ゴタイ荘の「ほっとすぱーず」   作:公私混同侍

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闇市のママ

~地底都市コスモスクウェア・裏道~

 

恭夜「指名手配されてそうな人と一緒に行動するの、すげぇ不安なんだけど」

 

ハルカ「大丈夫じゃないですか?皆さん、悪い人ではなさそうなので」

 

リッツ「ここに住んでるだいたいの住民には顔を知られてるわね。でも鉢合わせしなきゃ問題ないわよ~」

 

テリア「行動範囲は狭まるけど裏道から通れば人目もつかない」

 

アウス「追われたってリッツの注射器があれば眠らせられるしなッ」

 

恭夜「その注射器ってもしかして……」

 

リッツ「地上の通販で買ったのよ~お手頃よね~」

 

ハルカ「あれって確か30年ローンでしたよね?払えるんですか?」

 

テリア「リッツは踏み倒すつもりだ。ボクは面倒なことに巻き込まれるのが嫌だから、肩代わりなんてごめんだよ」

 

恭夜「目クソ鼻クソだな」

 

アウス「もうすぐで目的地だぜッ」

 

~闇市~

 

カメラ『キュイーン……カチカチ』

 

リッツ「気をつけてね。この町全体に監視カメラが取り付けられているの。恭チャンたちの行動も全て筒抜けよ」

 

ハルカ「少しドキドキします」

 

恭夜(このカメラ洞窟にもあったな。みんな表情が暗いけど、そういう町なのか?)

 

テリア「まずハルカが探している両親について調べよう。別々で行動して――」

 

アウス「恭夜、一緒にメシでも食って行こうぜ?」

 

恭夜「メシならリッツとテルも一緒に来てほしいな」

 

ハルカ「そうですね。この国に詳しい人がいてくれれば心強いですから」

 

リッツ「男たちはどうしようもないわね~」

 

テリア「この場所に留まるのは良くない。弁当を買うとなると人気のない更地に移動しないといけなくなる」

 

アウス「別にいいよな?恭夜ならそんな細かいこと気にしねぇだろッ?」

 

恭夜「そうだな(なんかイライラする)」

 

ハルカ「私も構いません」

 

リッツ「ならさっさと済ませなきゃ!」

 

~弁当屋~

 

リッツ「ママいる~?おひさ~」

 

アウス「たくよッ!スナックじゃねぇんだから、その呼び方ヤメロヨッ」

 

恭夜「お前らいくつだよ」

 

テリア「おばあちゃん、弁当五人分貰える?」

 

老女「ありゃま、リッちゃんたちかね?弁当が欲しいって言ったのかね?あいよ。ちょいお待ち」

 

ハルカ「お弁当のように温かいおばあちゃんですね」

 

リッツ「上手いこと言うわね~お弁当もまさにお袋の味よ~て行ってもアタシたちにお袋はいないんだけどねぇ……」

 

恭夜(急にトーンダウンしたな)

 

老女「こりゃたまげた!?なんだい、いい男がいるじゃないか!」

 

恭夜「どこ見て喋ってるんだ?」

 

テリア「おばあちゃん、それ遺影だよ」

 

アウス「婆さん、いつも好みの男がやって来ると、ああやって照れ隠しでボケるんだぜッ」

 

恭夜「もうボケてるじゃん」

 

ハルカ「カワイイおばあちゃんですね」

 

老女「ちょいとお使いを頼みたいんだがね。そこのカワイイぼっちゃんにおばばの弁当を持って行ってもらいたいんだよ」

 

恭夜「俺……なのか?(横顔を俺に向けてる……)」

 

リッツ「ママはホントにウブなんだからぁ。ちゃんと目を見て伝えなきゃ熱い想いは届かないわ~!」

 

アウス「相変わらず失礼な婆さんだなッ」

 

老女「手羽先みたいな貧相な男に言われたきゃないね!」

 

テリア「それでおばあちゃん、この弁当はいつもところでいいの?」

 

老女「ああ、頼んだよ。可愛い男の子には旅行をさせよっていう(ことわざ)もあるからねぇ」

 

恭夜「ただの一人旅じゃん」

 

リッツ「カワイイ男の子だって~嬉しいわぁ」

 

ハルカ(どうしてリッツさんが喜んでるのでしょうか?)

 

~更地~

 

恭夜「ここでメシにするのか?」

 

ハルカ「更地ですよね?人目が気になってしまいます」

 

リッツ「あそこよ。ママのお弁当をいつも待ってる人がいるわ」

 

恭夜「その人って隅っこの十字架が立ってるやつじゃ――」

 

ハルカ「もしかしてもう亡くなっているのですか?」

 

アウス「ムシャムシャ――」

 

テリア「亡くなってはいないと思うけど、行方が分からないらしいんだ」

 

恭夜「地上に出て行ったとか?」

 

リッツ「それが五十年前にここに来た時から離れ離れになってしまったらしいのよ。運命って残酷よねぇ」

 

恭夜(なんか引っかかるなぁ)

 

ハルカ「じゃあ、あのおばあちゃんは愛する人の帰りを待ちながら、お弁当を作り続けているのですね?」

 

テリア「毎回この十字架の前にお供えするんだけど――」

 

アウス「ゲップ……アア、食った食ったァッ」

 

恭夜「お前、おばあちゃんのお弁当どこにやった?」

 

リッツ「恭チャンの怒りに満ちた表情も痺れるぅ~!」

 

ハルカ「た、食べちゃったんですか!?今の話聞いてなかったんですか!?」

 

アウス「そんなカッカすんなよッ。ずっとこんなとこ置いといたって腐っちまうんだぜッ?」

 

恭夜「これも毎回なのか?」

 

リッツ「最初はアタシも怒鳴り散らしたわ。でも、アウスの悪事を知ったママが『そんな事聞きたかなかった。それなら黙っていてくれた方がまし。お前たちもおばばの為と思うんだったら、嘘や建前でこの国の人を笑顔にしてみさない』って言ったのよ。アウスの人間性を見抜いていたのね」

 

テリア「だからって空の弁当箱をお供えなんかしたらバチが当たるよ」

 

ハルカ「――お弁当の底に何か書かれてますよ」

 

恭夜「『便秘改善・快便祈願』……」

 

アウス「!!――ぬふぅ!?腹いってぇぇぇッ!!」

 

テリア「下剤入りなのか。おばあちゃんも悪趣味なことするね」

 

リッツ「千鳥足になってるわよ。ブザマねぇ」

 

カメラ『キュイーン……カチカチ』

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