~オバケ屋敷~
ハルカ「本当に私なんかでいいんですか?」
恭夜「ハルカちゃんが俺を選んでくれたんじゃん」
ハルカ「そ、それはそうですが……」
恭夜「俺の家族さ、あかりしか学校に通ったことなくて、あかりもあまり学校のこと話したがらないんだ。だからこういう機会にもっと知りたいなって……ちょっと軽蔑した?」
ハルカ「い、いえ!そんなことありません!私、あかりちゃんから恭夜さんの話も色々聞かせてもらいました。凄く家族想いで、誰にでも手を差し伸べるお人好しだって言ってましたので――」
恭夜「へぇー。あかり、学校で俺の悪口言ってるんだぁ……」
ハルカ「ち、違うんです!そういう意味じゃなくて……決してあかりちゃんは人の悪口を言う女の子じゃないんです。だから勘違いしないでほしいんです」
恭夜「ハルカちゃんみたいな優しい女の子があかりの友達で良かった」
ハルカ「そ、そんな!大袈裟ですぅ!」
恭夜(オバケ屋敷に入ってからだいぶ経つけど、暗いくて肌寒いだけで何も出てこないな。それにハルカちゃん、こんなに真っ暗なのによく普通に歩けるな。俺は暗闇でもハッキリ見えるんだけど)
ハルカ(恭夜さん、こんな暗いのにどうして普通に歩けるんでしょうか?もしかして私を不安にさせないようにしてくれてるんでしょうか?ああ、なんて優しい人!)
恭夜「結構歩いたよなぁ。なんか井戸とか鏡はあるけど、オバケ自体出て来ないってこんなもん?」
ハルカ「私もこんな雰囲気だけのオバケ屋敷は初めてです――あっ!恭夜さん、止まって!」
恭夜「オバケ出た?」
ハルカ「あっ、いや、あのう……」
恭夜「も、もったいぶるのはやめようよ……」
ハルカ「オバケではないんですが……」
恭夜(なんだ、オバケじゃないのか。脅かさないでよ――あれ?ハルカちゃんの足元に……ゴキブリ?)
ハルカ(ど、どうしましょう……オバケだったら恭夜さんに抱きつく口実になったのですが、ゴキブリでは恭夜さんに恥をかかせてしまうかもしれません)
恭夜「もしかしてハルカちゃん、全部見えてる?」
ハルカ「え?どうして分かったんですか?恭夜さんも見えてるんですか?」
恭夜「この部屋、少し明かりが入ってるのかもね」
ハルカ(それはどうなんでしょうか?私の目は光に敏感ですが、この教室からは一切の光が感知出来ないのです)
女妖怪「ゲラゲラゲラ……」
恭夜「――うん?やっとオバケのお出ましだな」
ハルカ「――恭夜さん!?あの鏡を見て下さい!」
恭夜「鏡?……お、おい、俺たちの背後にでけぇゴキブリがいるぞ!」
女妖怪「誰がゴキブリだぁ!」
ハルカ「い、いやぁ!」
恭夜「あの時のおばさんか(ハルカちゃん、無意識に俺の手を握ってる。初めて見た人から見れば妖怪にしか見えないよな)」
女妖怪「せっかく居心地がいいからぁ、この部屋を仮住まいにしようと引っ越してきたのにぃ、騒がしいガキどもがぁ出入りするんだぁ」
恭夜「そりゃあここ学校だし。文化祭が終わったら、この教室蒸し風呂になって住むどころじゃなくなるぞ」
ハルカ「恭夜さん?(会話してる?知り合いなんでしょうか?)」
女妖怪「なんだぁ、そんなのかぁ。なら潔く立ち去るぞぉ――」
ハルカ「えぇぇ!?」
恭夜「って、おい!だからって何でハルカちゃんに突っ込むんだよ!?」
ハルカ「――キャッ!」
恭夜「ごめん!ハルカちゃん!」
女妖怪「次は上に行くだぁ!」
恭夜「――ぐわぁ!?」
ハルカ「恭夜……さん……」
~あかり・隆太・ゲルマ~
あかり「ねぇ?お兄ちゃんたち、ちゃんとあたしの手握っててね?」
隆太「この狭い通路を三人で歩くのはキツいよ」
ゲルマ「――ムッ!前方から熱源反応確認!識別コードはレッド!」
隆太「人間なら大体レッドですよね?」
あかり「誰か来るの?」
ゲルマ「二人とも離れろ!(飛んでくる物体は――マスター!?)」
隆太「――えぇぇ!?」
あかり「――なんでぇ!?」
隆太「いったぁ……」
あかり「みんなどこぉ?」
恭夜「ちくしょう……ハルカちゃん無事か?」
ゲルマ「何故マスターがここに?ハルカ殿と一緒では?」
隆太「あかりどこ?」
あかり「ここだよぉ……」
恭夜「とりあえず離れ離れにならないように手を繋ごう!(あかりは俺の近くにいるな。隆太とゲルマはどこだ?)」
隆太「全然見えないよぉ」
ゲルマ「よーし、両手は塞がったぞい」
恭夜「俺の右手はあかりか?」
隆太「……僕です」
恭夜「あ、あれ?じゃあ左手は――(暗闇だとあかりと隆太の見分けがつかないな)」
ゲルマ「あっしだ」
恭夜「は、はぁ!?」
隆太「それじゃあ、僕の右手はあかりだね!」
ゲルマ「それもあっしだ」
恭夜「どんな状況だ!なんで男三人で手ぇ繋いでんだよ!」
隆太「まさにホラーだ」
あかり「みんなぁ……どこにいるのぉ?」