あかり「この前テレビでモデルさんが着てたウェディングドレス可愛かった~」
隆太「でもちょっとキラキラし過ぎのような。もうちょっと地味な感じの方が――」
ゲルマ「子供っぽいあかりに似合いそうだにょ!」
あかり「あのさぁゲルマお兄ちゃん、あたしこれでも高校生なんだけどっ!」
隆太「なんで僕を睨むの……」
ゲルマ「いやあ、結婚といえばスピーチがあるじゃん?」
隆太「まあ、定番ですよね」
あかり「スピーチって誰でもいいの?それならサリーお姉ちゃんにお願いしようかなぁ」
隆太「それなら僕は――」
ゲルマ「もし、あっしがスピーチを頼まれたらどんな話をしようか考えてたんだ」
隆太「あのぉ、無視しないで下さい……」
ゲルマ「それじゃあ、あっしがスピーチするから直した方がいい所を指摘してクレヨン」
あかり「ゲルマお兄ちゃんがお手本見せてくれるんだね」
隆太「不安しかない」
―
――
―――
ゲルマ「――えー、ゴホン!……うっ!げほっげほっ!?ぶぉぇぇぇー!?」
あかり「あーあ、緊張し過ぎてむせちゃったよ」
隆太「しかも吐いちゃった」
ゲルマ「失礼しました。大変うっぷうっぷな姿をさらしてしまい申し訳ありません」
隆太「そこはアップアップですよ!」
あかり「うっぷうっぷだとまた吐いちゃうように聞こえるからやめてよ」
ゲルマ「えー、ヤマト君とナデシコさん。ご結婚おめでとうございます」
隆太「名前が実に古風」
ゲルマ「あっ!間違えた!顔の平たいヤマトさん――」
あかり「そこ付け足す必要ないよね。顔の平たいって絶対バカにしてるでしょ」
ゲルマ「小綺麗なナデシコさん――」
あかり「なんか嫌みっぽい」
隆太「う、うん……」
ゲルマ「並びに偏屈なご両家――」
隆太「うわぁ……」
あかり「ただの悪口じゃん」
ゲルマ「ただ酒が飲めると騒ぎまくるご親族の皆様――」
あかり「そうなの?」
隆太「さあ……」
ゲルマ「心より御祝い申し上げます」
あかり「嘘つき!」
隆太「さっきまで悪口ばっかりだったじゃないですか!?」
ゲルマ「ただいま紹介に預かりました。ヤマト君の友人の友人のカイダと申します」
隆太「どっかで聞いたことあるような……」
ゲルマ「本日は友人の友人を代表いたしまして、御祝いの言葉を述べさせて頂きます」
あかり「友人の友人ってもう他人だよね?」
ゲルマ「ヤマト君は小学生の時からの幼馴染みで運動神経が良く、特に野球が好きでしたね」
隆太「やっとまともな情報が出てきた」
ゲルマ「僕とヤマト君は素振り仲間で一番の友人でもあります」
あかり「素振り仲間って何?」
隆太「普通キャッチボールでは?」
ゲルマ「あっ!アハハハ、決して下ネタではありませんよ?」
隆太「わざとですよね?」
あかり「式場が変な空気になっちゃうよっ!」
ゲルマ「ナデシコさんは小学四年の時に引っ越して来ましたね」
あかり「新婦さんには酷いこと言わないでよ」
ゲルマ「あまりクラスに馴染めず、いるのかいないのか分からない。そんな雲の上の人の様な存在でした」
隆太「それって褒めてるんですか?」
あかり「ナデシコさん可哀想」
ゲルマ「あっ!アハハハ、決して新郎の隣にいるのは幽霊ではありませんよぉ?」
あかり「ゲルマお兄ちゃんの顔、なんかムカツク!」
隆太「物凄いドヤ顔!」
ゲルマ「そんな二人の運命の出会いは大学の新入生歓迎コンパでした」
あかり「新入生歓迎コンパ?」
隆太「その情報いります?」
ゲルマ「ヤマト君はお酒に弱くすぐつぶれてしまいましたが、ナデシコさんはお酒を飲むに飽きたらず頭からビールを浴び始めました」
隆太「お酒を浴びるように飲むってそういう意味じゃないですよ」
ゲルマ「ヤマト君はそんな男前なナデシコさんに一目惚れしました」
あかり「あっそう」
ゲルマ「そして二人はなんやかんやで結婚に至りました」
隆太「はしょり過ぎ!」
あかり「なんやかんやで済まさないでよ!一番重要なところじゃん!」
ゲルマ「最後になりますが、夜の素振り仲間がいなくなると思うと少し寂しい気もします」
隆太「しつこっ!」
あかり「いい加減下ネタから離れろ!」
ゲルマ「アハハハ、でも相手も幽霊みたいなものだから目くそ鼻くそですね」
あかり「言い方っ!」
隆太「そもそも何が目くそ鼻くそなんですか!?」
ゲルマ「つたない話ではありますが御祝いの言葉とさせて頂きます」
隆太「つたな過ぎィィィ!」
あかり「いい加減にしろ!」
ゲルマ「どうもありがとうございました!」