マスター「また来たのかい?お客さんも飽きないね……」
ゲルマ「店の前が血生臭くて寄りたくなるんだ」
サリー「だからといって何故私が引きずり込まれたんだ?」
マスター「見ない顔だ。お酒は大丈夫なのかい?」
ゲルマ「こう見えて無鉄砲な父を持つ女だ。酒ぐらい出してやってくれ」
サリー「酒?ということはここは……」
マスター「背中が寂しい大人たちが語らうバー。又は憩いの場『シーアン』と呼んでほしいね」
ゲルマ「マスター、いつものアレを」
サリー「――なんだ?ガソリンの臭いがするが……」
マスター「『メンフィス』かい?懲りないねぇ、アンタも」
ゲルマ「隣のツレにはアレを」
サリー「――見た目はフルーツジュースのようだが……」
マスター「『エアーズロック』なら女性でも気軽に飲めるよ」
ゲルマ「ついでにそこでラーメンを茹でてる女に『エンジェルティアーズ』を一杯」
サリー「ラーメンを茹でてる女なんて……はっ!」
女店員「久しぶりッス!アネさん!」
サリー「おいっ!何故貴様がここにいる!?どうしてバーでラーメンを茹でているんだ!?」
マスター「このコは夢を叶える為にアルバイトを掛け持ちしているんだよ」
ゲルマ「オレが初めてこの店に来たときに激辛娘にあったんだ。それでラーメンを食べに来たツレを紹介してほしいって言うもんだからサリーを連れて来たというわけだ」
女店員「えへへ!以前ラーメンを食べに来てくれた時にちょっとカッコいいなぁって思ってて、声かけたらアネさんまで呼んでくれたッス!」
サリー(恭夜ではなくゲルマに惚れ込むとは……フッ、この女見る目ないな)
マスター「ついでに私はラーメン屋も営んでいるよ」
サリー「もしや『
ゲルマ「激辛娘の毒牙にかかって、店を畳みかけたらしい」
女店員「あと勝手にメニューを書き換えたり、店の名前を変えたのもウチッス!」
マスター「私が入院している間に好き放題やられてね。お二方にもご迷惑をお掛けしたようで――」
サリー「そこの女をさっさと首にした方がいいのでは?このバーも荒らされるぞ」
ゲルマ「大丈夫だ。まだラーメンを茹でてるだけだからな」
女店員「ソーッス!まだ激辛カクテルしか作ってないんで!」
サリー「すでに毒牙にかかってるではないか!ラーメンを茹でるバーってなんだ!?激辛カクテルなんて誰が飲むんだ!?」
マスター「彼女に悪気はないんだ。ラーメン作りだけは見逃してやってほしいね」
サリー「ラーメン屋でやればいいだろ!それよりカクテルを作る練習をしろ!」
ゲルマ「あの『エンジェルティアーズ』とかいうカクテルは激辛娘が作ったみたいだがな」
女店員「ベースは醤油ッス!唐辛子だけじゃなくタバスコ、キャロライナ・リーパーも入ってるッス!もちろん、エンジェルらしさを出すために牛乳も入ってるッスよ!」
サリー「もはや天使の涙と言うより悪魔の叫びだな。飲んだ人間に叫ぶ余裕があればの話だが」
マスター「新しいラーメンは出来そうかい?」
ゲルマ「見た目は悪くないんだが……」
サリー「このままバーでラーメンを出しそうな勢いだな」
女店員「――うっし!出来たッス!マスター、試食お願いしまッス!」
マスター「病院送りにされた記憶がフラッシュバックするけど、弟子の為だから頂くとしようかな」
サリー「そこまでして食うラーメンが旨いわけがない」
ゲルマ「――マスターのレンゲを持つ手がシェイクしている!?」
女店員「マ、マスター?」
マスター「――ぐぅぅぅ!のわぁぁぁ!ピャァァァ!」
ゲルマ「マスターの口の中でカクテルが出来上がるだと!?」
女店員「これぞ師弟愛が生んだ最高のカクテルッス!」
サリー「この店も終わりだな。それにしてもこの『エアーズロック』は中々だ」