ハピネスチャージプリキュア 激獣拳使いの幼馴染み   作:ナツ・ドラグニル

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どうも!!ナツ・ドラグニルです!!


今までハピネスチャージの方の話を投稿していましたが、今回からゲキレンジャー側の話を投稿していきます!!


その理由は、ハピネスチャージの話がスランプに入ってしまい、続きが投稿できなくなってしまった為です。


しばらく2番煎じに、お付き合いください。


この話が終わる頃には、流石に終わっていると思うので。


それでは作品をどうぞ!!


修行その1~
修行その1  面白そう!激獣拳


町を一望できる高さの煙突や、人々が集まる商店街。

 

 

河川敷や棚田の広がる山、『ぴかり山』。

 

 

千年前からの伝承が残る神社『ぴかり神社』。

 

 

多くの人々が住む街『ぴかりが丘』

 

 

そのぴかりが丘の、あるマンションの一室から1人の少年が現れた。

 

 

「じゃあ、行ってきまーす」

 

 

中にいる人に向けて、少年『相楽誠司』は声を掛ける。

 

 

薄い鼠色の半袖カッターの上着に赤いTシャツ、黒の長ズボンを着用し、靴はスニーカーを履いている。

 

 

「あれ?誠司、どこか出かけるの?」

 

 

薄いピンク色の髪をポニーテールにしている少女、『愛乃めぐみ』が出かけようとしている誠司に話しかける。

 

 

虹の絵が描かれたシャツに、水色の半袖シャツを羽織り、ピンク色のスカートに白いニーハイソックス、ピンク色のハイカットシューズを履いている。

 

 

誠司とめぐみはお隣さんで、同い年の幼馴染だ。

 

 

「ちょっと散歩にな」

 

 

そう伝えた途端、めぐみは明らかに目を煌めかせた。

 

 

「あたしも一緒に行く!!」

 

「はぁ!?何で!!?」

 

 

着いてこようとするめぐみに、誠司は驚く。

 

 

「だってその方が面白うそうなんだもん」

 

「面白そうって...」

 

 

呆れる誠司だったが、そこでめぐみが買い物で使うであろうバックを持っている事に気づいた。

 

 

「お前、何か用事があったんじゃないのか?」

 

 

誠司がそう聞くと、何かを思い出したのかあぁっ!!とめぐみは大きな声を上げる。

 

 

「そうだ!!あたしお母さんに買い物頼まれてたんだ!!」

 

 

そう言って、めぐみはエレベーターに向かって走り出した。

 

 

「じゃあね、誠司」

 

 

走り出すめぐみを見送った誠司は、落ち着きのない自身の幼馴染に呆れる。

 

 

「まったくあいつは」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

気分転換の為に、河川敷を歩く誠司。

 

 

すると、後ろから掛け声が聞こえてきた。

 

 

「ファイ・オー!!ファイ・オー!!」

 

 

声をした方を見ると、恐らく空手のであろう胴着を来た人達が走っていた。

 

 

「ファイ・オー!!ファイ・オー!!」

 

 

その集団の中でも、一番目立っていたのは先頭に立つ紫髪をポニーテールで纏めている女の子だった。

 

 

横を走り抜けるのを、誠司は黙って見ていた。

 

 

「やっぱ俺も格闘技始めようかな」

 

 

格闘技が大好きな誠司にとって、空手家などは憧れの存在だった。

 

 

但し、格闘技が好きすぎる余り、どの格闘技に入るか迷ってしまい中々始めずにいた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

特に宛もなく散歩していた誠司は、商店街に入った所でぐぅ~とお腹が鳴った。

 

 

「そろそろ昼か」

 

 

そこで誠司は、商店街の一角にある弁当屋『おおもりご飯』に訪れた。

 

 

「いらっしゃいませ!!って誠司君!?」

 

「よっ」

 

 

誠司を出迎えてくれたのは、茶髪の外はねショートカットの少女『大森ゆうこ』である。

 

 

めぐみと同じ、誠司のもう一人の幼馴染だった。

 

 

胸に紐付きの半袖に、やや短めのキュロットを履いていた。

 

 

普段、滅多におおもり食堂に足を運ばない為に、誠司が入店した事に驚くゆうこ。

 

 

「誠司君が来るなんて珍しいね、今日はどうしたの?」

 

 

席に案内しつつ、ゆうこは質問する。

 

 

「ちょっと散歩してたんだけど、腹減っちゃってな」

 

「そうだったのね、急にきたからびっくりしちゃったわ」

 

 

そう言って、ゆうこはメニューを誠司に渡す。

 

 

「ご注文は?」

 

「じゃあ...唐揚げ弁当で」

 

 

誠司はメニューを一通り見た後、ゆうこに注文する。

 

 

「畏まりました」

 

 

ゆうこは、厨房に向かって大きな声を上げる。

 

 

「お父さん、唐揚げ弁当1つ!!」

 

「あいよ!!」

 

 

厨房から、ゆうこの父『大森たけお』が元気ある声で返事する。

 

 

「あら?誠司君じゃない」

 

 

誠司の存在に気づき、ゆうこの姉『大森あい』が話しかける。

 

 

「久しぶりね~」

 

「ご無沙汰してます、あいさん」

 

「しばらく見ない間に格好良くなっちゃって!!」

 

 

よほど会えたのが嬉しいのか、誠司の背中をバシン!と力強く叩いた。

 

 

「学校でもモテるんでしょう?」

 

「いやいや、俺なんて全然モテませんよ」

 

 

実際、誠司が通うぴかりが丘学園には、誠司に好意を寄せる女子生徒は多数おり、目の前にいるゆうこもその1人だった。

 

 

誠司が恋愛に疎く、鈍感な事もあって気づいていないだけだ。

 

 

「俺なんかを好きになる変わり者なんて、早々いないですよ」

 

「ぐふ...」

 

 

誠司は冗談混じりに答えたつもりだったが、《変わり者》という言葉が、ぐさっ!!とゆうこに刺さった。

 

 

「あらら...」

 

 

その事に気づいたあいは、苦笑するしかなかった。

 

 

「ちょっと2人共、無駄話してないでちゃんと働いてちょうだい。まだ他にもお客さんいるのよ」

 

 

誠司が頼んだ唐揚げ弁当を持って、1人の女性がゆうこ達に注意する。

 

 

「あっ、ごめんなさいお母さん」

 

 

ゆうこ達の母、『大森ようこ』は弁当を誠司の前に置く。

 

 

「お待たせしました。唐揚げ弁当です」

 

 

しかし、そこでようやくようこも誠司の存在に気づいた。

 

 

「あらっ誠司君じゃない!!久しぶりね!!」

 

「今気づいたの?」

 

 

誠司にまったく気づいていなかった母に、あいは呆れる。

 

 

「大きくなったわね~」

 

「お久しぶりです、おばさん」

 

 

上機嫌で話しかけたようこだったが、一瞬で表情が一転する。

 

 

「おばさん...」

 

 

おばさんと言われた事に、ようこは悲しそうな顔をする。

 

 

「うっ...ようこさん...」

 

 

ようこの悲しい顔に負けてか、誠司は名前で呼びなおす。

 

 

「珍しいわね、誠司君が1人でうちに食べに来るなんて」

 

「散歩していたら、お腹すいてしまって」

 

「あらそうなの?じゃあゆっくりしていってね」

 

 

そう言って、ようこは仕事に戻っていく。

 

 

「じゃあ、私達も仕事に戻りましょう。これ以上話してたらまた怒られるからね」

 

「そうね、じゃあ誠司君ごゆっくり」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

おおもり食堂で食事を済ませた誠司は、ぴかり神社に訪れていた。

 

 

この神社は伝承によると、千年前にこの地に1人の神が1人の女性の下に降り立ったとされており、特殊な力を宿した神秘的な土地だと言われている。

 

 

せっかくなので、お賽銭でも入れようとした誠司だったが...

 

 

「ようやく見つけましたよ」

 

 

突如誠司の前に、金髪の青年が現れた。

 

 

「まさかこんな所にいようとは」

 

「えっと...あなたはいったい...」

 

 

突然話しかけられた事に、動揺する誠司。

 

 

「あなたが知る必要はありませんよ。なぜなら...あなたはここで死ぬのですから」

 

 

青年はそう言うと、オーラが青年の身体を包んだ。

 

 

「一体何が...」

 

 

驚く誠司だったが、更に驚く光景を目にする。

 

 

誠司の目の前に金色の龍が、姿を現す。

 

 

「うわぁ!?」

 

 

驚いた誠司は、思わず尻もちをついてしまう。

 

 

その姿はまるで、ヤマタノオロチの様に多くの首を持った龍の化け物だった。

 

 

「はぁっ!!!」

 

 

龍の口から放たれた気が、誠司に向かって放出される。

 

 

ドッガァァァァァン

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

圧縮された気が誠司に着弾し、大爆発が起こる。

 

 

爆炎が晴れると、そこには誠司の姿がなかった。

 

 

「ふふふ、ん?」

 

 

消し飛ばしたと思った龍の化け物だったが、先程まで誠司が居た場所に異変を感じた。

 

 

龍の化け物は姿を青年の姿に戻し、そこまで近づくとしゃがんで地面を撫でた。

 

 

「これは...」

 

 

そこでようやく、青年は次元が歪んでいる事に気づいた。

 

 

「今の攻撃で、次元に穴を開けてしまいましたか...これは面白い」

 

 

誠司がいなくなっていたのは、跡形もなく消えたのではなく、攻撃で偶然空いた次元の穴に呑み込まれたのだ。

 

 

「簡単に消してしまっては面白くない、精々楽しませてもらいますよ」

 

 

こうして、誠司はぴかりが丘から......いや、この世界から姿を消した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

チュンチュンチュン

 

 

鳥のさえずり、穏やかな風が吹いている。

 

 

その風で、木々がざわざわと騒ぎ立て、枝や葉の揺らぎが、まるで波打っているようだ。

 

 

「うっ...」

 

 

気絶していた誠司が呻き、目を覚ました。

 

 

「ここは...」

 

 

誠司は上体を起こし、辺りを見渡した。

 

 

「ここは一体...」

 

 

先程までぴかり神社にいた筈なのに、起きたら知らない森にいた事に誠司は動揺する。

 

 

その時。

 

 

ブゥゥゥゥゥンという音が、誠司の上から聞こえた。

 

 

そこで誠司は、途中で森が途切れている事に気づいた。

 

 

誠司は途切れている所に向かうと、その先は崖になっており下に広がる樹海を一望する。

 

 

そしてようやく、誠司は先程の音の正体に気づいた。

 

 

それは1台のセスナが煙と炎を上げ、空を飛んでいた。

 

 

「あれは...」

 

 

セスナを見ていた誠司だったが、等々飛行機は森の中へと墜落してしまう。

 

 

「行くか...」

 

 

ここが何処だか分らない誠司にとって、何か手掛かりを掴めるかもと墜落現場へと向かう。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

墜落現場では、大量の異形が木々を飛び移っていた。

 

 

その異形は茶色い服を着て、目元を帽子と目隠しで覆っている容姿だった。

 

 

そして、その異形の集団に襲われている人がいた。

 

 

恐らく、墜落したセスナに乗っていた人物だろう。

 

 

「困っちゃうわね、そんなにこれが欲しいの?」

 

 

スーツを着た女性は、大事そうにアタッシュケースを抱える。

 

 

その時、異形の1体が襲い掛かる。

 

 

「ふっ!!」

 

 

女性が飛び上がるのと同時に、飛びかかってきた異形に肘鉄を食らわせる。

 

 

「でもダメ、渡さない」

 

 

そう言うと、女性は何かの型を繰り出した。

 

 

「激獣レオパルド拳」

 

 

女性はそのまま、異形達を相手する。

 

 

「はぁ!!はっ!!」

 

 

異形の鳩尾に向けて拳を、または足を叩き込む。

 

 

「はい!!はいっ!!」

 

 

今度は規則正しく、その場にいる異形達に拳を叩き込む。

 

 

「仮初の命を与えられた、哀れな死者『リンシー』達。今こそ永遠の眠りにつきなさい」

 

 

女性がそう言うと、異形...『リンシー』達は全員が崩れるように消えていった。

 

 

「すっげ~」

 

 

今の戦いの一部始終を見ていた誠司は、熱いものが込み上げてくるのを感じる。

 

 

「すっげ~!!」

 

 

思わず、もう一度大声を上げてしまう誠司。

 

 

「⁉」

 

 

流石の大声に、女性は誠司の存在に気づいた。

 

 

「子供!?」

 

 

驚いた女性は誠司に近づき、肩を強くつかんだ。

 

 

「君!!なんでこんな所にいるの!!?」

 

「あ、いや...俺も気づいたらここにいまして...」

 

 

曖昧な答えに、困惑する女性。

 

 

そんな時だった、何かに気づいた女性が誠司を突き飛ばす。

 

 

女性と誠司の間を、何かが通り過ぎて岩に直撃する。

 

 

ドッガァァァァン!!!

 

 

「うぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

着弾した場所が爆発し、更に誠司を吹き飛ばす。

 

 

「はっはっはっは!!!」

 

 

誠司達がいる頭上から、高笑いが響いた。

 

 

「惜しかったな!!まぁ、一発で終わっちまうとつまらねぇからな。そうだろう?拳士『真咲 美希』」

 

「こっちは関わりたくないんだけど、一応引退した身だしね」

 

 

女性...美希がそう言うと、先程のリンシーに似た異形が崖の上から飛び降りる。

 

 

その異形はリンシーとは異なり、赤い服を着て帽子と目隠しが取られ、素顔を晒していた。

 

 

更に、額にはカマキリであろうレリーフがついていた。

 

 

「選ばせてやるぜ、俺に甚振られてからそれを渡すのと、それを奪われてから甚振られるのと...どっちが良い?」

 

「どっちもお断り!!」

 

 

いきなりの展開で困惑する誠司は、2人のやり取りを黙って聞いているしかなかった。

 

 

「ひゃっはっはっは!!!良いぜ!!良いぜ!!強がってた女が、苦痛と恐怖で泣き出す所を見るのは大好きだ!!」

 

「カマキリ!?」

 

 

異形が構えを取ると、その横に鎌を振るうカマキリの幻影が見えた。

 

 

「俺の名前は臨獣マンティス拳のマキリカ!!今がお前の最後の祈りの時だぜ!!」

 

 

そう台詞を吐き捨てると、美希に向かって襲い掛かってくるマキリカ。

 

 

「はぁ!!」

 

 

マキリカは走る勢いを利用し、美希に飛び掛かり蹴りを繰り出す。

 

 

マキリカの蹴りを、美希は片手で防いだ。

 

 

しかし、マキリカの攻撃はそれだけでは終わらなかった。

 

 

裏拳、肘内、後ろ回し蹴りなど、怒涛の攻撃を繰り出した。

 

 

美希はその怒涛の攻撃を、片手で防いだり、躱したりして攻撃を凌いだ。

 

 

そして、後ろに跳ぶことで距離を取る二人。

 

 

「うっ...」

 

 

しかし、着地した後構える美希だったが、急に腕を押さえだした。

 

 

押さえた箇所をよく見てみると、一か所スーツに切れ目が入っており、血が滲んでいた。

 

 

「おっ!!セスナで不時着した時の傷か...ならそこを狙うとするか」

 

 

マキリカが、執拗に怪我している左腕を狙う。

 

 

1発目は何とか攻撃を躱す美希だったが、2発目が左腕に直撃しアタッシュケースを手放してしまう。

 

 

アタッシュケースは誠司の足元まで飛んでくると、中が飛び出して誠司の足元に転がる。

 

 

「しまった!!」

 

 

足元に転がった物を拾う誠司、それは3つの輪っかが絡み合ったような物だった。

 

 

「なんだ?腕輪...?」

 

 

どんな代物なのか分からない誠司だったが、その腕輪を見たマキリカが声を上げた。

 

 

「おぉ!!それはまさに拳魔の腕輪!!寄越しな小僧!!」

 

「逃げてぇ!!!」

 

 

声を荒げる美希だったが、マキリカが動くのが速かった。

 

 

「おらっ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

マキリカの攻撃を真面に受けた誠司は、後ろに吹っ飛び木に激突する。

 

 

マキリカは誠司に向かって、強力な手刀を飛ばした。

 

 

「喰らえ!!丘断拳(がくだんけん)!!」

 

 

その手刀は、誠司の近くの木を全て切り刻んだ。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

誠司は倒れてくる木の下敷きとなり、姿が見えなくなった。

 

 

マキリカは誠司を潰したことを確認すると、足元に転がっていた腕輪を拾った。

 

 

「拳魔の腕輪は、俺等臨獣殿の物!!」

 

 

美希がその事に気づき、腕を押さえながらマキリカの元に向かう。

 

 

しかし、マキリカは地面の中へと沈んでいき、その場を引き上げてしまう。

 

 

悔しがる美希だったが、マキリカの後を追うよりも誠司を救出することを優先した。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

紫色の雲と霧に覆われている寺院。

 

 

その玉座であろう場所で、瞑想するマントを羽織った青年。

 

 

その青年の後ろに、動く影があった。

 

 

突如として、何かが足元から徐々に姿を現す。

 

 

それは、カメレオンを模した異形だった。

 

 

その異形は口を開くと、青年に向けて長く鋭い舌を伸ばす。

 

 

しかし、完璧な奇襲だったにも関わらず、青年は見もせずに顔を逸らすだけで難なく避けて見せた。

 

 

青年に舌をガシッと掴まれた異形は、そのまま舌を捻る。

 

 

「きゃっ」

 

 

異形は体が宙に浮き、背中から地面に叩きつけられた。

 

 

「足りぬ...高揚も、衝撃も。メレ、その程度の攻撃では俺の渇きは癒されぬ」

 

「ああん、理央様」

 

 

青年...『理央』がそう言うと、異形...『メレ』は顔を手で覆いながら姿を変える。

 

 

その姿は若い女性の姿で、露出の多いチャイナドレスにニーハイブーツ。

 

 

髪型はツインテールの三つ編みが、ぐるぐると巻いてある。

 

 

「私の愛の一撃で、いつか癒してさしあげたい!!あなた様の...その渇き...」

 

 

しかし、そこでメレは本来の用事を思い出す。

 

 

「はっ!!それより...」

 

 

メレは外に向かって、大きな声を上げる。

 

 

「マキリカ!!」

 

 

マキリカが美希から奪った腕輪を持って、寺院...『臨獣殿』の通路を歩く。

 

 

『臨・獣・拳、臨・獣・拳』

 

 

その通る道では、リンシー達が修行を行っていた。

 

 

そしてマキリカが、理央の元までたどり着くと腕輪を献上した。

 

 

「ははぁ」

 

「それは...拳魔の腕輪」

 

「はい!!いよいよ、いよいよですね理央様!!ついに理央様の時代!!理央様の世界が始まるのですね」

 

 

理央は拳魔の腕輪を、左腕に嵌めた。

 

 

「古の拳魔達よ、我に言葉を授けよ」

 

 

理央の言葉に答えるように、拳魔の腕輪が光を放つ。

 

 

「きゃっ!!」

 

 

あまりの眩しさに、メレは目を瞑った。

 

 

『我らを呼び起そうとする若獅子よ、お前は何を求める』

 

 

腕輪から、男の声が聞こえた。

 

 

「強さ...それのみ」

 

 

理央が答えると、今度は女の声が聞こえる。

 

 

『ならば人間共に悲鳴を上げさせよ』

 

 

その女の声に続き、今度は別の男の声がする。

 

 

『弱き者どもの絶望が、我ら臨獣拳を強くする』

 

「弱き者どもの...絶望」

 

 

理央が腕輪を前に突き出すと、更に光り輝き、臨獣殿に雷が落ちる。

 

 

理央はマントを翻し、玉座へと立つ。

 

 

「道は示された!!」

 

 

その理央の横に、ライオンの幻影が見える。

 

 

ガアァァァァァァッ!!!

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「はっ!!」

 

 

何かの気配を感じ、飛び起きる誠司。

 

 

「何だ今の...すっげぇゾワッとした...」

 

 

誠司は体中に鳥肌が立ち、身震いする。

 

 

「あれ?」

 

 

そこでようやく、自身が知らない場所で寝ている事に気づいた。

 

 

「何処だ?ここ」

 

 

 

 

 

スクラッチ社、本社ビル。

 

 

「はい、スポーツを科学とハートでサポートするスクラッチです!!」

 

 

電話対応している社員の後ろを、電話をしている美希が通過する。

 

 

「もうしわけありませんマスター・シャーフー、まさか臨獣殿に見つかるなんて」

 

 

美希は、臨獣殿という言葉の時に、他の社員には聞こえないよう携帯を手で覆った。

 

 

「500年に一度の月食の夜、拳魔の腕輪を永遠に封印する唯一の機会だったのに」

 

『気に病むな、いずれ戦いは避けられなかった事じゃ。いよいよ、その時が来たようじゃな』

 

「はい」

 

『して、森で見つけた少年を拾って来たと聞いたが...』

 

「はい、それが不思議なんです。彼...大木の下敷きになったのに、骨折一つしてなくて丈夫と言っても程があります」

 

『なるほどのう』

 

「それと...もう一つ不思議な点がありまして...彼の身元を調べる際に、所持品を調べたんです。そしたら、彼の通う学校の生徒手帳が出てきまして」

 

『それの何が不思議なんじゃ?』

 

「それが...調べてみたんですが、彼の住む街ぴかりが丘、彼の通う学校ぴかりが丘学園、どちらも存在しない地名と学校なんです。それに戸籍も見つからなくて...」

 

『なんと...ではその少年...』

 

「はい、もしかしたら...」

 

 

 

 

 

美希が電話で会話している間、目を覚ました誠司はトレーニングルームを探索していた。

 

 

そんな中、誠司はある物を見つける。

 

 

顔が動物を模したようなマスクに、片方が黄色、もう片方が青の全身スーツを纏った者達が戦っていた。

 

 

「はい!!はっ!!はぁっ!!」

 

「ふっ!!」

 

 

お互いが技を決め、一旦距離を取る。

 

 

黄色いスーツを纏った人が、拳を鳴らした次の瞬間。

 

 

誠司は自身の目を疑った。

 

 

「激獣!!チーター拳!!」

 

 

黄色いスーツを纏った女性らしき人の後ろに、機械的なチーターが姿を現す。

 

 

「激獣!!ジャガー拳!!」

 

 

青いスーツを纏った、こちらも女性らしき人の後ろに、機械的なジャガーが現れる。

 

 

「うおっ!!!チーターとジャガーが出てきた!!」

 

 

 

突如現れたチーターとジャガーの幻影に、誠司は目を輝かせる。

 

 

「ふっ!!」

 

「はっ!!」

 

 

2人がまた戦いを始めると、今度は幻影のチーターとジャガーも戦いだす。

 

 

「なんだあれ!!すげぇ!!」

 

 

ガラスに手を付いてへばりつき、興奮しながら戦いを見る誠司。

 

 

「獣拳じゃよ」

 

「獣拳?」

 

 

疑問に思う誠司だったが、声のした方に振り向いた。

 

 

するとそこには、2足歩行した巨大な猫が立っていた。

 

 

チーン!!

 

 

すると猫は、手に持っていたトライアングルを鳴らした。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

スクラッチ社の一室にて、誠司は先程の猫...『マスター・シャーフー』、美希、そして先程戦って居た2人と一緒にいた。

 

 

黄色いカンフーシャツに黒いスカートを履いた、ポニーテールが特徴の誠司と同じくらいの女の子...『宇崎ラン』が、ラーメンを誠司の前に置く。

 

 

「あ、ありがとう...」

 

 

ランと色違いの青いカンフーシャツを着た女の子...『深見リン』が、誠司に質問する。

 

 

「相楽誠司君だったわね、美希さんから聞いたけど...何であんな樹海にいたの?」

 

「いや...それが...俺にも何が何だか...気づいたらあそこで倒れてて」

 

「何かの事故に巻き込まれ、そのショックで事故前後の記憶がなくなったのかしら」

 

 

誠司の話を聞いていたランがそう推測すると、美希が話に入ってくる。

 

 

「ねぇ誠司、あなた...自分が住んでいた場所と、通ってた学校名って分かる?」

 

「え?ぴかりが丘とぴかりが丘学園ですが...」

 

 

記憶の後遺症が何処まであるのかを確認する為の質問だと思い、誠司は素直に答えた。

 

 

「やっぱり...」

 

 

しかし、その話を聞いた美希は深刻そうな顔をする。

 

 

「美希さん?」

 

「何かあったんですか?」

 

 

様子の可笑しい美希に、質問するランとリン。

 

 

「誠司には悪いけど、あなたの身元を確認する為に所持品を調べさせてもらったの」

 

 

そう言って、美希は誠司の生徒手帳を取り出した。

 

 

「それがどうかしたんですか?勝手に荷物を漁ったのはしょうがないかと...」

 

「あなたが言ったぴかりが丘とぴかりが丘学園は、この世界には存在しないの」

 

 

誠司が言い切る前に、美希が重大な事実を告げる。

 

 

「え...」

 

 

思わぬ事実に、言葉を失う誠司。

 

 

ランとリンも、口に手を当て言葉も出ない様子だった。

 

 

「い...いや...いやいやいや!!!そんな筈ないじゃないですか!!!もう一回調べ直してくださいよ」

 

 

声を荒げ美希に詰め寄る誠司だったが、美希は首を振るうだけだった。

 

 

「私もそう思って何回か調べたけど、結果は同じだったわ。それどころか、誠司の戸籍すら見つけられなかった」

 

「戸籍が見つからないって...じゃあ、彼は今までどうやって過ごしてきたんですか!!」

 

 

とんでもない事実に、話を聞いていたランまでも声を荒げる。

 

 

「考えられる可能性は、1つだけじゃな」

 

 

そこで、シャーフーが自身の推測を話す。

 

 

「小僧、お主が別の世界から来たという事じゃ」

 

 

シャーフーの推測を聴いた誠司達3人は、ポカーンと呆然とする。

 

 

そして...

 

 

『えぇぇぇぇぇっ!!!』

 

 

誠司達の叫び声が、スクラッチ社の特別開発室内に響いた。

 

 

「待ってくださいマスター!!それは幾ら何でも極論すぎるのではありませんか!?」

 

「では...存在しない地名と戸籍には、どう説明するのじゃ?小僧が嘘を付いているとでも?」

 

「そ...それは...」

 

 

リンがシャーフーの推測を否定するが、それを論破され黙ってしまう。

 

 

「じゃあ誠司には、帰る場所がないって事ですか...」

 

 

事の深刻さに気付いたランが、質問する。

 

 

「そうなるのぅ」

 

 

思わず誠司の顔を見てしまう、ランとリン。

 

 

「い、いや、まだ帰れないって決まったわけじゃないし、何とかなるかも!!」

 

 

わざとらしく、大きな声で誤魔化す誠司。

 

 

「そ、そうだ!!そういえば獣拳ってなんですか?」

 

 

話を逸らすために、誠司は別の話題を切り出した。

 

 

「獣拳って言うのはね、激気を燃やして獣の力を手にする拳法よ」

 

「激気?」

 

 

美希は更に詳しく、獣拳について説明を始める。

 

 

「獣拳の力の源よ、心に獣を感じた時に湧き上がる情熱を《激気》と言うの。それを燃やして、無限の力を引き出すのが獣拳よ」

 

 

美希は座っていたランとリンの背後に回り、説明を続ける。

 

 

「ランとリンは、獣拳4000年の精神を受け継ぎ発展させた激獣拳ビースト・アーツの拳士。マスター・シャーフーはその師匠よ」

 

「凄いじゃろう」

 

 

自分と同い年にも関わらず、目の前にいる2人がそんなに凄い人達だとは思わず驚愕する誠司。

 

 

「そして、私達が戦うのをサポートしてくれてるのがこの会社『スクラッチ』、美希さんはここの重役なのよ」

 

 

ランが説明を引き継ぎ、美希の紹介をする。

 

 

「でも、戦うって何と戦うんですか?」

 

 

誠司の疑問に答えたのは、ううむと声を上げ椅子から立ち上がったシャーフーだった。

 

 

「獣拳には相対する2つの流派があってのう。1つ正義の獣拳『激獣拳ビースト・アーツ』、1つ邪悪な獣拳『臨獣拳アクガタ』。我らの敵はそのアクガタを使うもの達、臨獣殿じゃ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その頃、臨獣殿では理央がメレ、マキリカ、そしてリンシー達の前で宣言していた。

 

 

「これより臨獣拳が、世界を統べる。愚かな人間共の悲鳴を、絶望を!!そして臨獣殿の力となせ」

 

 

理央の言葉に、全員が御意!!と膝まづく。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ん!?」

 

 

臨獣殿の気配を察知したのか、シャーフーは耳をピクピクと動かした。

 

 

そして、その気配を感じたのは誠司も同じだった。

 

 

「何だこれ...さっき以上にぞわっとした」

 

 

背中に冷たいものが走ったような感覚に襲われた誠司は、体を震わせる。

 

 

「おぉ!!お主も感じたのか!!」

 

 

シャーフーは、誠司が臨獣殿の気配を感じ取れている事に驚いた。

 

 

「マスター・シャーフー...まさか...」

 

「うむ...臨獣殿が早速動き出したようじゃ...」

 

 

その話を聞いたリンは、体を強張らせる。

 

 

「ついに...実戦の日が...」

 

「何?怖いの?」

 

 

ランにバカにされ、リンは声を荒げる。

 

 

「怖くないわよ!!」

 

 

リンは、誠司を押しのけてシャーフーの前に立つ。

 

 

「行きます!!」

 

「私も!!」

 

「うむ!!」

 

 

2人の意思を確認したシャーフーは、何かの箱を持って誠司に近づく。

 

 

「どうじゃ小僧、お主もこの2人と一緒に獣拳を学んでみるか?」

 

『えぇ!?』

 

「え?」

 

 

驚く誠司達を他所に、シャーフーは箱の中から取り出したのはラン達が付けているのと同じ手甲のような物だった。

 

 

シャーフーがそれを誠司の両手に付けると、グローブへと変化する。

 

 

「何ですかこれ?」

 

「ゲキチェンジャー、激気を最大限活用する為に我が社が開発したグローブよ」

 

 

美希が説明するが、それにランとリンが止めに入る。

 

 

「待ってください!!マスター!!美希さん!!誠司は話を聞く限り、拳法のけの字も知らない超初心者なんですよ!!?」

 

「無理です!!危険すぎます」

 

 

しかし、そんな2人の言葉を無視し、シャーフーは誠司に語り掛ける。

 

 

「激獣拳の第一歩は正義の心じゃ、正義の心なくして激気は生まれん」

 

 

そう言って、シャーフーは誠司の肩に手を置いた。

 

 

「分かるかのぅ?」

 

「正義の心...よく分からないけど、俺やります!!」

 

 

誠司のその言葉に、ランとリンは呆れる。

 

 

「よーし!!」

 

 

誠司は扉を押し開けようとするが、気が高ぶって認証が必要な自動ドアだという事を忘れ、ドアに激突してしまう。

 

 

「いってぇ...」

 

 

打ったおでこを押さえ、誠司は悶絶する。

 

 

「ほら、これを着ていけ!!」

 

 

そう言って、シャーフーは赤いカンフーシャツに、黒いズボンを渡す。

 

 

シャーフーが扉横の認証機に手をかざすと、扉が開いた。

 

 

「よーし!!」

 

 

誠司は元気よく、その扉から出て行った。

 

 

「待ちなさい!!」

 

「ふざけないでよ!!」

 

 

その後を、ランとリンも追いかけた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

人々の悲鳴が飛び交う中、町中でリンシー達が暴れていた。

 

 

ある者は直接攻撃され、ある者はリンシーが壊した車の爆発に巻き込まれる。

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 

その悲鳴を聞いたマキリカは、体を高揚させる。

 

 

「いいぞぉ...この泣き叫ぶ声、力が体に漲るぜ!!臨技!!獣人邪身変(じゅうじんじゃしんへん)!!」

 

 

顔と手が体にめり込んだ途端、マキリカの姿が変化する。

 

 

挑発的までに天に伸びた黒い棘が頭部から生え、黒い胴体である全身を緑色のカマキリを思わせる鎧に身を包み込んだ。

 

 

当然ながら両腕はカマキリの様にギザギザの刃の付いた鎌状となっており、胸部がカマキリの頭部で両肩がその目の形をしている。

 

 

「マンティス閃光斬!!」

 

 

マキリカが飛び上がり、繰り出した斬撃が高速道路をぶった切る。

 

 

高速道路を走っていた車やトラックがそのまま落下し、高速道路が崩れ落ちるのと同時に大爆発を起こす。

 

 

「酷い...」

 

 

駆け付けたランが目にしたのは、人々が泣け叫ぶ惨劇だった。

 

 

「おーい!!」

 

 

ランの後ろから、走ってくる誠司が声を掛ける。

 

 

「お前、足速いな」

 

「ラン!!誠司の事追い越してどうするのよ!!」

 

 

誠司はランの足の速さに感心し、リンは自分処か誠司すらも追い越して先に言ってしまった事に文句をつける。

 

 

そんな3人の前に、リンシー達が立ちふさがる。

 

 

「行くわよ!!」

 

 

ランがそう言うと、2人は人差し指と親指を開いた状態で前に突き出した。

 

 

『たぎれ!!ケモノの力!!ビースト・オン!!』

 

 

音声コードと共に、右手甲のスイッチ部に触れる。

 

 

『はぁぁぁぁぁぁ!!はぁ!!』

 

 

両腕を外側に回して胸の前の腕をクロスさせ、右腕を前に突き出す。

 

 

次元圧縮されたスーツ...『ゲキスーツ』が、瞬時に2人に装着される。

 

 

「日々是精進、心を磨く!!オネスト・ハート!!ゲキイエロー!!」

 

「技が彩る大輪の花!!ファンタスティック・テクニック!!ゲキブルー!!」

 

 

名乗りを上げた2人に、誠司はおぉ!!と興奮する声を上げる。

 

 

「ふっ!!」

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

 

2人は、リンシー達に向かって走りだした。

 

 

「はっ!!やっ!!はいっ!!」

 

 

ゲキイエローは、素早い動きで、1体1体を確実に倒していく。

 

 

するとリンシー達は、槍を手に取り襲い掛かってきた。

 

 

しかし、ゲキイエローは怯む事無く攻撃を躱し、槍を掴んだ。

 

 

「はいっ!!」

 

 

蹴りを入れる事によって、リンシーの持っていた槍は真っ二つに折れてしまった。

 

 

「はぁ!!」

 

 

得物を失ったリンシーは、ゲキイエローの蹴りを真面に食らう。

 

 

「激獣チーター拳!!激技!!瞬瞬弾(しゅんしゅんだん)!!」

 

 

ゲキイエローが、激気を練りだす。

 

 

「はぁ!!」

 

 

気合の声と共に、黄色いチーター...『ゲキチーター』が放たれた。

 

 

シャアアアアアアッ!!!

 

 

ゲキチーターが超高速でジグザグに動き、リンシー達を蹴り倒す。

 

 

 

 

 

ゲキブルーは四方八方からくる攻撃を、まるで演舞を踊っているかのような華麗な動きで全て避ける。

 

 

ごきごきと拳を鳴らす、ゲキブルー。

 

 

「激獣ジャガー拳!!激技!!転転弾(てんてんだん)!!」

 

 

ゲキブルーは激気を練り上げ、前に放出する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!はぁっ!!」

 

 

ニャォォォォォォン!!

 

 

放たれた青いジャガー...『ゲキジャガー』は、コマの様に高速回転してリンシー達を薙ぎ倒す。

 

 

「すっげ~!!」

 

 

ゲキイエロー達の戦いを見ていた誠司は、2人の実力に目を輝かせていた。

 

 

ドッガァァァァァァン!!!

 

 

その時、近くのビルが爆発した。

 

 

「おわっ!!?」

 

 

倒壊していくビルに驚きながら、誠司は破壊されていく街を見る。

 

 

「よし!!」

 

 

そして誠司は、破壊が行われていく街に向かう事を決意する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

逃げ惑う人々の流れを逆らう様に、誠司は間を抜けて先に進む。

 

 

「あっ!!」

 

 

そこで、誠司はある事に気づいた。

 

 

1人の女の子が、泣きながら立ちすくんでしまっている事に。

 

 

「うぅぅぅ...」

 

「おい!!何やってんだ!!そこは危ないぞ!!」

 

「おとうさん...おかあさん...」

 

 

危険だと叫ぶ誠司だったが、女の子は恐怖で動けないでいた。

 

 

「ちょっと待ってろ!!今そっちに行くから!!」

 

 

誠司は目の前に無造作に止めてある車を乗り越え、女の子の元へ行こうとする。

 

 

しかし...

 

 

ひゅん!!!

 

 

ドッガァァァァァン!!!

 

 

突如としてもう一台先の車が爆発で宙に浮き、誠司の元へと降ってきた。

 

 

「うわっ!!?」

 

 

誠司はその場から離れるように、走り出した。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

2台の車がぶつかり、大爆発を起こす。

 

 

その衝撃に、誠司は吹っ飛ばされてしまう。

 

 

「痛っ...」

 

 

誠司は地面に叩きつけられ、痛みに顔を歪める。

 

 

「はぁ!!」

 

 

その時、誠司の目の前にマキリカが着地した。

 

 

「はっはっは!!!女の子見ーつけた!!!」

 

 

突如現れた怪物に女の子は恐怖で後ずさるが、瓦礫に足を取られ尻もちをついてしまう。

 

 

「その子に何をするつもりだ!!」

 

 

「恐怖を与えてやるのよ、弱き者の悲しみ、苦しみが俺達を強くする!!それが臨獣拳!!」

 

 

マキリカが放った斬撃が、誠司を襲う。

 

 

「ぐあっ!!」

 

 

何もすることが出来ず、誠司はただ這いつくばっているしかなかった。

 

 

「きゃっ!!」

 

 

マキリカに鎌を向けられた女の子は、悲鳴を上げた。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁ...良いぜぇ...良い感じだ!!力が体に漲るぜ!!」

 

 

興奮し叫ぶマキリカは、鎌を女の子の洋服に引っ掛けて宙づりにする。

 

 

「最期に最高の叫びを聞かせてみろぉッ!!!」

 

 

マキリカの手によって、誠司の目の前でその命を奪おうとする。

 

 

ドクン!!ドクン!!とどんどん早く脈打つ心臓の音を感じながら、誠司は拳を掌で打ちながら立ち上がる。

 

 

その際、誠司の指が右手甲のスイッチ部分に触れる。

 

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 

その時、誠司から途轍もない激気が溢れ出す。

 

 

ガァァァァァァァァァ!!!

 

 

それと同時に、誠司の中で何かが目覚め、誠司の後ろに虎の幻影が雄叫びを上げる。

 

 

「うおっ!!?」

 

 

突然の出来事に、マキリカは驚いて女の子を落としてしまう。

 

 

その近くで戦って居たゲキイエローとゲキブルーも、突如溢れだした物凄い激気に手で顔を覆う。

 

 

「っ!?」

 

「えっ!?」

 

 

突然の出来事に、驚く2人。

 

 

「お前だけは...お前だけは絶対に許さねぇ!!!」

 

 

誠司は握っていた拳を、前に突き出した。

 

 

「はぁ!!」

 

 

すると、ゲキチェンジャーに次元圧縮されていた赤いゲキスーツが、誠司の身体に装着される。

 

 

マキリカの...臨獣拳の蛮行に怒りを覚えた誠司は、漲る激気で『ゲキレッド』へと変身する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

身体から激気を放ちながら、ゲキレッドはマキリカへと走り出した。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

ゲキレッドが繰り出した拳がマキリカに当たった瞬間、ドゴォン!!という衝撃がマキリカを襲い、遥か先まで吹っ飛ばした。

 

 

「うぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

吹っ飛ばされたマキリカは瓦礫に激突し、建物の反対側まで飛んで行った。

 

 

「なにあれ!?凄い激気」

 

「ありえない!!」

 

 

自分たち以上の激気を放つゲキレッドに、ゲキイエローとゲキブルーは驚く。

 

 

「このっ!!」

 

 

マキリカは怒り心頭で、瓦礫の中から這い出てくる。

 

 

「特別な祈りが必要だな!!俺を愚弄したお前には!!」

 

 

鎌を構えて走り出すマキリカに、ゲキレッドも走り出す。

 

 

マキリカの横薙ぎに、ゲキレッドは跳躍する事で避ける。

 

 

マキリカの鎌の攻撃を物ともせず、ゲキレッドは全て受けきる。

 

 

「はぁ!!やぁ!!」

 

 

マキリカによって切り裂かれ吹っ飛ぶゲキレッドだったが、直ぐに体制を立て直し建物の壁を蹴る事で勢いをつけ、攻撃する。

 

 

「はぁ!!」

 

 

ゲキレッドは跳びあがり、マキリカに蹴りを放つ。

 

 

「おりゃおりゃおりゃおりゃ!!!」

 

 

ゲキレッドは続けて蹴りを放ち続け、マキリカを圧倒する。

 

 

 

 

そしてその戦いを、臨獣殿にいながらも理央は感じ取っていた。

 

 

「圧倒的なパワーと柔軟性...これは...虎。激獣タイガー拳か...まさか...」

 

 

 

 

 

「この野郎!!飛んでっちまえ!!」

 

 

激気によって作り出した虎型のオーラ『ゲキタイガー』が、マキリカに噛み付き、振り回して放り投げる。

 

 

「おわぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

放り出されたマキリカは、そのまま建物に激突する。

 

 

「すっげぇぇぇぇ」

 

 

ゲキレッドは自身の力に驚き、子供のようにはしゃぎだした。

 

 

「すげぇ俺!!激獣拳凄ぇ!!凄ぇビースト・アーツ!!めっちゃ凄ぇな!!」

 

「えぇ...」

 

 

駆け寄ってきたゲキイエロー達に、興奮するあまり詰め寄ってしまうゲキレッド。

 

 

「ぬおっ!!!」

 

 

瓦礫を吹っ飛ばし、出てきたマキリカは今まで以上に激怒していた。

 

 

「最大の侮辱!!最強の怒りだぜ!!」

 

 

そこでマキリカは、あるリンギを発動する。

 

 

「臨技!!邪身豪天変(じゃしんごうてんへん)!!」

 

 

突如マキリカの身体が膨れ上がり、見る見るうちに体が大きくなっていく。

 

 

「うおー!?デカくなりやがった!!?」

 

「何よこれ、これも臨獣拳の技なの⁉」

 

 

いきなりマキリカが巨大化した事に、ゲキレッドとゲキブルーは驚く。

 

 

「危ない!!」

 

 

ゲキレッド達に向け、巨大となった鎌を振るうマキリカ。

 

 

「もはや祈りなど、もうお前らには必要ねぇ!!」

 

 

走り出したゲキレッド達の後ろに鎌が振り下ろされ、ゲキレッド達は吹っ飛ばされてしまう。

 

 

地面に倒れるゲキレッド達を、マキリカの鎌が再度襲う。

 

 

「うわっ!?」

 

「うっ!?」

 

「うわぁっ!?」

 

 

成す術もなく、倒れるゲキレッド達。

 

 

「ほい」

 

 

しかし、巨大化したマキリカの攻撃を止めた者がいた。

 

 

『え!?』

 

 

ゲキレッド達が目にしたのは、巨大化したマスター・シャーフーだった。

 

 

『マスター・シャーフー』

 

 

驚くゲキレッド達を他所に、マスター・シャーフーは余裕綽々と立っていた。

 

 

「つい手が出てしもうた、儂も若いのぅ」

 

 

笑いながらそう喋るマスター・シャーフーだったが、ゲキレッド達は目の前の光景に着いていけず言葉を失うだけだった。

 




美希「獣拳の力の源、激気。ゲキチェンジャーは、激気を色々と活用するアイテムよ」


美希は、手に付けたゲキチェンジャーの説明を始める。


美希「身体の中から湧き上がる激気を、最先端の科学の力でゲキビーストするわ。激気を変えるからゲキチェンジャー。えいっ!!」


そう言って、美希は激気を練って近くにいたロボットに向けて放つ。

ゲキレンジャーの原作の話をハピネスチャージの1話より前に、加えようと思っています

  • ゲキレンジャー側での誠司の活躍が見たい!
  • 今のままで、充分
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