とある科学の刀剣使い(ソードダンサー)   作:御劔太郎

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Extra とある魔術師との出会い

常盤台狩りこと重福省帆を逮捕したその日の夜…

詩音は晩ご飯を食べようと第七学区の繁華街を歩いていた。

もちろん、この時はあの常盤台の制服ではなく、柵川中の制服に大きめの学ランをマントのように纏ったいつもの格好になっている。

 

「さあて、今日は何を食べようかな~♪」

 

そんな事を考えながら、大通りの交差点にさしかかった時だった。

あれほど居たたくさんの人がパッタリと消えてしまう。

 

「あ、あれ?……人が……」

 

この大都市では有り得ない事が起き、詩音は困惑してしまう。

そんな中、男女の会話が聞こえてきた。

 

「声が聞こえる。どこだろう?……」

 

詩音が声のする方に向かうと確かに二人の若い男女の姿が見えた。

男の方は赤いセミロングの大柄な西洋人で修道服みたいな物を着ている。

女の方は腰まで伸ばした黒い髪を一つに纏めた日本人のようだ。

そして彼女の手には、長い棒状の物が……

 

「あの反り具合……もしや……」

 

何かを察した詩音は、職務質問をするためにジャッジメントの腕章をズボンのポケットから取り出して左腕に着けると二人に声を声を掛ける。

 

「すみません。ジャッジメントですが、少しお話しをお聴きしてもよろしいですか?」

 

詩音の声に二人がビクッと驚いた。

 

「ッ!!?なぜ、私たち以外に人がッ!!?ステイル、どういうことですかッ?!!」

 

「僕だって、こんな事になるなんて……」

 

「アナタ達の会話を聞いて分かりました。これはアナタ方の仕業ですね?他の人はどこに……って……」

 

詩音は言葉を全て言い終わらない内に話すのを止めてしまう。

なぜかというと、二人の後ろには傷つき倒れている男子学生の姿があったからだ。

 

「これもアナタ方が……」

 

そう言って詩音が腰に携えていた愛刀“絶影”の鍔にゆっくりと左の親指を掛け、戦闘体勢を取る。

詩音は抜刀術を使うつもりだ。

詩音から発せられる殺気を垣間見た彼女は身震いをする。

 

「どうした、神裂?何を怯えている?」

 

心配した男が連れの女性に問う。

 

「い、いえ…私は大丈夫です。それよりもステイルは下がってください。」

 

「神裂、何を藪から棒に…」

 

「良いから!彼は危険です…!」

 

謎の女こと“神裂火織”の表情が真剣そのものになり戦闘態勢に入った。

 

「へぇ……お姉さんもやる気になったようだね?レディーファーストでお先に良いよ、お姉さん♪それとも僕から行こうか?」

 

余裕たっぷりの詩音を目の前にして神裂が先に攻撃を始める。

 

「ならば、君の言葉どおりに!七閃ッ!」

 

彼女の刀から放たれる斬撃は、まるで幾重にも折り重なり押し寄せる波のようだった。

詩音の身の回りに立っていた電柱やアスファルトの道路を切り裂いていく。

 

「私の七天七刀が織り成す七閃の斬撃速度は、一瞬と呼ばれる間に七度、相手を殺せるレベルです。必殺と言っても過言ではありません……」

 

彼女が凛とした表情で説明した。

 

「………はあ~何?それが、お姉さんの限界なの?何だか幻滅だなぁ~」

 

「なッ!!?私の斬撃を……」

 

化け物じみた彼女の斬撃に対し、詩音はがっかりした溜め息をし、さらに幻滅したと一蹴する。

 

「って言うか、その七閃?ズルしてるよね?この鋼鉄のワイヤーを使ってさ……」

 

詩音が優雅に刀を振るうとキンッ!と言って、彼を取り囲むワイヤーが切れた。

 

「何て少年だ……視認不能と言われる私の七閃を見切ったと言うのッ!!?」

 

「まあね。僕は超人だから……それに今の斬撃が仮にも本物としても、僕は以上の斬撃を放てるよ……」

 

「えッ?!!何ですってッ!!?」

 

「見せてあげるよ!鍔鳴りッ!八連ッ!」

 

そう言って、詩音が反撃に転じた。

次の瞬間、神裂の斬撃同様に彼女の周囲の道路や物が切られた。

さらに、彼女の右頬からは鮮血が一筋流れ出す。

 

「そ、そんな……この私が……」

 

神裂自身、何が起こったのか理解できていない。

そして、彼女の連れで下がって見守っていた西洋人こと『ステイル・マグヌス』も驚愕していた。

 

「(ば、馬鹿な……神裂は神の加護を受けた聖人なんだぞ…それを斬るなんていったい、アイツは何なんだ…ッ!!?)」

 

「これで、僕の凄さを分かってくれたかな?出来ればジャッジメントとしても、これ以上、手荒なマネはしたくないんだけど……」

 

「ならば、見逃してくれませんか?私も魔法名を名乗りたくありませんから……」

 

「ま、魔法……名……?馬鹿にしてる?お姉さん?」

 

「馬鹿などにはしていません。魔法名を名乗る……それは魔術師が本気を出すと言うことに等しいのです。」

 

「と、言うことは、まだ、お姉さんは本気を出してないんだね……」

 

「否定はしません。」

 

神裂はキッパリと言い放った。

 

「じゃあ、本気で掛かっておいでよ。ボコボコにして、しょっぴいてやるからさ……あ、そこの西洋人も例外なく連行するからね。覚悟しとけよ……」

 

詩音の目つきが変わる。

この世の全てに膿んだような、人の命など毛ほどにも思ってないそんな冷たい瞳だった。

 

「では…私の魔法名は、“Salvare 000”……!その意味は『救われぬ者に救いの手を』です! 七閃・改ッ!」

 

先ほどよりも迫り来る斬撃の速度は速く、軌道も鋭い。

しかし、本気を出した詩音の攻撃力はその斜め上をいっていた。

 

「鍔鳴りッ!凱鳥ッ!」

 

目にも止まらぬ速さで抜かれた詩音の愛刀“絶影”が彼女の斬撃を迎撃した。

互いの斬撃はぶつかり合い激しい衝撃と共に爆ぜる。

 

「い、今のは……ッ!!?」

 

驚愕する神裂。

 

「驚いてるね。今のは、『鍔鳴り、凱鳥』……僕の斬撃速度は光速に匹敵する。その斬撃は周囲の大気を孕み衝撃波となり敵に襲い掛かるんだ。言わば、飛ぶ斬撃さ……」

 

「飛ぶ斬撃……この少年は本当に………」

 

詩音の強さに唖然とする彼女が見せた一瞬の隙を彼は見逃さなかった。

詩音は一気に、神裂との間合いを詰める。

 

「これの動きはまさか、縮地ッ!!?この子は本物の“人斬り”だ!」

 

その速度はまるで、テレポーターの白井黒子を彷彿させるものだった。

しかし、逆に神裂に取って、これはまたとないチャンスでもある。

 

「もらいました!この七閃をくぐり抜けた者には、真打ちの”唯閃“が待ち受けています!哀れな子羊に救いの手を……ッ!」

 

「あの少年も神裂相手に良くやった方だ……」

 

二人の戦いを見ていたステイルも神裂の奥義が炸裂する。

そう確信し、彼女の放つ唯閃の餌食になる詩音に不憫に思いながらも、タバコの入った紙箱を懐から取り出し、その内の一本に魔術で火を着けて吹かした。

 

これも強者の余裕か………

しかし、二人の思いは完全に裏切られる事になる。

なんと、神裂渾身の一撃を詩音が受け止めていたのだ。

さすがの詩音自信もこの一撃はキツいようだ。

表情が厳しい。

そのまま、二人は鍔競り合いにもつれ込む。

二人のから発せられる剣気が周囲の建物のガラスを激しく震わせ、耐えきれなくなったガラスが割れていった。

 

「わ、私の奥義と呼べる斬撃を……ッ!」

 

「正直、僕もこれはツラいよ。」

 

二人は一度、間合いを取った。

 

「ならば、これで終わりにしましょう……いざッ!」

 

「尋常にッ!」

 

「「勝負ッ!」」

 

二人が全身全霊を持って突撃する。

 

「奥義ッ!唯閃ッ!」

 

「我流 抜刀剣術 奥義ッ!百花繚乱 乱れ散々桜!」

 

二人の姿が消えた。

ステイルにもそう見えた。

『目にも止まらぬ速さ』……

否、今の二人の移動速度は常人には『目にも映らない』。

そのトップスピードで互いにすれ違う。

そして、周囲に静寂が走る。

 

「くッ!……」

 

詩音の左肩から鮮血が吹き出し、片膝をついた。

 

「勝負あったみたいですね。私のか……ち、カハッ!!?」

 

神裂の口から赤い血が一筋……

恐る恐る痛みをある腹部を見ると、詩音渾身の一閃をくらい鮮血が流れ出ている。

 

「そ、そんな……私が……斬られるなん…………」

 

そのまま、彼女は倒れて意識を失ってしまう。

 

「神裂ィィィ!」

 

相棒のステイルが彼女の名前を叫んだ。

 

「やるね、お姉ちゃんも……僕の一撃を紙一重で往なすなんて……」

 

詩音も神裂同様に倒れてしまった。

その後、ステイルは倒れている詩音を無視して彼女を回収し、闇に消える。

 

一方の詩音は、大通りのど真ん中で倒れていた所を通報によって駆けつけた救急隊によって、病院へ搬送された。

 

次回に続く。

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