ゴタイ荘の「ほっとすぱーず」   作:公私混同侍

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ラーメン屋「不凍紅」

ゲルマ「いやぁ、ラーメンとやらが楽しみでござる~!」

 

隆太「ごめんなさい、()()()()()()()()()()()()ことすっかり忘れてて……」

 

サリー「謝る必要なんてない。隆太の厚意を無下にしたゲルマに全ての責任がある」

 

恭夜「てめぇが騒ぎでも起こしたら捨てていくからな」

 

女店員「いらっしゃいませー!四人様で?」

 

ゲルマ『そうだっよん!』

 

女店員「へ?」

 

恭夜「てめぇ!「あかり」みたいな猫なで声で返答してんじゃねぇ!」

 

サリー「なるほど。駄洒落まで完備してるのか」

 

隆太「感心してる場合じゃないですよ――あっ、四人でお願いします」

 

女店員「か、かしこまりましたー。こちらにどぞー」

 

ゲルマ「ふう、一難去ったな」

 

恭夜「もう店員さんに顔を覚えられちゃったじゃん」

 

サリー「また一難きそうだな」

 

隆太「あのお、お詫びと言ってはなんですが今日は僕が奢ります」

 

恭夜「隆太が気を遣うことなんてないよ。久々の外食だし、こういうのも悪くないっしょ」

 

サリー「あかりとルナが気の毒だな。帰ったら隆太がご馳走でも振る舞えばいい」

 

ゲルマ「奢るのは当然年上だな。まっ、実社会の掟だししょうがないよねん?」

 

恭夜「こんにゃろう、おめえの方が何百年も生きてんだろ。このポンコツがぁ」

 

サリー「そもそもゲルマの部品の方が高くつく。はしゃいで故障でもしたら一ヶ月は動かせないぞ」

 

隆太(あかりとルナさんがいなくて良かったのかも)

 

女店員「あのー、ご注文いいっすかー?」

 

隆太「あっ、まだメニューすら開いてないです!」

 

サリー「まったく、ゲルマのせいで先に進まん。私は恭夜と同じでいい」

 

恭夜「相変わらず人任せだなぁ。じゃあ俺は――」

 

ゲルマ「あっしはフトーコーラーメンで」

 

恭夜「なんだよ不登校って。そんなラーメンあるわけ――」

 

女店員「不凍紅ラーメンすね。カキカキっと」

 

サリー「あ、あるのか!?」

 

隆太「気づいてなかったんですか!?ここのお店の名前『不凍紅(ふとうこう)』って言うんですよ」

 

ゲルマ「凍らない港から来ているようだな」

 

女店員「へー、おきゃっさん博識っすね!ウチは辛さが売りっすから一応オススメしてるっス」

 

恭夜「一応って……もしかしてメチャクチャ辛いの?」

 

女店員「そりゃあ、もちろんッス!舌を噛み切りたくなる辛さッスよ!」

 

サリー「いや、私は腹を斬る方が――」

 

隆太「サリーさん、死に方の問題じゃないです」

 

ゲルマ「港を凍らせないほどの痺れる辛さ。楽しみでおじゃる~」

 

恭夜「じゃあ、俺はこの普通ので」

 

女店員「おっ!モーセラーメンっすね?海が割れるほどのチャーシューが入ってるッス!」

 

サリー「どこが普通なんだ!?」

 

隆太「ま、まぁ普通のチャーシュー麺だと思えばいいじゃないですか」

 

女店員「チッチッチ、甘いッスね。ただのチャーシュー麺じゃないッスよ。このラーメン、なんとチャーシューが十枚も入ってるっス!」

 

恭夜「あ、ああそうなんだ。多いね……」

 

ゲルマ「ほう、モーセの十戒(じっかい)とかけてるわけか。シャレが利いてるな」

 

女店員「シャレだけじゃないッス!もちろん辛さも利いてるっスよ!」

 

隆太(辛さは余計では?)

 

サリー「なら私は恭夜と分け合おう。さすがにチャーシューは食べ切れないだろうからな」

 

ゲルマ「さすがは夫婦。ストローを箸に代えてすすり合うのだな。中睦まじいねぇー!」

 

サリー「バ、バカを言うな!ど、どこにラーメンをストローですする奴がいるんだ!」

 

恭夜「動揺し過ぎだろ」

 

隆太「ツッコミどころもズレてますし」

 

女店員「おきゃっさんはどうしますー?」

 

隆太「じゃあ僕はこの『らすぷーちん』?ラーメンでお願いします」

 

恭夜「ラスプーチン?甘そうなラーメンだな」

 

サリー「もしや海藻ラーメンではないか?」

 

女店員「おっ!さすがは現代に生きる女武将ッスね!」

 

サリー「誰が女武将だ!」

 

女店員「そうッス!海藻と怪僧(かいそう)がかかってるッス!」

 

ゲルマ「サリーのチョンマゲがワカメみたいに揺れてるぅー!」

 

女店員「ちなみに海藻もちょっぴり辛いッスよ!」

 

隆太「えぇ!!そうなんですか?ルナさん、誘えば良かった……」

 

恭夜「麺はさすがに辛くないよね?」

 

女店員「……店長に確認してくるっスー!」

 

ゲルマ「知らないで提供していたのか。やれやれ、油断も隙もないな」

 

サリー「貴様もな」

 

~数分後~

 

女店員「おまたせっしたー!ご注文のラーメンッス!」

 

ゲルマ「へへっ、うまそうじゃん!」

 

恭夜「食えねぇクセに上から目線で言うな(俺とゲルマのラーメン、やたら赤くね?)」

 

隆太「いただきます」

 

サリー「恭夜、早く食べないと麺が伸びるぞ」

 

女店員「皆さん変わった服装や髪型をしてるっスけど、これから仮装パーティーでもするんスか?」

 

ゲルマ「よくぞ聞いてくれた。我々はミシ◯ラン特派員であり、イン◯ーポールから派遣されたギネ◯の覆面調査員だ」

 

恭夜「ブホッ!ゲホッ!ゲホッ!」

 

女店員「なんか凄そうッスね……」

 

サリー「イン◯ーポールから派遣されたギネ◯の覆面調査員とはなんだ?検挙率の世界記録でも目指すのか?」

 

隆太「混ぜたら危険なものばかりですね」

 

女店員「ゆっくり食べて下さいッス!今日はおきゃっさん少ないんで」

 

ゲルマ「辛さはキャロライナ・リーパーに匹敵するレベルか。タバスコも凌駕する辛さのようだ」

 

恭夜「そんなに辛いのかよ……」

 

サリー「モーセの方は海が割れるほどの辛さはないな」

 

隆太「たとえがよく分かりませんが、僕のラスプーチンはちょっと刺激が強いです」

 

女店員「皆さん、仲がいいんスね。ウチの兄と妹なんか親とケンカして出ていっちゃたんスよ」

 

ゲルマ(オレ達のことを姉弟だと思っているようだ)

 

恭夜(別にいいじゃん。都合が悪いわけでもないし)

 

サリー「人はわからんものだな。明るく接客しているようで、悩みを抱えて生きてきたとは」

 

隆太「ちょっと大袈裟過ぎません?」

 

女店員「そうスッよ!ウチなんて激辛ラーメン屋で全国制覇するって両親に打ち明けたら勘当されちゃったっス!テヘッ」

 

ゲルマ「いい話だなぁ~感動だけに」

 

恭夜「どこがだよ。店員さんもそんな笑顔で言うことじゃないと思うけど」

 

サリー「そういえば店長が見当たらないが……」

 

隆太「休憩中なんじゃないですか?」

 

女店員「実はウチが試作したラーメンを食べたら入院しちゃって……」

 

サリー「入院?なら先程確認するためにキッチンに向かったのは嘘ということか?とんでもない女狐(めぎつね)だな!」

 

隆太「そこまで言わなくても……だいたい想像はつきますが」

 

ゲルマ「もしやあっしが食している醤油ラーメンでは!?」

 

女店員「ソーッス!」

 

恭夜「お前は食ってねぇし、『ソーッス!』ってなんだよ。それをいうなら『ソイソース!』だろ。それに店長を病院送りにしたラーメンを勝手に提供するなよ(ゲルマのラーメン、醤油だったのか……)」

 

隆太「キャロライナ・リーパー入りのラーメンなんて食べたら、普通そうなりますよ」

 

サリー「店長も災難だな。試食で仕事が出来ぬとは」

 

女店員「あのー、そこのお兄さんさっきから全然麺が減ってないんスけど、やっぱり辛すぎるッスか?」

 

ゲルマ「オホン!我は調査員だからな、このラーメンの見映えと味を分析し、本部に報告させてもらう。楽しみに待っていたまえ」

 

女店員「ちょっと待ってほしいッス!味はともかく、辛さならワールドレコードも夢じゃないッス!どうか味より辛さで世界に広めてほしいッス!」

 

恭夜「味より辛さを認めてほしいってどんな店だよ!ていうかなんだよ辛さのワールドレコードって!」

 

サリー「世界に広めたらインター◯ールのレッドリストに載りそうだな。赤すぎて」

 

隆太「麺も辛いよー……」

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