ゴタイ荘の「ほっとすぱーず」   作:公私混同侍

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王妃と逃避

~地底都市コスモスクウェア・国王夫妻の別荘~

 

ヤエ「閑静な佇まいね」

 

サリー「人里離れた場所に住むとは、さぞ気難しい人間なのだろうな」

 

あかり「魔女が出たりしてね」

 

南部「あまり騒がないで下さい。この周辺にはカメラだけでなく、侵入者の行く手を阻む罠がいくつも仕掛けられております。もちろん、憲兵やボディーガードも目を光らせていますので良からぬ事をお考えにならぬよう」

 

ヤエ「南部先生とお会いする人物は相当身分が高いようね」

 

サリー「そのような人物に会えるのならハルカの情報もすぐ得られそうだな」

 

あかり「アタシたちの扉が正解だね!」

 

南部「よろしいですか?もうすぐ面会のお時間となります。これからは私語を慎み、不敬な発言や下賎な立ち振る舞いは控えて下さい」

 

ヤエ「さて何が出てくるのかしら?」

 

サリー「行くぞ、あかり」

 

あかり「き、緊張してきちゃった……」

 

~王妃・安息の間~

 

王妃「お先生、今日も良いお天気ですね」

 

南部「これはこれはコスモフィア王妃、ご気分はいかがでしょう?」

 

サリー(王妃だと?バカな……)

 

ヤエ(一杯食わされたわ。まさか南部先生が王族と繋がりを持っていたなんて)

 

あかり(ずっと立ってられないよぉ……)

 

王妃「そちらはお先生のお弟子さんかしら?」

 

南部「いえ、彼女たちは地上から参られた招待客です」

 

ヤエ(とてつもないオーラね。王女に相応しい貫禄を見せつけてくれるわ)

 

サリー(ここは無難に会釈ぐらいはした方がいいな)

 

あかり(あたまがクラクラする……)

 

王妃「地上から来られたのですね。ウフフ、そちらの方、リラックスして深呼吸をなさって」

 

あかり「ふわっ!?あ、あたし!?」

 

ヤエ「落ち着きなさい。王妃の言う通りにすればいいだけのことよ」

 

サリー「緊張の糸が切れてしまったようだな。汗がすごいぞ」

 

王妃「お先生、今日も素敵なお話を聞かせて下さるの?」

 

南部「いえ、今日はこの者たちを会わせたく足を運んだ次第でございます。どうやら王妃に聞きたいことがあるのだとか」

 

王妃「ウフフ、構いませんよ。遠慮なさらずにお掛けになって」

 

あかり(やっと座れるよぉ)

 

ヤエ「危なかったわね。王妃の前で醜態を晒したら国外退去じゃすまないわよ」

 

サリー「南部先生、本当にいいのか?私たちにこのような機会を与えて」

 

南部「この南部なりの気遣いですよ。暇潰しも兼ねて、わざわざ足を運んだのです。王妃の退屈しのぎにもなりますし、せっかくですのでお三方の悩みでも聞いてみてはいかがですか?」

 

王妃「お先生、お口が過ぎますよ。まるでワタクシが公務を軽んじてるように仰るのですね」

 

南部「いえいえ。王妃も気苦労が多い立場ですので、少しでも労を労おうとこの南部も苦心していたのですよ。そこにこの者たちが現れましたので手土産にお会いして頂こうと考えたのです」

 

王妃「ではでは、皆さまの思い出話でも聞かせて頂きたいものです」

 

サリー「思い出話をする前に教えてもらいたいことがある」

 

ヤエ「単刀直入に聞かせてもらうわ。深地ハルカという名前に聞き覚えはないかしら?」

 

王妃「なっ……」

 

南部「深地ハルカ?この南部にも聞き覚えが――」

 

あかり「あたしの友達でクラスメートなんだよ」

 

王妃「!」

 

サリー「些細なことでもいい。実の両親――」

 

南部「待ちなさい」

 

ヤエ「何か知っているのね?」

 

あかり「ハルカちゃんのパパとママはどこに住んでるの?」

 

王妃「まさか……まさか……本当に……」

 

南部「顔色が悪いですね。一度席をはずされた方がよろしいのでは?」

 

王妃「大丈夫です。ワタクシは悲しいのではありません」

 

サリー「どういう意味だ?」

 

王妃「皆さま方の質問にお答えします。深地ハルカは……ワタクシの娘です」

 

あかり「へぇー、そうなんだ……えぇぇぇ!?」

 

サリー「ヤエっち、王妃は今なんて言ったんだ?」

 

ヤエ「深地ハルカは王妃の娘。つまりこのコスモフィア王国の次期王妃ってことね」

 

南部「こ、これは驚きました……」

 

王妃「真の名はアリーネ・コスモフィア。現国王であるコスモフィア8世とワタクシの娘であり、正統なる王位継承者でもあるのです」

 

あかり「ならどうしてハルカちゃんを捨てたの?」

 

サリー「やめろ!あかり!」

 

ヤエ「余韻に浸っている王位にその質問は酷ね」

 

南部「深地ハルカさんはこの国に?」

 

サリー「ああ」

 

王妃「そう……あの子が来てるのね」

 

あかり「会いたくないの?」

 

王妃「……信じてもらえるかしら?」

 

ヤエ「それは親子の絆次第。真実を打ち明ければハルカも当然戸惑うでしょうね。それでも家族としての幸せを取り戻したいのなら、王妃も国王も全てをさらけ出さなけれならないわ。そうでもしないと永遠にその機会を失うことになるわよ」

 

南部「占い師の言葉だとより説得力を感じさせますね。ただ出来れば直接的な表現は避けてもらいたいものです」

 

王妃「いいえ、あなたの仰る通り。ワタクシは罪を償わなければならない。あの子を地上に捨てた愚かな人間、カロリーヌ・コスモフィアとして謝罪しなければなりません」

 

サリー「では会ってもらえるのだな?」

 

あかり「良かった……これでハルカちゃんも……」

 

南部「王女の所在は掴んでいるのですか?」

 

ヤエ「すでに」

 

王妃「やっと……やっと会えるのですね?長かった……」

 

あかり「占い師さん、ハルカちゃんはどこにいるの?」

 

ヤエ「コスモスクウェア居城――王女寝室の間よ」

 

サリー「うん?」

 

南部「帰還にしては早いですね」

 

王妃「どうしてそこに!?ワタクシは何も聞かされてませんよ!?」

 

あかり「恭夜お兄ちゃんも一緒なんでしょ?」

 

ヤエ「それが……」

 

サリー「恭夜の身に何かあったのか?」

 

ヤエ「大変言いづらいんだけど落ち着いて聞いてちょうだい。唯城恭夜は……独房にいるわ。それに怪我をしているみたいね」

 

サリー「!?」

 

あかり「ドクボウ?」

 

南部「刑務所、ですか(王立図書館の件と関係があるのでしょうか?それにしても展開が早急過ぎますね)」

 

王妃「独房は罪を犯した人間を収用する施設なのですが、一体どうしてそのような場所に?」

 

ヤエ「真実はハルカが握ってるわ」

 

あかり「早く会いに行こう!サリーお姉ちゃん!」

 

サリー「あ、ああ(恭夜、無事でいてくれ……)」

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