第零話
───デュエルモンスターズ。
かつて娯楽の1つとして生まれたこのカードゲームは、いつしか世界を動かす程の影響力を持ち、世界経済の中心となった。
そんなデュエルモンスターズの中心地、「ネオ童実野シティ」で起きた事件・・・シグナー達の熾烈な戦いから十余年。
この街に、また桜が咲き乱れる春がやって来た。入学シーズンである。
シティの中心部に建つデュエリスト養成学校、「デュアルアカデミア」
そこに大勢の生徒が向かう中、その校門の前に横並びに立つ三人の少年少女。
新品の制服に身を包む彼らの表情に不安は無く、期待が笑顔から滲み出ている。
「んん、やっとこの日が来たなー!」
「そうだな・・・」
「楽しみだね、二人共!」
緋色の髪の少年が体を伸ばしながら言うと、それに答える様に隣に立つ金髪の少年が呟く。その反対側、緋色の髪の少年を挟む様に立つ栗毛の少女は、二人の少年に元気な笑顔を向ける。
彼らは一様に、天を衝く様に聳え立つ校舎を見つめ、それぞれの決意を改めて固めた。
「っし!行くぜ、葵!涼華!」
「ああ・・・置いてくぞ、海堂」
「あ!待ってよ、遊騎ぃ!葵ぃ!」
気合いを入れ歩き出す緋色の髪の少年・
幾つかの束になった髪を後ろに撫で付けた様な髪型は、何処か「伝説の
真っ直ぐに前を見る紫色の瞳と、挑戦的とも言える表情には自信と期待が満ちており、不安など微塵も無い。
そんな彼に並んで歩く金髪の少年・
三人の中で最も長身である彼は、シャープに纏めた金髪とその眼光の鋭さも相まって、見る者にクールな印象を与える。
二人に置いて行かれそうになり、慌てて追い掛ける栗毛の少女・
快活な印象のショートヘアにその表情や言動から、爛漫な性格である事が窺える。
三人がそれぞれの思いを胸にデュエルアカデミアの校舎へと入って行く。
その後ろ、数メートル程の距離が離れた位置を、深い青─瑠璃色の髪の少女がゆっくりと歩いている。
(デュエルアカデミア・・・ここに、“あの人”が・・・)
立ち止まって校舎を見つめ、少女は自身の目的を再認識する。
周りを歩く生徒達とは異なり、その金色の瞳は不安げな光を宿している。
彼女は視線を戻し、再び歩き出す。その足取りはやや重く、緊張している様にも見える。
彼らはまだ知らない。
自分達の未来に、多くの苦難と過酷な運命が待っている事など・・・
四人の少年少女。
彼らの新たな物語が、始まろうとしていた───