リポーター『――はーい、今回僕達は都内にある超一流ホテルの跡地にやって参りました』
恭夜「『僕達』って、アンタ一人しかいねぇじゃん」
隆太「スタッフさんも含んでるんじゃない?」
リポーター『実はこの跡地について耳を疑うような話が飛び込んできたのです。なんと超一流ホテルの倒産の理由が経営者の夜逃げだというのです!!』
ゲルマ「なるほどねぇ」
リポーター『更にこの跡地に日本最大のクリニックが建設されたというのですが――』
あかり「日本最大のクリニックって何?リゾート施設みたいに言わないでよ」
ルナ「対義語は世界最小の斎場だね」
サリー「故人を偲ぶ気がないようだな」
リポーター『という訳で我々はその真意を確かめるべく足を運んでいきたいと思います!』
サリー「この番組大丈夫なのか?」
リポーター『あっ!ここですね。見て下さい!この建物、できたてホヤホヤのコンクリートでできてますよ!』
恭夜「なんでできたてホヤホヤって分かるんだよ!触ったら普通熱いだろ!」
隆太「木造だったらなんてコメントするつもりだったんでしょうか?」
ゲルマ「『火事になってもすぐに建て直せそうですね!』とかだろう」
あかり「そんなこと患者さんの目の前でも言えるの?」
ルナ「火に油を注いでるね」
リポーター『早速、中に入ってみましょう――おっとこの扉、結構重量感ありますね。これなら注射が苦手な子供に逃げられることはなさそうですね』
恭夜「そんな説明いらねぇよ!子供が余計怖がるだろ!」
リポーター『あちゃー、どうやら僕達は朝礼の時間に来てしまったようです』
サリー「最初に調べるべきではないのか?」
隆太「看護師さんたち、鋭い目してますね」
ゲルマ「眠そうだぞ。業務が多忙だと聞くがこれまでとは……」
あかり「怒ってるからだよね。いきなり押しかけてこられたら誰でもそうなると思うよ」
ルナ「寝耳に水だね」
リポーター『それではお話を伺ってみましょう』
隆太「もう少し空気を読んでほしいです」
リポーター『おやおや、どうやらこの方がこの『ガンダーラ・クリニック』の院長先生のようです』
ルナ「ガンダーラ・クリニック?」
恭夜「ネーミングセンスすげぇな。看護師さんたち、どんな気持ちで働いてんだよ」
ゲルマ「悟っているのだろう。菩薩のようにな」
あかり「患者さんがいるのに悟らないでよ!不謹慎じゃん!」
リポーター『こちらにいらっしゃるガンダーラ・クリニックのイトウ院長はかなりご年配の方のようです。顔中に広がるたくさんのシワがチャーミングゥ!』
サリー「どこを誉めているのだ?」
あかり「もっと誉めるとこあるよね」
リポーター『あはっ!どうやら喜んでくれているみたいですね。左の口角が上がってます』
恭夜「苦笑いだよ!見て分かんねぇのかよ!」
隆太「リポーターの人、ちょっと触り過ぎじゃないですか?」
リポーター『そして院長先生の隣に突っ立っているのはガンダーラクリニック随一のイケメン、ヤマダ看護師でーす』
恭夜「いくめん?」
あかり「恭夜お兄ちゃん、イケメンだよ」
ゲルマ「ククク、嬉しいこと言ってくれるじゃないかぁ!」
サリー「貴様なワケないだろ!」
隆太「ちょっとサリーさん座って下さい!テレビが見えませんよ!」
ルナ「ふふふ、面食いだね」
リポーター『え?なになに?髪が薄い事で悩んでるって?ちょっと見せて頂けますか?――あー、ホントだ。ちょっとカメラさん、こっちこっち。見える?ここだけ毛が生えてないないんだよぉ?どうやらヤマダ看護師は髪を短く剃りすぎちゃうくらいのおっちょこちょいな人みたいですねぇ!』
恭夜「円形脱毛症だろ!すげぇストレス抱えてるじゃねぇか!」
あかり「もうそっとしといてあげれば?」
リポーター『え?何ですか?当クリニックには隠し通路がある?えー!本当ですか?是非確かめに行きましょう!』
隆太「えぇ……」
サリー「クリニックに隠し通路なんてものまであるのか」
ゲルマ「秘密の部屋か。どうせエッチな本がたんまり出てくるだけさ」
ルナ「いかがわしいね」
リポーター『ほう、ここですね。それでは入ってみましょう。う~ん、何だが薄暗くて洞窟みたいですね。じめじめしてるし、たくさん石が転がっています。うわぁ、壁に虫がウジャウジャいる~気持ち悪い~』
恭夜「衛生状態最悪じゃねぇか!」
サリー「即刻封鎖すべきだと思うが……」
リポーター『ふう、やっと出られました。いやぁ、何だかまるでハリー・◯ッターの世界を擬似体験している気分になりました』
隆太「どこにハリー・◯ッターの要素があったんですか?」
ゲルマ「世界震撼!魅惑の診療所がその姿をさらけ出す!ガンダーラ・クリニックと――」
あかり「不潔の部屋」
ルナ「J・K・◯ーリングもドン引きだね」
リポーター『いててっ!……そういえば今日サンダルで来ちゃったんで足擦りむいちゃました』
恭夜「ロケにくる格好じゃねぇだろ。よく洞窟みたいなところ歩けたな」
サリー「ピクニックにでも来たのか?」
ルナ「クリニックだけに?」
リポーター『最後は屋上に行ってみましょう』
あかり「病院関係なくなっちゃった!?」
リポーター『いやぁ、これは絶景ですね。灰色の山が一面に広がっていますよ』
恭夜「雲だよ。山が雲に覆われてんだよ。灰色の山なんて聞いたことねぇよ」
隆太「絶景でもない……」
リポーター『おっと!あそこで一組の男女が語らっているみたいです!ちょっとお邪魔しちゃいましょう!』
ゲルマ「余計な事するなよ~」
あかり「ほっといてやれよ~」
ルナ「もっと大人になれよ~」
リポーター『すみません~!ちょっとお話をお伺いしてもよろしいですか?』
隆太「あーあ、二人とも困惑してます」
リポーター『恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしちゃいましたねぇ。お二方の幸せをテレビを見ている視聴者にもお裾分けしたいものです。これぞまさに恋の院内感染、なんてね!』
恭夜「なんてね、じゃねーよ!」
サリー「院内感染のネガティブなイメージが強すぎる」
あかり「病院の評判にも関わってくるよね」
リポーター『お二方、これからも末永くお幸せに!』
ゲルマ「う~ん、これならさぁヤラセでもいいから台本があった方がいいんじゃないのかい?」
隆太「グダグタしてるところを見せられると、見てるこっちが疲れちゃいますね」
リポーター『――そうだね』
恭夜「会話してんじゃねぇよ!何が「そうだね」だ!」
リポーター『――アハハハ』
恭夜「急に笑い出すんじゃねぇよ!」
ルナ「サイコパスだね」
リポーター『――というわけ今回はガンダーラクリニックの特集をお届けしました』
恭夜「おい、最後の方駆け足過ぎだろ」
サリー「カットし過ぎて情緒不安定みたいになってしまったな」
リポーター『次週は焼き加減に定評のある株式会社ヘルフレイムを調査したいと思います!』
恭夜「次の方が気になるじゃねぇか!いい加減にしろ!」
ゲルマ「ウェルダンもいいが、ミディアムも捨てがたい」
ルナ「火葬だね」
あかり「悪意しかないよね。病院から火葬場って」
隆太「お、終わり良ければ全て良しってことが言いたいんじゃないかなぁ?」
サリー「ヘルフレイムか。覚えておこう」
リポーター『それではさようなら~』