~買い物帰りにて~
業者「こちらの物件はどうでしょうカー?」
隆太「きらびやかなお家ですね」
ゲルマ「屋根にはソーラーパネルがついているのか。自然エネルギーを利用することで環境にも配慮しているというわけだ」
業者「今では太陽光発電がグローバルな人々に認知されておりマース。お客様も是非ご一考なさって下サーイ」
隆太「僕たちにとっては夢のまた夢ですけどね」
ゲルマ「マイホームを持つぐらいなら、おんぼろアパートを買い取った方が安上がりだぞーい」
隆太「それゴタイさんの前でも言えるんですか?」
ゲルマ「やーねー、冗談よ~!全くもう」
業者「ワタクシの目に狂いはなかったようですネー!アナタは夢のマイホームに住んでみたい、そんな顔をしていマース」
隆太「僕の夢というよりあかりの夢なんですけどね」
業者「もちろんワタクシがご紹介する物件の
ゲルマ「何を言っとるんだ!うちのあかりはハゲとらんぞ!」
隆太「不毛な争いはしないで下さい」
業者「お客様のご要望に沿う物件をご紹介させて頂きマース」
ゲルマ「では浴室、リビング、ダイニング、寝室のみ行き来できる物件を紹介してもらおうか」
隆太「いや、玄関はないんですか?どうやって中に入るんですか?」
業者「そのような物件に需要がありませんので、取り扱いはございまセーン」
ゲルマ「なら玄関とトイレが直結している物件はあるんだな?」
隆太「嫌ですよ!玄関開けたらトイレなんて!」
業者「ないこともないですが、お客様は変わっておられるのですネー」
ゲルマ「誰がワケアリだって!?ああん!もう一件紹介してみろや!」
隆太「業者さんも真面目に聞く必要ないですからね」
業者「お二方はソーラーパネル付きの物件に興味はありませんカー?」
ゲルマ「自家発電というやつか」
隆太「でも高いんですよね?」
業者「フッフッフ……ワタクシが扱う物件は相場の半額で提供できマース!」
ゲルマ「もうちょい安くならへんの?」
隆太「スーパーで値切るおばちゃんみたいに言わないで下さい」
業者「この物件はかなり癖の強い物件でして、床から天井までが1メートルしかないのデース」
隆太「低すぎますよ!完全に設計ミスじゃないですかぁ!」
ゲルマ「まさにシルヴァ○ア・ファミリー」
業者「フッフッフ……ご安心下サーイ。天井の高さはお住まいになる入居者様に合わせて自動で調節されマース」
隆太「自動だとなおさら
ゲルマ「誤作動起こしたら押しつぶされるかもしれんしなぁ」
業者「でしたら一度、下見なさいますカー?」
隆太「でも僕たち、これから夜ご飯の支度しなくちゃいけないんで」
ゲルマ「近場なら考えないこともないぞ」
業者「こちらの物件は築10分、駅から1年デース」
隆太「どんな物件ですか!?数字が逆ですよ!」
ゲルマ「駅から1年か。その物件は絶海の孤島にでもあるのだろう」
業者「もし気になるようでしたらお電話下サーイ。いつでも待ってマース」
隆太「はぁ……やっぱりマイホームはいいです」
ゲルマ「だが気になる!おい、その物件自体持ち運び出来んのか!?」
業者「おっほー!お客様、鋭い目をお持ちのようデスネー」
隆太「マイホームが移動するんですか?築10分って組み立てる時間のことでしょうか?」
業者「そうデース。物件を上下半分にすればどこでも運搬できマース!どうしマス?お二方のアパートに持ってこさせましょうカー?」
ゲルマ「せっかくだからそうしてもらう?」
隆太「やめて下さいよ!アパートの前に一軒家なんて置いたら、住んでる人達が出られなくなるじゃないですか!」
業者「それは残念デース……ご期待に沿えず申し訳ありまセーン」
ゲルマ「かまへん!かまへん!あんちゃんまた遊びに来てな!」
隆太「ゲルマさん、ふざけ過ぎです」
業者「――すみまセーン、ちょっと失礼しマース。ハイハーイ!モシモーシ課長さん、どうしまシタ?……えっ、ワッツ!?それはリアリー!?分かりまシタ、失礼しマース」
ゲルマ「その表情はどうやら売れてしまったみたいだね~」
隆太「ほっ」
業者「ハイ、仰る通りデース。夏に向けてビーチを盛り上げたいと意気込むお客様が買われたようデース……」
ゲルマ「そ、それはまさか――」
隆太「海の家!?」