委員長……」

 

「青春って良いよね……♪」

 

「なんか今の委員長、私のおじいちゃんと同じ匂いがします。」

 

「えぇーッ!それがオチですかッ!!?」

 

『とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)』終わり。




長い間ありがとうございました。
また、どこかでお会いしましょう。

第2シーズン行けるかな?
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