~地底都市コスモスクウェア・路地裏~
ハルカ「ここも裏道なんですか?」
アウス「ブー!ここは路地裏だぜッ」
テリア「気にしなくていいよ。ただの屁理屈だから」
リッツ「頭だけ子供のままなのよねぇ。許してあげてね、ハルチャン」
恭夜「それにしても静かだな。話し声すら聞こえない」
テリア「お客なんて滅多に来ないから店主も表に出たがらないんだ」
リッツ「こっちから声をかければ顔を見せてくれるし陽気な人が多いのよねぇ。遠慮することなんてないわよ~」
アウス「恭夜はまだオレ様たちを疑ってるみてぇだなッ。なんならオレ様の顔の広さを見せつけてやってもいいぜッ」
恭夜「十分見せつけてるじゃねぇか。頭が」
ハルカ「ここはアウスさんの言葉を信じてみませんか?」
リッツ「大丈夫よ。アタシたちの馴染み店なんて数えるほどしかないから、怪しい商売をしてたとしてもお役人さんの目なんて届くわけないもの~」
テリア「とは言ってもアウスの馴染みの店は一つしかない」
~宝石店~
ハルカ「見たことない宝石ばっかりですぅ!」
リッツ「いいわね、その目。ダイアみたいにキラキラしてるわよ」
恭夜「アウス、お前やっぱり強盗するのが目的だったんだな!?」
アウス「馴染みの店だぞッ!?オレ様のような気高き狩人が、こんな埃臭い店に来ると思うかッ?」
テリア「アウス、トロントさんの顔を見てみなよ」
トロント「減らず口は変わらんのぉ。大勢で押し掛けて来たと思えば、冷やかしの言葉を浴びせられるとはのぉ。年老いた体には堪えるわい」
リッツ「パパったら人が来ないと、いつも寂しいそうに白髭をさすってるくせに~」
ハルカ「恭夜さんの好きな宝石の色、当ててみましょうか?」
恭夜「宝飾品じゃなくて色を当てるの?さすがに無理だと思うよ」
リッツ「そうね~色男さんは冷徹そうな雰囲気とは裏腹に燃えるような恋をしそうだから~きっとルビーよ!」
トロント「そうじゃのぉ。ワシの見たところ大人の色気がちと足らんのぉ……そうじゃこのオブシディアンはどうじゃろう?黒曜石と呼ばれるモノじゃが」
テリア「恭夜には似合わない」
アウス「男は黙ってトパーズだぜッ!オレ様のお気に入りなんだけどなッ」
ハルカ「私はエメラルドだと思います」
恭夜「……全部外れ。正解はサファイアでした」
テリア「えっ……」
アウス「マジかよッ!?全然似合わねぇッ!」
ハルカ「そんなことありません。サファイアは恭夜さんが大切な人に送りたい宝石なんですよ」
リッツ「こんな偶然あるのね~まさか恭チャンまでサファイアが好きだなんて」
テリア「リッツ、余計なことは言わない約束でしょ?」
トロント「テリアの首にかけられているペンダントもサファイアじゃ。恋人と永遠の愛を誓い合った証なんじゃろう?」
テリア「トロントさん!!」
恭夜「空気が悪くなってきたな。俺のせい?」
アウス「この爺さんが口を滑らせやがったんだッ。たくよっ、減らず口を叩いてるのはどっちだよな?」
リッツ「いづれは二人にも話すつもりだったのよ。でも、過去に恋人を亡くしたことがテルの人生に大きな変化をもたらしたの」
ハルカ「そうだったんですね。テルさんは辛く苦しい日々を過ごしてきたんですね……」
テリア「昔の話だ。恭夜やハルカには関係ない。ボクは過去に囚われてはいないし、今の生活にも満足してるよ。リッツもアウスも先生もいるから」
トロント「ならばどうして義賊などという倫理に反した道を歩む?師の崇高な志を踏みにじるやり方に大義名分があるというのか?」
テリア「ないよ。それでもボクたちの生き方は変えられない。変えるつもりもない」
リッツ「パパやママのような馴染みの人間に軽蔑されたってアタシたちはめげたりしないわよ。だって貧しい人や立場の弱い人を見過ごすことなんて出来ないもの」
アウス「オレ様たちのやり方を支持してくれる人がいなくなるまで貫き通してやるぜッ!」
恭夜「支持してくれる人がいなくなった時こそ、多くの人たちが幸せな国で生きれるってことだもんな」
ハルカ「テルさんたちの覚悟は並大抵のことではないと思います」
トロント「自由、平和、平等を声高に叫ぶ者には、それ相応の責任がつきまとうものじゃ。今のテリアにその覚悟があるとは思えんが」
テリア「……吹っ切れたよ。皆のお蔭で――」
ハルカ「えぇ!?」
トロント「ぬっ!」
リッツ「そのペンダント、売る気なの!?」
アウス「一番大事にしてた恋人の形見だろッ!?」
恭夜(ペンダントの裏側に名前が彫られてるな)
トロント「本当に良いのだな?クーリングオフは効かんぞ?」
テリア「あれだけ欲しがってたクセに、いざ目の前に差し出されるとへっぴり腰になるなんて……フフッ」
トロント「……まあよい。ほれ報酬じゃ、持っていけ」
テリア「まいど、トロントさん」
トロント「こっちの台詞じゃ、バカモノ」
カメラ『キュイーン……カチカチ』
~路地裏~
ハルカ「どうしてあんな大切なモノを手離してしまったんですか!?」
テリア「昔、付き合っていた人がいたんだ。ペンダントを婚約代わりにくれたんだけど……その人戦争で死んじゃったんだ」
リッツ「ペンダントにサファイアが散りばめられているのよねぇ。センスありありって感じ~」
アウス「ソイツのセンス、オレ様の理解が追いつかねぇぜッ」
恭夜「いつにも増して正直だな」
テリア「恭夜は好きな人が出来たらサファイアを送るの?」
恭夜「最初はそのつもりだったんだけど、その人ティアラがいいって言うんだよ」
テリア「へぇ、いいなぁ。サファイアが散りばめられたティアラか。ボクもつけてみたいな」
リッツ「やっとテルに春が到来したのかしら~?」
ハルカ「ティアラなら私の方が似合うと思いますぅ!」
アウス「ハルカならなんでも似合いそうだけどなッ」
恭夜「ちょっと気になったんだけど、テルたちが言う戦争っていつ起きたの?」
テリア「19世紀」
ハルカ「じゅ……19世紀!?」
リッツ「恭チャンたちは知らないのよね~アタシたち19世紀からやってきたのよ~」
アウス「今って確か22世紀、だよなッ?」
恭夜(この三人はサリーと同じ過去から来た人間なのか!だとしたらこの地底国家は――)