ハピネスチャージプリキュア 激獣拳使いの幼馴染み   作:ナツ・ドラグニル

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どうも、ナツ・ドラグニルです!


投稿が遅くなってしまい申し訳ございません!


すっかり忘れておりました...


今回は、五毒拳の一人、臨獣ゲッコー拳使いのモリヤが相手です。


誠司はどう戦うのか


では作品をどうぞ


修行その6 感動!って、何?

「カデムったら、気が短いからって死に急ぐ事はないのにね~」

 

 

臨獣殿の玉座の間にて、ソリサがカデムのズタ袋を手の中で持ち遊びながら馬鹿にする。

 

 

そしてそのズタ袋を、今度はモリヤが奪った。

 

 

「はっはっはっは!!笑えるのはこれですよ」

 

 

そう言って、モリヤはカデムのズタ袋の中身であったムカデの動きを腕で表現する。

 

 

「こんなもんが秘伝リンギですか?バカですね~!あっ!バカだから死んだのか」

 

 

倒されたカデムを馬鹿にし続けるモリヤを、ブラコが戒める。

 

 

「モリヤ!言葉がすぎるぞ」

 

「何ですかブラコ」

 

 

耳に手を当て、モリヤは明らかに聞こえてないふりをする。

 

 

「弱い奴はバカ!!それが臨獣殿でしょ!!ねぇマガ?」

 

 

そう言って、モリヤは座り込んでいるマガの頭を撫でる。

 

 

「ぬあっ!?」

 

 

調子に乗っていたモリヤだったが、誰かに後ろから首を鷲掴みにされて無理やり立ち上がらせられる。

 

 

「なっ、あっ、おっ」

 

 

すると今度は、何かに蹴られたかのように地面を転がった。

 

 

すると、透明になっていたメレが姿を現す。

 

 

「お前はバカじゃないって言いたいの?モリヤ」

 

 

急に現れたメレに驚きつつも、モリヤ達は胸に手を当てて整列する。

 

 

態勢を整えたモリヤも、遅れながら整列する。

 

 

「もちろんですよ、メレ様」

 

「ふ~ん、じゃあお前さぞかし凄い秘伝リンギを持ってるんでしょうね」

 

「へっへっへっへ、獣人邪身変!」

 

 

メレの言葉に、自信満々に笑いながら獣人態へと変身する。

 

 

「もちろん!!見たらおったまげる事請け合いの秘伝リンギがあります」

 

 

すると、モリヤは玉座の間の柱を垂直に歩いていく。

 

 

「と言っても、お見せする機会があるかどうか分かりませんけどね」

 

 

明らかにゲキレンジャーを馬鹿にするような言葉を残し、モリヤは出陣した。

 

 

「はたして、奴が秘伝リンギ『真毒』の使い手なのか」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「はっ!!はぁっ!!」

 

 

特別開発室で、誠司はトレーニングロボット『ロボタフ』を相手に組み手を行っていた。

 

 

「ふぅ...少し休憩するか」

 

 

誠司は組み手を終えて、タオルで流れた汗を拭く。

 

 

そして、シャワーを浴びようと部屋を出ようとする。

 

 

指紋認証が施されているパネルに手を翳し、まさに部屋を出ようとしたその時だった。

 

 

ウィンと音を立てて自動扉が開かれると、開いた扉の前に赤いベレー帽を被った派手な格好をしたちょび髭を生やした男性が立っていた。

 

 

「うおぉぉぉぉっ!!?」

 

 

扉の前に見知らぬ人が立っていた事に驚き、誠司は思わず大きな声を上げて後ろに後退る。

 

 

「君!こちらに深見先生がいらっしゃると受付で聞いて来たのだが?」

 

 

驚く誠司の事などお構いなく、件の男性は誠司に質問する。

 

 

「深見先生?」

 

「そう!世界の至宝!偉大なる芸術家!」

 

 

いきなり入って来た男性に戸惑う誠司だったが、そこに奥からランが姿を現した。

 

 

「誠司、お客様?」

 

 

ランの登場に、誠司は正に渡りに船だと思い、助けを求めに駆け寄った。

 

 

「ラン!!助けてくれ!!なんか知らない人がいきなり入ってきて、深見先生に会いたいって」

 

「リンに?」

 

「深見先生って、リンの事だったのか!!?」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ランの案内で、誠司達はスクラッチ社の屋上へと案内された。

 

 

「あそこです」

 

 

そこには大きなキャンバスに、絵を描いているリンの姿があった。

 

 

「深見!深見せんせーい!!」

 

藤代(ふじしろ)さん!!」

 

「お久しぶりでございます!!」

 

 

藤代と呼ばれた男性は、リンの前に跪いた。

 

 

しかしそこで、今までリンが描いていたキャンバスに目が入り、大声を上げる。

 

 

「トレビアン、トレビアン!!ついに完成致しましたか!!この作品を是非この私ピエール藤代にお任せください!!」

 

 

今まで黙って見守っていた誠司だったが、我慢できずにランに質問する。

 

 

「あの人、さっきから何言ってんだ?」

 

「リンはスクラッチ社に入社する前、将来を期待されたアーティスト『絵描き』さんだったのよ。あの人は画商さん、リンの絵が欲しいって言ってるの」

 

「絵が欲しい?」

 

 

誠司がリンの方に視線を戻すと、藤代が頭を下げている所だった。

 

 

「本日は何としてでも!!」

 

「藤代さん!!」

 

「ピエールと呼んで...」

 

「この作品はまだ未完成です。それに、誰かに譲るつもりもありません。お引き取りください」

 

 

リンは冷たく突き放し、片づけを始める。

 

 

「何ですと...」

 

 

流石に見てられなくなったのか、誠司が話に入る。

 

 

「良いじゃねぇかよ、あげれば。何枚でも書けるんだろ」

 

「メルシー!お友達の方」

 

 

誠司の言葉が嬉しかったのか、藤代は誠司の両手を取ってブンブンと上下に振った。

 

 

それを、誠司は顔を引きつらせて嫌がる素振りを見せる。

 

 

「まだ...足りないんだ」

 

「何が!?」

 

 

しつこく絡んでくる藤代が嫌になったのか、突き飛ばしながらリンの言葉に返事する。

 

 

しかしそこで、誠司が臨獣拳の気配を感じ取った。

 

 

「臨獣殿だ!!」

 

 

駆け出す誠司の後を追う様に、ランも続く。

 

 

「失礼!」

 

 

リンは絵を手に取って、藤代に一礼してから誠司達を追いかける。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

あるビルの一室、パソコンの前で仕事をするOLが居た。

 

 

窓際に座っているOLだったが、背後からの日差しが不自然に遮られた。

 

 

「ん?」

 

 

不思議に思ったOLは後ろを振り返ると、そこには窓に垂直に立つ獣人態のモリヤの姿があった。

 

 

「はっはっはっは」

 

「きゃあああああっ!!!」

 

 

女性の悲鳴で、他の社員もモリヤの存在に気づく。

 

 

「うわあああっ」

 

「あはははははは‼人間共のびっくりした馬鹿間抜け面は最高ですね」

 

 

モリヤに驚き、悲鳴を上げて部屋にいた社員達は逃げていく。

 

 

「もっと悲鳴を上げさせて、力としましょうか‼」

 

 

手刀の構えを取り、窓ガラスを突き破ろうとしたモリヤだったが、駆け寄って来る誠司達の気配に気づいた。

 

 

「見つけたわよ、臨獣殿‼」

 

「あいつ!壁歩いてるぞ!?」

 

 

モリヤが垂直にビルに建っている事に、驚く誠司。

 

 

「はっはっ‼馬鹿が3人やってきましたか‼」

 

 

まるで散歩するように、ビルを垂直に歩き出すモリヤ。

 

 

「やっ‼」

 

 

モリヤは跳躍し、誠司達の前に着地する。

 

 

自身の目の前に着地したモリヤに対し、誠司達は油断なく拳を構える。

 

 

「お久しぶりですね、手始めにそちらの世界に立ってあげましたよ」

 

「何言ってんだ‼」

 

 

いちいち相手をおちょくるように馬鹿にするモリヤに、噛み付く誠司。

 

 

「行くわよ!!」

 

 

リンの掛け声で、3人はゲキチェンジャーを構える。

 

 

『たぎれ!ケモノの力!ビースト・オン!』

 

 

瞬時にゲキスーツが装着され、ゲキレンジャーへと変身する。

 

 

「燃え立つ激気は、正義の証!」

 

『獣拳戦隊‼ゲキレンジャー‼』

 

「かも~ん」

 

 

馬鹿にするように、モリヤは手招きをする。

 

 

「はぁぁぁぁっ!!!」

 

 

ゲキヌンチャクを手に、ゲキレッドが攻撃する。

 

 

上からの振り下ろし、横薙ぎからの足払い、全ての攻撃を避けたモリヤは後ろに跳んだ。

 

 

すると、地面にではなく壁に着地したモリヤに、ゲキイエローが驚きの声を上げる。

 

 

「また壁に!?」

 

「避けてばかりいないで、ちゃんと戦え!!!」

 

 

一切攻撃してこず、避けてばかりのモリヤにゲキレッドは文句を言う。

 

 

「一度でもお前らバカの世界に立ってやっただけ、ありがたいと思いなさい。ここからは俺の世界に戻りますよ、これるものなら来てごらんなさい」

 

「あの野郎‼すげぇむかつく‼やろぉっ‼」

 

 

ゲキヌンチャクを手に、モリヤに向かって跳躍するゲキレッド。

 

 

「やぁっ‼」

 

 

ゲキヌンチャクを横薙ぎするが、モリヤは数歩後ろに下がるだけで簡単に避けてしまい、ゲキレッドは重力に従い下に落ちていく。

 

 

「ふっ‼」

 

 

何とか窓の縁にぶら下がったが、指が滑ってしまった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

そのまま地面に落下したゲキレッドだったが、ゲキスーツのお陰で怪我をする事は無かった。

 

 

「誠司‼」

 

 

落ちてきたゲキレッドを心配し、ゲキブルーが声を掛け、ゲキイエローと一緒に腕を掴んで、地面に転がるゲキレッドを起こした。

 

 

「このトカゲ野郎‼逃げんな‼」

 

「あいつには重力が関係ないの!?」

 

「はっはっはっは‼教えてあげますよ‼」

 

 

ゲキイエローの言葉に、気分が良くなったモリヤは自身の技に対して解説を始める。

 

 

「これぞ臨獣ゲッコー拳臨技‼微毛脚(びもうきゃく)‼ヤモリがどんな壁でも登れるように、俺の足の裏には臨気が細かい毛の様になって覆っているんですよ‼このすんばらしい技に敵う奴など、いないって事ですよ‼」

 

 

自信満々に解説したモリヤは、ゲキレッド達に背を向けてお尻を叩いて挑発する。

 

 

それを聞いて悔しがるゲキレッドとゲキイエローだったが、ゲキブルーだけは違った。

 

 

「素晴らしい技?敵う奴などいない?言ってくれるわね!」

 

 

すると今度はゲキブルーが跳躍し、ボルダリングの要領で少しの出っ張りと、窓の縁を使い壁を垂直に登っていく。

 

 

「おおっ~‼ここまでおいで~‼」

 

 

登ってくるゲキブルーを見て、モリヤは中腰になって足を閉じたり開いたりして挑発を始めた。

 

 

モリヤの足元まで登ってきたゲキブルーは、ゲキトンファーを取り出して攻撃する。

 

 

「はぁっ‼」

 

 

しかし、ゲキブルーの攻撃は、片足だけで防がれてしまった。

 

 

「おらぁっ‼」

 

 

お返しとばかりに放たれたモリヤの蹴りを受け、ゲキブルーは転がるようにビルから落ちてしまう。

 

 

「うっ‼」

 

 

そして先程のゲキレッドと同じように、窓の縁を掴んで落下を防ぐ。

 

 

「俺の世界に侵入しようなんて生意気なんですよ‼」

 

 

すると、モリヤは星の様な形の手裏剣を取り出した。

 

 

「いやっ‼」

 

 

モリヤから放たれた手裏剣は、ゲキブルーの左肩に命中する。

 

 

「きゃあああああっ!!!!?」

 

「リン‼」

 

 

落ちそうになるゲキブルーに、ゲキレッドは思わず声を上げてしまう。

 

 

もう一度縁に掴まるゲキブルーに、モリヤが近づいた。

 

 

「重力に縛られて、バカの世界から出られない奴‼」

 

「ぐあっ‼」

 

 

掴まっている手を踏みつぶし、悲鳴を上げるゲキブルー。

 

 

「ふっ‼」

 

 

モリヤは、ゲキブルーの手を蹴っ飛ばした。

 

 

落ちるゲキブルーだが、ゲキトンファーを鎌の様に持ち、モリヤの足に引っ掛ける。

 

 

「うおっ‼おっ!?」

 

 

ゲキブルーは、左手でもしっかりとモリヤの足にしがみつく。

 

 

「ふん‼」

 

 

しかし、モリヤに蹴りを入れられた事でゲキブルーはゲキトンファーから手を離してしまう。

 

 

「良いぞー‼リン‼そのまま地面に引き摺り落しちゃえ‼」

 

「私達の世界で勝負よ‼地上でなら勝てるわ‼」

 

「いや......それは私のスタイルじゃない......」

 

 

地上に落とすように応援するゲキレッド達だが、ゲキブルーの意見は違った。

 

 

「こっちで戦って勝たなきゃ、意味がない‼」

 

 

そう豪語すると、ゲキブルーはわざと手を離した。

 

 

「え?」

 

「何で?」

 

 

手を離した事に、驚くゲキレッド達。

 

 

「格好つけやがって‼」

 

「きゃあああああっ‼」

 

 

モリヤの突きが止めとなり、ゲキブルーは地面へと落下する。

 

 

「リン‼」

 

 

墜落したゲキブルーに、駆け寄る2人。

 

 

「降りて来い!このトカゲ野郎‼」

 

「こんだけ付き合ってやったんですよ?感謝して貰いたいですね」

 

 

ゲキレッドの言葉に、モリヤは上から物を言う。

 

 

「続きはまた今度、バイバイ」

 

 

モリヤはゲキレッド達に手を振ると、その場からいなくなってしまった。

 

 

「あの野郎ぅ」

 

 

まともに相手されなかった事に、ゲキレッドは怒りがこみ上げてくる。

 

 

ゲキブルーはそんなゲキレッドに背を向け、俯いて何かを考えていた。

 

 

怒りが収まらないゲキレッドは、その怒りをわざと手を離したゲキブルーへと向ける。

 

 

「何やってんだよリン‼せっかくチャンスだったのに‼」

 

 

両肩に手を乗せてゆさゆさと肩を揺らすゲキレッドだったが、ゲキブルーは肩を回す事で手を振り払った。

 

 

そしてゲキブルーは、何も言わずその場を去った。

 

 

「リン‼」

 

「誠司‼」

 

 

追いかけようとするゲキレッドを、ゲキイエローが止める。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

特別開発室に戻ってきたリンは、屋上で書いていた絵を前にして考え事をしていた。

 

 

そこに怒り心頭の誠司が入ってきた。

 

 

「今度は俺が行く‼」

 

 

そう意気込む誠司だが、それをランが止める。

 

 

「気合は認めるけど、あの壁歩きに対抗する手はあるの?」

 

「ないけど...」

 

 

ランは誠司の両肩に手を置きながら質問し、誠司は自信なさげに答える。

 

 

「でも俺は、リンみたいに手を離したりしない‼」

 

 

誠司の嫌味に、リンは振り返った。

 

 

「リンはあの絵と同じで、ただ勝てば良いとは思ってないのよ」

 

 

そこに、美希が現れて説明する。

 

 

「誠司、あなたにリンを超える戦いが出来る?」

 

「リンを超える?」

 

 

美希にそう問われて想像をしてみるが、全然その姿が思い浮かばなかった。

 

 

「へっへっへ、ほれ」

 

 

今度はマスター・シャーフーが現れて、ランに雑巾が入ったバケツを、誠司にブラシやスポンジが入った腰道具袋を渡す。

 

 

「ん?」

 

 

渡された物を見たリンは、何かを思いついたのかあっ⁉と声を上げる。

 

 

「窓ふきですか?」

 

 

その道具を見て、窓ふきで使う物だと気づいたラン。

 

 

「暮らしの中に修行ありじゃ、窓を磨けば見通しも良くなる‼何度妙案が浮かぶかもしれんぞ」

 

 

するといきなり、リンがランから道具を奪い取った。

 

 

「行ってきます!」

 

 

そして今度は、そのまま屋上へと向かった。

 

 

「リン‼」

 

 

出て行ったリンの後を、誠司達が追いかける。

 

 

出ていくのを見送ったマスター・シャーフーは、手に持っていたトライアングルを鳴らした。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

屋上からロープを垂らし、命綱を着けたリンがロープを手に壁を歩くように地上へと降りていく。

 

 

途中まで降りたリンは、今度は右に左へと壁を蹴って移動する。

 

 

その様子を、誠司はおぉ~と感心しながら見ていた。

 

 

「なぁ、ラン」

 

「ん?」

 

「戦いって、勝つ事が大事じゃないのか?」

 

 

美希に言われた事を思い出し、ランに質問する。

 

 

「そうね、でもそれだけじゃない。リンはきっと、もっと高い所を見てるのよ」

 

 

ランの答えに意味が分からず、誠司は首を傾げてしまう。

 

 

再度リンに視線を向けると、今度はぶら下がりながら右方向へと前転を始める。

 

 

「そして何かを見つけようとしてる」

 

「何か...」

 

 

しかしそこに、ノォォォォォッと叫びながら藤代が現れた。

 

 

「藤代さん?」

 

「そげな所で何て事を⁉世界の至宝!!深見先生にもしもの事があったら......」

 

 

思いもよらない事態に頭に血が上りすぎたのか、そのまま藤代は気を失ってしまった。

 

 

「あぁ⁉」

 

「うおっ⁉藤代さん⁉」

 

 

気絶した藤代を心配し、ランと誠司が駆け寄った。

 

 

「はぁ...」

 

 

そしてその様子を見ていたリンは、ため息をついた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

臨獣殿の一角にある、五毒拳に用意された部屋。

 

 

その部屋の一つ、モリヤの部屋をソリサが訪れる。

 

 

「モリヤ!!入るよ!!」

 

 

ソリサが中に入ると、モリヤは天井に張り付いてた。

 

 

「メレ様がお怒りよ!!何で帰って来たって!!」

 

「くっ!!直ぐ倒しちゃ、つまらないからですね!!」

 

 

モリヤの返答に、ソリサは呆れる様に指摘する。

 

「とか何とか言って、本当はやられそうになったから焦って帰って来たんじゃないの?」

 

「ぐっ...ジャガー拳のガキが、生意気言うからからかってやったんだよ!!」

 

 

言い返そうとするソリサだったが、部屋の入口に理央が現れる。

 

 

『はっ⁉理央様⁉』

 

 

同時に理央の存在に気づいたソリサは膝を着き、モリヤは地面に着地して直ぐに膝をついた。

 

 

「ゲキブルー......激獣ジャガー拳使い......あいつ(・・・)の妹か......」

 

「は?」

 

 

理央の言うあいつが誰の事を指しているのか分からないモリヤは、思わず口に出してしまった。

 

 

「モリヤ!!次はゲキブルーに止めを刺せ!!あいつと同じ才能があるとすれば、面倒な相手になるやもしれん」

 

 

理央はそう告げると、踵を返した。

 

 

「問題ありません!!とびっきりの絶望と恐怖を味合わせた上で、必ず息の根を止めてやりますよ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

気絶した藤代を、誠司達は近くの街路樹にあるベンチへと寝かせた。

 

 

「はっ!!」

 

 

ようやく目を覚ました藤代は、ランが濡らして額に置いておいたハンカチを取り、起き上がった。

 

 

起き上がるなり混乱する藤代だったが、もう一つのベンチに誠司と一緒に座るリンの姿を見つけた。

 

 

「深見先生!!ご無事でしたか!!」

 

 

安堵する藤代だったが、興味なさそうにリンがベンチから立ち上がる。

 

 

「もう話す事はないでしょうが...」

 

 

そう言ってその場から離れようとするリンを、誠司が止める。

 

 

「何か藤代さんも必死だしさ、絵をあげたらどうだ?リン」

 

 

誠司が提案するも、リンはそっぽ向いてしまう。

 

 

「ちょい、ちょい、ちょい、ちょい、ちょい、ちょい!!」

 

 

しかしそこに、今までとは態度を変えて藤代が近づく。

 

 

「これを見れば......」

 

 

そう言うと、藤代はずっと手に持っていたスーツケースをリンの前で開けた。

 

 

「お気持ちも変わりましょう」

 

 

スーツケースの中に入っていたのは、大量にある万札の札束だった。

 

 

「おわっ⁉」

 

「すっごいお金⁉」

 

 

今まで見た事のない札束の量に、誠司とランは驚愕の声を上げる。

 

 

「藤代さん...先程も申しましたが、絵を渡すつもりはありません」

 

 

リンはそう断言すると、スーツケースの蓋を閉めて先程まで座っていたベンチへと向かう。

 

 

「何故です?これでもまだ足りないと申すのですか?」

 

「そうじゃありません、足りないのはあの絵の方なんです」

 

 

そう言うと、リンはベンチへと座りなおした。

 

 

「そうやって、お値段を吊り上げるつもりなんですね、分かりました!!お付き合いはこれまでです!!」

 

 

見当違いの事を言って、藤代は誠司達の前から去ってしまった。

 

 

「足りないって...一体何なんだ?」

 

「感動よ」

 

 

誠司の問いに、リンは即答した。

 

 

「感動?」

 

「感動が無ければ、芸術も獣拳も、存在すべき理由が無いんじゃないかって私は思うの」

 

 

リンはそう言って、かつて自身の師であるマスター・シャーフーに言った事を思い出す。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ある美術館に、リンの絵を展示するイベント『深見リン絵画展「大輪の華」』が開催された。

 

 

『絵の道はひとまず休みます。これからは、拳の道を行きます!!』

 

『深見リン!!兄の復讐の為に激獣拳を学ぶと言うのであれば、儂はお主を受け入れる事は出来んぞい!!』

 

『それは違います!!』

 

 

マスター・シャーフーの言葉に、リンは即答する。

 

 

『亡くなった兄さんはご存じの通り、孤独を愛し、一匹狼のような所がありました』

 

 

リンは、昔兄に頭を撫でられていた頃を思い出す。

 

 

『でも、激獣拳には心から魅了されていた。ずっと激獣拳に、感動していたんだと思います!!その感動に、私も触れてみたい!!』

 

『よかろう...』

 

 

自分の考えが思い違いであった事を安堵し、マスター・シャーフーは弟子入りを許可する。

 

 

『技を極め、その技により多くの者に感動を与えて見よ。そうすれば、お主の中にも感動という名の大輪の華が咲く事じゃろう』

 

 

そう言って、マスターシャーフーは一輪の華をリンに渡す。

 

 

『はい!!マスター!!』

 

 

☆★☆★☆★

 

 

昔の事を思い出したリンは、街路樹に生えている大輪の華を愛でた。

 

 

「ふふっ」

 

「感動か~」

 

 

頭の後ろで手を組んで感動について考える誠司だったが、そこに臨獣殿が現れた時特有の寒気を感じた。

 

 

「臨獣殿だ!!」

 

「リン、行ける?」

 

 

ランの問いかけに、リンは静かに頷いた。

 

 

リンは広場にあるアーチに近づき、手を掛ける。

 

 

「はっ!!」

 

 

柱を軸にし、そのまま体操をするように回転し、今度は柱に足をつけると側転しながら頂上へと登っていく。

 

 

「おぉ~!!すっげぇぇぇっ!!!」

 

 

リンの技に、感動する誠司。

 

 

「はっ!!」

 

 

頂上に到着すると、左腕のみで逆立ちを始める。

 

 

「今度は完璧に勝つ!!」

 

 

力強く宣言するリンだった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「あっはっはっはっ!!」

 

 

さっきと同じビルの壁に、笑いながら張り付いているモリヤ。

 

 

そこにゲキレンジャーへと変身する、ゲキレッドとゲキイエローが姿を現す。

 

 

「降りてこーい!!このトカゲ野郎!!」

 

「やなこったい!!」

 

 

地上を見下ろすモリヤだったが、ゲキブルーだけ姿が見えない事に気づいた。

 

 

「おや?肝心の青いのがいませんね?」

 

「ここよ!!」

 

 

ゲキブルーは声を高らかに、モリヤの後ろであるビルの屋上から姿を現す。

 

 

「何すかそれ⁉性懲りもなく、また俺の世界に踏み込みやがって!!」

 

 

ゲキブルーが屋上の縁を掴んでいるとはいえ、同じ土俵に立っている事にモリヤにとって我慢ならなかった。

 

 

「俺って、見下ろされるのが一番ムカつくんですよ!!きゃっはっ!!」

 

「はぁ!!」

 

 

ゲキブルーの所まで跳躍するモリヤだが、手を離した事でそのまま落下するゲキブルー。

 

 

腹ばいの状態でビルの壁を滑るゲキブルーは、窓の縁を掴んで静止する。

 

 

「今日は、ぺっちゃんこにしちゃいますよ!!」

 

「はぁっ!!はぁっ!!」

 

 

またもゲキブルーに向かって駆けるモリヤだったが、ゲキブルーは横に転がり上の階の窓向かって跳躍する。

 

 

「避けたわ!!」

 

 

前回までとは打って変わり、モリヤの攻撃を避けるゲキブルーに、声を上げるゲキイエロー。

 

 

「生意気ですね!!ムカつきますよ!!」

 

 

尚も攻撃を仕掛けるモリヤだったが、前転や側転する事で華麗に避けて見せるゲキブルー。

 

 

「きっさっまぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

攻撃が当たらない事に、更に怒りがこみ上げてくるモリヤ。

 

 

「良いぞ!!」

 

「すっごいバランス感覚!!修行の賜物ね!!」

 

 

モリヤと戦えている事にゲキレッドは手を叩いて喜び、ゲキイエローはバランス能力を褒めた。

 

 

「リン!!早くぶちのめせ!!」

 

「ふっはっは!!なこと言ったって、重力に縛られている限りこの俺に勝てはしませんよ!!」

 

 

避けてばかりで攻撃手段がないと判断したモリヤは、冷静になりゲキレッドの言葉に反論する。

 

 

「ふん、決めつけって言う重力に縛られているのは、お前の方よ!!」

 

 

ゲキブルーは腕力だけでビルの壁に三点倒立し、起き上がった勢いを利用してそのままバク転しながらビルを登り始める。

 

 

バク転を利用し、両脚によるかかと落としがモリヤに命中する。

 

 

「うわぁっ⁉」

 

 

思いもよらない攻撃に、顔を押さえて後ずさりするモリヤ。

 

 

「やぁっ!!」

 

 

その隙を見逃さず、今度は側転で登ってモリヤの頭上を飛び越える。

 

 

その際に、側転の勢いを利用してパンチとキックをお見舞いする。

 

 

「ゲキワザ!!舞舞跳!!」

 

「何⁉」

 

 

そこからは、ゲキブルーの怒涛の攻撃が炸裂する。

 

 

垂直の壁を自在に走り回り、モリヤを翻弄して攻撃する。

 

 

「すっげぇぇぇぇ!!」

 

「まさに、ファンタスティック・テクニック」

 

 

ゲキブルーの攻撃にゲキレッドは興奮し、ゲキイエローは魅了される。

 

 

そして、その攻撃を見ていたのはゲキレッド達だけでは無かった。

 

 

離れたビルの屋上で、メレが食い入るようにその攻撃を見ていた。

 

 

「何なのあの動き⁉垂直の壁を自由に踊っているみたい...あそこはモリヤの世界なのに、完璧なテクニック...素晴らしい美しさだわ」

 

 

その美しさに、思わずメレが見惚れてしまう程だった。

 

 

「はっ!!いけない!!メレの心はとこしえに理央様の物!!」

 

 

見惚れていたメレだったが、自分に暗示をかけ正気を取り戻した。

 

 

モリヤの足元を垂直に跳ぶことで足払いをし、転倒させる。

 

 

「モリヤ!!同じ体力、同じテクニックを持つ獣拳使いが2人戦ったとする。勝つ決め手は何だと思う?」

 

「何ですと...勝つ...決めて...」

 

「人を感動させる事よ!!情熱を内に燃やすだけじゃない、その炎を持って周囲を熱くするのよ!!そうすれば、みんなの感動が私に力をくれる!!」

 

 

ゲキブルーの言葉を聞いて、ゲキレッドは胸の内が熱くなるのを感じる。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

モリヤに向かって、走り出すゲキブルー。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

ゲキブルーの掌底が、モリヤに決まる。

 

 

そのまま地上へと落下するモリヤだったが、落下する間もゲキブルーの怒涛の攻撃は続いた。

 

 

「勝つから感動するんじゃない!!感動は与えられるから勝つんだ!!」

 

「ぐおっ!!」

 

 

そのまま跳び蹴りを放つゲキブルー、地上へと落下した威力を合わさって地面が陥没する。

 

 

「感動を感じもせず、与える事も出来ない奴は!!」

 

「ぐあっ!!」

 

 

ゲキブルーが跳躍するが、その際に足元のモリヤを踏みつける。

 

 

「このまま眠れ!!」

 

 

地面へと着地したゲキブルーは、そう宣言する。

 

 

そこへ、興奮するゲキレッドとゲキイエローが駆け寄る。

 

 

「完璧ね」

 

「スゲェなリン!!俺!!感動して胸が熱くなった!!」

 

「ありがとう!!」

 

ゲキブルーはそう言うと親指を立てて、サムズアップをする。

 

 

ゲキレッドもサムズアップし、ゲキブルーの拳に当てる。

 

 

「ふふふ」

 

 

その様子を見て、ゲキイエローは笑みを浮かべる。

 

 

「ぬああああああっ!!!」

 

 

モリヤが大声を上げ、覆いかぶさっていた瓦礫を押しのける。

 

 

起き上がったモリヤの前に、3人は拳を構える。

 

 

「薄汚い地面に引き吊り降ろされたのは、初めてです!!」

 

 

モリヤはそう怒鳴り声を上げると、手裏剣を取り出した。

 

 

「うりゃっ!!」

 

 

手裏剣を投げるモリヤだったが、ゲキブルーが一歩前へと歩み出る。

 

 

「ゲキトンファー!!」

 

 

ゲキブルーはを召喚し、跳んできた手裏剣を全て弾いた。

 

 

「うりゃっ」

 

 

もう一度投げるモリヤだったが、結果は変わらなかった。

 

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

今度はゲキブルーが動き、モリヤ向かって走り出す。

 

 

モリヤも対抗して走り出すが、交差した瞬間にゲキブルーがゲキトンファーを振るい、モリヤから火花が飛び散る。

 

 

「ジャガー拳!!ゲキワザ!!」

 

「うっ!?」

 

 

ゲキブルーが跳躍するが、モリヤは今までのダメージのせいで動けなくなっていた。

 

 

「ゲキトンファー!!華華弾!!」

 

 

体を捻って回転し、回転の勢いを乗せてモリヤの頭上にゲキトンファーを叩きつける。

 

 

「バカモリヤ、偉そうな事言ってたくせに」

 

 

その様子を見ていたメレは、頬杖をついて呆れたようにモリヤを見下ろした。

 

 

「あはははっ!!たのちい!!たのちいね!!こんなにたのちいのは初めてかも!!」

 

 

急に態度を豹変させたモリヤに、身構える3人。

 

 

「邪心豪天変!!!もっとたのちい事しようよねぇ!!」

 

 

臨技を使用し、巨大化するモリヤ。

 

 

「モリヤ...秘伝臨技...見せて貰うわよ。真毒ならいいけど、そうでなきゃ気が済まないわ」

 

 

メレはモリヤが使えなかった事に、腹を立たせる。

 

 

「行くわよ!!ラン!!誠司!!」

 

「OK!!」

 

「あぁ!!」

 

『ゲキワザ!!獣拳合体!!』

 

 

ゲキブルーの掛け声を合図に、3人はゲキビーストを召喚する。

 

 

『ゲキトージャ!!バーニングアップ!!』

 

 

ゲキビーストが合体し、ゲキトージャが完成する。

 

 

「五毒拳シリーズの内早くも第2戦、敵はトリッキーな攻撃を得意とするモリヤです!!ブーン!!」

 

 

巨大化したモリヤと、ゲキトージャが相対する。

 

 

「ですが!!壁を失ったモリヤなど、もはや恐るるに足らず!!頑張れ!!僕らのゲキトージャ!!ブブブーン!!!」

 

 

早速ゲキトージャがモリヤ目掛けて、アッパーを繰り出した。

 

 

「ゲキトージャ、アッパーだ!!そうして大きくフック!!そうしてキック!!そしてケツにもキックだが避けられた!!」

 

 

ゲキトージャが攻撃を仕掛けるも、悉く避けられてしまう。

 

 

「でっかくなっても逃げるばっかか!!」

 

「はっはっは!!悔しかったらここまでおいで~」

 

 

ゲキレッドの言葉に、モリヤはお尻を叩いて挑発する。

 

 

「何⁉」

 

「逃がすもんですか!!」

 

 

あえてモリヤの挑発に乗り、攻撃を仕掛けるゲキトージャ。

 

 

キックやアッパーなど、攻撃を仕掛けるが全て避けられてしまう。

 

 

「ゲキトージャ!!攻める攻める!!モリヤ避けます!!」

 

 

大振りの後ろ回し蹴りを繰り出すゲキトージャだが、モリヤはキックの下を地面を転がる事で避ける。

 

 

「おっと!!逃げます!!これは完全に鬼ごっこだ!!もはやモリヤに反撃の意思は無いのか!!」

 

 

バエが実況する中、メレは不満そうに戦いを見ていた。

 

 

「おお!!ゲキトージャ!!等々モリヤを捕まえました!!」

 

ここで、ようやくゲキトージャがモリヤを捕まえ、腕を抑える。

 

 

「捕まえたぞ!!」

 

「へっへ...」

 

 

捕まえられたのも関わらず、余裕そうなモリヤ。

 

 

すると次の瞬間、ゲキトージャが腕を引っ張るとスポォォォン!!とモリヤの腕が外れてしまう。

 

 

『うわぁぁぁぁぁっ!!?』

 

 

引っ張った勢いで、ゲキトージャはそのまま後ろに尻もちをついてしまう。

 

 

「何だ⁉」

 

「何と!!?腕が抜けてしまった!!!」

 

 

腕が取れた事に、ゲキレッドとバエは驚愕する。

 

 

「う、うわぁ⁉」

 

 

すると、取れた腕がゲキトージャの顔を掴み掛かる。

 

 

「うりゃ!!」

 

 

モリヤが腕を引っ張るように右に体を仰け反らせると、腕に引っ張られてゲキトージャが起き上がった。

 

 

「これぞ俺の秘伝臨技!!『速生腕(そくせいわん)』!!正に奥の手よ!!」

 

 

すると、モリヤに新しい腕が生えてくる。

 

 

「おおおわぁ⁉早くも新しい腕が生えてきた!!恐るべき再生能力です!!まさに対応不能ですねメレさん!!」

 

 

そうメレに振るバエだったが、メレは真毒では無い事が判明した為に、やる気を完全に無くしぶるるるると唇を震わせた。

 

 

「うりゃっ!!」

 

 

モリヤは跳躍し、ゲキトージャを飛び越える事で背後を取った。

 

 

「おおっと!!モリヤ後ろに跳んだ!!ゲキトージャ気づいていない!!」

 

 

バエが実況する通り、ゲキトージャはへばりつく手を剥がすのに夢中でモリヤに気づいていなかった。

 

 

「見えねぇ!?」

 

「うぅ...」

 

前が見えない事に途惑うゲキレッドとゲキイエローだったが、ゲキブルーだけは冷静だった。

 

 

「うりゃっ!!」

 

「そこよ!!」

 

 

モリヤが背後から攻撃してきた気配を察知したのか、ゲキブルーは後ろに足を伸ばす事で蹴りを繰り出す。

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

ゲキトージャの蹴りを真面に受け、モリヤは後ろに吹っ飛んだ。

 

 

「はずはありませんね!!気づいておりました!!」

 

 

ようやくちぎれた腕を外したゲキトージャは、その腕を地面に叩きつけた。

 

 

「センスゼロ!!むしろマイナス!!」

 

 

ゲキトージャは叩きつけた腕を踏みつぶすと、今度こそ動かなくなった。

 

 

「攻撃の気配が丸分かりよ、しかも不意打ちは二番煎じ、感動がないわね!!」

 

「なんだとぉ...」

 

 

ゲキブルーに逆に煽られてしまったモリヤは、言葉を失ってしまう。

 

 

「良し!!ラン!!リン!!行くぞ!!」

 

 

ゲキレッドの言葉を合図に、3人は両手を広げて回転し始める。

 

 

それに合わせ、ゲキトージャの上半身が高速回転を始める。

 

 

「ゲキトージャ!!ゲキワザ!!大願願拳!!!」

 

 

回転する拳が、モリヤに何度も攻撃する。

 

 

『ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!ゲキ!!』

 

「咲いたぁぁぁぁ!!咲きました大輪の大技ァ!!正に華やか大願願拳!!」

 

 

回転するゲキトージャに、大輪の華を幻視するバエ。

 

 

「うわぁぁぁぁっ!!」

 

 

止めの一撃が命中し、モリヤが後ろへと倒れる。

 

 

『獣拳は正義の拳!!』

 

「正しき者は!!」

 

「必ず!!」

 

「勝つ!!」

 

 

ゲキレンジャーが勝ち鬨を上げると、モリヤの身体がみるみる内に石化する。

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

石化するモリヤに罅が入り、亀裂から紫色の光が放たれると木っ端微塵にバラバラになる。

 

 

「臨獣ゲッコー拳使いモリヤも、また粉砕致しました!!」

 

『ゲキトージャ!!WIN!!』

 

「ゲキトージャ絶好調!!ブンブーン!!」

 

 

実況を終えたバエだが、モリヤが倒された事にはぁ...と溜息をついた。

 

 

「ふん、こいつの秘伝臨技も真毒には程遠かったわね。あんな無様な負け方する奴、臨獣拳には必要ないわ」

 

 

そう吐き捨て、メレはその場を後にする。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

スクラッチ社の特別開発室へ戻ったリンは、足りないと言っていた絵に大輪の華を描き足していた。

 

 

その様子を、誠司達が離れて見守っていた。

 

 

「良し!!完成だ!!」

 

「おぉぉぉ!!」

 

 

リンの納得いく絵がようやく完成した事に、誠司達は拍手を送った。

 

 

「ト・レ・ビ・ア~ン!!」

 

 

しかしそこに、藤代が入室してくる。

 

 

「え!?」

 

「藤代さん!?いつのまに!?」

 

 

お付き合いはこれまでと自分で言っておきながら、突然入室してきた藤代に誠司とリンは驚愕する。

 

 

「はい!!先日は私、何かとっても錯乱しておりました!!あ~ん!!これぞ深見先生の最高傑作感動いたしました」

 

 

前回のやり取りを無かった事にしたのか、藤代は早口で捲し立てる。

 

 

「あぁ、是非是非是非このピエール藤代にお譲りくださいまちゅで!!」

 

「きゃあああっ!!!」

 

 

意味の分からない事を言うと、突如リンに抱き着いた。

 

 

リンは引き剥がそうとするが、思いのほか力が強いのかリンに引きはがす事は出来なかった。

 

 

「誠司!!この人どうにかして!!ていうか藤代さん香水きつすぎですよ!!」

 

 

誠司に助けを求めるリンだったが、誠司は関わりたくなかったのか見て見ぬ振りをした。

 

 

「感動はより多くの人を動かす、これも修行じゃリン」

 

 

そう言うと、マスター・シャーフーはトライアングルではなく、意味あり気に仏具のおりんをチーンと鳴らした。

 

 

「えぇ!?」

 

 

まさかの言葉に絶望するリンだったが、何とか藤代を引きはがす事が出来た。

 

 

しかし、その後も藤代に追いかけ続けられるリン。

 

 

「きゃあああああっ!!」

 

 

 




美希「リンが得意とする武器はコレ『ゲキトンファー』。色んな使い方が出来るわ。でも、使いこなすには高度なテクニックが必要よ」


美希はそう説明すると、ゲキトンファーの持ち手から棒の方へと持ち替えた。


「ちなみにこうやって鎌の様に構えるのを剣術と言って...あ?」


説明していた美希だったが、一本ゲキトンファーが無くなっている事に気づいた。


「こう使うんじゃよ」


するとマスター・シャーフーが鎌の様に構えたゲキトンファーを、孫の手の代わりに背中をかいた。


「あぁ~」








はい!如何だったでしょうか!


今回の秘伝リンギは『速生腕』、トカゲのしっぽの様に簡単に取れてまた生えてくるとは...


バエも言ってましたが、本当に気持ち悪い...


それに藤代さんキャラ濃すぎ(-_-;)


残る五毒拳はマガ、ソリサ、ブラコの3人。


誰が『真毒』をもっているのか...


それでは次回、修行その7もしくはベストマッチな加速能力者第20話でお会いしましょう!

ゲキレンジャーの原作の話をハピネスチャージの1話より前に、加えようと思っています

  • ゲキレンジャー側での誠司の活躍が見たい!
  • 今のままで、充分
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