ゴタイ荘の「ほっとすぱーず」   作:公私混同侍

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分かれ道

~アメリカ・某州洞窟~

 

サリー「ここは……なんだ?」

 

ヤエ「地底国家へ繋がる洞窟ってとこかしら?」

 

あかり「サリーお姉ちゃんはあたしと占い師さんの班だよ」

 

サリー「班?隆太とルナはどこに行ったんだ?」

 

ハルカ「ゲルマさんたちは既に出発しました」

 

恭夜「また別行動になるけど、あかりと占い師さんのこと頼むね」

 

サリー「私が意識を失ってる間に人数を分けたのか。そっちは二人しかいないがハルカは大丈夫なのか?」

 

あかり「しょうがないじゃん。ゲルマお兄ちゃんが勝手に決めちゃったんだから」

 

ハルカ「なら私と代わりましょうか?」

 

恭夜「それだとあかりの班には戦える人がネクロマンサーしかいないよ」

 

ヤエ「あら、誰のことを言ってるのかしら?」

 

サリー「呑気に眠り込んでいた私が悪いんだ。遅れて来た人間は与えられた条件を素直に受け入れなければ――」

 

ヤエ「お目覚めのところ申し訳ないけど、あなたにも伝えた方がいいかしら?」

 

恭夜「あやふやな情報ばっかだから、もう一度聞かせてもらえると助かるんだけど」

 

ヤエ「そうね。ならもう一度右端の女子トイレを除く三つの扉、その先にあるその風景を私なりに表現するわ」

 

サリー「回りくどいが今回は事情が事情だ。ヤエっちの助言なら耳を傾けよう」

 

ヤエ「まず先に旅立った三人の扉は右側。この扉の先はほぼ一本道のようね。障害物もそれほどないけれど、その分かなりの労力を必要とするわ。道中に水源があって多くの訪問者はここで一息つくみたい」

 

あかり「隆太お兄ちゃんなんてハンデみたいなもんだよね?」

 

恭夜「ある意味危険な二人だもんな。ルナとゲルマって」

 

ヤエ「次は私たちが入る左側の扉ね。この先は他の二つに比べて平穏。地の底に光が照らしているわ。ただ少し先に大きな屋敷があって、そこの人物はかなりのクセモノね。土地の広さは東京ドーム一つ分。大したことないわ」

 

ハルカ「一番平和なんですね。あかりちゃん、頑張ってね」

 

ヤエ「そして、ハルカとあなた(恭夜)が入るこの扉。その先は前途多難。まさに人生の縮図。待ち受けものは人によって気楽に思えたり苦痛に感じるかも。各々(おのおの)の選択次第で手を差し伸べる者もいれば、崖から突き落とす不届き者もいる。こんなとこかしら?」

 

サリー「ヤエっちの話を聞く限り、かなり疑問の残る振り分けなのだが……」

 

ハルカ「サリーさんはまだ体調が万全ではないと思いましたので、その左側の扉を提案したんです。それに真ん中の扉を選んだのは私ですよ」

 

恭夜「俺たちなら大丈夫だよ。暗闇でもちゃんと見えるし」

 

あかり「サリーお姉ちゃんは恭夜お兄ちゃんと入れ替わっても、ちゃんとハルカちゃんを守ってくれるの?」

 

サリー「私は誰であろうとも手を抜くことはない。ただ――」

 

ヤエ「あなた、さっき自分で言ったことを忘れたの?後から教室に入った生徒を叱責出来るのは教師、つまりリーダーだけよ」

 

サリー「もちろん分かっている」

 

恭夜「そっちはのんびり観光でもしてればいいよ。俺たちはオバケ屋敷を楽しんでくるから」

 

ハルカ「はい!」

 

あかり(サリーお姉ちゃん、お願い!今だけハルカちゃんを二人っきりにさせてあげて!)

 

サリー(やはりあかりの仕業か。しょうがない、今回はあかりの顔に免じて許す)

 

ヤエ「それじゃあ、気を付けて(さて、この選択で運命の灯火が逆巻くかしら)――」

 

~平穏無事の扉・エレベーター内~

 

サリー「ヤエっちも観光に来たのか?」

 

ヤエ「どうかしら?観光出来るならそのまま住むことも考えるわ」

 

あかり「こんなじめじめしてそうな所に住むの?あたしはムリー!」

 

サリー「文明が存在するのかすら怪しいが私も確認しなければならないことがあるからな」

 

ヤエ「何が出て来るのかしら?鬼でないこと願いたいけど」

 

あかり「ネクロマンサーが鬼を恐がらないでよ――あー、ついちゃった」

 

サリー「さて、行くか」

 

~平穏無事の道~

 

ヤエ「……何もないわね」

 

あかり「ま、まぶしい」

 

サリー「さっきまで洞窟にいたからな。目が慣れないと弱い光でも厳しい」

 

ヤエ「天井は透明のドームになってるわ。その光が降り注いでいるのね」

 

あかり「思ったより暖かいね。下着でもいけそうだよ」

 

サリー「そこは肌着にした方がいい。下着で歩いている人間なんかと一緒にいたくないからな」

 

ヤエ「肌着もどうかと思うわ」

 

~屋敷・正門前~

 

サリー「ヤエっちが言っていた屋敷はこれか」

 

あかり「いきなり入ったらダメかな?」

 

ヤエ「この国のルールが分からない以上、迂闊なことは出来ないわ。最低限のマナーは持っておいた方が得策よ」

 

?『どちら様で?』

 

サリー「まだインターフォンを鳴らしていないのに応答するとは。よほどハイテクな技術を使っているようだな」

 

あかり「すいませーん!道に迷っちゃいましたー!」

 

?『道に?あなた方はどちらからお越しで?』

 

ヤエ「地上からよ。怪しいものじゃないわ。信じてもらえないかもしれないけど」

 

?『……』

 

あかり「急に黙っちゃったね。不審者に思われたのかな?」

 

サリー「ここは様子を見るしかない」

 

?「お三方のご職業をお伺いしても?」

 

あかり「あたしは学生ー」

 

サリー「私は民間の事務員だ」

 

ヤエ「私は占いを生業にしてるわ」

 

?「占いですか?それは非常に好奇心を掻き立てられますね。一つ試してもよろしいですか?」

 

ヤエ「私たちの話を聞いてもらえるのならいいわよ」

 

?「ではここは一つ。体のある部分を負傷しているのですが当てられたらお三方をご招待しましょう」

 

サリー「相手が見えない状態で透視しろと?」

 

あかり「そんなのムリだよ……」

 

ヤエ(透視は専門外。だけどこんなところで躓いてたら、このサリーという女性の正体を暴けない)

 

?『やはり難しいでしょうか?でしたらヒントを差し上げましょう。えー、ごほん!最近、窓から放り投げられ大怪我を負ってしまいました。どうですか?』

 

サリー「これがヒントか?ニュースにでもなっていれば見当もつくが――」

 

?『ヒントを差し上げた以上お三方でご相談した場合、門前払い致しますで悪しからず』

 

あかり(……なんか知ってるような気がする)

 

ヤエ「私の知り合いに一人、心当たりがあるわ。その人、首に包帯巻いていたわ」

 

?『……』

 

サリー「間違ったか?」

 

あかり「あたしも知ってるよ!首に包帯を巻いた人!」

 

?『どうぞお入り下さい』

 

ヤエ「どうやら学園の人間のようね……」

 

サリー「門が開いた――」

 

南部『ようこそ!我が南部邸へ!』

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