~コスモスクウェア王立裁判所・特別法廷~
裁判官「フロイドさん、あなたは弁当屋を営んでいるとお聞きしましたが、被告人とはどのような関係にあったのか証言をお願いします」
リッツ(ママが証言してくれるなんて逆に好都合じゃない!)
テリア(本当にそうだろうか?)
大臣「フロイドさんは被告人を覚えておられますかな?」
老女「まあね……いつもの三人と一緒にそこのカワイイ坊っちゃんもいたねぇ」
恭夜(おばあちゃん、元気がないみたいだ)
大臣「ふむふむ、それで?」
老女「あたしゃいつもお弁当を渡していてね。ついこの前坊っちゃんにお供えしてもらうようお願いしていたんだよ」
大臣「なるほど。その後は?」
老女「ちゃんとお供えしてくれたか見に行ったんだ。そしたら……弁当の中身がなくなっていたんだよ」
リッツ(ママって案外抜け目ないのね)
テリア(空箱はアウスが原因だってことをおばあちゃんも知っているはず)
南部「空箱がお供えされていたと?」
老女「罰当たりなことをするもんだよ。まさかそこの坊っちゃんがそんな仕打ちをするなんてねぇ……歳なんてものはとるもんじゃないよ」
大臣「被告人はタダ飯を食べた挙げ句、空箱を墓前に捨てるという愚行を犯したのであります!」
リッツ「バカなこと言わないでよ!」
テリア「落ち着いて、リッツ(おばあちゃん、どうしてそんな嘘を?)」
南部(証拠はおそらくカメラでしょう)
大臣「このコスモフィア王国全域に監視カメラが取り付けられておることはご存じだと思いますが、被告人が姫君を地上から引きずり込んだ映像も、弁当を運ぶ姿も鮮明に残されております」
裁判官「被告人が姫君を連れ回す姿がいくつも確認出来ます」
南部「ですが弁当の中身を食べた人間が他にいる可能性を否定出来ません。検察側の主張をお聞かせ下さい(大臣は証拠を小出しにして我々を追い詰める魂胆のようですね)」
大臣「弁護側の仰る通り状況証拠では被告人の欠落した人間性を立証したことにはならない」
リッツ「人間性が欠落してるのはどっちよ!」
テリア「ダメだよ、大きな声出しちゃ(おばあちゃんがため息をついた?)」
南部(メジナ・フロイドという老女は理不尽な現状を覆せる決定的な証拠を持っている。特別法廷では弁護側から指摘することが出来ないのですが、この老女が自らの真実を話すまで時間を稼ぐしかないようですね)
大臣「ここで一つ被告人に質問させて頂きたいのですがよろしいですかな?(弁護側は時間を稼ぎたいはず。なら希望通りにいたぶってやるのも一興であろう……くっくっく)」
裁判官「弁護側に異論がなければ許可します」
南部「構いませんよ(舐められたものですね)」
大臣「被告人には動機があった。姫君を拐い国王に身代金を要求するつもりだったのでは?」
恭夜「俺はお金なんかに興味ありません」
大臣「ほほう、実に純粋な被告人だ。上辺だけでも取り繕おうとはな」
リッツ(ちっこいクセに結構ネチっこいわね!)
テリア(こんな時ボクが恭夜のそばにいてあげれたら……)
恭夜「お弁当を食べたのは俺じゃないし、他に食べた人間も知らないよ。たとえお弁当を食べた人間がいたとしても、俺ならおばあちゃんに伝えない。だって悲しむ顔なんて見たくないから」
老女「……(ませたことを言う坊っちゃんだねぇ)」
大臣「保身の為に論点を変えるのは詐欺師の常套句である!」
南部「浅はかな人間性しか持ち得ない大臣には理解出来ないのでしょう。良識ある被告人の性格が垣間見れる発言だと思いますよ」
リッツ(恭チャン、覚えてくれたのね……)
テリア(おばあちゃん、お願い!目を覚まして!)
裁判官「これ以上の証言を必要としなければ、新たな証人を召喚しますが――」
老女「はあぁぁぁっ!」
大臣「な、なんだ今の声は!?」
裁判官「唐突に叫ばないで下さい!心臓に悪いですよ!」
南部(流れが変わったようですね)
老女「すまないねぇ、大臣さん。あたしゃ思い出したんだよ」
大臣「は、はて?(何を話すつもりだ!?)」
老女「あのお弁当にはねぇ下剤を忍び込ませておいたのさ。もし一口でも胃袋に放り込んだらお腹ピーピーだろうねぇ」
南部「これは重要な証言です!弁護側は弁当箱の科学分析の結果を請求します!」
裁判官「弁護側の請求を認めます。検察側は直ちに鑑定結果を証拠として提出しなさい(――検察側は要求がなければ被告人の利益になる証拠を隠匿してしまう。だからこそ、よくぞここまで漕ぎ着けたと南部先生を誉めるべきであろう)」
大臣「ぐっ……承知しました(こんな茶番、今すぐ終わらせてやるぞぉ!南部めぇ!)」
リッツ「やったのかしら?」
テリア「お弁当を食べたら悶え苦しむ恭夜の姿が写ってるはずだから、その証拠がないなら大臣の主張は矛盾する」
裁判官「それでは十五分休廷します」
恭夜(すげぇしんどいな、裁判って)