ゴタイ荘の「ほっとすぱーず」   作:公私混同侍

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激闘!宝石商の罠

~コスモスクウェア王立裁判所・特別法廷~

 

裁判官「それでは新たな証人を召喚して下さい」

 

大臣「はっ!次の証人は路地裏のパパこと、シャマフ・トロントさんでございます」

 

南部(宝石商を営む路地裏の顔、ですか。これまた一筋縄ではいかなそうな老爺(ろうや)ですね)

 

大臣「トロントさんにお伺いしたい。そこの被告人に見覚えは?」

 

トロント「ああ、いつもの三人と一緒にこの青年とアリーネ姫もついておったぞ」

 

南部「深地ハルカという女性がアリーネ姫であることを知っていたのですか?」

 

トロント「そんなわけないじゃろう。この裁判が開かれる前に聞かされたのじゃ。腰が砕けるかと思ったわい」

 

リッツ(何を話すつもりかしら?もしかしてサファイアのこと?)

 

テリア(どうかな?ボクの話ならごめんだけど)

 

大臣「トロントさんは目撃したのです。被告人が赤の他人からペンダントを奪い、転売しようとした現場を!」

 

リッツ(もうメチャクチャよ!パパって記憶まで改竄(かいざん)するつもりなのかしら?)

 

テリア(ボクがペンダントを売ったせいで恭夜を苦しめてる?)

 

トロント「最初は驚いたわい。偽物を掴まされたと思ったが、これまたなんとサファイアが散りばめられていたのじゃ。前々からペンダントの持ち主に売ってもらえるよう催促していたのじゃが――」

 

大臣「被告人は大悪党のようですな。誘拐だけでなく窃盗まで働くとは卑劣極まりない!」

 

裁判官「映像では被告人が宝石店を出入りする姿を確認出来ます。弁護側、反対尋問をお願いします」

 

リッツ(悪びれる様子は微塵もないのね!パパがこんな金に汚い人だなんて思わなかった!)

 

テリア(先生……恭夜を助けて!)

 

南部「証人、今の発言に間違いはないのですか?」

 

大臣「見苦しいものである~!敗けを認めるなら今のうち~!」

 

トロント「まあ記憶違いは多少なりともあるかもしれんが……」

 

南部「あなたは記憶違いで被告人を死罪にしても良いと言うのですか?」

 

トロント「そうは言っておらん!」

 

南部「もう一度確認させてもらいます。あなたは盗品であるかもしれないペンダントを買い取った、そう主張するのですね?」

 

トロント「そんなことあるものか!盗品と知っていたら一刻も早く憲兵に通報したわい!」

 

大臣「……」

 

リッツ(見て見て!スッゴい汗!)

 

テリア(大臣が動揺している?どういうこと?)

 

南部「あなたほどの慧眼(けいがん)の持ち主ならすぐ盗品であると分かったはずです。なのに通報した記録は証拠として提出されておりません。これはどういうことでしょう?」

 

裁判官「裁判前の手続きでも一切仰らなかったのは何か理由があるのですか?大臣、答えて下さい」

 

大臣「そ、それは……本件とは無関係だと思い……」

 

南部「意図的に隠したのですね?大臣、あなたは違法な証拠と知りながら証人に作り話を吹き込んだのです!」

 

大臣「ち、違う!断じてない!」

 

トロント「法務大臣がそんな慌てふためくものではない。しっかりせい!」

 

大臣「はっ!――お見苦しいところをお見せした」

 

リッツ(追い詰められてるっていうのに余裕な表情してるわ)

 

テリア(まだ何かあるの?)

 

トロント「ペンダントが盗品であれば証拠としても疑わしくなる。弁護側はそう言いたいのであろう?しかし、ワシの証言を完全に覆したとは言えんのぉ」

 

南部「検察側にお聞きしたいのですが、果たして被告人がペンダントを持ち込む姿が写っているのでしょうか?」

 

トロント「どうなのかね?」

 

大臣「はっはっは……」

 

裁判官「答えなさい!」

 

大臣「ただいま捜索中でございます……」

 

トロント「まったくだらしのない話じゃ!」

 

南部(これ以上追及しても時間の無駄ですが、このままでは依頼人の無実を証明したことにはなりません。証人は気が短いようなので口を滑らしてくれると助かるのですが……)

 

リッツ(恭チャンの無実は証明されたのかしら?)

 

テリア(なんとも言えないよ)

 

大臣「で、では次の質問を――」

 

トロント「あんだけ大口を叩いておいてこの体たらくとは……情けなくて目も当てられんわ!」

 

裁判官「証人、不規則発言は慎みなさい。これ以上の――」

 

トロント「そもそも名前が彫られたペンダントなんぞ相場以下になることを知らんバカモノたちが多すぎる!」

 

恭夜「やっぱり名前が彫られてると価値が下がるのか……あっ、すみません(やべっ、勝手に喋っちまった)」

 

南部「フッフッフ……非常に興味深い証言が飛び出しましたね(墓穴を掘りましたね。ペンダントに名前が掘られていることを知り得た人物は限られています。つまり法廷内においてこの南部を含め裁判官、そして大臣にしか知り得えない情報です。すなわち、このシャマフ・トロントという証人は()()()()()()()()()()ことになってしまうのです)」

 

トロント「なんじゃなんじゃ?皆恐い顔して」

 

裁判官「証人、あなたはペンダントに名前が彫られていることを知っていた。つまり盗品であること知りながら買い取ったと証言したことになります。よってあなたの()()()()()を本法廷では採用しません」

 

トロント「な、な……なんじゃとぉぉぉ!?」

 

恭夜(おっ、急展開!)

 

テリア(トロントさん、物凄い勢いで崩れ落ちたけど大丈夫かな?)

 

リッツ(自業自得よ!口は災いの元ってやつよ!ざまぁみろってんのよ!)

 

南部「証人、安心して下さい。あなたが問われる罪は盗品を買い取ったことではありませんよ」

 

トロント「……ム?」

 

大臣「ただし、別の罪に問われてしまうが……」

 

裁判官「偽証(ぎしょう)罪です。詳しくは警察署でお話します」

 

トロント「は、はあぁぁぁ……」

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