泉陵学園高校文化祭・打ち合わせ
~1ヶ月前~
あかり「――入って入って」
ハルカ「お、お邪魔します……」
隆太「あかりの友達の深地(ふかち)ハルカさんですね?いつも妹のあかりがお世話になってます」
ゲルマ「そんな堅苦しい挨拶では逆に気を遣わせてしまうぞい」
あかり「みんなあたしの家族だから、遠慮しなくていいからね。ハルカちゃん」
ハルカ「初めまして……本当にこのアパートに六人で暮らしてるんですか?」
隆太「かなり狭いですが、意外になんとかなるもんですよね?」
ゲルマ「まああっしはロボットだからな。眠ることもなく半永久的に動き続けることが出来るぞ」
ハルカ「ロ、ロボット!?」
あかり「ゲルマお兄ちゃんは人間じゃないんだよ。すごいでしょ!」
隆太「いきなりロボットなんて言われても信じられないですよね。でもゲルマさんは女性に優しいので何でも相談に乗ってくれますよ」
ハルカ「それじゃあ、私の相談に乗ってもらってもいいでしょうか?」
ゲルマ「そんな神妙な顔をされると胸がドキドキするでござる」
あかり「心臓ないのに?」
隆太「ちゃんと話を聞いてもらわないと、今後のあかりの学校生活に影響しちゃいますよ」
ハルカ「あかりちゃんから皆さんの話を聞かせてもらってます。私、一人っ子なのでたくさん家族のいるあかりちゃんが羨ましくて、いつかお邪魔させてもらおうと約束してたんです。それでご相談したいことは、今度の文化祭の件で何をしようか考えてまして……」
ゲルマ「ふーむ、文化祭かぁ」
あかり「定番はお化け屋敷とか出店なんだけど」
隆太「そういう話はクラスでした方がいいんじゃない?」
ハルカ「言いづらいのですが、私たちのクラスメートはあまり協力的ではないので、なるべく少人数で準備出来るものを考えていて……」
ゲルマ「もう屋上でバーベキューでもすればいいんじゃね?」
ハルカ「はっ!その考えはありませんでした!」
あかり「雨が降ったらどうするの?」
ゲルマ「テントを張ればヨロシ」
隆太「それキャンプですよね?外部から来る人と一緒にテントに入るメリットあるんですか?」
ハルカ「ああ!こういうことですね!外部から来る人とテントに入ることで、友達や恋人を作るんですね!」
隆太「文化祭でやるのはマズいでしょ」
あかり「それに協力してくれないクラスの同級生とバーベキューなんかしたら、絶対事故が起こると思うよ」
ゲルマ「じゃあマグロの解体ショーはどう?」
ハルカ「誰が解体するのでしょうか?」
あかり「隆太お兄ちゃん」
隆太「ぼ、ぼくぅ!?マグロの解体なんてしたことないよ!そもそも高校生がマグロの解体になんて興味ないでしょ!」
ゲルマ「通販で売っていた『携帯用チェーンソー』で解体すれば、血の気の多い男どもが食いつくのではないかね?」
ハルカ「私、そのチェーンソー持ってます!」
あかり「隆太お兄ちゃんが解体したマグロで料理して、みんなに振る舞えば完璧だね!」
隆太「あかりたちは何もしないの?そんな文化祭、面白くもなんともないよね?」
ゲルマ「ならばここはあっしが一肌脱いで、舞台を演出してしんぜよう」
ハルカ「でもクラスメートが演じてくれるでしょうか?」
あかり「やる気のない人は背景でいいんじゃない?」
隆太「普段の学校生活でも背景なんだろうね、その人達」
ゲルマ「異論はないようだな。ならば全てあっしに任せておけい!」
あかり「良かったね、ハルカちゃん!どんな舞台になるんだろうね?」
隆太「ゲルマさんの一人舞台になるんじゃないかなぁ」
ハルカ「あのう……話が逸れてしまうんですが、この前あかりちゃんに見せてもらった家族写真にもう一人男性の方がいらっしゃったと思うんですが、今日はどこかに出掛けているのですか?」
隆太「あの人?そんな人いましたっけ?」
ゲルマ「うーむ、恐らく我が家のヒモ男のことだと思うが……」
あかり「ゲルマお兄ちゃんの方がヒモ男だよね。ハルカちゃんは年上でスラッとした爽やかな男の人が好みなんだって」
ハルカ「キャー!ひどいよーあかりちゃん!それは誰にも言わないって約束したのにー!」
ゲルマ「アイヤー!あっしの方がマスターより年上なのにー!」
隆太「五百年の年の差を『年上』なんて言う人はいないと思いますよ」