あかり「あれぇ?この人って――」
サリー「占い師だな」
オオカミ「占い師?」
恭夜「なんで占い師がこんなとこにいるんだ?」
ルナ「野球観に来たの?」
占い師「いいえ」
あかり「それはね、サリーお姉ちゃんが――」
サリー「あー!かー!りー!」
恭夜「いきなりでけぇ声出すな!」
ルナ「サリー、取り憑かれたの?」
占い師「生き霊のお客さんが占ってほしいって言うものだから、一時間ぐらい前まで相手をしていたの」
サリー「誰が生き霊だ!」
あかり「恭夜お兄ちゃんが駆け落ちしちゃうんじゃないかって、ルナお姉ちゃんの名前が書かれた藁人形を斬り続けてたんだよ」
恭夜「藁人形使い方、間違ってるじゃねぇか」
ルナ「サリーのせいでオオカミに取り憑かれた」
オオカミ「これでオレたち、赤い糸で結ばれたようなもんだぜー!ウヒョー!」
恭夜「占い師はルナが心配で追って来たのか」
占い師「それもあるわ。だけど、生き霊のお客さんを占っている時、別のイメージが
ルナ「オニイ?変な名前」
あかり「違うと思うよ」
サリー「もしやこのオオカミは占い師の兄なのか?」
恭夜「おい、オレンジ色のタオル振り回してないで答えろよ」
オオカミ「――え?ああ、オレっちの妹のヤエっちだぜ。それがなんだよ」
ルナ「ヤエっちって可愛い名前だね」
あかり「全然似てないね」
サリー「こっちが黄金色のオオカミならこっちの妹は黒猫だな」
占い師「ついでだから言っとくわ。店長殺しの激辛娘は私の姉よ」
恭夜「マジかよ……」
ルナ「個性的だね」
サリー「ゲテモノ兄妹だな」
あかり「それを言うなら獣(けだもの)じゃない?」
オオカミ「それよりお前がここにいる理由はなんだ?好きな男でも出来たのか?お兄ちゃんが恋愛相談に乗ってやってもいいけどな」
恭夜「占い師が恋愛相談するって皮肉かよ」
あかり「朝の星座占いより当てにならないよね」
ルナ「ラッキーアイテムは藁人形だね」
サリー「妹も大変だな。奇人の姉と変人の兄を持って」
占い師「お兄ちゃん、気づいてないの?携帯電話を見てみなさい」
オオカミ「えっ?携帯?どれどれ……う~ん?」
占い師「ペットショップの店長さんからじゃない?」
オオカミ「はうっ!な、なんで分かったんだよ!?」
占い師「メッセージが入ってるなら早く聞いた方がいいわ」
オオカミ「今日のバイトは午前中しか入れてないんだぜ?何を今さら――」
恭夜「そういえば、あかりは何を占ってもらったんだ?」
あかり「ええと……ルナお姉ちゃんの運命の相手を聞いたんだよ」
恭夜「ルナの運命の相手ってゲルマじゃないの?」
あかり「恭夜お兄ちゃんってさあ鈍感――」
オオカミ「オイオイオーイ!!なんだよコリャー!?」
サリー「留守番電話相手に返答するとは生粋のバカだな」
ルナ「ふふふ、独り言だね」
占い師「私が全て当ててあげるわ。お兄ちゃんが施錠していたケージから猫が一匹脱走したのよ。店長さんはお休みだったから気づくのに遅れたのかしら。猫ちゃんはもう遠くに行っちゃったかもね」
オオカミ「くっそぉ……せっかくいい一日なると思ったのに、トホホ。でも悔やんでいてもしょうがねぇ。ルナちゃん、今度はそんなチャラいヤツなんかよりオレっちと野球観ようぜ!じゃな!――」
恭夜「言うだけ言って帰りやがった……」
サリー「メンタルの強さはアスリート並だな」
あかり「でも占い師さんすごいね!全部当てちゃったよ!」
ルナ「でも店長さん、かわいそう」
占い師「こんなの占いでもなんでもないわ。全部私の仕業よ。ペットショップに忍び込んでケージの鍵を開けたわ。かなり面倒な仕事だったけど、人様に迷惑をかけるお兄ちゃんにはこれぐらいのお仕置きが必要よ」
恭夜「やりすぎだろ!もう営業妨害じゃねぇか!」
ルナ「どうしてそんなことしたの?」
あかり「それは――」
サリー「ちなみに逃げた猫の特徴は?」
占い師「ふ~ん、逃げた猫を捕まえてペットにする気かしら?」
ルナ「ネコババだね」
占い師「そうね、逃げた猫は顔の上半分が黒いわ。それにズル賢い性格のようね。あなたならすぐ見つけられるかもね」
サリー「フッ、感謝するぞ。ヤエっち――」
あかり「ま、待ってよ!サリーお姉ちゃん!――」
恭夜「おーい……あの二人、なんであんな楽しそうなんだ?」
ルナ「ふふふ、なんでだろうね」
占い師「それじゃ、明日も仕事があるから帰らせてもらうわ。またいつでも来てちょうだい。私、あなたたちに凄く興味湧いてきたから――」
恭夜「ああ……って、もういなくなっちゃったよ」
ルナ「もう真っ暗になっちゃった」
恭夜「ルナの好きな人ってゲルマ?隆太?」
ルナ「占い師さん」
恭夜「はぁ?」
ルナ「聞いてみて、ふふふ」
恭夜「なんじゃそりゃ!?」