歪んだ殺人鬼の転生録(凍結)   作:クルージング

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またまた深夜投稿です。眠たいけど眠れない。このジレンマってなんでしょうね?


《第4話 初戦闘、妖精族(エルフ)との遭遇》

突然だが、俺は今逃げている。何故かって?ついさっき俺は知ノ恵(チノメグミ)の報告に基づいて、洞窟の奥深くへと移動していた。案の定、魔物と遭遇したのだが…そこにいた魔物が問題だった。

 

「何でここに黒蛇が……ッ!」

 

そう。洞窟の奥深くへと進んだ先に待っていたのは、まさかの黒蛇。-Aランクに相当する魔物であった。その魔物はしっかりと俺の背面を捉え、スルリスルリと柔軟に動いて俺を追いかけてきている。

 

《マスター、何故逃げるのです?》

 

知ノ恵の冷静な一言が逃げる俺へと突き刺さる。確かに後の事を考えれば黒蛇程度、難なく倒せなければこの先厳しいことにはなるだろう。だが、自分の力をまだ把握していないこの状態では逃げるのが懸命だと思うのだが。

 

《成る程。そう言う事ですか。しかし、このような雑魚程度ならば、攻撃を放てば一発で仕留められますよ》

 

…それは流石に盛りすぎではないだろうか。一瞬そう疑問を抱いたが、前の【知ノ恵】との会話を思い出してその疑問を押し込む。

 

「なぁ、知ノ恵。それは確率計算に基づいたものか?」

 

《勿論です。私の計算によれば、一撃で対象の生物を死滅させれる確率は100%です。ようは確定事項と言うことです》

 

そう。知ノ恵は大賢者と同じく驚異的な演算能力、及び知性概念を持つ固有能力(ユニークスキル)。俺はすっかりその事を失念していたようだ。自分の鈍感さに思わず頭を抱えたくなってくる。だが、今はそんな事をしている場合ではない。俺は逃げるのを止め、黒蛇と正面から対峙する。

 

「知ノ恵がそう言うのなら…。信じるぞ、その言葉!」

 

俺は知ノ恵の言葉を信じ、掌に力を集中させる。黒蛇は俺がとった行動に危険性を感じたのか、動きを止め威嚇している。今がチャンスかもしれない。そう思った俺は瞬時に黒蛇の懐に入り込み、黒蛇の顔面に掌打を放つ。すると…。

 

「…マジか。」

 

俺の攻撃をまともに食らった黒蛇はその肉体を保たせる事ができずに、見事に四散してしまったのだ。本当に知ノ恵の言う通りの結果になったことにも驚きを隠せなかったが、一番衝撃を受けたのは自身の膂力、そして身体能力の高さだ。俺の攻撃を食らった黒蛇は、明らかに防御の姿勢をとっていた。しかしそれを無いことにするかのように、俺の一撃は黒蛇の肉体をあっさりと散らさせてしまった。更に警戒耐性に入っていた黒蛇の懐に一瞬にして入り込んだ圧倒的な身体能力(ポテンシャル)。どれをとっても前世の自分からしてみれば考えられない事だった。

半人半神(ヘーミテウス)の身体でもこれ程なのだ。そうなると完全な神の身体となると一体どんな事になるのやら…考えただけでも身震いしてしまう。

 

《ね?私の言った通りだったでしょう?》

 

知ノ恵から同意を求められる声が聞こえてくる。あぁ、確かにそうだったな。助かったよ知ノ恵。けど、出来れば逃げる前に教えてほしかったな。

 

《フフッ、マスターの逃走劇は面白く見させていただきましたよ。それにしても見事な逃げ腰でしたね。恐らく前世でも同じような事をしてたんでしょうね。妙に馴れている動きでしたから》

 

グサッ。グサグサッ。

 

知ノ恵の冷酷無比な言葉が俺の脆い精神(トウフメンタル)に深く突き刺さる。

グフッ…常々思っていたけど、知ノ恵は所々で俺をディスって来るよな…Sなのか?

 

《解。私は主を弄る状況に限って、ドSになる傾向があります。気を付けてくださいね、マスター》

 

oh…。これはキツい。もしかしたらこの洞窟を抜ける時、俺は廃人になっているかもしれない。心配だ…俺の未来が心配だ…主に精神面。

 

《さてこんな茶番は置いといて、主。この近くにもう一つ熱源が探知できました。しかし、徐々に弱体化していっている模様です》

 

出来れば茶番ではなく冗談と言ってほしかった。

熱源が徐々に弱くなってる?不思議だな、大抵このような場所にいる魔物は、その環境に適応している筈…もしかしたら、俺の他に外から入ってきた奴がいるかもしれないな。知ノ恵の言葉を頼りに、俺はその熱源が探知されたと言う場所に向かう。

 

「それにしても、この洞窟。奥に進むほど暖かくなって来ているな…。でも風はどんどん強くなっている気がする…考えすぎか?」

 

《マスターの考えていることは当たってますよ。現在、熱源を探知した場所を中心に、大規模な魔素の流れを確認しました。どうやら何者かが魔法でこの周辺を暖めているようです》

 

「魔法で?あぁ、確かに何かが流れているような感覚がするな…これが魔素なのか。今まで魔力の流れしか掴んでいなかったから分からなかったよ」

 

と言うことは、この熱風は誰かの意思で作られたものなのか。だけど、普段からここで生活している魔物がこんな事をするか?これはいよいよ俺の予想が当たりそうな予感だ。そんな事を考えていた時、足に妙な違和感を感じた。

 

「ひゃっ!」

 

ひゃっ?透き通るような黄色い声がいきなり耳元で響き渡り、俺は恐る恐るその声の発信源へと視線を傾けていく。そこには何と、驚くべき光景が写っていた。

 

「うぅ…」

 

目の前にいたのは、一人の少女。スラリとした長い耳を持っている、可憐な少女だった。一目で分かる。実際にあったことは無いし、それに至る確証もない。だが、俺は確信した。この少女が如何なる存在かも。一説では伝説の種族と謳われる種族。個体数が少なく、希少な存在として語り継がれているー

 

耳長族(エルフ)なのか?」

 

思わずそんな言葉が溢れた。

 

「…もしかして、人間…なのですか?」

 

その一言に続くように、少女は口を小さく開く。その目は明らかに怯える小動物のそれだ。俺はすぐに理解した。この少女が…人間に対して、恐怖心を持っていることを。

…これは一波乱ありそうだな。心の中でそう判断した俺は、一先ず恐怖心を解いてもらうような一言を、頭の中で必死に絞り出そうとするのであった。




《フッ、脆い精神(トウフメンタル)って…フフッ。読み方のギャップが…フフフッ。》

「知ノ恵、お前ちょっと黙ってろ」

如何でしたかね?次話はまた深夜に投稿するかも知れません。

「おい作者、何であんな悪意のある編集をしたんだ」

え?面白いから。

「ハァ……」

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