ゴタイ荘の「ほっとすぱーず」   作:公私混同侍

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逢瀬と色男

恭夜「水族館に来たのはいいけど、ちょっと早かったかなぁ?」

 

カイン「――おっと!」

 

恭夜「あっ、すんません……」

 

カイン「これからフィアンセとデートでもするのか?愛の逃避行だな?」

 

恭夜「うん?……お、お前は!?カインじゃねぇか!」

 

カイン「偶然にもばったり再会してしまった。ボクたちは腐れ縁のようだ」

 

サリー「――だーれだ?」

 

恭夜「今度はなんだ!?目の前が急に真っ暗に!?や、やめてくれー!俺を刺さないでー!」

 

カイン「そんなイチャイチャしたところを見せつけられたら、ボクがいたたまれないじゃないか」

 

サリー「――うっ!?そ、そのツンツン頭はもしや……カインか?」

 

恭夜「ビックリしたぁ……二人が同時に現れるから心臓バクバクだよ」

 

カイン「お取り込み中悪いんだが、ボクも二人のデートに加わってもいいかな?」

 

サリー「こ、これはデートではない!密会だ!密会!」

 

恭夜「余計やましいじゃん。でもカインはどうしてここにいるんだ?」

 

カイン「サリーに用件を伝えに来たんだ。一応恭夜にも伝えないとフェアではないと思って、二人の跡を追っていたんだが――」

 

サリー「それではストーカーだ。私がストーカー嫌いなのは貴様も知っているはず」

 

恭夜「もしかしてカインがサリーに会いに来た理由ってそのストーカーが絡んでるんじゃ……」

 

カイン「みんな口を揃えてストーカーとは。でもこれでボクの仕事は終わりだ。二人だけの時間を邪魔して悪かったよ」

 

サリー「あかりたちにも会ったのか?」

 

カイン「もちろん。ちゃんと手土産も渡せたし、仕事漬けだったからいい気晴らしになった」

 

恭夜「日本に来るなら連絡の一つや二つぐらい寄越せばいいのに」

 

カイン「キミたちと会話をするのは気恥ずかしいが、今回ばかりは直接会って話をしようと思って――あっ!愛を育んでるキミたちには余計なことをしたね」

 

サリー「き、さ、まぁぁぁ……」

 

恭夜「動揺してんのか、怒ってんのか分かんない」

 

カイン「その怒りを鞘に納めてもらいたい。刀だけにね」

 

サリー「(はらわた)を抉り出してやる!切腹だけにな!」

 

恭夜「目には目を刃(は)に刃(は)を、みたいな?」

 

カイン「まぁ、ボクで良ければ食事くらいご馳走するよ」

 

サリー「なら金だけ置いていけ!」

 

恭夜「チンピラかよ……」

 

カイン「キミも大変だね。武士道に生きる淑女を娶らなければいけないとは」

 

サリー「武士道だろうが、騎士道だろうが、私と恭夜の歩むべき道は同じだ」

 

恭夜「今はあかりと隆太のために生きてるんだよ、俺たち」

 

カイン「内に秘めた想いは本物というわけか。二人の熱い志は必ず届く。ボクは温かく見守っているとしよう」

 

サリー「話はそれだけか?」

 

恭夜「食事ぐらいなら一緒でもいいと思うけど……」

 

カイン「女性の前でボクが(おご)ることにキミ自身、何か感じるものがあれば嬉しいが――」

 

サリー「なら私が奢ろう。あかりたちが世話になったみたいだからな」

 

恭夜「いや、そこまで言うなら俺が奢るよ。わざわざ日本に来てお土産まで持ってきてくれたんだから」

 

カイン「そこまで気を使われると逆に息苦しくなる。ここは提案したボクを引き立ててほしいね」

 

恭夜・サリー「どうぞ、どうぞ」

 

カイン「……キミたちは現金な輩だな」

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