ハピネスチャージプリキュア 激獣拳使いの幼馴染み 作:ナツ・ドラグニル
そして、新年明けましておめでとうございます。
と言っても、既にもう一月も終わりなのですが...
長らく待たせてしまい、申し訳ございませんでした。m(_ _)m
なぜ遅くなったかは、後書きで話させて頂きます。
それでは、第30話をどうぞ!
ここは、ブルースカイ王国にある城の一角。
そこでは、2人の人物がクイーンミラージュ達に内緒で密談を行っていた。
1人はツトコウ、そしてもう1人は何と人間だった。
整った顔に髪の毛がロン毛の黄緑色で、緑色のTシャツとジーンズを着た高身長の男だった。
「???、次はお前が行け」
ツトコウの言葉にその男は頷き、その場から消えた。
「フフフ...悲願の第一歩ですねドン様」
思慕した表情でそう呟きながら、ツトコウもその場から消えた。
☆★☆★☆★
『お世話になりました』
誠司達は、滞在していたコテージに向けお礼を告げる。
昨日までは晴天に恵まれていたにも拘らず、今日は生憎の曇り空が広がっていた。
「楽しかったね!合宿~!」
「うん。みんなで美味しいご飯もたくさん食べられたし~」
めぐみの言葉に、ゆうこも同意する。
「でも、疲れたよ~。早くぴかりが丘に帰ろう」
と、嘆くひめ。
「それじゃ駅までマラソンね」
「え―――っ!!」
そう言い出したいおなに、ひめはショックを受ける。
「そんな声出さないの!結構遊んじゃったせいで特別メニューを半分もこなせなかったんだから」
いおながひめに指摘するが、誠司もいおなに指摘する。
「いおなが一番楽しんでなかったっけ?」
「何のことかしら?」
「目を逸らすな」
誠司の指摘に、いおなは目を逸らしながらしらばくれる。
「さぁ、駅まで走るわよ!」
――話を逸らしたな、と誠司は心中で呟いた。
「おー!家に帰るまでが合宿だね!」
走るように促すいおなに、ゆうこが乗った。
他の皆、誠司とひめ以外も乗り気だった。
「じゃあさ、最下位にはジュースを奢って貰おうぜ!」
「お、いいなそれ」
「決まりね!」
ケンの提案に、ゴウとランも乗った。
「えー!!」
そこで、この中で一番の最下位の可能性があるひめが声を上げた。
「よーし、レッツゴー!」
ひめを除いたプリキュア組が駆け出した。
「何それー!」
叫ぶひめだったが、その横で鏡の中からブルーが声を掛ける。
「僕は一足お先に失礼するよ」
そう言って、ブルーは去っていった。
「ずるい!」
自分達を置いて簡単に戻ったブルーに、ひめは不満そうに叫んだ。
「俺達も行くぞ!」
ケンの掛け声で、めぐみ達の後を追う為に駆け出した。
「もう待ってよー!」
残されたひめと誠司だったが、ひめも遅まきながら追いかける。
誠司も走ろうとしたその時だった、後ろから視線を感じ振り返った。
しかし、振り返った先には誰もいなかった。
「気のせいか」
そう考えて、誠司も走り出した。
その誠司の後ろ姿を、コテージの上で1人の男が見ていた。
☆★☆★☆★
ぴかりが丘に帰る電車の中、誠司以外のメンバーは疲れているせいか全員が眠っていた。
その中でも理央とメレは、イナの戦いで神経を使いすぎた為に深い眠りに入っていた。
「ん...」
外を見ていた誠司だったが、ゆうこが目を覚ました。
「ん...ここ何処?」
まだ寝ぼけているのか、ゆうこは半目になりながらも辺りを見渡す。
「今やっと半分まで来た所だけど、ぴかりが丘まではまだ掛かるからもう少し寝てて良いぞ」
ゆうこは大きい欠伸をすると、誠司に質問する。
「誠司君はずっと起きてたの?」
「あぁ、俺はずっと寝てたからな。皆ほど疲れないし、誰か起きてないと寝過ごしちゃうだろ」
「そっか...」
そう言うと、ゆうこは喉が渇いたのか水筒の水を飲もうとする。
しかし、いくら傾けても水筒の中から水が出て来なかった。
「もっと計画的に飲めよな」
その様子を見ていた誠司は、ゆうこをからかう。
「むー...」
誠司に揶揄われたからか、ゆうこは膨れっ面になる。
「喉乾いた...」
寝起きだからか、口の中がネバついているせいで余計飲み物が欲しいみたいだった。
「飲み物で思い出したが、ジュース奢り宜しくな」
その言葉で、ゆうこは更に膨れっ面になる。
先程の駅までの競争は、なんとゆうこがビリだった。
はっきり言って誠司はひめがビリッ決になると思っていたが、意外にも1位だった。
余程ビリが嫌だったのか、何処にそんな体力があったんだと思うぐらいの火事場の馬鹿力を発揮した。
ひめがトップを走った事に驚いた誠司達も、手を抜いて走っていたが本気で走り始めた。
そのせいで、めぐみとゆうこといおなの3人で最下位争いする事になった。
その結果、ゆうこが最下位になってしまった。
「まさか私が最下位になるとは...」
「まぁ、失礼な話。俺もひめが最下位になると思ってたからな」
そう言って誠司は、ゆうこの隣に座るひめに視線を向けた。
余程疲れたのか、ぐでーっと椅子に寄りかかっている。
その時、乗っていた電車が駅に停車した。
「ちっちゃい駅だね」
「無人駅みたいだな」
駅の職員がいない事から、誠司はそう分析する。
名前は体を表すはよく言った物で、その駅の名前は『ちいさい駅』という名前だった。
「あっ!自動販売機があるよ!」
ゆうこが指を差す先を見ると、確かに自動販売機が1台設置されていた。
「買いに行こう!」
ゆうこは立ち上がると、誠司の腕を取って立ち上がらせた。
「なんで俺まで?」
「皆のジュースも買うなら、私ひとりじゃ持てないでしょ」
そう言って、ゆうこは誠司を連れて自動販売機まで移動する。
この時、立ち上がる際にゲキチェンジャーが懐から落ちた事に誠司は気付かなかった。
「さてと...」
自販機の前まで移動したゆうこは、何を買おうか思考している。
その間、誠司は自販機のラインナップを見ていた。
『お茶』
『レモンティー』
『プリンセス』
『アボカド100%ジュース』
『おしるこソーダ』
『ハバネロスカッシュ』
普通の飲み物から、ゲテモノの飲み物まで色々揃っており誠司は頬を引き攣らせた。
「まず私はお茶かな」
ゆうこがお茶のボタンを押すと、自販機に搭載されているルーレットが回り出した。
ピッピッピッピッと回り出したルーレットは、なんと当たりで停止した。
『当たり!おまけがもう1本!』
「え!」
当たりが出た事に、誠司は怯む。
「やった!じゃあ今度はひめちゃんに、このプリンセスを」
ジュースが出てくると、またルーレットが回り出す。
『また当たり!』
「何!?」
当たりが連続で出た事に、誠司は驚く。
「わぁ!」
対照的にゆうこは当たりが出た事に、純粋に喜ぶ。
「じゃあ今度は、ケンさんにこのハバネロスカッシュを!」
ジュースが出る、そしてまた当たりが出る。
『また当たり』
ジュースが出て、当たりが出る。
いつのまにかゆうこがジュースを回収して、誠司がボタンを押すという無限ループが起きていた。
誠司は困り気味になる。
「いつまで続くんだ」
「外れるまでだよ」
その時、電車からベルの音が響いた。
「あ、電車が出るぞ」
「でも、まだ当たって」
「いいから」
名残惜しそうにするゆうこを、誠司は手を取って電車へと戻る。
しかし、誠司達は電車に乗る事が出来なかった。
「行っちゃた...」
「まったく仕方無いな。ここは1つ、プリキュアになった私がひとっ飛びして電車に追いついてあげる。このプリチュンミラーで!」
そう言って、ゆうこは手を上に掲げる。
「持ってないぞ」
しかし、誠司の言葉の通りでゆうこの手には何も握られていなかった。
「あれー?」
「それより、ゲキチェンジャーでラン達に連絡した方が早いだろう」
そう言って誠司はゲキチェンジャーを取り出す為に、懐を探る。
「ん?」
しかし、誠司がいくら懐を探ってもゲキチェンジャーの硬い感触が感じなかった。
「あれ!?」
可笑しいと思った誠司は着ていた上着を脱ぎ、バサバサと上下に振った。
「ない...」
「え!?何処に置いて来たの!?」
ゆうこの質問に、誠司は何処にあるのか思考する。
そして、数秒の沈黙が続いた後、2人してプリチュンミラーとゲキチェンジャーがある場所を思い至る。
『電車だー!』
2人の叫び声が、小さな駅に木霊する。
その時、電車内では誠司達が居なくなっている事に気づく事なく、めぐみ達は眠りについていた。
そして、誠司達が座って居た席にはプリチュンミラーとゲキチェンジャーが落ちていた。
☆★☆★☆★
ゲキチェンジャーを電車の中に落とした事に、誠司はショックを受ける。
「これからどうしよう?」
ゆうこの質問で我に返った誠司は、次の電車がいつ来るのかを確認する事を先決する。
「取り敢えず、時刻表を確認しよう」
誠司はゆうこを連れ、その駅に設置してある時刻表まで移動する。
だが、時刻表を見た誠司達は絶望した。
何故ならこの時刻表が正しければ、次の電車がくるのは5時間後だったからだ。
「なんてこった...まいったぜ...」
余りの出来事に、誠司は思わずゴウの口癖を呟いてしまった。
「次の電車は5時間後か...」
「そんなに待ってたら日が暮れちゃうよ...」
電車はもうあてに出来ないと思い、周りを見渡す。
「どうしたの?」
「公衆電話を探してるんだよ。大使館に連絡すればブルーが迎えに来てくれるだろうし、何もしないで待ってるよりはいいだろう」
そう言って、誠司はポッケから100円玉を取り出してゆうこに見せる。
「そうだね」
誠司達はその後、公衆電話を探すために駅から離れ田舎道を歩いて行く。
☆★☆★☆★
その頃、目を覚ましためぐみ達は誠司とゆうこがいなくなっている事に、ようやく気づいた。
2人が座って居た席には、誠司のゲキチェンジャーとゆうこのプリチュンミラーのみが残されていた。
めぐみ達は急いで電車から降り、プリキュアに変身し空を飛んで来た道を引き返す。
ラン達もゲキレンジャーに変身し、後を追いかける。
「誠司ー!ゆうゆうー!」
見回しながら2人の名前を叫ぶラブリー達、休憩がてら先程まで誠司達がいた小さい駅に着地する。
「ここにもいない」
「誰にも気付かれず電車から消えるなんて、ミステリーなんだぜ」
そう考えるぐらさんだったが、フォーチュンが指摘する。
「気付かなかったのは全員寝てたからでしょう?」
「うっ...」
そこで、ラン達もめぐみ達の近くに着地する。
「取り敢えず、この近くで誠司達を見た人がいないか探してみましょう」
ランはそう言うと、変身したままでは聞き込みが出来ないと考え変身を解く。
「そうだね」
ランに続き、めぐみ達も変身を解いた。
「でも、こんな所に人なんているのかな?」
変身を解いたひめが、もっともな意見を述べる。
「うーん、あっ!」
考えるめぐみだったが、何かを見つけたのか声を上げた。
「すみませーん!!」
いきなり大声を出しためぐみに驚いたラン達だったが、めぐみの視線の先を見て合点がいった。
近くの田んぼの中で、作業している人を見つけたのだ。
その人は作業している手を止めて、めぐみ達に近づく。
「どうかしたのかい?」
作業していたのは、優しそうなおばあちゃんだった。
「この辺りで、私達と同い年ぐらいの男の子と女の子を見ませんでしたか?」
全員を代表して、めぐみが質問する。
「ごめんなさいね、最近物忘れが激しくて余り覚えてないのよ。その子達の写真か何か持ってないのかい?もしかしたら見たら思い出せるかもしれないから」
おばあちゃんの言葉に困惑するめぐみ達、流石のめぐみ達も常日頃から誠司の写真など持っていないからだ。
「あっ!ちょっと待って」
そう言って、声を上げたのはリンだった。
リンはカバンの中から、いつも持ち歩いているスケッチブックを取り出した。
そこでめぐみ達は、以前描いた誠司の似顔絵でも見せるのだろうと思った。
しかし...
「はぁっ!」
リンは気合を入れると、ペンを持ち白紙のページに何かを描き始めた。
シュババババッと、物凄い勢いで何かを描いていく。
描き終わった後、おばあちゃんに描き上げた絵を見せる。
「こういう顔です!」
白紙だった画用紙には、誠司の似顔絵が描かれていた。
『すげぇ―――!!』
急いで書いたにも拘わらず、写真のような出来栄えの似顔絵を描いた事に、ゴウとケンは驚愕した。
「兄さん、今までどれだけ誠司の顔を見てきたと思ってるの?私だってね、成長してるのよ」
「いや!もうそれ成長って言うレベルじゃない!なんかもう怖い!」
兄妹のやり取りを他所に、似顔絵を見せて貰ったおばあちゃんは誠司の顔を見て思い出す。
「ああ~、この子だったらさっき見たわよ。1人の女の子を連れてあっちの方に行ったわよ」
おばあちゃんが指差したのは、森の方に続いている一本道だった。
「おばあちゃんありがとう!」
教えてくれたおばあちゃんにお礼をいっためぐみは、森に向かって走っていく
☆★☆★☆★
「ねぇ、全然公衆電話見つからないけど大丈夫?」
「う~ん。小さな駅だったけど、少し離れれば民家とかコンビニとか見つかると思ったんだけどな...」
そう言って歩き続ける誠司達だったが、田舎のせいか建物自体が見当たらなかった。
それ所か、どんどん森の中に入ってしまっていた。
「うっ!!」
しばらく歩いていた誠司達だったが、いきなりゆうこがお腹を押さえ座り込んでしまった。
「どうした!?ゆうこ!」
何処かケガしたのかと思い、駆け寄った誠司だったが。
ぐうぅぅぅぅ!!
という音が、ゆうこのお腹から聞こえた。
「お腹すいた...」
「お前な...」
その言葉を聞いて、誠司は脱力する。
「だ、大丈夫!こんな時こそ、ハニーキャンディがあれば」
入れ物からハニーキャンディを取り出そうとしたが、中には1つも入っていなかった。
「あれっ!?」
入れ物を逆さまにして振ってみるが、やはり中には何も入ってなかった。
「何で......あっ!」
そこでゆうこは、帰りの電車の中で皆にハニーキャンディを配った事を思い出す。
「そんなぁ...」
食べ物が無いと分かると、ゆうこは余計にお腹が空いてきた。
「しょうがねぇな」
誠司はゆうこの前で屈み、背中を向ける。
「ほら、おんぶしてやるよ」
「え!?」
流石のゆうこでも、おんぶして貰うのは恥ずかしいようだった。
「良いよ、別に!」
わたわたと手を動かし、おんぶを拒否するゆうこだったが。
「そうは言っても、その状態じゃ動けないだろ」
誠司に痛い所を指摘されてしまった為に、ゆうこはしぶしぶ後ろから抱き着いた。
「よいしょっと、しっかり捕まってろよ」
誠司がゆうこを持ち上げると、ゆうこは落ちない様に首に手を回す。
「ねぇ誠司君、私重くない?」
ゆうこも1人の女の子、特に好きな人には気になってしまう事を確認する。
「鍛えてるから大丈夫だよ」
欲しい答えとは全く違う回答に、ゆうこは不満に思う。
「取り敢えず、駅に戻るぞ」
「そ、そうだね...」
返事をするゆうこだったが、本人はそれ所では無かった。
密着している事で先程からうるさい心臓の音が、誠司にも聞こえてしまうのではないかと心配になってしまう。
それに加え、ゆうこはおんぶされるのは久しぶりの感覚だった。
昔誠司にもおんぶをして貰った事はあるが、その時と比べると激獣拳をやっているだけあって、背中が凄く逞しかった。
逞しくなったその背中に身を預けたゆうこは、途端に意識しだしてしまう。
「(って!何考えてるのよ私!誠司君は善意でやってくれてるのに)」
首を横に振り邪念を取り払おうとするゆうこだが、いきなり頭を振った事で疑問に思った誠司がゆうこに質問する。
「どうかしたのか?」
「な、なんでもないよ!」
誤魔化された誠司だったが、ゆうこの赤くなった顔を見て追及を辞めた。
そんな時だった。
ザザっと誠司達の周りを、チョイアーク達が囲む。
だが、誠司達を取り囲んだチョイアーク達は何時もと違って髪型をリーゼントに変えていた。
「お前達は!」
いきなりチョイアークに囲まれた事に、誠司は驚く。
「みーちゃった。こんな所でイチャついちゃって~」
嫌味を言いながら、ホッシーワが誠司達の前に現れる。
「ホッシーワ!」
「見せ付けてくれるじゃない。私、不愉快!サイアーク!」
ホッシーワが手を上げる合図を送ると、誠司達の前にリーゼントのサイアークが降り立った。
「今はプリキュアになれないのにどうしよう!」
プリキュアに変身出来ない事に、慌てるゆうこ。
変身出来なければ、ゆうこは只の女の子。
しかし、誠司は慌てなかった。
誠司はゆうこを静かに降ろし、ホッシーワ達に対峙する。
「誠司君、どうするの?」
「どうするもこうするも、戦うしかないだろ」
普通なら生身で戦うのは危険だが、ゆうこは誠司が生身でも強い事を知っていた。
「ふっ、はぁ!」
殴りかかってきた一体のチョイアークの攻撃を受け流し、逆に腹部に正拳突きを放つ。
「へぇ、流石はゲキレッドね。でも...これならどうかしら?」
パチンッとホッシーワが指を鳴らすと、数人のチョイアークがゆうこに攻撃を仕掛ける。
「なっ!?」
誠司は急いでゆうこの元に駆け寄り、代わりに攻撃を受ける。
「ぐっ!」
「誠司君!」
自分のせいで誠司が傷ついた事に、ゆうこは動揺する。
そしてこの時、誠司自身も自分の判断ミスを悔やんでいた。
今のゆうこは戦えないのは明白、相手を倒すことを優先してしまった為にゆうこを危険な目に会わせてしまった。
いくら強い誠司でも、自分達を囲む程の数のチョイアーク相手にゆうこを守りながら戦うのは無理があった。
それでも、誠司は一歩も引かない攻防を繰り広げる。
「いつまで守り切れるかしら?早く何とかしないとあなたが倒れるわよ」
「その必要はないわ!」
余裕ぶっているホッシーワだったが、そこに誠司でもゆうこのでもない声が響く。
「瞬瞬弾!」
ニャアアアアアア!!
「転転弾!」
シャアアアアアア!!
誠司達を囲んでいたチョイアークを、ゲキチーターとゲキジャガーが一掃する。
「ちょっと!何よこれ!?」
一瞬でチョイアーク達が倒された事に、ホッシーワは驚愕する。
「誠司、ゆうゆう、大丈夫!?」
そこに、めぐみ達が駆け付けた。
「めぐみちゃん!みんな!」
「みんな、どうやってここに?」
自分達の居場所が分かった事に、誠司は疑問に思った。
「お前達を見かけた人が居たんだよ」
「マジかよ...」
ゴウの言葉に、誠司は人が居た事の方に驚いた。
「誠司、ゆうこちゃんこれを」
ランが誠司にゲキチェンジャーを、ゆうこにプリチュンミラーを渡す。
「サンキュー」
「ありがとう!」
変身アイテムを受け取った誠司達は、横並びで並び立つ。
「あと少しで良い所だったのに!許さないわよ!」
「許さないはこっちの台詞よ!」
誠司を傷つけられた事で、ゆうこはお腹が空いてた事を忘れる程に怒りを見せていた。
「皆!チェンジよ!」
『おう!』
ゆうこの掛け声を合図に、全員が構える。
『かわルンルン!』
『プリキュア!くるりんミラーチェンジ!』
「プリキュア!きらりんミラーチェンジ!」
『たぎれ!ケモノの力!』
「響け!ケモノの叫び!」
「研ぎ澄ませ!ケモノの刃!」
「臨獣ライオン拳!」
「たぎりなさい!爬虫類の力!」
『ビースト・オン!』
「臨気凱装!」
「エプタイル・オン!」
光に包まれてめぐみ達がプリキュアに、ゲキスーツと鎧を纏い誠司達がゲキレンジャーに変身する。
「大地に実る、命の光!キュアハニー!」
「世界に広がる、ビックな愛!キュアラブリー!」
「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」
「夜空に煌めく、希望の星!キュアフォーチュン!」
『ハピネス注入!』
『幸せチャージ!』
『ハピネスチャージプリキュア!』
いつも通り名乗るラブリー達だったが、何時もと違いハニーとラブリーの位置が逆になっていた。
「身体に漲る、無限の力!アンブレイカブル・ボディ!ゲキレッド!」
「日々是精進、心を磨く!オネスト・ハート!ゲキイエロー!」
「技が彩る、大輪の花!ファンタスティック・テクニック!ゲキブルー!」
「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアン・ウィル!ゲキバイオレット!」
「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」
「猛き事、獅子の如く!強き事、また獅子の如く!我が名は黒獅子・理央!」
「理央様の為に、新たな力を得た新ラブウォリアー!臨獣カメレオン使いのメレ!」
「燃え立つ激気は、正義の証!」
『獣拳戦隊ゲキレンジャー!』
名乗りを上げるゲキレッド達だったが、サイアークは気にせずリーゼントの手入れをしていた。
「さっきはよくもやってくれたな!借りは返させてもらうぜ!」
「そうよ!許さないんだから!」
先程まで一方にやられていたゲキレッドとハニーが、怒りを見せる。
「ふん!ぜーんぜん怖くなーい。サイアーク、やっちゃって~!」
尚も手入れを続けていたサイアークだったが、ブラシが詰まり歯が折れる。
「サイアーク!」
「行くよ、みんな!」
吠えるサイアークに、突撃するラブリー達。
ビュオオオオオッ!
何の前触れもなく、強風が発生する。
「な、なんだ!?」
ゲキレッド達は、突如発生した強風に飛ばされない様に耐える。
強風は発生した時と同じように、何の前触れもなくピタッと止まった。
「なっ...」
ゲキレッドは驚愕する、なぜなら先程までいなかったロン毛の男がホッシーワの隣に現れたからだ。
「なんだあいつ...」
「分からない、だが...只者じゃないぞあいつ」
突然現れた男に、ゲキレッド達は警戒する。
男はゆっくりと、腕を上げる。
ゲキレッド達が警戒する中、男は手をくいっと捻った。
『なっ!?』
突如として、ゲキレンジャー達の足元に竜巻が発生する。
『うわあああああっ!!』
竜巻に巻き上げられ、ゲキレンジャー達は飛ばされる。
「誠司!皆!」
「どうしよう?」
ラブリー達が飛ばされたゲキレンジャー達の心配する中、ホッシーワはいきなり現れた男に疑念を思う。
「あなた何者?」
ホッシーワは謎の男に質問するが、興味がないのか反応を示さなかった。
「ちょっと!何とか言いなさいよ!」
無視されたのが気に食わなかったのか、ホッシーワが謎の男に詰め寄った。
詰め寄られて流石に鬱陶しかったのか、初めて男が喋った。
「プリ何とかは好きにしろ、俺には関係ないからな」
男はそう言うと、姿を消した。
「何よあいつ!」
いきなり現れたと思ったら、ゲキレンジャーを連れ去ってまた消える。
意味の分からない事をした謎の男に、ホッシーワは憤慨する。
「まぁいいわ!ゲキレンジャー達が居ないならチャンスじゃない!」
ゲキレンジャーが居ない今、プリキュアだけなら勝てるかもしれないとホッシーワは考えた。
「やっちゃって!サイアーク!」
「サイアーク!」
ホッシーワの命令を受け、サイアークはラブリー達に向かう。
ラブリー達も、向かってきたサイアーク相手に構えた。
☆★☆★☆★
『うわあああああ!!』
突風に追い上げられたゲキレッド達は、プリキュア達からかなり離れた場所に墜落した。
ゲキレッド達は墜落した衝撃で身体を痛める中、理央は上手く着地して落下してきたメレをお姫様抱っこで受け止める。
「痛ったぁ―――!!」
ゲキチョッパーはお尻から落ちたせいか、痛みに耐えながら尻もちをついていた。
「ここは...」
何処かに飛ばされたゲキレッドは、辺りを見渡した。
ドガァァァァァン!!
遠くの方で、激突音が聞こえる。
「ラブリー達が戦ってるんだ、俺達も行くぞ!」
『おう!』
ラブリー達の元に向かおうとするゲキレッド達の行く手を、突如として発生した竜巻が阻む。
「まさか!」
辺りを警戒するゲキレッド達の前に、先程の男が現れた。
ここにゲキレッド達を飛ばした竜巻を発生させたのも、この男だった。
その為に、目の前で竜巻が発生したという事は男も近くにいるという考えに及んだ。
「何者だ、お前は!?」
誠司の問い掛けに、男は律義に名を名乗る。
「ゼカ、偉大なるあの御方に忠誠をしている者」
その言葉を聞いて、ゲキレッド達はかつてブルースカイ王国で出会ったツトコウの事を思い出した。
相手は見た目は只の人間だが、男の力を見てツトコウの仲間だという事を確認して警戒する。
「あいつらから手強い相手だと聞いてたが、大した事ないみたいだな?」
「何だとテメェ!!」
ゼカの挑発に、ゲキチョッパーが乗ってしまった。
「よせ!あからさまの挑発に乗るな!」
「うるせぇ!サイブレードフィンガー!捻捻弾!」
ゲキレッドの忠告を無視し、ゲキチョッパーはゼカに向かって捻捻弾を放った。
バババババン!!
力任せに放たれたそれは、幾つかはゼカの周りに着弾する。
しかし、ゼカ本人にはダメージを与える事は出来なかった。
なぜなら、ゼカに放たれた弾丸は殆どが避けられ、その内の一発を中指を内側に丸め親指で受け止めていた。
「なっ!?この野郎!」
自分の攻撃が効いてないだけでなく、完全に遊ばれている事に気付いたケゲキチョッパーはもう一度同じ攻撃を繰り出す。
先程と同じように、ゼカに向かって幾つもの捻捻弾が放たれた。
しかし、今まで受けに徹していたゼカが攻撃に転じた。
受け止めた捻捻弾に風を纏わせ、デコピンの要領でゲキチョッパーに向かって放った。
ゲキチョッパーが放った捻捻弾の数は数十発、それに比べゼカが放ったのはたった一発。
考えなくても、ゲキチョッパーが有利なのは間違いない。
しかしこの後、簡単に形勢が逆転してしまう。
ゼカが放った風を纏った捻捻弾が、ゲキチョッパーの捻捻弾に当たったその時だった。
捻捻弾を纏っていた風が弾け、ゼカに迫っていた全ての捻捻弾がゲキチョッパーへと向きを変えた。
「何!?ぐぁぁぁぁぁっ!!」
ゲキチョッパーは驚きで、回避出来ず全て直撃してしまう。
『ケン!!』
ゲキレッド達が、倒れたゲキチョッパーに駆け寄る。
「大丈夫か!?」
「あぁ、何とかな」
ゲキレッドの手を借りながら起き上がったゲキチョッパーは、ゼカの事を睨んだ。
「あの野郎...完全に遊んでやがる...」
ゲキチョッパーは、先程まで手も足も出なかった事を悔いた。
「このままじゃ駄目だ、俺達も本気で行くぞ!!」
『応!!』
ゲキレッドの合図でゲキレッド達はスーパーゲキクロウを、ゲキバイオレットは青紫激気を纏わせゴングチェンジャーブルーを、理央が獅子黒刀を構える。
『スーパービースト・オン!!』
「轟け!!ケモノの叫び!ビースト・オン!!」
「臨気王凱装!」
ゲキレッド達はスーパーゲキレンジャーに、ゲキバイオレットはゲキブルーバイオレットに、理央は黒獅子王に姿を変えた。
「行くぞ!!」
はい!如何だったでしょうか?
最後まで見て頂き、ありがとうございました。
難産だった事もありますが、文字数が多くなってしまい投稿が遅くなってしまいました。
しかもそれだけでなく、お分かりの通り今回の話はまだ途中で終わってしまいました。
この後の話の流れとしては、プリキュアとサイアークの戦い、巨大戦、ゼカとの戦いその2等が残っており全然長くなると思い途中で投稿させて頂きました。
2ヶ月程待って頂いたにも関わらず、続きが気になる終わらせ方にさせてしまい申し訳ございません。
次回の話こそ、早めに投稿できるように頑張ります。
それでは次回、第30話、もしくはアクセル・ビルド第5話でお会いしましょう!
それじゃあ、またな!
ゲキレンジャーの原作の話をハピネスチャージの1話より前に、加えようと思っています
-
ゲキレンジャー側での誠司の活躍が見たい!
-
今のままで、充分