ハピネスチャージプリキュア 激獣拳使いの幼馴染み 作:ナツ・ドラグニル
今回、オリジナル劇場版第2話になります。
思ったよりアイデアが出てくるので、今回はいつもより短めに書いております。
プリキュアオールスターズなので、プリキュア側を活躍させたいと思っていました。
各プリキュアの名乗りや、各プリキュアの合体技などを書こうとしたのですが、長くなると思って断念しました。
なので、オールスターズ要素は次回に持ち越しします。
それでは、作品をどうぞ。
スクラッチ社の特別開発室に、ラン達と七拳聖が集まっていた。
「なるほど、誠司達が」
ラン達の説明を受け、シャーフーは誠司達がいなくなった事を知った。
「まずは、どのような技が使われたのかを知るのが先じゃのう」
「知るって...どうやってですか?」
ランが質問したその時、タイミング良く道着からスーツに着替えた美希がパソコンを片手に入ってきた。
「すみません、お待たせしました」
『美希(さん)!』
美希は入室するなり、テーブルの上にパソコンを置いて操作する。
「今、町の監視カメラを調べて、誠司達に何が起こったのか調べてたんです」
全員がパソコンを覗き込む中、美希は1つの映像を写した。
そこには、ヌンチャクサイアークと戦う誠司達の姿が映っていた。
「これって...サイアーク!?」
「何でこの世界に!?」
サイアークが現れていたことに、ランとリンは驚愕する。
映像が進んでいき、相手の攻撃を受け上空に現れた穴に誠司達が吸い込まれた所で映像が止まった。
その後、ラン達はシャーフ達をと一緒に誠司達が飛ばされた場所まで移動した。
「あの拳法は恐らく、空烈波じゃな」
「空烈波?」
シャーフーの言葉に、ケンが疑問符を浮かべる。
「臨獣拳の技だ」
疑問符を浮かべているラン達に対して、理央が説明する。
「まさか...幻影帝国の背後に、ツトコウ達以外の残党が?」
理央の説明で、ゴウが予想を立てる。
「仮にそうだとすれば、慟哭丸を盗んだのは恐らく、ツトコウで間違いないじゃろう」
「ツトコウ達は慟哭丸を使って一体何を...」
「良からぬ事に使おうとしてるのは、まず間違いないだろう」
リンの問いかけに、バット・リーが答えた。
「さて...あそこじゃな」
シャーフは、誠司達が吸い込まれた場所を凝視する。
「ならば!ゲキワザ!
シャーフーがゲキワザを放つと、空が割れて穴が出現する。
「これを」
美希がそう言うと、調整に出していた《ゲキチェンジャー》、《ゴングチェンジャー》、《サイブレード》を渡す。
「頼んだわよ、みんな」
☆★☆★☆★
大使館を飛び出し、誠司達は幻影帝国が現れた場所に向った。
そこでは大勢のチョイアークと、ヌンチャクサイアークが人々を襲っていた。
「町の人達が!」
人が襲われている事に、この世界のゆうこが驚く。
「行こう!みんな!」
この世界のめぐみの掛け声で、全員が変身アイテムを取り出す。
各々がプリキュアに変身し、ヌンチャクサイアーク達と対峙する。
「悪巧みもそこまでよ!」
全員を代表して、キュアブラックが静止の声を上げる。
「ん?」
静止の声を聞き、ヌンチャクサイアークが誠司達の方に振り向いた。
「まーた邪魔が入ったッチャ!何度も何度も鬱陶しいッチャ!」
他の街のプリキュア達はまったく驚かなかったが、サイアークの事を知っているこの世界のラブリー達は目を見開いた。
『さ、サイアークが喋った――――!!』
叫ぶこの世界のラブリー達に、何処か
「特別なのはそれだけじゃないわよ!」
その時、サイアークの後ろからこの世界の幻影帝国の三幹部と、プリキュアハンターのファントムが現れた。
「幻影帝国の三幹部!」
「それに、ファントムもいるわ!」
この世界のファントムが現れたことに、この世界のラブリー達が声を上げる。
「それだけじゃない...この気配は臨獣殿の!」
臨獣殿の気配を感知した誠司が向けた視線の先に、一体のリンリンシーが居た。
「我輩は臨獣殿一の天才にして、マッドなエンジニア。臨獣トータス拳のメカでまんねん!」
「やっぱり他にも臨獣殿の残党がいたのか!」
サイアークが臨獣拳を使った事から、それを仕込んだ者がいると誠司には分かっていた。
「あなた達、何を企んでいるの!?」
不気味に笑うメカに対し、ラブリーが問い詰める。
すると、メカは懐からある物を取り出した。
それは誠司に取って、見覚えのありすぎる物だった。
「この慟哭丸の持つ力を、とってもいい事に使うでまんねん」
メカが取り出したのは、スクラッチ社から盗まれた慟哭丸だった。
「慟哭丸!?お前達、それがどういう物か分かっているのか!」
誠司の問い掛けに、メカが答える。
「確かに無限龍は恐ろしい、奴に復活されては困りまんねん。だが、あるお方の力によってこの慟哭丸は力を抑えられている」
「それによって、封印したまま無限龍の力を使えるんっだッチャ」
メカの説明に、ヌンチャクサイアークが続く。
「そんな事、私達がさせない」
ラブリー達が構えると、メカ達も構えた。
「リンシーズ!」
大量のチョイアークの他に、メカがリンシーズも召喚する。
「三幹部は私達で相手するわ!」
「あなた達はチョイアークとリンシーズを!」
ラブリー達はそう言うと、ラブリーとプリンセスはナマケルダに。
ハニーはホッシーワ、フォーチュンはオレスキーと対峙する。
「誠司!よく分からない敵もいるから、今回は離れてて!」
「わ、分かった」
この世界のラブリーに言われ、この世界の誠司は流石にその場を離れた。
「あれ?あいつ何処いった?」
その時、この世界の誠司はもう一人の自分が何処にも居ないことに気づいた。
☆★☆★☆★
「さて、俺は誰と戦うか...ッ!?」
ファントムは、出て来たからには誰かと戦おうと思った。
だがその時、自分に向けられた殺気に気づいた。
先程までファントムが居た場所に、剣が振り下ろされた。
「お前は...」
ファントムの前に現れたのは、プリンセスセイバーを手に持った誠司だった。
「悪いが、お前は俺の相手をしてもらうぞ」
ファントムが知っている相楽誠司は、何の力も持たない只の一般人だ。
だが、今目の前にいる相楽誠司からは物凄い覇気を感じる。
ファントムは油断する事無く、剣を構える。
今、誠司とファントムの戦いが切って落とされた。
別の場所では、ラブリーとプリンセス、そしてナマケルダが戦っていた。
「はあ!」
「フッ!」
ラブリーが突きを放つと、ナマケルダが持っていたステッキでガードする。
「はあっ!」
すかさずプリンセスが、ナマケルダにキックを放つ。
ナマケルダは後ろに飛ぶことで、プリンセスのキックを避ける。
攻撃を避けられても、プリンセスは諦めることはしなかった。
「もう一回行くよ!ラブリー!」
「オッケー!」
すると、今度は同じタイミングで攻撃を仕掛ける。
ラブリーは右拳で、プリンセスは左拳で突きを放つ。
まったく同じタイミングで攻撃された事で、ナマケルダは対処に戸惑った。
何とか2人の攻撃をステッキでガードしたナマケルダだったが、今度は左右から同じタイミングで腹部に膝蹴りを放った。
「ぐっ」
前のめりになったナマケルダの顔面に、2人がまた同じタイミングで回し蹴りを放った。
「ぐはっ」
2人の蹴りを喰らい、ナマケルダは吹っ飛ばされる。
「くっ...何なんですか、何で即席でこんな連携が取れるんですか!」
蹴られた顔を押えながら、ナマケルダは立ち上がりながらも2人が連携を取れていることに不思議に思った。
ナマケルダが知っているラブリーとプリンセスは、ここまで連携を取る戦いを見せたことがなかった。
ナマケルダは勿論、この世界のプリキュア達も知らない事だが、修行で組み手を行う時はめぐみとひめは常にお互いを相手にしていた。
常日頃から知った動き同士、この程度の連携は出来て当然だった。
☆★☆★☆★
別の場所では、ハニーはハニーバトンやハニートンファーを使わず、素手のみでホッシーワの相手をしていた。
「お穣ちゃん、お得意の歌やバトンを使わなくてもいいの?」
ホッシーワは攻撃を避けながらも、ハニーに対して挑発する。
「ええ、1つの事に秀でてても他が疎かになってたら、彼に追いつく事なんか出来ないから!」
ハニーはそう言いながら、拳を構えなおす。
「何よそれ、意味分かんない!チョイアーク!」
ホッシーワは、さらにチョイアークを召喚する。
「悪いけど、私野蛮な事は嫌いなの。あんたはそいつらの相手をしてなさい」
そう言って、ホッシーワは少し距離を取り、高みの見物を始めた。
「だったら...」
ハニーも距離を取ると、1つの武器を召喚する。
「あら?あんな事言っといてもうバトンを使うのかしら?」
ホッシーワが挑発するが、ハニーが召喚した武器はホッシーワが知っている物では無かった。
「ハニートンファー・ロングバトン!」
ハニーが召喚したのは、スクラッチ社が開発したハニー・トンファーだった。
「はぁ!?何よそれ」
自分の知らない武器を取り出した事に、ホッシーワは驚愕する。
「行くわよ!」
ハニーがプリキュアの力を込めると、ロングバトンに内臓されているモーターが回転する。
ハニーはロングバトンを振り回し、チョイアークを攻撃する。
「はい!はい!はい!はい!」
下からの振り上げ、体を回転させたなぎ払い、腹部に放たれた突き、足に攻撃し相手を転ばせる。
「ふっ!」
止めに転ばしたチョイアークに、大振りの振り下ろしが繰り出される。
「チョ、チョイー...」
ハニーのロングバトンによる攻撃で、チョイアークは全て浄化されてしまった。
「ちょっ!何よこいつ!」
いつもの歌やフォームチェンジによる浄化ではなく、武器のみによる攻撃でチョイアークは浄化された。
ホッシーワが知っているハニーからは、思いもよらない攻撃だった。
「はぁ!」
呆然とするホッシーワに、ハニーは一気に距離を詰める。
勢いを利用し、ハニーはホッシーワの腹部にロングバトンの突きを放った。
「ぐはっ」
「はい!」
ハニーは腹部にロングバトンを食い込ませ、上に放り投げた。
「きゃああああ!!」
高く放り投げられたホッシーワは、悲鳴を上げながら落下する。
「痛ーい!」
お尻から落下したホッシーワは、放り投げたハニーを睨み付けた。
「もう!何なのよ!あんた!」
「ふふふ、あたしを甘く見てると痛い眼を見るわよ」
☆★☆★☆★
また別の場所では、フォーチュンとオレスキーの戦いが始まっていた。
「はあああああ!!」
「うおおおおお!!」
雄たけびを上げながら、拳を交える。
「はあああああ!!はあ!!」
「ッ!?」
均衡する2人だったが、均衡を崩したのはフォーチュンが先だった。
フォーチュンは思い切り拳を振りぬくことで、オレスキーの拳に勝ったのだ。
オレスキーはそのまま後ろに吹き飛び、膝をついた。
「ハハハハハ!さすがはキュアフォーチュンと言った所か!」
強い敵と戦えるのが嬉しいのか、オレスキーはフォーチュンを褒め始めた。
「あなたに褒められても嬉しくないわ!」
そう言いながら、フォーチュンは油断する事無く拳を構える。
「だがなぜ戦う?あいつらの話では、お前達はこの世界の人間では無いだろう。関係ないお前達が何で戦う必要がある?」
オレスキーにとって、それは至極真っ当な質問だった。
自分の世界を守るのはまだ分かるが、自分達の世界とまったく関係ない別の世界の為になぜ戦うのか。
それがオレスキーとって、分からない事だった。
「そんなこと関係ないわ!」
オレスキーの質問に、フォーチュンは答えた。
「何ぃ?」
「人を守りたいと思う気持ちに、世界の違いなんか関係ない!」
フォーチュンはさらに、拳を握る力が強くなる。
「フォーチュンファン!」
フォーチュンは今朝渡された、フォーチュンファンを召喚する。
「なんだそれは?」
見慣れない武器に、オレスキーは首を傾げる。
「悪いけど、ぶっつけ本番だから手加減は出来ないわよ!」
「何をごちゃごちゃと!フン!」
オレスキーが繰り出した拳を、フォーチュンは広げたフォーチュンファンで受け止めた。
「なっ!?」
自分の攻撃が扇のみで受け止められた事に、オレスキーは驚愕する。
「はっ!」
隙だらけとなったオレスキーに、フォーチュンはフォーチュンファンを横薙ぎにする。
「ぐあっ!」
「ふっ!」
フォーチュンは手を止める事なく、攻撃を続ける。
避けるオレスキーだったが、フォーチュンの繰り出す攻撃に見惚れていた。
オレスキーは、2つのフォーチュンファンを使い攻撃するフォーチュンが、桜が舞う中を踊るような幻想を見た。
それはまるで、"舞"のようだった。
「行くわよ!」
フォーチュンファンに自身のプリキュアの力、紫のエネルギーを纏わせる。
「プリキュア!
紫色の桜吹雪がオレスキーを襲った。
☆★☆★☆★
また別の場所では、この世界のプリキュア達とチョイアーク、そしてリンシーズが戦っていた。
プリキュア達の活躍によって全てのチョイアークは浄化されたが、リンシーズの数はあまり減ってはいなかった。
「なんなんやこいつら!」
「物凄いタフだよ~...」
リンシーズのタフさに、サニーとピースが愚痴を零す。
「それに、何か武術を使ってきますわ!気をつけて!」
リンシーズが使う臨獣拳に、ビューティは警戒を促す。
「チョワー!」
その時、リンシーズと戦っているラブリー達にヌンチャクサイアークが襲い掛かる。
ラブリーがヌンチャクサイアークの攻撃を防ぐが、防ぎ切れず後ろに吹き飛ばされてしまう。
「きゃあああああ!!」
『ラブリー!』
飛ばされたラブリーを心配し、この世界のプリキュア達が駆け寄る。
「大丈夫!?ラブリー!」
「うん、なんとか...」
プリンセスの手を借りて、ラブリーは起き上がる。
ラブリー達がヌンチャクサイアークを警戒する中、ヌンチャクサイアークは拳を構える。
「食らえ!臨獣トータス拳リンギ!」
目に見えない速度で、ヌンチャクサイアークはプリキュア達に攻撃する。
「
「ん?」
「あれ?」
攻撃を受けたプリキュア達だったが、体のあちこちを触るが何処も異常が無かった。
「全然効いて無いわよ!」
キュアマリンが腕を組み、ヌンチャクサイアークに宣言した次の瞬間。
「うっ」
いきなり全員が胸を押さえ、倒れだした。
「痛たたたっ」
「ぐぅぅぅぅぅ!」
「バーカ、ダメージを時間差で与える技だッチャ!」
痛む胸を押さえながら、プリキュア達は何とか立ち上がった。
「何なの?あのサイアーク」
「あんな技使うサイアークは初めてだわ」
見たことのない技を使うヌンチャクサイアークに、プリキュア達は警戒する。
「うわぁぁぁぁ!!」
プリキュア達の耳に、隠れていた筈の誠司の悲鳴が聞こえた。
全員が誠司を見ると、リンシーズに襲われているのが目に入った。
「誠司!」
「大変、助けなきゃ!」
全員が助けに向かおうとするが、行く手を他のリンシーズが阻んだ。
「こんな時に!」
「邪魔しないで!」
行く手を阻まれ、一番付き合いの長いラブリーとハニーが声を上げる。
「ほうら、早く助けないと大変なことになるまんねん」
メカの言葉を聞いて、ラブリーはもう一度誠司の方を見る。
ラブリーの目に、誠司の首を絞めて右手を貫手の状態で構えたリンシーの姿が映った。
その瞬間、最悪な光景を想像してしまう。
"死"
ラブリーの脳裏によぎったのは、そんな最悪な光景だった。
「ダメェェェェェ!!」
ラブリーが声を上げ、誰もがもう駄目だと思った次の瞬間!!
「リンギ!剛勇吼波!!」
ガオォォォォォ!!
一体のライオンが、その場にいたリンシーズを一掃した。
「ぐっ!」
いきなり自分を持ち上げていたリンシーが居なくなった事で、誠司は地面に落下してしまう。
「な、なんや!?」
突如リンシーズが倒された事で、メカは戸惑いを見せる。
『誠司!』
『相楽君!』
妨害がなくなったことで、ラブリー達は誠司に駆け寄った。
「誠司大丈夫!?」
「ゲホッゲホッ!な、なんとか...」
締め付けられていた首を押さえながらも、誠司は何とか返事をする。
「よかった...」
誠司が無事だった事に、全員が胸を撫で下ろした。
「でも、今のは一体...」
フォーチュンが先程のライオンについて考えていたその時だった。
誠司達の近くに、着地する人影があった。
それは誠司達を追いかけてきたラン達だった。
「何をしている誠司、あんな連中如きに遅れを取るとは」
理央がこの世界の誠司に話しかける。
「まったくだぜ」
「いつものお前ならゲキチェンジャーがなくても、リンシーズなんか簡単に倒せるだろうが」
ゴウとケンも、目の前の誠司を自分達が知っている誠司だと勘違いして話しかけた。
「せ、誠司この人達と知り合いなの?」
「い、いや、俺は知らないぞ」
いきなりの事で、ラブリー達は驚愕する。
『えっ!?』
だが、一番驚愕したのはその言葉を聞いたラン達だった。
「お、おい!嘘だろ!全員俺達の事忘れたのかよ!」
ケンが自分の事を指差し、声を荒げる。
「まさか、前の理央の時と同じように記憶喪失に!?」
自分達の事を知らないと言う誠司達を、ゴウは記憶喪失なのではと疑う。
そんな時だった。
『うわぁぁぁぁ!!』
何処からか、幻影帝国の三幹部。
ナマケルダ、ホッシーワ、オレスキーがラン達の目の前に吹き飛ばされてきた。
そして次の瞬間、ラン達は目を疑うものを目撃する。
「あっ!ランちゃん、皆!」
「来てくれたんだ!」
ラン達の目の前に現れたのは、もう一人のラブリー達がこっちに駆け寄ってきていた。
「ラ、ラブリー達がもうひとり!?」
「ど、どういうこと!?」
戸惑うラン達に、ハニーとフォーチュンが現在の状況を説明する。
「ここは私達の世界じゃなくて、別の世界なの」
「だからこの誠司君も、私達が知っている誠司君じゃなくてこの世界の誠司君なの」
ここが自分達が暮らしていた世界だと思っていた為、驚きは大きかった。
『まいったぜ...』
驚きのあまり、ゴウだけでなくケンと理央も額を小突く。
「いったーい!!もう何なのよ!」
その時、吹っ飛ばされてきたホッシーワが痛みで声を上げた。
「向こうの世界のプリキュア達は、こっちの世界のプリキュア達に比べると相当強いですぞ」
「それに、見慣れない武器まで使いやがる」
プリキュア達の強さに、ナマケルダとオレスキーは動揺を見せる。
「でも、こっちにはファントムという奥の手がいるのよ!」
まだファントムが残っている事に、自分が負けた事を棚に上げて鼻で笑いながら威張り始める。
「それで...その奥の手のファントムは今何処に?」
ナマケルダの呟きで、ホッシーワはこの場にファントムがいない事に気づいた。
「あれっ!?ちょっと!ファントムは何処に行ったのよ!」
『さあ?』
「もー!肝心な時に何処行ったのよー!」
頼りにしていたファントムがいない事に、ホッシーワは憤慨する。
そんな時だった。
三幹部の前に、何かが飛んできて砂煙が発生する。
「な、何!?」
「一体何が...」
目の前でいきなり砂塵が舞った事に戸惑う三幹部だったが、砂塵が晴れた瞬間3人は目を疑った。
なぜならそこには、背中から倒れているフォントムの姿があったからだ。
「なっ!?」
「ファ、ファントム!?」
ファントムがやられている事に、三幹部は動揺する。
ファントムは立ち上がるなり、先程飛んできた方を睨み付ける。
他の者達も、ファントムが睨らんでいる方向を見る。
するとそこには、プリンセスセイバーを手に持った誠司の姿があった。
「なっ!」
「嘘でしょ!!」
誠司の事をよく知らないこの世界の者達は、誠司がファントムを圧倒している事に驚愕する。
この世界の者達が驚愕する中、ファントムは剣を握る手に力を入れる。
「はあ!」
ファントムが剣を振ると、幾つもの横一文字に放たれた斬撃が誠司を襲う。
だが誠司は、慌てることなくプリンセスセイバーを構えた。
「プリンセスセイバー・ゲキワザ!」
誠司はプリンセスセイバーに激気を纏わせ、ゲキワザを発動する。
「水流破!」
プリンセスセイバーを生じさせ、連続で振り回しファントムが放った斬撃を切り付ける。
本来、ゲキチェンジャーによって激気を増幅させ威力を増している為、どうしてもいつもより威力が劣ってしまう。
それでも、ファントムの斬撃を切るには十分の威力だった。
ファントムの放った斬撃は、全て真ん中から両断され分散し消滅する。
攻撃を無力化され、ファントムは驚いた。
だが、流石はプリキュアハンターと呼ばれるだけはあり、直ぐに冷静さを取り戻し瞬間移動で誠司の死角に移動し、剣を振り下ろした。
ガギン!!
「なっ!?」
瞬間移動を予想していたのか、誠司は前を向いた状態で死角から放たれた一撃を受け止めた。
流石のファントムも、驚愕を見せた。
「ハアッ!ハアッ!ハアッ!ハアッ!」
誠司の縦横無尽に繰り出される攻撃に、ファントムは成す術が無かった。
「ハアッ!」
最後に、ファントムの顔に回し蹴りが放たれた。
「ぐあっ」
誠司の回し蹴りを受け、ファントムは後ろに後ずさる。
「波波斬!」
プリンセスセイバーが横一線に放たれ、ファントムはまたも吹き飛ばされる。
「ハァー!砲砲弾!」
ゲキタイガーがファントムを襲い、ファントムは地面に倒れた。
「ファントムがやられただと!?」
「ちょっとー!あのファントムが負けるなんて、一体何者なのよ!」
ファントムが倒れたことに、三幹部は驚く。
メカとヌンチャクサイアーク以外がやられた事で、今まで動かなかったメカが動き出した。
「こうなったら、奥の手を使うでまんねん!」
奥の手という言葉を聞き、誠司達は警戒する。
誠司は慟哭丸の存在を知っている為、一番警戒する。
三幹部とファントム、そしてメカとヌンチャクサイアークは一箇所に集まる。
「奥の手ですって...」
「一体何を...」
警戒する誠司達だったが、次のメカの台詞で全員が脱力する。
「戦略的撤退まんねん!」
そう言って、メカ達はテレポートでその場からいなくなった。
☆★☆★☆★
メカ達が逃げた後、誠司達はラン達を連れ大使館に戻った。
「平行世界ねぇ...」
「要するに、もしもの世界に飛ばされたって事か」
先程めぐみ達から説明を受けたが、誠司から改めて説明をした。
「それにしても...これがこの世界の誠司か!」
ケンはこの世界の誠司に近づき、肩に手を回した。
「なあ、お前好きな人はいるのか?」
「えっ!?」
この世界の誠司はケンの言葉に戸惑い、チラッとこの世界のめぐみを見て直ぐに視線を逸らした。
その動作を、ケンは見逃さなかった。
「なるほどな~、良かったら俺が女の子の口説き方を教えてやろうか?」
「ていっ!」
「あいたっ」
ニヤニヤしながらこの世界の誠司に絡むケンを、ゴウが頭に一撃を入れて引き剥がした。
「この世界の誠司を困らせるな」
「フレンドシップだろうが」
ゴウが注意するが、ケンは気にもとめていなかった。
「それにしても、あいつらが慟哭丸を盗んでいたなんてな」
ケンに呆れながらも、ゴウは話を進める。
「ああ、事態は深刻だ」
深刻そうに話す誠司達に、この世界のめぐみが話しに入った。
「あの~、さっきのメカって人も言ってたけど、慟哭丸って何なの?」
この世界のめぐみの質問に、誠司が答える。
慟哭丸に封印されているロンのこと、獣拳のこと、かつて誠司が別の世界に飛ばされスーパー戦隊として、ロンを封印する為に戦っていたこと。
「あの玉がそんな危険な物だなんて...」
「じゃあ、あの慟哭丸がヌンチャクサイアークに使われたら...」
誠司の説明で、この世界のプリキュア達は慟哭丸の危険性を知る。
「恐らく、今まで以上の力を手に入れるだろうな」
「そんな...」
誠司の言葉に、この世界のプリキュア達は言葉を失う。
「それを阻止するためにも、慟哭丸を絶対に取り戻さなきゃ!」
ランが落ちている士気を戻すために、やる気を見せる。
「やつらは力をつけ、必ずまた攻め込んでくるわ」
「だったら、そこを迎え撃って今度こそうちのめす!」
リンとゴウの言葉を聞いて、めぐみが拳を握った。
「よーし、皆で頑張ろう!」
『おう!』
めぐみの言葉に、誠司達が答える。
「そっちの私達は凄いね」
「でも...今の私達じゃメカや、さらに強くなったヌンチャクサイアークには...」
誠司達が士気を上げようとするが、ヌンチャクサイアークに手も足も出なかったこの世界のプリキュア達は、今のままじゃ足手まといだと思い込む。
そんな中、この世界の誠司が誠司達に近づいた。
「なあ、お前達の獣拳の修行させてくれ」
「獣拳の修行するのか、お前が?」
この世界の誠司の申し出に、この世界のめぐみ達だけでなく誠司達も驚いた。
「ああ!」
この世界の誠司の言葉を聞き、この世界のめぐみ達が顔を見合わせる。
「そうだね!私達も修行お願いします!」
『お願いします!』
この世界のめぐみを筆頭に、プリキュア達全員が頭を下げた。
「オッケー」
こうして、この世界のプリキュア達と誠司の獣拳の修行が始まった。
☆★☆★☆★
「まったく、大きい口を叩いていた割りにすぐ戻ってきたのね」
そう告げるクイーンミラージュの前には、戦略的撤退を行ったファントムと三幹部が跪いており、その近くにはメカ達が立っていた。
「申し訳ございません」
「別の世界のプリキュア達が、思いのほか強くて...」
そこで、メカがクイーンミラージュの前に出た。
「心配する必要はないでまんねん。今回撤退したのは理由があるでまんねん」
「理由?」
メカは慟哭丸を取り出す。
「この慟哭丸を使う前に倒されては困るので、今回は撤退したでまんねん」
メカの言葉に、クイーンミラージュは顔をしかめる。
「この前も同じ事を言っていたけど、そんな物役に立つのかしら?」
「百聞は一見にしかずだまんねん」
そう言って、メカはヌンチャクサイアークに向き直った。
「慟哭丸セット」
メカはヌンチャクサイアークに慟哭丸を埋め込んだ。
「ぬぬぬぬぬぬ!」
ヌンチャクサイアークの目が光り、オーラのようなものがその体を包んだ。
「アチャー、ホワチャー、アチャチャチャー!」
オーラを包んだヌンチャクサイアークは、その場でヌンチャクを振り回した。
「これからは再び臨獣殿の天下、わしが新世界の亀、いいや神となるまんねん!」
メカはそう言うと、ヌンチャクサイアークを連れてその場から出て行った。
はい、如何だったでしょうか!
今回、フォーチュンのオリジナル技のアイデア提供して頂いた読者の方、本当にありがとうございます。
また、感想の返信が出来ず誠に申し訳ございません。
今後、感想を書く際に返信の有無を書いて頂けると幸いです。
さて、やっとラン達と合流できました!
最初は、ゴーオンジャー対ゲキレンジャーの理央とメレが登場するシーンにしようと考えていたのですが、それだと終盤になってしまうのでやめました。
そして今回、異世界のファントムと生身の誠司の戦いですが、誠司が強すぎる描写になってしまいましたが、今更だと思い気にするのをやめました。
そして次回でオリジナル劇場版最終話になります。
その後の展開も考え、今回は短くなってます。
巨大戦では、VSシリーズあるあるとプリキュア劇場版あるあるを1つずつ出します。
お楽しみにして下さい。
それでは次回、第25話もしくはアクセル・ビルド第9話でお会いしましょう!
それじゃあ、またな!
ゲキレンジャーの原作の話をハピネスチャージの1話より前に、加えようと思っています
-
ゲキレンジャー側での誠司の活躍が見たい!
-
今のままで、充分