~コスモスクウェア王立裁判所・控え室~
南部「顔色が優れませんね。ちゃんと睡眠をお取りになったのですか?」
恭夜「ズズッ……あんなすきま風が吹いて、雨漏りもするところにいたら風邪ぐらい引きますよ……ゲホッゲホッ!」
南部「体調が更に悪化すれば、裁判官や陪審員も同情して刑を軽くしてくれるかもしれませんね」
恭夜「刑を軽くするって無罪しかないのに?」
南部「それぐらいの切り返しが出来るのであれば、受け答えに支障はないでしょう」
恭夜(試しやがったな……頭がズキズキしてきた)
南部「お時間のようですね。それでは参りましょうか」
恭夜「あ~あ、こんな時に女神が現れてくれたらなぁ」
南部(寝言でしょうか?先行きが不安になってきました)
~特別法廷~
裁判官「それでは始めましょう」
大臣「まずは自己紹介からですな。この場にいる方の多くはご存じだと思いますがコスモフィア王国法務大臣、ヘイルメル・ドンバーグと申します。お見知りおき下され(相手は素人。台本通りの裁判では本職の弁護人など役不足になってしまうからな。だが、特別法廷までも陛下自身が取り仕切ろうとはどういった風の吹き回しだ?陛下の希望とあらば致し方ないが)」
恭夜(結構和やかな雰囲気だな。陪審員が五人、裁判官の前に座ってる。皆フードを被って顔を見せないようにしてるんだ。傍聴席にはリッツと……あれ?)
南部「弁護人の南部真命です。弁護士資格を有しませんが、裁判官と法務大臣のご配慮により弁護側として法廷に立たせて頂きます。無論、弁護士でもなければそれ以上でもそれ以下でもありません(極限のプレッシャーはこの南部真命、活力の源!血がたぎりますねぇ!)」
リッツ「変わった挨拶をするのね、南部チャンは。でも驚いたわ。本当に恭チャンの弁護をするなんてねぇ。そういえばアウスの姿がここ最近見えないんだけどテルはなんか知ってる?」
テリア「ボクも全然会ってないから、先生の元にいるものだと思ってたよ」
裁判官「それでは意見陳述を――検察側、どうぞ」
大臣「言葉に多くはいりません。簡潔に申し上げましょう。被告人は我が国の姫君、アリーネ・コスモフィア王女を地上からこのコスモフィア王国へ言葉巧みに誘い込んだ挙げ句、市中を連れ回すという大罪を犯したのであります。誘拐及び監禁の罪でこの者を極刑に処すべきと、ヘイルメル・ドンバーグの名にかけて進言します」
裁判官「分かりました。では――」
南部「弁護は一貫して完全無罪を主張します!故に検察側の主張の全面破棄を求めます!」
大臣「ほ、ほう(こんなものハッタリに決まっておる!だが、何故この男は笑みを浮かべておるのだ?まるで裁判を手玉に取ったかのような雰囲気を醸し出しておるが……)」
恭夜(頭がボーっとして視界がぼやける。大臣とかいうコワモテのちっちゃいおっちゃんが誰かを見てるな……先生を睨んでるのか?)
リッツ「恭チャンの顔色悪くないかしら?」
テリア「心配だよ、風邪が治ってないみたいだ」
裁判官「ゴホン!それでは本特別法廷は検察側が用意した証人を召喚し、証人尋問を行う形式をとる。なお王族に関する法律に
大臣「異議なし(全ては女神のご意志!抗う術などありはせんぞ!)」
南部「ええ、構いません(凄まじい迫力ですね。さすがは王党派の生ける番人と呼ばれるだけのことはあります。ですが、教え子たちが見ている前で恥はかきたくありません。どんな手段を講じてでも無罪を勝ち取らせて頂きます!)」
恭夜(ほっ……良かった。そこにいたんだ、テル)
テリア(恭夜がボクを見て笑ってる?もしかして不安にさせないようにしてくれてるの?フフッ、これじゃあどっちが裁かれてるかわかんないよ)
リッツ「恭チャンに有利なる証拠を出せない以上、証人の良心に賭けるしかないわね――って何ニヤニヤしてるのよ!しかも顔を赤らめちゃって!」
裁判官「静粛に!傍聴人には退廷を命じることもあります!ご静粛に願います」
大臣「オホン!それでは最初の証人を呼ばせて頂きますぞ!」
南部(ついに始まるのですね。空前絶後の裁判ショーが!)
恭夜(――おっ!スゲーいい臭いがする!)
大臣「闇市のママこと、メジナ・フロイドさんの証言である」