ハピネスチャージプリキュア 激獣拳使いの幼馴染み 作:ナツ・ドラグニル
長らくお待たせしました!
オリジナル劇場版の最終話になります!
ここまでが長かった!
最初は2~3話で済むだろうと思っていましたが、まさかの4話。
ここまで長くなるとは...
それでは作品をどうぞ
「お久しぶりですね、ゲキレンジャー!」
復活を果たしたロンは、自分を封印したゲキレッド達に憎しみが籠った眼を向ける。
ロンが復活するという非常事態に、ゲキレッド達は構えを取って臨戦態勢に入る。
「蘇ってしまったの!?」
「そんな馬鹿な!」
「無限龍の力だけを利用しようなんて、虫が良すぎたってこった」
驚くラブリーとゲキレッドに、ゲキバイオレットが指摘する。
「お待ちしておりました!」
ゲキレッド達の後ろにいたメカは、喜々としてロンに近づく。
『ぐわぁぁぁぁぁぁ!』
メカはすれ違いざまに、ゲキレッド達を攻撃する。
「そのお体を差し上げた、メカと申しまんねん」
自己紹介するメカだったが、ロンは鼻で笑うとメカを無視しゲキレッド達に話しかける。
「まずは...この私をあんな玉に変えてくれたお礼です!」
地面に倒れるゲキレッド達に、ロンは強烈な一撃を浴びせる。
「すぅ~、はぁ!」
ロンが息を吸い込むと、ロンの口から幻気の本流がゲキレッド達を襲う。
『うわぁぁぁぁ!!』
ゲキレッド達は壁に叩きつけられ、全員が変身が解けてしまいその場に倒れる。
「フフフ、クフフフフ」
ロンは笑いながら、宙に浮き上空から倒れる誠司達を見下ろす。
「良い眺めです、今のはほんのご挨拶」
もう一度口から幻気を吐き出すが、今度は幾つもの幻気の塊を撃ち出した。
『うわぁぁぁぁ!!』
今度は生身の状態で攻撃を受けたせいか、プリキュア達はようやくロンの恐ろしさを実感する。
「もがき苦しむ姿、たっぷり見せてください」
誠司達もダメージのせいで、立ち上がれないでいた。
「そういえば、平行世界とはいえここはあなたが住んでいる世界と同じでしたよね!ゲキレッド!」
慟哭丸の中で話を聞いていたのか、ロンが誠司に確認する。
「だから何だと言うの!?」
思わずめぐみが反応するが、その言葉を聞いてロンはさらに怪しい笑みを浮かべる。
「ならば、あなたの家族を見つけ出し殺して差し上げますよ。あなたの父、相楽ダンと同じようにね!」
怪しい笑みを浮かべながらそう告げるロンに誠司だけでなく、ラン達までも怒りを露にする。
だが、誠司の父親を殺したという言葉に、この世界のプリキュア達だけでなくめぐみ達も戸惑いを見せる。
「せ、誠司...どういう事?誠司のお父さんの様に殺すって...」
めぐみが確認するように誠司達に視線を向けるが、誠司達は答える事無く全員が俯いた。
「おや?知らないなら教えてあげましょうか?」
ロンは理央を指差し、説明をする。
「私はそこにいる理央を利用し、相楽誠司の父親を殺したんですよ!」
ロンの口から告げられた衝撃の事実に、プリキュア達は言葉を失う。
「う...嘘だよね...、あいつが言ってること...ねぇ!誠司!」
「...嘘じゃねぇ、あいつの言っている本当だ」
信じたくなかったのか、めぐみは誠司に質問するが誠司の口から告げられやっと理解する。
「家族を目の前で殺されたら、あなたはどんな顔をするんでしょうかねぇ?」
ロンの何気ないその言葉で、内側から怒りが爆発しフラフラになりながらも立ち上がる。
「ふざけるなよ...そんなことさせる訳ねぇだろうが!」
誠司の言葉を聞き、めぐみも立ち上がる。
「真央ちゃんもひろ子さんも殺させはしない!この世界も私達の世界も、両方守る!」
誠司達が立ち上がった事で、負けじと他の者達も立ち上がる。
だが、この世界のプリキュア達はダメージが大きいのか立ち上がれないでいた。
「ふんっ、いいでしょう!余興は終わりです!」
ロンはヌンチャクサイアークの中に入ると、ヌンチャクサイアークの姿が変わった。
体のあちこちから龍の顔が生え、胸の龍の顔は他の顔に比べると二回りほど大きい。
ロンがヌンチャクサイアークに入る事により、『ロンサイアーク』が出来上がった。
『世界は
誠司とめぐみがそう叫ぶと、全員が変身アイテムを構える。
『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』
「プリキュア!きらりんスターシンフォニー!」
めぐみ達が光に包まれ、プリキュアへと変身する。
『ビースト・オン!』
「臨気凱装!」
「エプタイル・オン!」
誠司達は、各々の変身アイテムに次元圧縮されたゲキスーツを纏い、理央は臨気の鎧を纏う。
「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」
「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」
「大地に実る、命の光!キュアハニー!」
「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!」
『ハピネス注入!』
『幸せチャージ!』
『ハピネスチャージプリキュア!』
名乗るラブリー達だったが、ハニーとフォーチュンの2人をラブリーとプリンセスが挟んでいる。
更に、ポーズもバラバラで全然纏まりが無かった。
「身体に漲る、無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」
「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」
「技が彩る、大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」
「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」
「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」
「強き事、獅子の如く!猛き事、また獅子の如く!我が名は黒獅子・理央!」
「理央様の為に、新たな力を得た新ラブウォリアー!臨獣カメレオン使いのメレ!」
「燃え立つ激気は、正義の証!」
『獣拳戦隊!ゲキレンジャー!』
「俺達!スーパー戦隊!」
「&プリキュア!」
ロンとメカの前に、11人の戦士が並び立つ。
「まだ私を楽しませてくれるのですか?」
ロンは全ての龍の顔から、炎の玉を吐き出した。
ゲキレッド達が炎に包まれるが、全員が一瞬で距離を詰めすれ違い様にロンとメカに攻撃する。
『はぁ!』
イエローとブルーがロンに、バイオレットとチョッパーがメカに拳を叩き込む。
『はぁ!』
プリンセスとハニーがメカに、フォーチュンがロンに飛び蹴りを放つ。
『はぁ!』
ゲキレッドとラブリーがそれぞれ左右から攻撃する。
ラブリーは右拳を、ゲキレッドは左拳をロンに叩き込む。
そのまま二人は裏拳を繰り出し、そこに理央の蹴りが炸裂する。
追撃として、2人も左右から回し蹴りを放つ。
3人が戦う中、逃げようとしたメカをメレとハニーが止める。
「あんたみたいな馬鹿を逃がすわけないでしょ」
「そういうこと」
メレは釵を、ハニーはロングバトンをメカの喉元に当てる。
「覚悟は出来てるんでしょうね?」
メカの前で、フォーチュンがフォーチュンファンを構える。
「うぅ...この野郎!」
メカは喉元に当てられた武器を、下から払いのけ2人に攻撃を仕掛ける。
しかし、2人はハンマーによる攻撃を武器で防ぎ、逆に反撃する。
ハニーとメレはすれ違い様に横一文字に武器を薙ぎ払い、フォーチュンが跳躍しメカに向かってフォーチュンファンを振り下ろす。
☆★☆★☆★
右、左と引っ搔き攻撃を理央が繰り出し、顔面に蹴りを食らわす。
ゲキレッドとラブリーが、ロンの後ろから腕を取り関節技を決める。
がら空きになった腹部に、2人は数発の拳を叩き込む。
理央が2人の肩を掴むと、2人に臨気を送る。
「臨気注入!」
『激臨プリキュア弾!!』
2人の叩き込まれた拳から、送られた臨気と2人の激気とプリキュアの力が放たれる。
3人の合体技を受け、ロンは後ろに大きく吹っ飛ばされる。
ロンの横に、フォーチュン達にやられたメカが転がってきて、2人は横に並び立つ。
「良し!みんな行くぞ!」
『応!』
ゲキレッドの掛け声を合図に、ゲキレンジャーとプリキュアで分かれる。
『ゲキバズーカ!』
ゲキレッド達は、ゲキバズーカを召喚する。
バイオレットが拳に紫激気を纏わせ、チョッパーがサイブレードを構える。
理央とメレは、体から臨気を溢れ出させる。
『超超スペシャル激臨砲!』
『プリキュア拳!ゲキワザ!』
ラブリー達は、激気を練り出す。
『超超スペシャルハピネス砲!』
4人は拳を構え、発射準備を整える。
『ターゲットロック!』
ゲキレッドとラブリーの掛け声を合図に、全員の合体技が放たれる。
『シュート!』
ゲキタイガー、ゲキチーター、ゲキジャガー、ゲキウルフにサイダイン。
リンライオンに、リンカメレオン。
そしてプリキュア達のトレードマーク、ハート、マル、クローバー、星。
それぞれの形をした激気と臨気が、ロンとメカに命中する。
「残念でまんねん!」
今の攻撃が止めとなり、メカは倒れ爆発する。
「やったね!皆!」
そこに、今までレベルが違いすぎて戦いに入れなかったこの世界のプリキュア達が駆け寄る。
「後はあいつ1人!」
この数だったら勝てると考えるこの世界のプリキュア達だったが、その考えが甘かった事を痛感する事になる。
「ふふふ、面白くなってきましたね!それではメインイベントと行きましょう!」
怪しい笑みを浮かべた後、ロンの目が光りだす。
ロンの全身が光に包まれると、見る見るうちに巨大化する。
「ちょっ...嘘でしょ...」
この世界の誰かが呟いたのか、目の前の現象に驚愕の声を上げる。
「面白がってんじゃねぇ!皆行くぞ!」
『ゲキワザ!来来獣!』
ゲキレッドがゲキタイガーを、ゲキブルーがゲキジャガーを、ゲキバイオレットがゲキウルフを召喚する。
『リンギ!招来獣!』
理央がリンライオンを、メレがリンカメレオンを召喚する。
『獣拳合体!』
ゲキタイガー達が合体し、ゲキリントージャウルフが完成する。
『ゲキリントージャウルフ!バーニングアップ!』
巨大化したロンに恐怖するこの世界のプリキュア達だったが、ゲキレッド達が召喚した超巨大ロボに目を輝かせる。
「何あれ凄い!」
「格好いい!!」
目を輝かせるプリキュア達の近くに、近づく影があった。
「ご覧ください!私達の目の前で、物凄い戦いが繰り広げられています!」
「美代さん...この世界でも相変わらずなんだね」
別の世界と言えど、毎度のことながら現れる美代にラブリーは呆気に取られる。
しかし、現れたのは美代さんだけでは無かった。
「これは魔王の復活か!?この非常事態を生中継でお伝えいたします!」
美代の横に、なぜかバエの姿もあった。
「バエ!?なんでここにいるの!?」
驚愕するプリンセスに、バエはなんともない風に答える。
「たとえ火の中、水の中!巨大戦の為ならば、このバエは異世界だろうが現れます!」
力強く言うバエだったが、直ぐにネタ晴らしをする。
「まぁ、皆さんが行った後にマスター・シャーフーに事情を聴き、飛ばして貰ったんですが」
バエ達がそんな話をする中、巨大化したロンが龍の顔を伸ばしゲキリントージャウルフを攻撃する。
「さぁ...終焉の宴の始まりです」
「おおっと!ロンサイアークの先制攻撃です!」
ロンの攻撃を受け、ゲキリントージャウルフは地面に倒れてしまう。
「思い出して頂けましたか?この私の力を!」
ロンの言葉に、ゲキイエローとゲキブルーが答える。
「忘れるはずない!」
「お前がその力で、どれだけの人を苦しめたのか」
「ふんっ、おおっ!」
ロンは2人の言葉を鼻で笑うと、立ち上がったゲキリントージャウルフに向かって走り出す。
「人間共の苦しみなど、私の苦しみに比べれたら些細なものです!」
ロンは叫びながら、ゲキリントージャウルフを攻撃する。
「私の自由を取り戻す為、お前達は死になさい!」
ロンとの戦いを、美代が実況する。
「おおっと、これは恐ろしいパワーです!苦戦しています!そしてなお!」
美代が言い切る前に、ロンが次の攻撃に移った。
全ての龍の口から、火炎の玉を吐き出しゲキリントージャウルフに命中させる。
『うわぁぁぁぁぁぁ!!』
ロンの攻撃を受け、またしてもゲキリントージャウルフは地面に倒れてしまう。
「強い...」
「強すぎる...」
この世界のプリキュア達だけでなく、ラブリー達も不安そうな目でゲキレッド達の戦いを見守っていた。
「私達にもキュアビーストが出せれば...」
「無理よ、獣拳を習得したとは言え...今の私達にそこまでの力は残っていないわ...」
プリンセスとフォーチュンの会話に反応したのは、この世界のラブリーだった。
「キュアビーストって何なの?」
疑問に思うこの世界のラブリーに、ラブリー達は説明する。
「さっき誠司達が召喚したゲキタイガー達を、ゲキビーストって呼ぶの」
「キュアビーストって言うのは、そのゲキビーストのプリキュア版というわけ」
「獣拳を習得した今の私達なら、キュアビーストを召喚出来ると思うけど...」
「今の私達では、さっきの戦いのせいで呼び出すための力を使い果たしてしまったの」
ラブリー達の説明で、状況理解するこの世界のラブリーはある提案をする。
「ねぇ、私達の力を渡す事って出来ないかな?」
『え?』
この世界のラブリーの提案に、全員が耳を疑う。
「渡すって、どうやって!?」
プリキュアの力を、相手に譲渡するという前代未聞の事を告げるこの世界のラブリーに、この世界のプリンセスが質問する。
「分からないけど、どうにかして渡すことは出来ないかな?」
この世界のラブリーの言葉に、この世界のプリンセスが呆れる。
「もう...ラブリーったら...でも、その案には賛成ね」
「確かに、今の私達には見てる事しか出来ないもの。やるだけやってみましょう」
この世界のプリンセスが呆れながらも賛成し、この世界のフォーチュンも同意する。
「そっちのラブリー達に可能性があるなら、私達も力を貸すよ!」
ハートがそう言うと、この世界のプリキュア達がラブリー達を周りを囲う。
「みんな行くよ!」
『はぁぁぁぁぁ!』
この世界のラブリーの掛け声を合図に、全員が身体から力を放出する。
『はぁ!』
放出された力が、ラブリー達に譲渡された。
この世界のプリキュア達の力が、渡されたと同時に力が漲ってくるのをラブリー達は感じた。
ニャァァァァァ!!
ピィィィィィィ!!
ブモォォォォォ!!
モォォォォォォ!!
ラブリー達は、自分の中に眠っていた獣達の目覚めの声を聴いた。
「みんな!ありがとう!」
ラブリーはこの世界のプリキュア達に感謝すると、ラブリー達はいつも誠司達がやっているようにゲキビーストを召喚する。
『プリキュア拳!ゲキワザ!来来獣!』
「キュアリンクス!」
ラブリーが召喚したのはピンクの巨体に白い斑紋があり、背中にラブリーのマークがある山猫『キュアリンクス』。
「キュアスワロー!」
プリンセスが召喚したのは、体は全体的に水色で喉と頬が赤く、腹は白くて胸に黒い横帯がある。
背中にはプリンセスのマークがあり、銀色の翼を持った燕『キュアスワロー』。
「キュアジラフ!」
ハニーが召喚したのは体は黄色で黒の斑紋があり、尻尾は黒でお腹にハニーのマークがある麒麟『キュアジラフ』。
「キュアバイソン!」
フォーチュンが召喚したのは全体的に紫で、背中にフォーチュンのマークがある猛牛『キュアバイソン』。
「で~た~!あれは伝説のゲキビースト、いやキュアビーストの登場だ!」
キュアビーストの登場に、バエは興奮しながら実況する。
「あれは...」
「何なんですか!?お前達は!?」
突如として現れたキュアビーストに、ゲキレッド達だけでなくロンも驚きを隠せない。
「お待たせ!みんな!」
「私達も加勢するわ!」
まず我先にと、ラブリーがリンクスの爪でロンを攻撃する。
「プリキュア!
リンクスの鋭い爪で、ロンに連続で引っ搔き攻撃をする。
「くぅ!」
「おおっと、キュアリンクスの連続攻撃で、流石のロンも少しは怯みました!」
「プリキュア!
空を飛ぶスワローが大きな翼で風を起こし、ロンを吹き飛ばす。
「プリキュア!
ハニーがロンが吹き飛ばされる先に先回りし、後ろ脚で蹴りを放つ。
「ぐぁ!」
「プリキュア!
ジラフによって蹴り飛ばされたロンに向かって、バイソンが突進で更に吹っ飛ばす。
「キュアスワローの風圧に、キュアジラフの蹴り。そしてキュアバイソンの突進!プリキュア達の連携攻撃だ!」
「おのれ!邪魔するな!」
ロンの龍の口から、キュアビーストに向けて火炎の玉が放たれた。
『きゃああああ!!』
放たれた火炎の玉を受け、4体のキュアビーストは地面に倒れる。
「ラブリー!皆!」
倒れたキュアビースト達を守るように、ゲキリントージャウルフが前に出る。
「大丈夫!」
ラブリーはリンクスを起き上がらせると、プリンセス達も負けずと起き上がる。
「たった4人の成りたて獣拳使いに、何が出来るというのですか?」
「私達だけじゃない!」
「この力は、この世界のプリキュア達全員の力も合わさってるのよ!」
ロンの言葉に、ラブリーとプリンセスが反論する。
「みんな!行くよ!」
『おう!』
キュアビースト達が一か所に集結する。
『プリキュア!獣拳合体!』
キュアバイソンの前脚が後ろに、後ろ脚が前にたたまれ、背中の装甲が開いて太腿が展開される。
キュアバイソンの顔が股関節部分となり、キュアバイソンが下半身となる。
キュアジラフの脚が折りたたまれ、お腹が正面となりキュアバイソンの下半身と合体し上半身となった。
キュアジラフの肩から上が分離され、上半身の左側に合体し首が90℃回転して左手になる。
キュアリンクスの脚が折りたたまれ、首が90℃回転して右側に合体し右手となる。
キュアスワローの頭部が分離され、キュアジラフの首がついていた場所に合体する。
キュアスワローの口が開くと、顔が出てきて頭部となる。
顔はゲキトージャに似ており、目にはゴーグルを装着してる。
キュアジラフの尻尾とキュアスワローの残りのパーツが、キュアジラフの背中に装着される。
『キュアトージャ!バーニングアップ!』
4体のキュアビーストが合体し、新たな拳士『キュアトージャ』が誕生する。
「何と!ハピネスチャージプリキュアから大きな獣が出てきただけでなく、巨大なロボットへと変わりました!」
キュアトージャの誕生に、美代が興奮気味に実況する。
「凄い!あれがキュアビーストの力なんだ!」
「獣拳を習得した私達の力...」
この世界のラブリー達は、もう1人の自分達の力に興奮する。
その時、ゲキレンジャーの加勢として現れたのは、キュアトージャだけでは無かった。
中でも一番の巨体を持つゲキビースト、サイダインが現れる。
「来たな!サイダイン!」
「次々に助っ人が現れた!わくわくすることが起こりそうだ!」
しかし、反撃の準備はそれだけでは終わらなかった。
突如として、世界各地にブルーが映った鏡が出現する。
「世界の人々よ、子供達よ、プリキュアとゲキレンジャーを応援してほしい!」
光の小さい玉が、この世界のめぐみの手のひらに落ちる。
「今、別の世界の戦士たちが僕達の世界を守るために戦ってくれている!皆の応援が必要なんだ!」
光がはじけると、そこにはプリキュアを応援するアイテム『ミラクルライト』に変化する。
「さあ、皆!ミラクルライトを振って、応援してくれ!」
ミラクルライトはこの世界のめぐみ達だけでなく、美代が生中継している放送を見ている人々の手にも握られていた。
「プリキュア!ゲキレンジャー!頑張れー!」
この世界のめぐみが、ミラクルライトを振ってラブリー達を応援する。
『プリキュア!ゲキレンジャー!頑張れー!』
めぐみを始めとして、他のプリキュア達も応援を始める。
力が使えない今、この世界のプリキュア達は応援をする事しか出来ない。
だが、プリキュア達は知っている。
その応援が、どれだけの力をくれるのかを。
『プリキュア!ゲキレンジャー!頑張れー!』
世界中からの応援で、ゲキリントージャウルフとキュアトージャの周りに光の粒子が密集する。
「なんですか!この忌々しい光は!」
ロンは応援の力を見て、鬱陶しそうにする。
「この光は、俺達を応援するこの世界の人達の心だ!忌々しい光なんかじゃねぇ!」
「そうだね!今戦っているのは、私達だけじゃない!この世界の人々も一緒に戦ってくれてるんだ!」
『行くぜ!』
ゲキレッドとラブリーの言葉で、全員が気合を入れる。
『獣拳合体!』
ゲキリントージャウルフの両足が外れ、上半身がサイダインと合体する。
『サイダイゲキリントージャ!バーニングアップ!』
「全世界が夢にまで見た栄光のタッグが、今ここに実現します!」
「全世界の応援を受け、最初で最後の止めの一撃が放たれます!」
ゲキレンジャーとプリキュア達の勇士を見逃さない為に、バエと美代が実況する。
『スーパー戦隊!』
『プリキュア!』
『ハピネス・ビースト・シュート!』
サイダイゲキリントージャからは、ゲキビースト達の激気とリンビースト達の臨気が放たれる。
キュアトージャからは、キュアワイルドキャット、キュアスワロー、キュアジラフ、キュアバイソンの激気が放たれる。
「うわぁぁぁぁ!!私は不死身だぁ!!」
2体の拳士による合体技を受けたロンは、火花を散らす。
「うわぁぁぁ、うぉぉぉぉ...」
悶え苦しむロンだったが、動きが止まると大きな爆発を引き起こした。
『よっしゃ―――!!』
『やったぁ―――!!』
ロンを倒した事に、ゲキレッド達やプリキュア達も喜びを見せる。
「やったー!やりました!」
その時、ロンが慟哭丸に戻る際に数匹の蚊が飛び去って行くのを、理央は偶然に目撃した。
☆★☆★☆★
『乾杯!』
ロンを倒した事を記念して、誠司達は大使館でパーティーを開いていた。
パーティーの中で、めぐみ達はこの世界のめぐみ達と話していた。
「え!?そっちって恋愛禁止なの!?」
思わぬ情報に、ひめは驚愕の声を上げた。
『誰が決めたの!?そんな事!?』
思わずめぐみ達とランとリンの女性陣が、この世界のめぐみ達に問い詰める。
「誰って...ブルーだけど...」
「大切な人を守る為にって...」
この世界のめぐみ達は、ラン達に圧倒されながらもそう答える。
「何それ!分からなくはないけど、恋愛禁止はやりすぎでしょ!」
余りの理不尽さに、めぐみは怒りを露にする。
「もしかして、そっちの私達って好きな人がいるの!?」
『え!?』
この世界のめぐみの質問に、ラン達は思わず声が上擦ってしまう。
顔も赤く、誰が見ても分かりやすい反応だった。
「もしかして、相手って誠司なの?」
『なんでそれを!?』
何気ないひめの質問だったが、女性陣は更に顔を赤くする。
『嘘...』
この世界のめぐみ達は、誠司に恋するめぐみ達に驚愕する。
中でも、この世界のひめが一番驚いていた。
「嘘でしょ!白馬の王子との結婚はどうしたの!?それより何で誠司なの!?」
この世界のひめの質問に、ひめは頬を染めながら答える。
「白馬の王子様の夢はまだ持っているけど、それよりも素敵な人が現れたの...。最初は戦う姿に一目惚れしたけど、誠司の人柄を知っていく内にどんどん惹かれたの」
語るひめの姿は、この世界のひめに取っては同じ自分にも関わらず凄く大人に見え、唖然とする。
「それに...誠司に王子様の服着て貰って、白馬に乗ってもらうのもありかなって...」
そう語るひめの頭の中では、王子様の服を身に纏って白馬に乗る誠司の姿を思い浮かぶ。
迎えに来たぜ、ひめ
白馬に乗りながら、誠司はひめに手を差し伸べる姿を想像する。
「でへへへ...」
想像するひめは、だらしない笑みを浮かべていた。
別の場所では、めぐみとゆうこがこの世界の自分達に質問されていた。
自分の事とはいえ花の中学生という事もあり、恋愛には興味深々だった。
「ねぇ、何で誠司の事を好きって気づいたの?」
「私も気になる」
『えぇ...』
自分自身の質問に、めぐみは照れながら答えた。
「一時期、誠司がいなくなった時があったの。その時、いなくなって初めて分かったの...私には誠司がいないと何も出来ないって...」
「私も同じかな...」
照れくさそうに答える2人、ランとリンの2人も他のプリキュア達から質問されあたふたする。
「そういえば、リン達のそういう話を聞いてなかった」
「じゃあ、この機会に聞いてみようぜ!」
『おぉー!!』
ゴウとケンが、その場を盛り上げる。
部屋が盛り上がる中、誠司は外の手摺に寄りかかって涼んでいた。
誠司は騒動が起きる前に外に出た為、中の様子を知らない。
「よっ!」
涼んでいる誠司に話しかけたのは、この世界の誠司だった。
「今日はありがとう、俺達の世界を救ってくれて」
この世界の誠司が、誠司に感謝の言葉を告げる。
「お礼を言うのは俺の方だ、お前達のお陰でロンを倒す事が出来た。ありがとう」
お礼を言いに来たのに、逆に感謝されてこの世界の誠司は少し戸惑う。
「いやお礼を言われても...俺は今回何も出来なかった...。あのリンシーズって奴にも歯が立たなかったし...」
今回の戦いで思う所があったのか、この世界の誠司は手摺を掴み暗い顔をする。
「なぁ...どうやってそんなに強くなったんだ?」
「どうやってって、俺も只ひたすら戦っていたからな」
この世界の誠司の質問に、誠司は戸惑いながら答える。
「俺だって、最初から強かったわけじゃないしな...」
「そうなのか!?」
思わぬセリフに、この世界の誠司は驚愕の声を上げる。
「確かに、ゲキレンジャーになりたての時は、あいつらの中で誠司は一番弱かったからな」
そう言って近づいてきたのは、なんと理央だった。
「理央、お前中で料理食べてたんじゃないのか?」
「うるさくなったから、外に出てきたんだよ」
理央はそのまま、誠司の隣に寄りかかった。
「それより、今の話は本当なのか?そっちの俺が最初は弱かったって...」
「本当だ」
「最初の頃は、理央に手も足も出なかったからな」
本人達の言葉が信憑性の高さを物語っており、この世界の誠司は驚愕する。
誠司達の戦いを見ていたこの世界の誠司は、ゲキレンジャーの中で一番強いのは誠司だという事を直ぐに見抜いた。
その誠司が最初は一番弱かった何て、誰が予想出来るだろうか。
「俺も強くなれるかな... 」
2人の話を聞いて、自分もさらに強くなれるのでは、とこの世界の誠司は考える。
「なれるさ」
~♪
その時、何処からか通知音が聞こえた。
「あっ、悪い俺だ」
音の発生源は、この世界の誠司の携帯だった。
「おっ!父さんからメールだ」
その言葉に、誠司と理央は驚いた。
この世界の誠司は2人が驚いている事に気づかず、父親とのメールのやり取りを続ける。
「お前の父親は何をしてるんだ?」
思わぬ理央の質問に、この世界の誠司は戸惑いながら答える。
「え?あぁ、今は出張で海外にいるよ」
平行世界という事もあり、この世界の誠司の父親は生きている事に誠司はほっとする。
誠司は、この世界の誠司が父親とのメールのやり取りが終わったのを確認すると、この世界の誠司にあるお願いをする。
「なぁ、父さんの写真とかあるか?」
「うん?ああ、あるぞ」
この世界の誠司は携帯を操作すると、一枚の写真を画面に表示させた。
そこには、つい最近撮ったものなのか母さんと真央。
そして誠司と1人の男性が映っていた。
その男性の顔は、かつて見つけた写真に写っていた父さんと瓜二つだった。
誠司と理央はまたも驚くが、理央はこの世界の誠司の頭をワシャワシャと乱暴に撫でた。
「親父を大切にしろよ」
理央はそう言うと、大使館の中に戻っていった。
この世界の誠司は、いきなりの事で訳が分からず首を傾げる。
だが、誠司は驚いていた。
先程の理央は優しい笑みを浮かべており、その表情を見たのは初めてだからだ。
☆★☆★☆★
誠司達と、この世界の者達との別れの時が訪れた。
誠司達の上空に、次元の渦が発生する。
その時、ゲキチェンジャーから美希の通信が入った。
『皆聞こえる?マスター達にお願いして、次元の渦を作り出したわ。これで、いつでも帰って来られるわよ』
「ありがとうございます、美希さん」
「とうとうお別れだね...」
「あぁ...、本来なら俺達はいてはいけない存在だからな...」
誠司達とめぐみ達は、この世界のプリキュア達に喝を入れる。
「お前達、修行を怠るなよ」
「そうよ、一日休んだら取り戻すのに3日掛かるからね」
『み...三日...』
誠司とランの言葉に、この世界のプリキュア達は言葉を失う。
ランの言葉通りなら、誠司達のお陰で強くなれる事が出来たが修行をお怠ると今回の修行が無になるという事だ。
この世界のプリキュア達が固まっている間、この世界の誠司が誠司に近づく。
「お前も修行を頑張れよ」
「ああ、お前達に負けない位にな!」
2人の誠司はお互いに挨拶すると、誠司が右手を差し出す。
この世界の誠司も右手を差し出し、2人は握手をする。
めぐみ達は、この世界の者達に別れを告げる。
『さようなら!』
まず最初にめぐみ達がプリキュアに変身し、翼を広げて次元の穴へと入っていく。
誠司達も次元の穴に入ろうとする直前に、理央が誠司に話しかける。
「誠司、ロンを倒した時に妙な数匹の蚊がいた。何かあるかもしれない...」
「あぁ、分かった。頭に入れておく」
今度はゲキレンジャー達が、この世界の者達に別れの挨拶をする。
『じゃあな!』
誠司達は別れの言葉を告げると、次元の渦に視線を向ける。
『はぁ!』
その場で全員が跳躍し、次元の渦の中に消えていった。
変身もせずに空高くにある次元の渦に飛び込む跳躍力に、めぐみ達は言葉を失った。
「すごかったね...スーパー戦隊」
1人1人の戦闘力もそうだが、誠司達が関わった事によるもう1人の自分達の成長速度。
その姿を見せられたこの世界のめぐみ達は、自分達も負けてられないと考える。
「よーし!明日からは私達も修行だよ!」
「そうね!」
誠司達に感化されたこの世界のめぐみ達は、さっそく明日から修行に取り掛かることにした。
☆★☆★☆★
幻影帝国に占拠されたブルースカイ王国の一室、そこにはツトコウの姿があった。
その後ろに、一匹の蚊が現れると続けざまに大量の蚊が現れ集合体へとなる。
蚊の集合体は、1体のリンリンシーへと姿を変える。
そのリンリンシーはツトコウの腹心、カーだった。
「カーよ、例の物は手に入れる事は出来たのか?」
「はっ!こちらです!」
カーは膝をつくと、ロンの幻気が入った瓶をツトコウに渡す。
「よくやった、礼をいうぞ。カーよ」
ツトコウは瓶を見ながら頷くと、カーに礼を言い部屋を出る。
部屋を出て廊下を歩くツトコウの前に、フードを被った人物が現れる。
フードの人物の存在に、ツトコウは瞬時に膝を付く。
「???様」
ツトコウは頭を下げながら、その人物の名前を言う。
「例の物は?」
「こちらに...」
ツトコウが渡したのは、先程カーから渡された気が入った瓶と、見覚えのある玉を渡した。
それは、ロンが封印されている慟哭丸だった。
ツトコウはどうやってかは分からないが、ロンが倒され慟哭丸へと戻った時に回収していたようだった。
フードの人物は微かに笑い、慟哭丸と幻気の入った瓶を受け取る。
「良くロンの幻気と慟哭丸を手に入れましたね、入手ご苦労様でした。慟哭丸を入手したツトコウと幻気を入手したカーに礼を言わないと」
「私とカーには勿体ないお言葉です」
フードの人物は瓶を見ると、不敵な笑みを浮かべる。
「???様」
「どうしました?」
ツトコウは、フードの人物に質問する。
「何故ロンではなく、ロンの幻気が欲しかったのですか?ロンなら我々の戦力に加えられる力はあります」
「今、彼奴を加えても意味はないし、居ても邪魔になる...」
「分かりました...出過ぎた真似をお許しを」
「気にするな」
2人がそんなやり取りをしていると、クイーンミラージュの手下が現れた。
内容は、2人に話があるとの事だった。
ツトコウが断ろうとするのを、フードの人物が遮り手下に付いていく。
手下に付いていくフードの人物、ツトコウも遅れて付いていく。
クイーンミラージュのいる部屋に着くと、ツトコウはキレ気味にクイーンミラージュに要件を聞く。
「俺だけでなく、わざわざこの方まで連れてくるとは一体何のようだ」
ファントムはツトコウの僅かな殺気に反応し、前に出る。
「下がりなさい、ファントム」
下がるように言われ、ファントムはしぶしぶ元の場所に戻った。
「あなた、一体何者なの?」
「何者...とは?」
「私は今日の出来事を、鏡の力で見ていたの」
クイーンミラージュは近くにある鏡に手を翳すと、そこには色々な景色が映っていた。
「あなた達が只者ではない事は分かってるの、協力する者として素性が分からない奴らを加える程、私は甘く無いわ」
クイーンミラージュの態度に、ツトコウは気に食わず文句をつけようとする。
「やめなさい、ツトコウ」
だが、それをフードの人物が遮る。
フードの人物は数秒黙るが、丁寧な口調で口を開いた。
「なるほど、ミスミラージュ様の言い分もごもっともですね。分かりました、お教えしましょう」
そう言うと、フードを外し顔が露になる。
その顔を見て、クイーンミラージュは少し驚く。
「私の名は『ドン』、そして鏡で見ていたならお分かりの筈ですよね、ミスミラージュ様」
クイーンミラージュが驚くのも無理はない、フードの男の顔はロンと瓜二つだったからだ。
「お初に御目にかかります。私は幻獣王、そして無限龍ロンの兄で御座います」
ドンは胸に手を当てて、お辞儀をする。
はい!如何だったでしょうか?
まず最初に、プリキュア達のキュアビースト、そしてキュアトージャのアイデアを渡してくれた読者の方、本当にありがとうございます!
自分は満足のいった作品に仕上がったと思うのですが、どうでしたでしょうか?
そして、VSシリーズあるある。
他の戦隊から力を貰い、巨大ロボのパワーアップ。
それをキュアビーストの召喚に使用しました。
また、プリキュア劇場版あるある。
ミラクルライトで、プリキュアのパワーアップ。
これもラストの必殺技を放つ際に使用しました。
前から決めていた事でしたが、上手く書けて満足しています。
そして最後に、これは気づいた人は居たかもしれません。
今回のオリジナル劇場版のタイトル。
『獣拳戦隊ゲキレンジャー 対 プリキュアオールスターズ』
何か可笑しいな、違和感があるな、と思いながら小説を書いていました。
そして、25話書いている途中に気づきました。
『VS』が『対』になっていることに...
なぜ気づかなかった!そして気づくの遅えよ!と思わず自分に突っ込みを入れてしまいました。
恥ずかしい...
なんでこんなミスを...
バーサスシリーズなんだから、「たい」な訳ないじゃん...
本当に恥ずかしい...
取り敢えず、気づいて直ぐに対をVSに書き直しました。
次からは、このようなミスが無いようにします。
それでは次回、第27話もしくはアクセル・ビルド第3章・第1話でお会いしましょう!
それじゃあ、またな!
ゲキレンジャーの原作の話をハピネスチャージの1話より前に、加えようと思っています
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ゲキレンジャー側での誠司の活躍が見たい!
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今のままで、充分