~泉陵学園高校・屋上~
恭夜「やたら焦げくせぇな。アイツ焼き方分かってんのか?」
あかり「人間じゃないから臭いとかわかんないじゃない?」
ハルカ「音も凄いですが、これは何の音でしょうか?」
あかり「この音ってテレビで聞いたことあるよ!」
恭夜「たぶん隆太が持ってるやつだろ」
あかり「あれってチェーンソーだよね?」
ハルカ「そんな危ないもの、どうやって持ち込んだのでしょうか?」
恭夜「新聞にくるんで持って来たんだよ(さっき警察官が言ってたんだけど……)」
あかり「端っこにテントがあるよ」
ハルカ「行列が出来てますが、皆さん入るつもりでしょうか?」
恭夜(雨が降ってきた。もうすぐ人もいなくなるな)
あかり「雨降ってきたよ」
ハルカ「戻りましょう、恭夜さん」
恭夜「ゲルマのやつ、あっという間に片付けやがった。壊れちまえば良かったのに」
あかり「まぐろ、ピチピチじゃん」
ハルカ「それを言うならびしょびしょだよ、あかりちゃん」
~泉陵学園高校・4階~
あかり「――どしゃ降りだよ」
ハルカ「恭夜さんは屋上が気になるんですか?」
恭夜「うん。変だなぁと思って……」
あかり「誰かテントにいるんじゃない?」
ハルカ「何が変なんですか?」
恭夜「別にテントがなくてもいいと思うんだけど……」
あかり「校舎に戻ろうと思えば戻れるよね?」
ハルカ「傘を持っていないからじゃないですか?」
恭夜「なら傘を持っていってあげようか」
~屋上~
恭夜「すいませーん――」
占い師「よく来てくれたわ」
あかり「ホントに人いたんだ!?」
ハルカ「あれ?ヤエ先輩、こんなとこでも占いをしてるんですか?」
恭夜「占い師もここの学生なのか!?」
占い師「悪いかしら?」
あかり「傘持ってないの?」
占い師「だって傘持ってきてたら、あなたたちが来てくれないじゃない?」
ハルカ「さすが先輩!私たちの行動を全て見通してたんですね!」
恭夜「俺たちの良心を利用しただけじゃん」
占い師「あなたさっき聞き捨てならない発言をしたわね。私がいくつに見えたのかしら?」
恭夜「え~と……アラサーぐらい?」
ハルカ「大人の色気があって魅力的って意味ですよね?」
あかり「アラサーにぐらいもちょうどもないよね」
占い師「あなた!地獄に落ちるわよ!」
恭夜「占いでもなんでもねぇじゃん」
あかり「恭夜お兄ちゃん、謝らないと呪われるよ」
ハルカ「そうですよ!謝って下さい!」
占い師「もういいわよ。あなたの善意を利用した私も責められるべきだし、今回の暴言はチャラにしたあげるわ」
恭夜「ハルカちゃんも占いが好きなの?」
ハルカ「私は『占い部』の人間ですよ。ヤエ先輩が部長で私が副部長です」
あかり「オカルト好きの人も入ってたりするんだよね」
占い師「群れるのは好きじゃないの。けど、彼女の熱意に根負けして仕方なくよ」
恭夜「ハルカちゃんにも占ってもらえるのか」
ハルカ「私なんか先輩の足元にも及びません。でも、藁人形の扱いなら誰にも負けません!」
あかり「それ、あまり人前で言わない方がいいよ。恭夜お兄ちゃんの顔が引きつってるから」
占い師「今日だけなら無料で占うけど、あなたたちはどうしたいのかしら?」
恭夜「俺はいいや」
あかり「あたしも今日は大丈夫」
ハルカ「私は……」
占い師「傘、ありがたく使わせてもらうわ」
恭夜「俺とあかりは戻るけど――」
あかり「先に行ってるね!」
ハルカ「う、うん」
占い師「最近見ないうちにいい表情するようになったわね」
ハルカ「ヤエ先輩なら私が考えてることわかりますよね?」
占い師「あの男のことが知りたいんでしょ?」
ハルカ「やっぱり私は恭夜さんの目に映らないんでしょうか?」
占い師「あなたが考えてる以上に高いハードルね。だって恋敵の未来が私には視えないんだもの。呪い殺そうと思ってもはねのけられてしまうぐらい、強い想いを共有しているのかもしれないわ」
ハルカ「先輩にも視えないものがあるんですね……」
占い師「逆に言えば運命も変わる可能性があるってことよ。この意味わかるかしら?」
ハルカ「それって私にもチャンスがあるってことですか?」
占い師「あなたが全てをさらけ出せれば微かな光が深淵を照らし、おのずと運命の灯火が揺らぎ出す。こんなところかしら?」
ハルカ「私、ガンバります!――」
占い師「辛く大変な道のりよ。あなたらしく足掻きなさないな――深く地の底の姫らしく、ね」