あかり「ねぇ、見て見て。
恭夜「不審者じゃね?浮浪者の情報なんて誰も知りたくないでしょ」
ルナ「ふふふ」
恭夜「最近多いよな。こういう張り紙」
あかり「え~と、『身長が52センチ』」
ルナ「『体重が168キロ』だって。妖精みたいだね」
恭夜「数字が逆だろ。妖精というより妖怪っぽいし、これ作ったヤツ気づかなかったのか?」
あかり『年齢が10~20歳代――』
ルナ『又は、30~40歳代』
恭夜「幅広すぎだろ。なんの役にも立たない情報だな」
あかり『見た目は中性的で帽子を深くかぶりサングラスとマスクをかけている』
ルナ『スカートなどを穿いており性的な目で見て女性とおぼしき背格好している』
恭夜「性的な目で見るな。これ書いたのオッサンだろ。どっちが不審者かわかんねぇな。それにサングラスとマスク着けてたら中性的かどうか見分けつかねぇじゃん」
あかり『小学生を執拗に追いかけ回し――』
ルナ『ランドセルに大量の小石を入れる』
恭夜「ヤベー奴だな。ランドセルを重そうに背負ってる姿に喜びを感じてるのか?」
あかり『去り際に必ず捨て台詞を吐くのが特徴』
ルナ『これが大人になるということだぁ。責任の重さを思い知れぇ!』
恭夜「ただの八つ当たりじゃん。それとも子供を教育してるつもりなのか?」
ルナ『職業は無職』
あかり『又はライフスタイルアドバイザー』
恭夜「皮肉かよ。なんだよライフスタイルアドバイザーって。まずてめぇのライフスタイルをどうにかしろよ」
あかり『不審者はアンタから見て東に逃走』
恭夜「なんで急にタメ口なんだよ。『アンタ』って俺のことか?東ってことはルナがいる方向か」
ルナ「ねぇアンタ。今晩のおかずは不審者にする?それともワ・タ・シ?」
恭夜「ルナと不審者が同じレベルって言ってるようなもんだぞ」
あかり「あながち間違ってないよね。あたし達が出会う前は橋の下に住んでたんだから」
?「ゲラゲラゲラ、それは聞き捨てならんねぇ」
ルナ「サリー?」
恭夜「サリーがこんなキモい笑い方するわけないだろ!」
あかり「今の悪意しかなかったよね」
女妖怪「そこの女ぁ、橋の下に住んでいたのかぁ?」
ルナ「うん。薄汚いおじさんたちがいつもパンの耳くれた」
恭夜「薄汚いは余計だろ……」
あかり「わざとでしょ。普通ホームレスのおじさんって言うもん」
女妖怪「同情するかぁ。わしも薄汚い妖怪に飯を恵まれるぐらいならぁ、妖怪になるかぁ!」
恭夜「どっちも一緒だろ!」
ルナ「転職だね」
あかり「妖怪に家なんて必要ないよね。おばさんはこの張り紙の不審者なの?」
女妖怪「だったらなにかぁ?おまぁのランドセルに石を詰め込んでやろうかぁ?」
あかり「あたし小学生じゃないもん!高校生だもん!」
女妖怪「それはぁすまねぇ」
ルナ「小学生をイジメてるの?」
女妖怪「なに言ってるかぁ!ワシはなぁ、イライラするんだぁ!綺麗なランドセル背負ってるわりにぃ、中身なんて本が二、三冊しか入ってないガキンチョがわんさかおるだぁ!」
恭夜「教科書重そうだもんな。学校に置いていきたいって思ってる小学生は少なくないと思うけど」
女妖怪「だからワシはガキンチョに教えてあげてるんだぁ。親から買ってもらったランドセルを大事に使ってもらいたいだけだぁ」
あかり「石なんて入れたら汚れちゃうよ」
女妖怪「なに言ってんだぁ!墓石から削ってんだからぁ、神聖に決まってるだろぉ!」
恭夜「もはや妖怪そのもの(168キロって墓石の重さを含んでたりして)」
ルナ「妖怪もお墓参りするんだね」
恭夜「というかさ、石なんて持ち歩かなくても直接言えばいいと思うけどなぁ」
あかり「おばさんの言うことなら聞いてくれるよ」
女妖怪「こんなご時世だぞぉ。そんなことしたら通報されるだぁ」
ルナ「もう通報されてる」
女妖怪「ぶぁ!?」
恭夜「そりゃあ小学生をしつこく追い回せば当然だよなぁ?」
あかり「――あれぇ!?おばさん、どこ行ったの!?」