女店員「いらっしゃいませ!」
ゲルマ「いやー、品揃えが豊富でござるな」
恭夜「エロ本コーナーだけ見て言うことじゃねぇだろ――」
女店員「キャー!?」
ゲルマ「サリー?」
恭夜「サリーがこんな可愛い声出すワケねぇだろ!」
覆面「そこのあんた!このスーツケースにあり金全部詰め込め!」
女店員「――えっ?……あっ、そういうことですか。少々お待ちください。店長!お客様対応お願いしまーす!」
ゲルマ「覆面を前にしても冷静を保てるとはプロだな」
恭夜「覆面なのにスーツケースでコンビニに来るってすげぇな。音もうるせぇし怪しさ満点じゃん」
男店長「おやおや?これはこれはお客様、当店の金品を奪いに来たのでございましょうか?」
覆面「見りゃわかるだろ!さっさと金を出せ!」
男店長「それではワタクシが客になってしまいます。ならこうしましょう。有り金は全てお渡しします。代わりにそのスーツケースをワタクシに売って下さい」
ゲルマ「そんなに高価なスーツケースなのか!?」
恭夜「なんでお前は強盗の後ろにいるんだ?列を作ってるつもりなのか?」
覆面「ふ、ふざけんな!このスーツケースがなきゃ金を積めねぇだろがぁ!」
男店長「おやおや?それは困りましたねぇ。ならこの当店のビニール袋をお使い下さい。これならそんな持ち運びづらいスーツケースは必要ありませんよね?」
ゲルマ「早くしろよ!後ろが詰まってるだろうがぁ!俺たちは今すぐにでも面接したくてウズウズしてんだぞぉ!」
恭夜「俺を巻き込むな!というかてめぇが持ってるの求人雑誌じゃねぇか!」
覆面「あんたの取引には応じられねぇ。このスーツケースに付いてる鈴は母ちゃんからお守りとして貰ったんだ。だからこのスーツケースだけは手放せねぇ」
ゲルマ「親孝行だなぁ」
恭夜「親不孝だろ。息子が強盗してんだぞ。お守りつけて強盗するってどういう神経してんだ」
男店長「お並びになっているお客様の仰る通りです。今ならまだ間に合います。お引き取り下さい」
覆面「俺はただ母ちゃんを喜ばせたくて履歴書を買いに来ただけなのに……」
恭夜「じゃあなんで覆面なんだよ。履歴書を買って喜ぶ母ちゃんなんているか?」
ゲルマ「あれだろ?長年引きこもってたから、人前で顔を見せるのが恥ずかしいってやつだろ?わかるなぁ、その気持ち」
恭夜「強盗に同情するな!」
男店長「サービス業はどこも人手不足でございます。当店も例外ではありません。もしあなたの言葉が本心ならいつでもお越し下さい」
覆面「ああ……俺は間違ってたみたいだ……出直してくるよ……そしたら俺を雇ってくれ!」
男店長「もちろんお待ちしております」
覆面「じゃあな!店長!――」
ゲルマ「素晴らしい対応だ!誰一人傷つけず強盗を説得してしまうとは」
恭夜「お、おい!出て行った強盗、警察に捕まっちまったぞ!?」
男店長「おやおや?間に合ったようですね」
女店員 「ふうー!警察に通報するまでの時間稼ぎありがとうございます!」
ゲルマ「まさに計画的犯行!――あっ、これ買いまーす」
恭夜「てめぇは普通に買い物してんじゃねぇ!」