ハピネスチャージプリキュア 激獣拳使いの幼馴染み   作:ナツ・ドラグニル

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どうも、ナツ・ドラグニルです!

今回、ひめの勘違いがなかった為に21話が思いのほか短くなりました。

その為、21話と22話を合体させました。

なので、一気にフォーチュンが仲間に入る所まで今回は話が続きます。

それでは作品をどうぞ!


第21話 ひめの過去の過ち!新たな変身!?フォーチュンの大いなる願い!

―氷川道場―

 

道場にて、いおなが1人で修行していた。

 

「ふっ!はぁ!」

 

練習で汗を流すいおな。

 

「なんで誠司君は私を認めてくれないの?」

 

いおなは誠司に断られた理由を、あれからずっと考えていた。

 

「いおな...」

 

ぐらさんがいおなに話しかける。

 

「彼は言っていたわ、断る理由が解らない限り、私と仲間になるつもりはないと...。てことはその理由が解れば私は彼の仲間になれるのよ」

 

「それはそうだけど...」

 

いおなの言葉に、ぐらさんは言い淀んでしまう。

 

「今の私に足りないのは、強さ!強くなれば彼も認めてくれるわ!」

 

拳を突きながら、眼を瞑るいおな。

 

「そんなことを言うなよ。ハピネスチャージにいおなが入れば今よりずっと強いチームになる、そうすれば誠司とだって同じチームになれるし、いおなだって1人より...」

 

「その必要はないわ!彼の足を引っ張るあの子達と一緒に居たって強くなれないわ!それに、信頼出来ない相手とは仲間になれないわ」

 

「いおな...なんでそんなに誠司に依存するんだ?」

 

ぐらさんは、今まで気にしていた疑問をいおなに質問する。

 

「彼は私以上の辛い境遇に置かれていたのよ。彼なら私の事を理解してくれる、だから私は彼を隣で支えたいのよ」

 

そう言ういおなに対して、ぐらさんは驚く。

 

「全力を!尽くして!」

 

台詞に合わせ、いおなは拳を繰り出す。

 

「だからお姉ちゃんをあんな目に会わせたプリンセスと、何も知らずに一緒にいるラブリー達が許せない!」

 

話すにつれ、拳を繰り出す鋭さと、拳を握る力が増した。

 

この時、いおなの体からどす黒い瘴気が発生していることに、いおな本人はもちろんぐらさんも気付いていなかった。

 

__________________________

 

大使館で、誠司達が集まり話し合っていた。

 

「ごめんねひめ。悩んでたの分からなくてフォーチュン、フォーチュンって」

 

「ううん、私が最初から話しとけば良かったんだよ」

 

謝るめぐみに対して、ひめは首を振る。

 

「世界の災いは全部私のせいだって」

 

ひめはそう言って、歯を食い縛りながら涙を流す。

 

「私がアクシアを開けさえしなければ...ううー!なんであけちゃったのよ私、オバカー!おたんこなすー!うう――――」

 

ソファに座っていたひめが立ち上がるなり、叫ぶことで自分に怒りをぶつける。

 

あんぐりしていためぐみとゆうこだったが、めぐみがニッコリと笑いながら立ち上がる。

 

「開けちゃったものはしょうがないよ」

 

「どんまい、どんまい」

 

めぐみに続いてゆうこもひめを励ます。

 

「ふぅ、めぐみとゆうこには分からないのね。世界の災いが自分のせいだって悩みは...」

 

ひめはもう一度ソファに座り、下に俯き目を閉じてしょんぼりとする。

 

「ひめのせいじゃないよ」

 

「ん?」

 

そう言われ、ひめは目を開ける。

 

「そうだよ!悪いのはひめちゃんじゃなくて幻影帝国だ!」

 

「そうだな、悪いことしてるのはサイアークだろ!」

 

ケンの言葉に、ゴウが同意する。

 

「そうなの?」

 

「そうだよ!」

 

ひめの質問に、めぐみが元気一杯に答える。

 

「それともひめちゃん、本当はアクシアわざと開けたの?」

 

「ううん!わざとなわけないじゃん!」

 

リンの質問に、ひめは否定する。

 

「じゃあ、それを氷川さんに言おうよ。誤解が解ければ仲良くなれると思うよ」

 

ランがそう勧める。

 

「無理だよー!だってキュアフォーチュンは私の事が大嫌いなのよ?あの人怖いし、絶対無理だよー」

 

手をバタバタさせて、ひめは拒絶する。

 

「ひめ」

 

そんなひめを、誠司が呼びかける。

 

「ぴかりが丘中学に転校してきた頃もそう言ってただろ。学校が怖い、友達を作るのは無理って。でも今は毎日学校通ってるし、友達も沢山いるじゃないか」

 

誠司の指摘に、ひめはあんぐりとする。

 

「ちゃーんと話せばわかってもらえると思うよ」

 

誠司の言葉に、ゆうこも同意する。

 

「ひめも何かあるんじゃないの?氷川さんに言いたいこと。気持ち、伝えに行こうよ!」

 

「皆も一緒に行ってくれる?」

 

『勿論!』

 

不安そうなひめに、全員が頷く。

 

「一緒に行くのは構わないが、上手くいくかどうかは分からないぞ。なぜならキュアフォーチュンの誠司に対する依存はそうとうのものだったからな」

 

「理央様の言う通りよ、あいつはめぐみ達に対してもひめ同様嫌っているようだったからね」

 

理央とメレが、いおなに対して指摘する。

 

「お前...氷川に何したんだよ」

 

ケンが誠司に対して、何気なしに質問する。

 

「何をって...別に一緒に修行したりしただけだぜ」

 

「てことは...いつの間にかフラグ建ててたってことか...」

 

「いつものパターンか...」

 

誠司の言葉に、ゴウとケンが呆れた。

 

_______________

 

 

巨大な煙突。

 

その頂上に、ファントムが現れる。

 

「ぴかりが丘、愛の満ちた街。ふりかかる災いをハピネスチャージプリキュアとゲキレンジャーが跳ね除け、愛が大きくなっている」

 

ファントムは街全体を見下ろしながら、そう呟く。

 

「しかし、愛が大きければ大きいほど失った時の絶望は大きくなる。良い頃合だ」

 

ファントムは剣を抜き、天へと翳す。

 

「鏡に映る未来を最悪で満たせ!」

 

剣から放たれた波動は、ぴかりが丘のあちこちに紫のクリスタルを数多く出現させる。

 

そして、街の人々が次々と鏡に捕らわれる。

 

____________________

 

「今のは何だ!」

 

ファントムが放った波動を、誠司達も感じ取った。

 

「これは!」

 

ブルーが壁に掛けられている額縁に手を翳すと、鏡に変化し街の様子を映し出した。

 

「こ、これは!ぴかりが丘にサイアークが!1体、2体...数え切れないぐらい現れましたわー!」

 

映し出された鏡の前で、リボンが慌てだす。

 

「こんな事が出来るのは彼しかいない」

 

「プリキュアハンターか!」

 

ブルーの言葉に、誠司は誰の仕業か検討がついた。

 

「急いでサイアークを倒すぞ!」

 

『おう!』

 

______________

 

現場に到着した誠司達が見たのは、いまだかつてないサイアークの大軍だった。

 

「凄い数のサイアークだ!」

 

サイアーク達は、オレンジ色のオーラを纏って紫色のクリスタルを次々に増えていった。

 

「あの時と一緒だわ!」

 

そう言うひめを、全員が注目した。

 

「ブルースカイ王国が幻影帝国に支配されてしまった、あの時と...」

 

ひめはかつて、サイアーク達によって城が変貌してしまった時の事を思い出す。

 

「このままじゃ、ぴかりが丘も」

 

尚もクリスタルを増やし続ける、サイアーク。

 

「絶対にそうはさせねぇ!皆!行くぞ!」

 

『おう!』

 

誠司の言葉を合図に、全員が変身アイテムを構える。

 

『たぎれ!ケモノの力!』

 

「響け!ケモノの叫び!」

 

「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」

 

「臨獣ライオン拳!」

 

「たぎりなさい!爬虫類の力!」

 

『ビースト・オン!』

 

「臨気凱装!」

 

「エプタイル・オン!」

 

誠司達に、それぞれゲキスーツと鎧が装着され、ゲキレンジャーへと変身する。

 

 

 

『かわルンルン!』

 

『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』

 

めぐみ達が光に包まれ、プリキュアへと変身する。

 

 

 

「身体にみなぎる無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」

 

「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」

 

「技が彩る大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」

 

「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」

 

「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

 

「猛きこと、獅子の如く!強きこと、また獅子の如く!世界を守る者!我が名は黒獅子・理央!」

 

「理央様の愛の為に生き、理央様の愛の為に戦うラブウォリアー!カメレオン拳使いのメレ!」

 

「燃え立つ激気は!正義の証!」

 

『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』

 

 

 

 

「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」

 

「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」

 

「大地に実る、命の光!キュアハニー!」

 

「ハピネス注入!」

 

『幸せチャージ!』

 

『ハピネスチャージプリキュア!』

 

 

 

ラブリーが先陣を切って、サイアークに蹴りを入れる。

 

「はあ!」

 

それぞれが、サイアークを1体ずつ戦う。

 

「ゲキセイバー!」

 

「ゲキハンマー!」

 

「ゲキファン!」

 

ゲキレッド達が、それぞれの専用武器を召喚する。

 

「ゲキセイバー!波波斬!」

 

ゲキセイバーにゲキを纏わせ、波のパワーを込めて多くのサイアークを薙ぎ払った。

 

『サイアーク!』

 

 

「ゲキハンマー!弾弾丸!」

 

頭上でゲキハンマーを振り回し、その遠心力によって威力を上げて周りを囲んでいたサイアークを攻撃する。

 

 

 

 

「ゲキファン!昇昇舞!」

 

ゲキファンを使い、ゲキブルーは空へと舞い上がる。

 

「宙宙斬!」

 

ゲキファンに激気を籠め、サイアークを斬り付ける。

 

『サイアーク!』

 

ゲキレッド達の活躍で、ある程度のサイアークは倒された。

 

「こいつら、いつものよりタフだが大した事ないな」

 

「気をつけろ!これだけの数が巨大化したら厄介だぞ!」

 

油断するゲキチョッパーに対して、ゲキバイオレットが注意する。

 

「いや、その心配はいらないみたいだぞ。アレを見ろ」

 

理央が指差す方を見ると、ゲキレッド達の攻撃を受けて浄化されるサイアークの姿があった。

 

「なっ!?巨大化することなく浄化されてる!?」

 

「どういう事!?」

 

サイアークが浄化されている事に、ゲキイエローとゲキブルーは驚愕する。

 

「恐らく、ファントムはサイアークを巨大化させる力を受け取っていないんだ」

 

ゲキレッドが、ファントムに対して推測を立てる。

 

「よく分からないが、逆に一気に畳み掛けるチャンスだ!行くぞ!」

 

ゲキレッドの言葉を合図で、全員がサイアークに向った。

 

 

 

 

 

別の場所では、ラブリー達がサイアークと戦っていた。

 

「ラブリービーム!」

 

ラブリーはサイアークに向けて、目から光線を放つラブリービームを放った。

 

ラブリービームが直撃したサイアークは、そのまま後ろに倒れた。

 

「どうだ!」

 

そう言ったラブリーだったが、ラブリーの後ろに別のサイアークが現れた。

 

「サイアーク!」

 

「うわああああ!!」

 

バンッ!

 

サイアークのハンマースイングによって、遠くに殴り飛ばされてしまう。

 

「きゃあああああ!」

 

「あっ!ラブリー!」

 

ラブリーはクリスタルの1つに激突した。

 

「あっ!」

 

「ラブリー!」

 

激突するラブリーを心配するリボン達。

 

「うっ...うう」

 

クリスタルにぶつかり、痛みに耐えながら立ち上がろうとするラブリーだったが、そこを唸りながら大振りのパンチを繰り出そうとしているサイアークが目に入った。

 

「私の友達に!何するのよ!」

 

ラブリーの前に、プリンセスが立ちはだかった。

 

「プリンセス!ゲンコツツインマグナム!」

 

プリンセスの必殺技を受け、サイアークは吹き飛んだ。

 

「ラブリー、大丈夫?怪我はない?」

 

プリンセスは振り返り、ラブリーの安否を確認する。

 

「私、プリンセスが好きだよ」

 

「ふぁっ!?何いきなり!?こんな時に」

 

ラブリーの言葉に、両手をバタバタ振って慌てだすプリンセス。

 

「プリキュアの時だけじゃなく、私いつもひめに助けてもらってる」

 

「え?」

 

「いっぱい、いっぱい何度も!」

 

「そんなこと、ないよ...」

 

そう言って、プリンセスはラブリーに手を差し伸べる。

 

「そんなことあるよ!」

 

ラブリーはそう言うと、プリンセスの手を取った。

 

「私はひめと繋がっているのが嬉しいの。私は鈍感で頼りないけど、困ったことがあったりしたら相談してね。悲しくなっちゃうから」

 

「私はめぐみが居たから頑張ってこられたんだ。頼りないなんて思ってないよ。まあ、鈍感な所は誠司には負けるけどね」

 

「ふふ、そうだね!」

 

仲良く手を繋ぐ2人、お互いがその手を強く握った。

 

プリンセスはラブリーを立ち上がらせると、周りを見回す。

 

『サイアーク!サイアーク!』

 

パタパタと腕を動かしながら、サイアーク達はラブリー達の近くに集まってきた。

 

「最悪か...確かにこの状況はそうかもね」

 

この状況にプリンセスは呟いた。

 

「でも、私はそんな悪い気分じゃないよ?」

 

「私も!ラブリーがいるから!」

 

「うん!行こう、プリンセス」

 

ラブリーの言葉に、プリンセスは頷いた。

 

『はああああ!』

 

2人同時に、サイアークへと突っ込む。

 

「ハニースーパーソニックスパーク!」

 

ハニーが上空から、必殺技を放ってサイアークを攻撃する。

 

「ラブリーがいる、ハニーがいる。そして、誠司達がいる」

 

2人の前方からサイアークが攻撃を仕掛けるが、2人は左右に分かれることで攻撃を避けた。

 

「私には大好きな友達がいるから!もう何があっても最悪だなんて!思わないわ!」

 

尚も、プリンセスはサイアークを攻撃する。

 

「ハニースタンプ!」

 

ハニーは、出現したクローバーをサイアークに叩きつける。

 

サイアークが怯んだ隙に、ラブリーが腹部を攻撃する。

 

ラブリー達の攻撃を受け、サイアークは倒れるがまだまだ残っていた。

 

「みんなの力がいつもより強くなっていますわ!」

 

プリンセスとハニーが、ラブリーとプリンセスが手を繋ぐ。

 

 

 

その様子を、ブルーが鏡を通して見ていた。

 

「プリキュアの力の源は愛。互いを信じあい支えあうのも、また愛だ!」

 

 

_____________________

 

 

氷川道場の近く。

 

そこでもキュアフォーチュンがサイアークと戦っていた。

 

「星の光を聖なる力に!ラブプリブレス!」

 

腕についているラブプリブレスを回す。

 

「プリキュア!スターダストシュート!」

 

星の形をしたエネルギー弾をサイアークにぶつける。

 

「星よ!天に帰れ!」

 

「ごくら~く」

 

必殺技を受け、サイアークは浄化された。

 

戦い疲れたのか、フォーチュンは地面に膝を突いてしまった。

 

「大丈夫か?」

 

「まだ大丈夫...やれるわ...」

 

そう言うフォーチュンだったが、疲れ切っているのは明らかだった。

 

そこに1人の人物が近づく。

 

近づいてきた人物に気がつき、ぐらさんは振り向く。

 

「お前は!」

 

「ふん!」

 

キュアフォーチュンの前に現れたのは、プリキュアハンターファントムだった。

 

「プリキュアハンター...ファントム!」

 

キュアフォーチュンの前に姿を現したファントムだったが、何も言わずその場を移動した。

 

「!? 待ちなさい!」

 

「フォーチュン!」

 

ぐらさんの掛け声も無視し、フォーチュンはファントムを追いかけた。

 

_____________________

 

「一気にいきますよー!」

 

そう言って、ハニーはハニーバトンを取り出した。

 

「プリキュア!スパークリングバトンアタック!」

 

宇宙空間に巨大なクローバ状のエネルギー弾を出現させ、落下させた。

 

「命よ!天に帰れ!」

 

必殺技を受け、10体以上のサイアークが浄化される。

 

『ごくら~く』

 

「おおー!」

 

ハニーの攻撃で殆どのサイアークが浄化された為、ラブリー達は歓声を上げる。

 

「ラブリー、ハニー、改めていいます。私、2人と友達になれてよかった!」

 

「私も!」

 

「私もだよ!」

 

ラブリーとハニーが、プリンセスの言葉にそう返した。

 

「改めて言うと、照れるね」

 

目に涙を浮かべながら、プリンセスは照れる。

 

「ああ!これはおいしそうなハンバーガーのパワーを感じるですわ!こちょこちょしてくださいな!」

 

「こちょこちょ」

 

「はっ!はっ!はっ!はっぴしょん!」

 

リボンの鼻をくすぐると、3枚のプリカードが出てきた。

 

「おー!プリカード結構出たね!」

 

「幸せ増量、大盛りね!」

 

いつもよりカードが出たことに、ラブリー達は喜ぶ。

 

「リボンもありがとう。いつも私のこと心配してくれて」

 

「リボンは、プリンセスが幸せいっぱいなら幸せなのですわ」

 

プリンセスの感謝の言葉に、リボンはニッコリとそう答えた。

 

『サイアーク!』

 

そこに、サイアークの唸り声が聞こえた。

 

「まだまだ居るみたいね。ファントムのサイアーク」

 

辺りを見渡すと、あれだけ倒してもまだサイアークは残っていた。

 

「行こう!ぴかりが丘を元に戻さなきゃ」

 

『ゴー!』

 

ラブリーと同時にハニーがそう叫び、サイアークに突撃する。

 

「私はみんなが居れば、もう怖くない」

 

そう思っていたプリンセスだったが、ある1つの事に気がついた。

 

「でも...フォーチュンは?」

 

プリンセスは、今までのフォーチュンの戦いを思い出した。

 

「1人で戦っているフォーチュンは...怖くないのかな...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所では、フォーチュンとファントムが激闘を繰り広げていた。

 

「ファントム!私の姉を返しなさい!」

 

ファントムに殴りかかるフォーチュンだったが、回避されてしまう。

 

「ファントム!」

 

フォーチュンは、ファントムが背後に回った事を察知して羽を使い後ろへ飛んだ。

 

だが、そこには鏡を召喚したファントムが待っていた。

 

「ああ!」

 

「フォーチュン!」

 

ぐらさんが叫ぶがフォーチュンは勢いを止める事が出来ず、鏡に飲み込まれてしまった。

 

 

___________________

 

 

突然の事で驚いて目を閉じるフォーチュンだったが、目を開けるとそこには曇った空と廃墟のような世界が広がっていた。

 

「!? ここは?」

 

良く見ると、あちこちに鏡が置かれていた。

 

すると、近くで赤い光と共にファントムが現れる。

 

「今まで幾人ものプリキュアがここで力尽き、絶望して倒れた。いわば、プリキュアの墓場」

 

「あなたは私をここに誘き寄せるためにわざと?」

 

「全てはミラージュ様のため。キュアフォーチュン、お前を倒す」

 

フォーチュンの質問にそう答えると、ファントムは剣を抜いた。

 

「ここにいるプリキュア達は皆、絶望しながら倒れた」

 

ファントムは切っ先を向け、そう言った。

 

「くうっ!はっ!」

 

睨みながら歯を食い縛るフォーチュンだったが、ファントムの後ろにある物を発見して驚く。

 

フォーチュンが目にしたのは、鏡に捕らわれているキュアテンダー。

 

いおなの姉、氷川まりあだった。

 

「お姉ちゃん!」

 

行く手を遮るように、ファントムは剣を構える。

 

「キュアフォーチュン、お前もここで息絶えろ。それがお前の運命だ!」

 

構えるファントムに対して、暫し間を置いてフォーチュンは叫ぶ。

 

「ファントム!あなたを倒す!この命に代えても!」

 

_____________________

 

 

ぴかりが丘。

 

ゲキレッド達が、最後のサイアーク達を倒そうとしていた。

 

「よし!一気に行くぞ!」

 

『おう!』

 

ゲキイエローとゲキブルーが、ゲキレッドの前に立つ。

 

『ゲキバズーカ!』

 

ゲキレッド達は、ゲキバズーカを召喚する。

 

『激気注入!』

 

ゲキイエローとゲキブルーが、ゲキバズーカに激気を注入する。

 

ゲキバズーカに、必要量の激気が注入される。

 

『ゲキワザ!激激砲!』

 

激激砲がサイアークに直撃する。

 

『ごくら~く』

 

残っていたサイアークが浄化された事により、紫のクリスタルも全て消滅する。

 

「ぴかりが丘からサイアークの気配が、綺麗さっぱりなくなりましたわ!」

 

「よっしゃ!」

 

「無事解決だな!」

 

「お疲れー!」

 

リボンの言葉に、ゲキレッド、ゲキバイオレット、ゲキチョッパーがお互いを称える。

 

「あっ!これはキラキラな魚のパワーを感じるですわ!こちょこちょしてくださいな!」

 

プリンセスが、リボンの鼻をこちょこちょする。

 

「はっ!はっ!はっぴしょん!」

 

リボンの中から、今度は6枚のプリカードが生まれる。

 

リボンはそのカードを、ファイルにしまった。

 

「あと少しでファイルがいっぱいになりますわー」

 

「もうすぐひめの国が救えるね」

 

リボンの言葉を聞き、ラブリーがそう呟く。

 

「私の願い、叶えていいの?」

 

「勿論だ」

 

「あともう少し頑張ろうね」

 

プリンセスの言葉に、ゲキレッドとラブリーが答える。

 

「ありがとう」

 

感謝するプリンセス。

 

だが、その時上空から叫び声が聞こえた。

 

「ゲキレッド、みんなー!」

 

ゲキレッド達が振り向くと、上空からぐらさんが飛んできていた。

 

「あいつは...」

 

「キュアフォーチュンの妖精、ぐらさんですわ」

 

「フォーチュンがプリキュアハンターと一緒に、何処かへ消えちまった」

 

ぐらさんは降りてくるなり、説明する。

 

『えー!』

 

ぐらさんの説明に、ゲキレッド達は驚く。

 

「プリキュアを何人も倒している、あの人と?」

 

「今回、サイアークがいっぱい現れたのも、ファントムの仕業だとブルー様はおっしゃっていましたわ」

 

「てことは、サイアークはフォーチュンを誘き出す為の罠...」

 

リボンの言葉を聞き、ゲキレッドがファントムの意図に気付く。

 

「そんな相手と1人で戦っているなんて」

 

ハニーの言葉を聞いて、プリンセスはショックを受ける。

 

「フォーチュン!」

 

堪える様に眼を瞑ると、プリンセスは走り出した。

 

「俺達も行くぞ!」

 

プリンセスに続いて、ゲキレッド達も走り出す。

 

「みんなー!フォーチュンを助けてくれー!」

 

走り出したゲキレッド達に、ぐらさんはそう叫んだ。

 

「ぐらさん、大丈夫ですわ。ゲキレッド達がきっとフォーチュンを助けますわ」

 

ゲキレッド達を見送るリボン。

 

「頼む」

 

同じく見送り、ぐらさんはそう口にする。

 

______________________

 

プリキュアの墓場で、ファントムとキュアフォーチュンが戦っていた。

 

「はあ!はあ!」

 

フォーチュンの攻撃を、全て剣で受け止めるファントム。

 

「ふっ!」

 

ファントムが剣を横薙ぎするが、フォーチュンは身体を後ろに反らせる事で回避する。

 

そこでバック転キックで剣を蹴り上げ、ファントムとの距離を空ける。

 

「はああああ!」

 

フォーチュンはファントムに向って、光線を放った。

 

光線は直撃し、辺りは煙で包まれる。

 

フォーチュンは警戒しながら様子を窺っていたが、煙の中からフォーチュンに向って手が伸びた。

 

手から衝撃波が発生し、フォーチュンを吹き飛ばす。

 

「きゃあああああ!!」

 

フォーチュンはそのまま、クリスタルへと激突した。

 

「うっ...」

 

フォーチュンは膝から崩れ落ちた。

 

「もう終わりか?」

 

「まだよ」

 

ファントムの問いに、フォーチュンはそう答える。

 

「フォーチュン・スターリング!」

 

5つのリング状のエネルギー弾を、ファントムに放つ。

 

だが、たった一閃剣を振っただけで全て切り崩されてしまう。

 

「ふん、他愛ない」

 

悔しがるフォーチュンだったが、一瞬でファントムがフォーチュンとの距離を一気に距離を詰めた。

 

「ふん!」

 

ファントムが連続で剣を振るう。

 

剣から発せられた斬撃がフォーチュンを襲う。

 

「きゃああああああ!!」

 

 

1度目、2度目は耐える事が出来たが、3度目の攻撃は耐えることは出来なかった。

 

「ふん、この程度で俺を倒そうとは傑作だな」

 

力不足のフォーチュンに対して、ファントムは鼻で笑った。

 

「くう...」

 

ファントムの言葉に、フォーチュンは悔しがる。

 

「これだったら、ゲキレッドを狙った方が良かったかもな」

 

ファントムの言葉にフォーチュンは驚いた。

 

悔しそうに唸るフォーチュンだったが、その場に誰のものでもない声が響く。

 

―いいのか?このままだと姉を救う事が出来ないぞ

 

「だ、誰!」

 

フォーチュンは辺りを見渡すが、ファントム以外は見当たらなかった。

 

「何だ?いきなり」

 

その声はフォーチュンにしか聞こえておらず、ファントムには聞こえていなかった。

 

―相楽誠司もお前の事を絶対に認めないぞ、お前みたいな弱い奴はな

 

「いやよ...そんなの...そんなの嫌ー!!」

 

フォーチュンがそう叫ぶと、身体から黒い瘴気が溢れ出す。

 

「なっ!なんだこれは!?」

 

突然の出来事に、ファントムは驚く。

 

瘴気はフォーチュンの周りに纏わりつくと、衣装の色を変化させていく。

 

フォーチュンの衣装は、瘴気のせいで黒く変色してしまった。

 

「返して...」

 

フォーチュンはゆっくりと、ファントムに歩み寄る。

 

「姉さんと誠司君を返して!」

 

フォーチュンはそう叫ぶと、ファントムに攻撃を仕掛けた。

 

「くう!」

 

ファントムいきなりの事で戸惑いながらも、フォーチュンを迎え撃った。

 

________________

 

その頃、ぴかりが丘の方ではゲキレッド達がフォーチュンの事を探していた。

 

「フォーチュン!フォーチューン!」

 

「どこにもいないよ」

 

「一体どこへ」

 

探し続けるが、フォーチュンを見つける事が出来なかった。

 

「もしかしたら、ここにはいないんじゃないか?」

 

ゲキレッドがそう推測する。

 

「みんなー!」

 

そこへ、キュアラインを持ったリボンが駆けつけた。

 

「ブルー様からご連絡ですわ」

 

「ブルーから?」

 

ゲキレッドがキュアラインを受け取ると、そこにはブルーが映っていた。

 

「キュアフォーチュンはこの近辺には居ないようだ」

 

「じゃあ、どこにいるの?」

 

考え込むブルーだったが、何かに気付いた。

 

「まさか...あの空間へ!」

 

「あの空間?」

 

ブルーの言葉に、ラブリーが質問する。

 

「ファントムに倒されたプリキュアは皆、どこか別の空間へ連れて行かれてそれきり消息を絶っているんだ」

 

「それどこ!?」

 

「分からない」

 

プリンセスの問いに、ブルーは残念そうに答える。

 

「そんな...」

 

「まさか、フォーチュンはもう...」

 

ブルーの言葉に、プリンセスは悪い想像をしてしまう。

 

「プリンセス」

 

「大丈夫よ、きっと」

 

そんなプリンセスを、ラブリーとハニーが励ます。

 

「あぁ、俺は感じるぜ。フォーチュンは今必死に戦っている。まだやられちゃいないってな」

 

「ぐらさん...」

 

ぐらさんの言葉を聞き、プリンセスはリボンからキュアラインを受け取る。

 

「神様お願い、フォーチュンを見つけて!私、フォーチュンに言わなきゃならない事があるの。だからお願い!お願いします!」

 

プリンセスが必死にお願いをする。

 

「その思いがあれば、道が開けるかもしれない」

 

その言葉に、ゲキレッド達は驚く。

 

「みんな、クロスミラールームへ」

 

「分かった、よし皆行くぞ!」

 

ブルーの言葉を聞き、全員が移動しようとした時。

 

「待て、誠司」

 

理央が、誠司を引き止めた。

 

「俺に考えがある」

 

「考え?」

 

理央の考え、それは――

 

_____________

 

ドッガーン!

 

クリスタルにフォーチュンが激突し、砂塵が発生していた。

 

「はあ、はあ、はあ、はあ...」

 

瘴気によって強化されたフォーチュンだったが、それでもファントム相手に苦戦していた。

 

「うわあああああ!!」

 

フォーチュンは突撃してキックを繰り出すも、腕でガードされてしまう。

 

「はあ!はあ!はあ!はあ!はあ!」

 

なおも攻撃を繰り出すも、全て避けられてしまう。

 

「はあ!やあ!あっ!」

 

攻撃を何度も仕掛けるが、今度はファントムに腕を掴まれてしまった。

 

「無駄だ」

 

ファントムはその場で一回転し、回転を利用しフォーチュンを投げ飛ばした。

 

「きゃあああああ!」

 

ファントムは剣に自身の憎しみのエネルギーを纏わせる。

 

黒狼波(こくろうは)!」

 

ファントムはフォーチュンに向け剣を振い斬撃を放ち、斬撃は狼の形へと変わりフォーチュンを襲った。

 

「ああ!」

 

斬撃を受けたフォーチュンは、そのまま後ろにあるクリスタルまで衝突した。

 

ダメージを受け続けたせいか、フォーチュンの変身が遂に解けてしまった。

 

落ちていくいおなを見ながら、ファントムは剣を収める。

 

「ん?」

 

近くに落ちてきたプリチュンミラーを見て、ファントムはそれを拾い上げる。

 

「このプリチュンミラー...」

 

「! か、返して!」

 

いおなは取り返そうとするが、ダメージのせいで上手く動けないでいた。

 

「これはキュアテンダーの...そうか、お前はあの時のキュアテンダーの妹か」

 

ファントムはそこで、キュアテンダーとの戦いを思い出す。

 

「そうよ、あなたは姉の仇!」

 

いおなは弱々しく立ち上がり、ファントムからプリチュンミラーを取り返そうとするが、ファントムはテレポートして回避する。

 

「ぐっ、ぐう」

 

いおなはそのまま、転倒してしまう。

 

「キュアテンダー、数いるプリキュアの中でも際立って強いプリキュアだった。だが...」

 

ファントムは当時の事を思い出す。

 

ファントムはキュアテンダーを攻撃する振りをして、いおなを攻撃した。

 

その攻撃はテンダーが自分の身を犠牲にして、いおなを守った。

 

テンダーはそのまま倒れ、ファントムに敗れてしまった。

 

「最後、キュアテンダーはお前を庇って倒れた。その甘さが奴の敗因だ」

 

「違う!お姉ちゃんは!」

 

否定しようとするフォーチュン、しかしファントムの前に2枚のプリカードが現れる。

 

それは、キュアフォーチュンに変身する為のプリカードだった。

 

「姉を助ける事はできない」

 

「はあ!」

 

ファントムはプリカードに手を添え、いおなはファントムが何をするのか気付いた。

 

「最早戦う力もない」

 

そう言って、ファントムはプリカードを燃やした。

 

「お前の願いは、もう叶わない...」

 

プリカードは燃え尽き、灰がいおなの方へ飛んでくるが目の前で消滅してしまう。

 

「あっ、あっ、あっ、ううぅぅぅ...」

 

プリカードが燃やされた事で、いおなの目から涙が零れる。

 

「良い絶望だ。お前達の不幸がミラージュ様を安堵させる。姉のキュアテンダーと同様に、絶望しながら鏡の中で永遠に眠れ」

 

そう言ってエネルギー弾を生成しようとしたファントムだったが、腰に提げている剣《ヘイトリットブレイド》から黒いオーラの様な物が出ていることに気付く。

 

「これは?うっ、うわああああああ!!」

 

突如発生したオーラに驚くファントムだったが、オーラはどんどんファントムを包み込む。

 

「何だこの力は!」

 

黒いオーラは、ファントムの力を増幅させていく。

 

「ぐう!意識が飛びそうだ...」

 

ファントムは黒いオーラの影響で意識が飛びそうになっているが、強い意識と精神力のお陰で力に飲み込まれずいた。

 

「この剣のせいか?」

 

そう言って、ファントムは剣を抜いた。

 

「まあいい、絶望しながら鏡の中で永遠に眠れ!」

 

ファントムは剣に纏わせ、いおなに攻撃を仕掛ける。

 

いおなはもう駄目だと思い眼を瞑った。

 

そんな時だった。

 

「フォーチュン!」

 

自分の呼ぶ声にフォーチュンは眼を開けると、上空に鏡が出現する。

 

「プリンセス!弾丸マシンガン!」

 

鏡から出てくるなり、プリンセスはファントムに攻撃を仕掛ける。

 

ファントムは攻撃を中断し、回避する。

 

「プリンセス!」

 

鏡から、ゲキレッド達も続々と出てくる。

 

「いおなー!」

 

その中から、ぐらさんが叫びながらいおなに近づく。

 

「このバカ野郎!心配かけやがって」

 

「ぐらさん」

 

いおなはぐらさんを抱き上げた。

 

「間に合って良かったわ」

 

その2人の姿を見て、ハニーは喜んだ。

 

そんな光景を見ていたゲキレッド達が、ファントムの方に振り返る。

 

「ここからは私達が相手になるよ!プリキュアハンターファントム!」

 

ラブリーがファントムに対して指を立て、ハニーも拳を握る。

 

「ハピネスチャージプリキュア...ゲキレンジャー...バカなどうやってここへ!?」

 

ゲキレッド達が現れた事に、ファントムは驚きを隠せなかった。

 

「私達の友情のなせる業だよ」

 

「それとブルー様のお力ですわ」

 

ラブリーの言葉に、リボンが説明を加えた。

 

ファントムが上空に現れた鏡を見ると、そこにはブルーらしきシルエットが映っていた。

 

「おのれ...地球の神ブルー...」

 

ファントムは怒りに震えていた。

 

「俺達の街に、よくもサイアークを沢山出してくれたな!」

 

「こっからは!俺達がお返しする番だぜ!」

 

ゲキレッドとゲキチョッパーがファントムに向ってそう叫び、全員がファントムに対して構えた。

 

その様子を黙って見ていたいおなだったが、プリンセスがいおなに駆け寄った。

 

「フォーチュン!」

 

驚くいおなの前に、プリンセスは跪く。

 

「プリカード、全部あげる」

 

「えぇ!?」

 

プリンセスの言葉に、いおなは驚く。

 

「アクシアを開けた事、どう謝ればいいか考えたわ。でもどう謝ったって、何度謝ったって、許されることじゃない。許してなんていわないわ!これで償えるとも思わない!でも!私に出来ることはこれしかないから!あげられる物はこれしかないから!」

 

プリンセスはそう言って、プリカードを無理やり渡して去ろうとする。

 

「待って!プリンセス!」

 

いおなに引き止められ、プリンセスは足を止める。

 

「あなたにも、願いがあるんでしょ?あなたの故郷、ブルースカイ王国を救いたいんでしょう?」

 

いおなはプリンセスに、そう質問する。

 

「大丈夫、プリカードはまた集められる。あなたの願いを先に叶えて。お姉さんを助けてあげて」

 

「プリンセス...」

 

「本当にごめんなさい!」

 

今度は頭を下げて、いおなに謝罪する。

 

「違う、違うわ。悪いのはあなたじゃ...」

 

ドッガーン!

 

近くで爆発が発生し、プリンセスが爆発が起きた方向を見ると、ラブリーとハニーが悲鳴と共に宙を舞っている所だった。

 

「行かなきゃ!フォーチュンはここに居て!」

 

「あ!?」

 

手を伸ばすいおなだったが、プリンセスはそのまま飛んでいってしまった。

 

「悪いのは、あなたじゃない...幻影帝国よ。あなたは世界を救う為に彼等と戦っている...もう十分償っているわ」

 

パリーン。

 

その時、何かが割れるような音がした後、いおなの身体から瘴気が出てきて消滅する。

 

 

 

 

 

「私が相手よ!」

 

プリンセスがラブリー達を守るように立つゲキレッド達と、座り込んだラブリーとハニーの間に着陸してファントムに向けて指を指す。

 

「わざわざ倒されにくるとは愚かな」

 

「友達が戦っているのに、私1人逃げるわけないでしょ!」

 

プリンセスの言葉を聞き、ラブリー達は立ち上がった。

 

「気をつけろプリンセス、あいつ前に戦った時よりもパワーアップしてるぞ」

 

「それに、必要にラブリー達を狙ってくるしな」

 

プリンセスに、ゲキレッドとゲキバイオレットが警告する。

 

「友情...愛と同様、束の間の幸福を生み出す幻。ミラージュ様を苦しませる元凶!」

 

ファントムは、ラブリー達に向って剣を構える。

 

 

 

 

ゲキレッド達が戦っている所を、いおなはただ見ている事しか出来なかった。

 

「みんな...」

 

「いおな、何を願う?」

 

心配そうに見ているいおなに対し、ぐらさんがそう質問する。

 

「プリンセス達のお陰でファイルがカードで満たされる。これでなんでも願いが叶う。お姉さんを助けるか?」

 

「助けたい...でも。それじゃ、お姉ちゃんを助けられても、みんなを助けられない」

 

いおなの視線の先では、ゲキレンジャーを無視してプリキュア達に攻撃を仕掛けるファントムの姿があった。

 

「なら、ハンターを消す事を願うか?いっそ、幻影帝国を滅ぼすと願うのもありかもしれねぇ」

 

いおなは、プリカードをファイルに収納していく。

 

「それで、プリンセスの国を救える?ここにいるプリキュアや世界中の鏡に閉じ込められた人達を、全員助けることが出来る?」

 

「分からねぇ...助けられるって保障はねぇな...」

 

ラブリー達はファントムに挑む。

 

だが――

 

黒炎刀!(こくえんとう)

 

ヘイトリッドブレイドに黒い炎を纏わせ、3人に攻撃する。

 

『きゃああああ!!』

 

攻撃が命中した3人は、変身が解けてしまった。

 

「ふう、これで雑魚はいなくなったな」

 

ファントムは一息零すと、そう言った。

 

「お前...ラブリー達を狙い続けていたのはそう言う事か!」

 

ゲキレッドは、ファントムの狙いに気付いた。

 

「強い奴と戦うなら...まずは弱い奴を狙う。それが戦いの基本だろ」

 

ファントム、今度はゲキレッド達に向け剣を構える。

 

「それでは駄目な気がする。誰かを助けるとか、誰かを消すとか、そういう願いでは何処かに不幸が残ってしまう」

 

いおなはファイルにプリカードをしまい終わると、ファイルはカードで満たされた。

 

「私はみんなを助けたいの。みんなの願いを叶えたい」

 

すると、ファイルは光り輝いて宙に浮く。

 

「この手で!何より今、友達を助けたい!」

 

いおなは、宙に浮いたファイルを手に取る。

 

「プリカードよ、私にプリキュアの力を!」

 

ファイルを掲げると、ファイルから凄まじい光が溢れる。

 

「これは...」

 

突然の出来事にファントムは勿論、ゲキレッド達も驚く。

 

「それでこそいおなだぜ」

 

ファイルは光となって、ぐらさんを包む。

 

「こしょこしょしてくれ」

 

いおながぐらさんの鼻をくすぐる。

 

「はっ!はっ!はっ!はっぴしょん!」

 

ぐらさんがくしゃみをすると、ぐらさんから2枚のプリカードと箱のような物が出現する。

 

「これは!」

 

「これはフォーチュンピアノ!新たなるプリキュアの力だぜ」

 

驚くいおなにぐらさんが説明すると、ピアノはいおなの手元へと移動する。

 

「ぐらさん、行くわよ!」

 

いおなはフォーチュンピアノを開いた。

 

いおなの髪が光り輝くと紫色に変化し、髪形がストレートヘアーからポニーテールへと変わる。

 

フォーチュンピアノに、2枚のプリカードをセットする。

 

「プリキュア!キラリンスターシンフォニー!」

 

指輪の付けた中指で、ドを3回鳴らして滑るように全ての鍵盤を鳴らす。

 

フォーチュンピアノから沢山の星が出現し、手や足に星が纏わりつく。

 

手に衣装が出現し、足にはブーツが出現する。

 

フォーチュンピアノが頭の髪飾りへと変化し、両耳に星が近づくと耳飾へと変化する。

 

ハートがマントの中へと吸い込まれる。

 

フォーチュンがマントを脱ぎ去ると、いおなはプリキュアへと変身を完了していた。

 

「夜空に煌く、希望の星!キュアフォーチュン!」

 

ここに、新たなプリキュアが降り立った。

 

「キュアフォーチュン!」

 

「新たなキュアフォーチュンの誕生ですわ」

 

キュアフォーチュンの誕生に、リボンは目をきらきらさせ感動していた。

 

「再びプリキュアになった所で何を。俺はプリキュアハンター、プリキュアを倒す狩人だぞ。愚かな」

 

フォーチュンは、座り込んでいる3人の前まで移動する。

 

「そうね、愚かね。私はずっとあなたへの憎しみで戦ってきた。姉の仇をうつために...でも今は守りたい!世界の全てを、こんな私に大切な物をくれた、友達を!」

 

「友達って...」

 

「プリンセス」

 

「はい!」

 

プリンセスは急に呼ばれ、怯えながら返事をする。

 

「あなたには酷い事ばっかり言って、私の方こそごめんなさい!」

 

プリンセスに対し、フォーチュンは頭を深く下げ謝罪する。

 

「え!?」

 

「ありがとう」

 

フォーチュンは顔を上げ、プリンセスに感謝する。

 

「フォーチュン...」

 

泣きそうになってるプリンセスに、ラブリー達が微笑ながら近づく。

 

「ラブリー達もごめんなさい、貴方達を足手まといと言ってしまって...。どうやら弱かったのは私の方だったようね」

 

フォーチュンは、ラブリー達にも謝罪する。

 

するとそこに、フォーチュンに向ってファントムが攻撃を仕掛ける。

 

「はっ!?ふっ!」

 

ファントムの攻撃はフォーチュンに当たることはなく、見事フォーチュンが弾き返した。

 

「お前はキュアテンダーと同じだ。己の甘さで身を滅ぼす!」

 

ファントムは今度はフォーチュンに向って殴りかかるが、先程と違いあっさりと流しフォーチュンがカウンターを仕掛けるが、ファントムの手甲によって防がれてしまう。

 

その後の追撃も全て防がれてしまい、ファントムは距離を取り紫のクリスタルに着地する。

 

だが、フォーチュンは更に追撃のパンチを繰り出し、ファントムは受け止めるが着地したクリスタルが粉砕した。

 

「な、なんだこの力は、プリカードによって新たな力が生み出されたのか!?」

 

先程とは違い、自分が押されている事にファントムは驚愕する。

 

「私は幸せだわ。姉から愛をもらって、友達から優しさをもらって」

 

フォーチュンはそれぞれ、右手と左手を見ながらファントムに向って歩く。

 

「私もこんな風に誰かを幸せにしたい」

 

そう言って、フォーチュンは両手を合わせた。

 

「幸せなど幻。この世界は不幸に滅ぶ運命だ」

 

ファントムは剣から炎を発生させ、フォーチュンを攻撃する。

 

しかし、すぐにファントムは驚く事になった。

 

「なっ!」

 

なぜならフォーチュンが、片手だけで攻撃を消滅したからだ。

 

「滅ぶのが世界の運命なら、私が変えるわ!このフォーチュンが希望の星となって、不幸を打ち砕く!」

 

フォーチュンはそう叫ぶと、左手を天へと伸ばした。

 

「星の光を聖なる力に」

 

手を胸の前へと下ろし、前に伸ばすと指輪から光が発せられタンバリンが出現する。

 

「フォーチュンタンバリン!」

 

タンバリンのハートの装飾の所を、フォーチュンが撫でるとピンク色に輝いた。

 

「プリキュア!スターライト・アテンション!」

 

何度もタンバリンを叩くと、ファントムに向って星を含んだ極太な光の光線が発射される。

 

「敗れるわけにはいかない。ミラージュ様のために!」

 

ファントムは光線を受け止める。

 

「はあ!」

 

フォーチュンは、さらに追撃の光線を発射する。

 

「ぐあああ!!」

 

2度目の攻撃は耐える事が出来ず、ファントムは攻撃に飲まれる。

 

「星よ、天に還れ!」

 

フォーチュンがタンバリンを1叩きすると、光線が爆発を起こす。

 

爆発の中から、プリチュンミラーがフォーチュンの足元へと転がってきた。

 

それは、フォーチュンが奪われたプリチュンミラーだった。

 

フォーチュンは拾い上げ、胸元に当て眼を瞑った。

 

「フォーチュン!やったな!」

 

「すごい!」

 

そこへ、変身を解除した誠司達が駆け寄ってきた。

 

『フォーチュン!』

 

「まだよ...」

 

フォーチュンの言葉に、誠司達は足を止める。

 

砂塵の中からファントムが出てくるが、その姿は傷だらけで息切れをしている状態だった。

 

「勝負は...まだ...」

 

そう言って、ファントムは剣を構える。

 

「もうお前の負けだ、ファントム!」

 

「まだだ...俺はまだ負けてない...」

 

ボロボロの状態でも尚、ファントムはまだ戦おうとしていた。

 

「いや...お前の負けだ。何せ俺達はお前を倒しに来たんじゃない!いおな()を助けに来たんだからな」

 

「達?ま、まさか!?」

 

誠司の言葉の意図に気付き、ファントムは辺りを見渡した。

 

そこには、そこらじゅうにあったはずの鏡が1枚を残して全てなくなっていた。

 

そしてファントムの眼に入ったのは、開放されたプリキュア達を一箇所に纏めているメレと、残った最後の鏡、まりあが捕らわれている鏡の前で剣を構えている理央の姿が映った。

 

「リンギ!命還瞬迅(めいかいしゅんじ)!」

 

パリーン!

 

理央が剣を横薙ぎすると、鏡が割れて捕らわれていたまりあが開放された。

 

「なっ!?馬鹿などうやってプリキュア達を開放して...!」

 

全てのプリキュアが開放された事に、ファントムは驚愕する。

 

「俺達がお前と戦っていたのはお前を倒す為じゃない、プリキュア達を助ける為の時間稼ぎだったんだよ」

 

「まあ、理央がプリキュア達を開放出来る技を習得してた事に驚きだけどな」

 

驚くファントムに対して、ゲキバイオレットとゲキチョッパーがネタ晴らしをする。

 

「く、くう...」

 

歯を食い縛り、悔しがるファントム。

 

「何をしているの?」

 

すると突如、ファントムの背後に巨大な鏡が出現する。

 

その鏡には、1人の女性が映っていた。

 

「ミラージュ様!」

 

ファントムの言葉に、その場に居る全員が驚く。

 

「クイーンミラージュ...」

 

「あれが...」

 

突如現れた黒幕の登場に、めぐみ達は目を見開いた。




はい!如何だったでしょうか?

思いの他、早く書き上がりました。

今見たら、アクセル・ビルドを投稿してからまだ4日しか経ってないんですね。

そして、や―――っとフォーチュンが仲間に入りました!

ここまでが長かった。

投稿してから1年でここまで来ました。

本当に長かった。

そして!原作の23話が終わったら、オリジナルの話に入ります!

この話を早く書きたくて、合体させたんですけど。

オリジナル展開は恐らく2話構成となるでしょう。

それでは、次回第22話もしくはアクセル・ビルド第6話でお会いしましょう!

それじゃあ、またな!

ゲキレンジャーの原作の話をハピネスチャージの1話より前に、加えようと思っています

  • ゲキレンジャー側での誠司の活躍が見たい!
  • 今のままで、充分
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